【試合直後インタビュー】1試合100ラウンド超え!熱戦に熱戦を重ねた「VCT GAME CHANGERS JAPAN」決勝戦!女性部門初の日本一に輝いたのはFENNEL!
日本初開催となる『VALORANT』の女性限定公式大会「VALORANT CHAMPIONS TOUR GAME CHANGERS JAPAN」が2022年7月30日(日)より開催。2022年8月7日(日)には決勝戦が開催され、FENNEL(以下、FL)とREIGNITE Lily(以下、RIG)が熱戦を繰り広げた。
1マップ目は13:11でRIGが勝利。2マップ目は13:10でFLが勝利と、相手のピックマップで勝利をもぎ取る流れが続き、3マップ目のフラクチャーでは13:9でFLが勝利。優勝への王手をかける。4マップ目のアイスボックスでは、7:1とFL優勢で試合が展開し、誰もがFLの勝利を予感してしまう瞬間ではあったが、RIGが意地の取り返しを見せ13:10で後を追いかける。
そして試合は最終マップのスプリットへ突入。FLが、終始自分たちの戦いを展開し続け13:6で勝利。見事女性部門初の日本一王者に輝いた。今回は歴史的な試合を戦い抜いた両チームのリーダーにインタビュー。初めての公式大会に出場した感想や、試合中の作戦などを試合直後におうかがいした。
なお、今回決勝まで勝ち上がった2チームは、10月に開催される「VALORANT GAME CHANGERS EAST ASIA」(東アジア予選)に出場が決定している。
まずは見事日本初の女性部門王者に輝いたFLのリーダー、Curumi選手のインタビューをお届けしよう。
——まずは初の女性王者部門日本一おめでとうございます! 今の気持ちをお聞かせください。
Curumi選手(以下、Curumi):ありがとうございます! 本当にうれしいです!
ただ自分たちが初代日本王者という称号を手に入れたことは夢みたいで、まだ実感が沸かないかな(笑)。
——本当に長い長い戦いお疲れさまでした。RIG戦では5マップ目までにおよぶ熱戦が繰り広げられましたが、全体を通して勝因はなんだと思いますか?
Curumi:ほかのチームに比べて練習時間があまり取れていなかったのですが、短い時間の中で「密度の濃い時間を過ごそうね」という活動方針で練習していたことが勝利につながったのではないかと感じています。
あとはコーチ陣からのサポートも勝因のひとつだと思っています。試合の合間のタイムアウトでも、私たちが気づけなかった部分もアドバイスをしてくれるのでありがたかったです。
——練習時間が取れていなかったというのは具体的にどれくらいのスケジュールだったのでしょうか?
Curumi:FLのVALORANT女子部門は3月くらいからあったのですが、実はメンバーに入れ替えがあって、今は当時と違うメンバーで構成されています。実質新しいメンバーで練習できたのは2、3カ月くらいでした。
——そんな短い練習期間でここまで連携が仕上がっていたのは、本当に密度の濃い時間が過ごされたんでしょうね!
Curumi:ありがとうございます!
——具体的にどのような準備をして大会に挑んだのでしょうか?
Curumi:基本的なことにはなるのですが、各マップのセットだったり、詰め待ちの形だったりを準備してきました。時間のない中、7マップ分覚えるのは大変でしたが、どうにか形にすることができて良かったです。
——ちなみに今回、全体を通してアセントをBANしていたのは何か理由があったのでしょうか?
Curumi:純粋に私たちのチームがアセントを得意としていないからです。アセントはどうしてもパワーで押せないマップで、5vs5の基本的なマップとも言われていることもあるのですが、私たちには合わないマップでもあったのでBANし続けていました。
ただ東アジア予選に向けて修正点を改善し、得意マップにできるようにがんばります!
——なるほど。ただ今回は出場チームの情報があまりない中の大会だったと思います。相手の情報がない中で、どのように作戦を練っていたのでしょうか?
Curumi:とりあえず男子のプロチームに勝てるようになったら女子チームにも勝てるだろうという気持ちがあったので、練習試合では自分たちより強い相手を選んで練習していました。
——Festival選手は確か韓国人選手でしたよね。言葉の壁はなかったのでしょうか?
