【大友美有×清川麗奈 スペシャル対談】プロプレイヤーと国内リーグMC 『LoL』で結びついた女性2人が本音で語り合う

2022.8.31 龍田優貴
全世界でプレイヤー数1億人を誇るeスポーツタイトル『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)。6月24日から開幕した国内リーグ「LJL 2022 Summer Split」。競技シーンで活躍中の8チームが集い、北米で開催予定の世界大会Worlds 2022」の出場権をかけて熾烈な戦いを繰り広げる。

そんな熱戦が連続するLJLにおいて、“プロチームに所属するプレイヤー”と“大会進行を担うキャスター”の立場で活躍する2人の女性をご存じだろうか。

2013年に立ち上がったプロゲーミングチームRascal Jester」(RJ)の『LoL』部門に所属する大友美有(おおともみゆう)さんは、N高等学校の在学時に「全国高校生eスポーツ選手権」で2度の優勝を成し遂げた生粋の『LoL』プレイヤーだ。2022年現在はRJ・『LoL』部門のサブ選手として「LJL 2022 Academy League」に参戦しているほか、スターダストプロモーションに籍を置いてタレント活動にも注力している。

一方の清川麗奈(きよかわれいな)さんは、アイドルからLJLの公式MCを務めるに至ったという異色の経歴の持ち主だ。アイドルグループ「READY TO KISS」(レディキス)にて活動後、2021年9月6日のワンマンライブ出演を最後に同グループを卒業。以降はフリーランスの立場でタレント活動に従事しつつ、年間を通してLJLの司会進行および『LoL』の情報発信に努めている(関連記事:元アイドルの『LoL』プレイヤー、清川麗奈がいま考えていること)。

今回は『LoL』という共通点で結ばれたお二人に対談企画を打診。今考えていることを直接話し合ってもらいたいと考え、実際に集まってもらった。大友さんと清川さんの対談を元に、eスポーツ業界に身を置く両名の素直な意見をお届けする。


立場は違えど『LoL』国内シーンと向き合う2人の女性


清川麗奈(以下、清川):私は美有ちゃんが『LoL』を始めたきっかけ、覚えてますよ。「全日本eスポーツ実況王決定戦」でご一緒した際に「好きな人がやってたから」って答えてたのが印象的で、素敵だなって思いました。その人が美有ちゃんの活動を見てたらきっと驚くよね。

清川さんがMC、大友さんが審査員を務めた全日本eスポーツ実況王決定戦


大友美有(以下、大友):驚きますかね(笑)。『LoL』を教えてくれた人とは疎遠になっちゃったんです。でも当時から「いつかこの人と同じぐらいうまくなりたい」と思っていたし、色んなことを頑張るきっかけにもなりました。

清川:すごい! そういう経緯だったんだ。私の場合はコロナ禍が広がった時にお仕事(ライブ活動)ができなくなって。時間に余裕があるタイミングで高校の友達に誘われたのが『LoL』との出会いでした。Twitchでランクマッチ配信をやったり、友達と一緒にノーマルマッチを回したり……日常のストレスを発散するためにずっとプレイしてましたね。美有ちゃんも今度『LoL』の方でフレンド登録させてください!


大友:ぜひお願いします! 清川さんはLJLのMCだけでなく、普段から『LoL』の配信もたくさんしていますよね。今までそういった人は見なかったので、今日は『LoL』好きな人とたくさんお話しできる機会をいただけてすごくうれしいです。

清川:そう思ってもらえるとうれしい! 私は本当にエンジョイ勢という感じですが……なんか照れますね(笑)。

──お二人は普段どれぐらい交流されているんですか?

清川:ほぼゼロかもしれないけど、「若い子ってこんな感じなんだ!」って一方的に美有ちゃんのTwitterを見てますよ。最近は男装もしてたよね?