Curumi:元々彼女も簡単な日本語は話せていたのですが、普段のコンペティティブモード(ランクマッチ)でも日本語を覚えるために彼女自身、日本語を練習をしてからFLに加入しました。私たちと一緒に活動することで「Aひとり」とか「Bひとり」とか、「戦う」、「引く」っていう感じの言葉を教えたかな。
そうしたら、ものすごいスピードで日本語を覚えてくれたので、今は自分の伝えたいことはしっかり伝えてくれるまでにはなっています。
——おおっ、めちゃめちゃ頼もしいですね。
Curumi:そうですね。本当に伝わりにくい内容があった場合は、翻訳サイトを通じて具体的に伝えてもらっています。ここまでコミュニケーションが取れるようになったのは、彼女の努力のたまものだと思っています。
——今回5マップフルで戦う超熱戦になったわけですが、体力的な疲れはどうでしたか?
Curumi:配信のインタビューでは「全然疲れてない」って言ってたんですけど、めっちゃ疲れました(笑)。
——あはは。ですよね(笑)。特に後半は疲れとの戦いにもなっていたと思いますが、その辺はどのように乗り越えましたか?
Curumi:4マップ目のアイスボックスをRIGに取られてしまった時は、メンバー全員が落ち込んでしまったんですが、コーチから「いつものお前らなら絶対いけるから!」って激励の言葉をいただいて、そのひとことでパワーが戻ってきました。最後の5マップ目はいつもの調子でプレイすることができました。
——特に5マップ目のスプリットでは9ラウンド目にタイムアウトを取ってからラッシュ主体とした攻めに変わったように感じました。あの辺はタイムアウトで話し合った結果なのでしょうか?
Curumi:そうですね。ラウンド中に相手のクセがわかってきて、寄ってくるタイミングもつかめるようになりました。話し合いをすることで「じゃあ、Aサイトにラッシュしよう」ってことになって、そこからラッシュがささるようになり、読み勝ちできたと思っています。
——読み勝ちといえば後半の14ラウンドもかみ合っていましたね。Aスタックがかみ合ってエコラウンドで取った1本は完璧にささってましたね。あそこからさらにFLが勢いづいたようにも感じましたが、心境の変化はありましたか?
Curumi:あ〜。大分変わりましたね。IGLをやっているLenちゃんが「Aスタックをしよう」って指示を出してくれて、ラウンドを取ったあとに本人が一番喜んでいました(笑)。
あのラウンドを取った後、一気にみんなの勢いが戻ってきましたね。
——その後、Aika選手のエースもありましたもんね!
Curumi:そうですね! 私もうれしくなっちゃいました。
——先ほどコーチから「いつものお前らなら絶対いけるから!」というアドバイスをもらったというお話をされていましたが、どのような部分にスクリムと大会での違いを感じましたか?
Curumi:大会になると味方同士のコミュニケーションがうまくいかなくて、コミュニケーションエラーで落としたラウンドが多かったですね。人間だから緊張するのは仕方ないことだとは思うんですけど、軌道修正するのがとても大変でした。
——具体的にどんなエラーだったのでしょうか?
Curumi:一番顕著なのが、攻めるサイトやリテイクに入るサイトなど、乱戦時の位置報告が全然違っている時があって、「ここいる!」って指示した場所と全然違う場所に敵がいたことが多かったですね。
——そういったエラーで負けが込んだりするとメンタル的にも堪えるものがあると思うんですが、そういった時に盛り上げ役となる選手はいますか?
Curumi:ぶっちゃけ全員が盛り上げ役みたいなところはありますね(笑)。お互いがそれぞれを励ましあって本当に騒がしいチームだなあと思ってます。
——めちゃめちゃいいチームですね!最後に、応援してくれているファンに向けて、そして東アジア予選に向けてひとことお願いします。
Curumi:いつも応援してくれているファンの皆様ありがとうございます。選手個人の配信の中でも「大会、めちゃめちゃ応援してます」とか「ちゃんと観るから勝ってきてね」とかコメントをいただけて、それがとても励みになっています。
またLenちゃんも言っていたんですがSNSでの励ましのコメントもすごく私たちの力になっていました。10月には東アジア予選という大きな舞台に立つのですが、変わらぬ声援をよろしくお願いします! がんばって勝って帰ってきます!
「VALORANT CHAMPIONS TOUR GAME CHANGERS」自体はほかの地域で去年から開催されていて、予選から見ていたのですが、本当に強いチームばかりで、正直すごくおびえています。1日1日を大切に練習して、勝ちを取るためにがんばりたいと思います!
——ありがとうございました!