大友:見てくれてありがとうございます! 私は身長が元々高い方だったんですが、最近また伸びてきたんです。今164cmはおそらくあるので、もしこのまま伸びるんだったら、いっそ男装して格好よくなれるのかなって思います(笑)。最終的にはコスプレをしたいので、仲のいい友達と「一緒に男装から入ってみようか」って話したりしてます。


清川:確かに美形だし男装は絶対に似合うって思った! ちなみにコスプレしてみたい『LoL』のチャンピオン(キャラクター)はいますか?

大友:まだ決めてないんですけど、個人的に格好いいと思うのは「セト」と「ブラウム」ですね。男性の筋肉っていいじゃないですか。特にブラウムは胸筋が逞しくて、ADCでプレイしている時に隣がブラウムだと安心感がすごいです。全部込みでブラウムが好きですね(笑)。

ブラウム

清川:わかる! あの安心感は偉大だよね。でも美有ちゃんがブラウムのコスプレしたらどうなるんだろう(笑)。個人的には「ラックス」とかやって欲しいかも。「バトルアカデミア(※)」は学生モチーフの衣装だし似合うと思う! 実は私も昔コスプレとか結構ハマってて、最近はできていなかったから「スターガーディアン(※)」のコスプレとか興味あります。

大友:「バトルアカデミア(※)」も楽しそうですよね。『LoL』はたくさんゲーム内スキンがあるからコスプレのやり甲斐もありそうです!

バトルアカデミアラックス

※『LoL』に登場するキャラクターの外見変更アイテム(スキン)の種類。「バトルアカデミア」は学園風、「スターガーディアン」は魔法戦士風。


『LoL』国内リーグMC&プレイヤーの知られざる一日


清川:私はMCとしてLJLに関わっているけど、選手の皆さんが普段どのように生活しているのか気になります。もしよければ、スクリムの様子や一日の流れを聞いてもいいですか?

大友:スクリム相手は大体KR(韓国)サーバーのダイヤモンド1~マスター帯のプレイヤーが多いです。国内のサブチームとスクリムを組む場合もあります。試合をして、終了後のフィードバックも含めて約1時間ほどかかります。


清川:その流れで1日に何試合ぐらいあるの?

大友:夜と昼に3試合ずつ、1日2セットが最近は多いです。初めてスクリムに挑んだ時は「こんなに真剣にやるんだ。もう少し楽しんでもいいんじゃないの?」って思ってたんですけど、今はもう試合の流れだったり緊張感もわかってきました。

清川:しっかり試合からフィードバックまでがセットになってるんだ。じゃあ試合前のルーティーンとかありますか? 美有ちゃんの一日が知りたい(笑)。

大友:大体は試合の3時間~4時間前にはDiscordのサーバーに集合して、各自ランクを回したり身支度を整えたりしています。そこから1時間前になると話し合いに移りますね。バン&ピックや作戦の振り返り、自分の場合はフィードバック時のメモを読みやすいようにまとめ直すとか。Discordのチャットに書かれた情報も拾いつつ、チームメンバーが読めるようにテキストファイルに書き直すこともあります。試合直前はそのフィードバックやパターン化されたノウハウを見て「よし! やるぞ」と意気込んでいます。

清川:私も試合を拝見したんですけど、あのアカデミーリーグの試合の裏側には入念な準備があったんですね。

大友さんも出場している「LJL 2022 Achademy League Day5」

大友:逆に清川さんの一日もどんな感じなのか気になります!

清川:まず、休みの日は朝6時までゲームして、9時から昼12時まで寝ます。起きた後はお風呂に入って準備を済ませて14時ごろに出発、そこからずっとLJL(MC)です(笑)。大体24時ぐらいに帰宅するので、また朝までゲームをします。

──清川さんはLJLがある日も、夜中に『LoL』を配信されることがありますよね。

清川:やってましたね。最近キャスター陣だけのカスタム大会があったんですけど、周りの皆さんが毎日パーティーを組んで練習しているんですよ。私も危機を感じて負けないように配信してます。でもキャスター陣は皆さん本当に『LoL』が好きだから、心の底から楽しんでいると思います。あと私、あんまり寝ないんですよ。寝ても4時間とかで目覚めるから頑張って二度寝することもあります。


大友:そうなんですね。参考になるかわからないですけど、私は眠れない時にDiscordに入って友達に通話をかけます。「今日はここで寝るから!」ってチャットを送って(笑)。人がいる気分を味わうと安心できるし、自然と眠れるんですよ。

清川:確かに安心できるかも(笑)。寝落ち通話みたいな経験はないけど、私もDiscordに友達が入ってたらゲームプレイを配信してもらうことはありますね。

自ら出向いて『LoL』の伝道師になりたい


──2022年も半分が過ぎましたが、改めて上半期の活動を振り返ってみていかがでしたか?

大友:RJは1月から練習が始まるので、私もなるべく練習を優先していました。気がつけば誕生日(8月13日)も近いし、今年も変わらずに『LoL』に熱中しています。ただ練習漬けではなく、たまの息抜きに友達と遊びにも行きました。

清川:上半期か……。私は1月の記憶がなくて、2月から4月まで「LJL 2022 Spring Split」を頑張りました。その後は「LJL 2022 Summer Split」が始まるまで大阪や福岡に旅行しましたね。今までお仕事でしか行ったことがなかったけど、プライベートでしっかり楽しめました。

大友:旅行いいですね! 私もいろいろと落ち着いたら仲のいいメンバーで「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行こう」って計画しています。

清川:そういう友達って大事だよね。ふと誘った時に来てくれたり、これから一生の友達になるかもしれないね。

──今後お二人がチャレンジしたいことがあれば教えてください。

大友:最近は群馬県で開かれているeスポーツタイトルの体験会に講師として呼ばれることが多くて。私は初心者の方に教えるのが得意だと感じたので、少しでも『LoL』に興味のある人たちに「こういう世界もあるんだよ」って伝えたいです。



清川:『LoL』もそうだけど、eスポーツタイトルはプレイしてみてわかることが多いですよね。

大友:私自身、今まで人に影響されて色んなことを始めたんです。例えばバスケットボールもそうだし、ゲームにハマったのも好きな人がきっかけでした。実際に私の活動を見てN高に入った人もいるので、「自分もやってみようかな」と思ってもらえれば、その人だけでなく私の原動力にもなります。だからこそ、いろいろな場所に出向いて『LoL』やeスポーツの魅力を伝えるお仕事ができればと思います。


清川:本当に最前線で頑張ってるんだね。私も若い時に美有ちゃんみたいに活動していたら人生が変わってたと思うし、素敵な目標だと思う。ちなみにご家族で『LoL』だったり活動内容の話はしますか?

大友:たくさんします! お母さんは私が出る試合を見てくれるし、お父さんはLJLを全試合見ています。『LoL』を少しプレイしたこともあって、「めっちゃ楽しい!」って言ってました(笑)。

清川:ご家族みんなで美有ちゃんを応援しているんだ。理解のある後押しって温かいよね。

──清川さんの目標も気になります。

清川:私は“コント”をしてみたいです。アイドル活動をしていた頃から吉本さんとお仕事する機会がすごく多くて。お笑い芸人さんと一緒にコントする機会が何度もあったんです。LJLの会場だったヨシモト∞ホールの舞台に立ったこともあるんですよ。そこで変な役を毎回やらされるんですけど(笑)。でも人を笑わせるのが好きだし、アドリブで面白いことを言う大喜利も楽しかったから、もし機会があればチャレンジしたいです。


大友:どんなコントなのか見てみたいです(笑)。普段の優しいお姉さんみたいなイメージとギャップがありそうですね。

清川:本当ですか? LJLの人たちには「おかしい」ってよく言われますけど、美有ちゃんの私のイメージが優しいお姉さんで良かった(笑)。

──清川さんはTwitterで『LoL』のゲーム内ボイスを担当したいと投稿されているのが印象的でした。

清川:やっぱり思ったことはしっかり言葉に表すのが大事だと思います。自分への戒めにもなりますしね。


境遇や考えが似ているから本音で話し合えた


──少し抽象的な質問かもしれませんが、お二人が考える“2~3年後の理想像”も聞いてみたいです。

清川:美有ちゃんと少し近いかもしれないけど、私も「『LoL』ってこんなに楽しいんだよ」ってことを皆さんに伝えたいです。私自身も『LoL』のおかげでこういったお仕事をさせてもらっているし、プレイ技術に関わらず『LoL』は見るだけでも楽しめることを伝えられる存在になりたいですね。

大友:私は色んな壁にぶつかりながら目標や夢を探している段階ですが、先ほどお話した講師という役割の他にも、“自分が楽しいと思えること”に取り組みつつ、その姿を皆さんにお伝えできればと思います。

清川:美有ちゃんは今までにいろいろと経験しているはずだし、性格も穏やかだけど内側に強い芯があると思う。だから、いつか女神様みたいになれるんじゃないかな。

大友:ありがとうございます。一つやりたいことで言えば、同じライアットゲームズの『VALORANT』にも興味があります。やるならレディアント(最高ランク)を目指したいし、いつかタイミングが合えばやり込もうかなと考えています。



清川:何でもやってみることが大事だと思う! ちなみに『VALORANT』はどのエージェント(キャラクター)を使うの?

大友:「レイナ」「ネオン」「ジェット」をよく使います。『LoL』はエンチャンターばかり選びますけど、『VALORANT』やFPS作品だと前線に突っ込むキャラクターが好きですね。

清川:『LoL』でもガンガン前に出て戦うことがあったもんね(笑)。でも本当にストイックだし、何にでも興味を持てるのはすごいと思います。

──お二人の目標や意外な決意を聞くことができて良かったです。本日の対談はいかがでしたか?

清川:対談は苦手なんですけど、今日は心配する必要がないくらい楽しめました! 美有ちゃんのことをたくさん知ることができたし、裏表なくお話ししてくれる気持ちがいっぱい伝わってきました。本当にありがとうございます。

大友:この対談前に少し清川さんとお話しさせていただいたんですけど、いろいろと本音も聞くことができました。でもそういうことってある程度同じ境遇や趣味を持つ人じゃないと話せないので、今日は清川さんと対談できて素直に良かったと思います。

清川:そんなこと言ってくれるんですか! いつでも話を聞くので寝落ち通話してください(笑)。

大友:ぜひよろしくお願いします(笑)。


———

約1時間にわたって行われた対談は、お二人の笑顔が終始絶えない華やかな場となった。

本文にある通り、SNS上での関わりを除いて普段はほとんど交流のなかった二人。しかし、対談中はまるで実の姉妹のように仲睦まじく話し合い、こちら側で話題を出さずともスムーズに意見を交わす両名を見るうち、筆者も対談前の懸念点を忘れ、いつの間にか笑みを浮かべていた次第だ。

『LoL』という一本のゲームタイトルを介して結びついた大友さんと清川さん。二人がこの先どのような道を辿るのかは未知数であり、その進路は本人たちも完璧に想定することが難しいかもしれない。だとしても、己と真摯に向き合う姿勢や自分にできることを率先して周囲に伝えることができるなら、きっと将来の理想像も自ずと近づいてくることだろう。eスポーツ業界の最前線で生き抜く二人の今後に要注目だ。


なお、記事に使用しなかった取材時のオフショット写真をまとめた記事もぜひご覧いただきたい。
【大友美有×清川麗奈 スペシャル対談】 番外編 オフショット集



大友美有のTwitter:https://twitter.com/miyu00tomo
清川麗奈のTwitter:https://twitter.com/kiyokawa_reina

撮影:志田彩香(@shidax21

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