続けて惜しくも優勝は逃してしまったが、長い長い試合を戦い抜いたRIGのリーダー、R4M選手のインタビューをお届け。
——100試合にもおよぶ長丁場おつかれさまでした。まずは試合を終えた率直な感想をお聞かせください。
R4M選手(以下、R4M):負けてしまって悔しいですが、FLには「おめでとう」という言葉を贈りたいですね。こうして一緒に戦えた選手として、私もうれしいです。
——今回、惜しくも負けてしまいましたが決勝に進出した時点で東アジア予選の出場は確定しました。東アジア予選に進出が決定した瞬間はどんな気持ちでしたか?
R4M:「東アジア予選に出られるんだ!」って気持ちでめっちゃうれしかったです。ある意味昨日の準決勝戦が、決勝戦みたいな気持ちでしたね。逆に、今日は全然緊張してなくて「おっ、行けるんじゃない?」って思って挑んだんですが、いざ試合が始まってみるとみんな緊張しちゃってガチガチになっちゃいました。やっぱり、緊張するもんですね(笑)。
——初の公式戦で多くの試合を勝ち抜いてきたかと思いますが、「VALORANT CHAMPIONS TOUR GAME CHANGERS JAPAN」を戦い抜いた感想をお聞かせください。
R4M:まず公式大会に出られたことがうれしかったですね。ZETA DIVISON戦では負けてしまいましたが、繰り上がりにより準決勝まで進むことができて、INSOMNIA戦でも接戦を戦い抜いて勝てたことはいい経験になりました。ただ「もうちょっとできたのにな」っていう悔しい気持ちもありますね。
——準決勝でのINSOMNIA戦を勝ち抜いた後、配信のインタビューで「今回良くなかった部分を反省してFL戦に生かしたい」と話されていましたが、具体的にどの辺を改善しましたか?
R4M:先日の準決勝戦では、戦略的に前に出るタイミングではないのに、突っ込んでしまった部分があったりしました。そういった部分をコーチからアドバイスをもらい、戦略面を見直しました。あとは「どこを見てる」という声かけを修正しました。
ただ1マップ目のバインドこそ改善した部分をうまく出せていたのですが、2マップ目からグダグダになってしまいました……。
——なるほど。グダグダになってしまった原因もあったかと思います。FLのどういった部分に苦しめられましたか?
R4M:私たちは不意を突かれるのが苦手で、リテイクの際に急に相手のアビリティが飛んできたり、予想している動きとは違うことをされたりした部分に苦しめられました。臨機応変に対応できない部分は、私たちの弱点でもあるので今後は修正をしていきたいと感じました。
——ただ4マップ目のアイスボックスの巻き返しは素晴らしかったと思います。1:7と追い詰められた場面から逆転勝利できた要因は何だったのでしょうか。
R4M:1マップ目のバインドは取れたものの、2マップ目、3マップ目とFLに取られてしまい、正直焦っていました。さらに私たちがいつもできていることができなかったこともあったのですが、どの道この試合で勝っても負けても次(東アジア予選)はあるので、「とりあえず楽しくやろう」という気持ちに切り替えたことで、必然的にチーム全体の雰囲気も良くなって勝ちにつながったのではないかと思っています。
——あの巻き返しは本当にすばらしかったです!しかし、全体的に試合を振りかえると、やはりもったいないというか惜しいラウンドが多かったようにも感じました。
R4M:そうですね。やっぱり練習とは違って大会になるとみんな緊張しちゃって、いつも言えてる報告ができなかったり、射線管理の情報共有も全然できなかったり……。そんな中、勝手にひとりで飛び出しちゃってやられてしまったこともありましたね。取れたラウンドも取れなかった状況が多かったです。
——あとひとつ印象に残ったラウンドがあります。5マップ目のスプリットでR4M選手がオーメンのアルティメットスキル「フロム・ザ・シャドウ」でアタッカーサイドまでワープし、落ちているスパイクを発見したラウンドがあったと思います。実際目の前にあるスパイクを発見した時、どんな心境になったのでしょうか。
R4M:「うわ、スパイクある(笑)」って感じでした(笑)。
——あはは(笑)。
R4M:スパイクを発見した時「タレットの音が聞こえるから、近くにAika選手がいるのはわかる。いつもだったらBメインを見ているはずだから、裏を突くことができるなあ」と思っていたんですが、前に出ようかもう少し耐えようかものすごく迷っちゃって……。結局しばらくして前に出たんですが、敵が見えた瞬間に震えてしまってエイムがぶれて2キルできずにやられてしまいました。
——ああいう場面ていつも以上に緊張しちゃいますもんね。ちなみに、スクリム(練習試合)も多くしているかと思いますが、実際に大会になると雰囲気とか違うものですか?
R4M:私は特に緊張するタイプなので全然違う雰囲気でしたね。試合中に思考が固まってしまったり、手が震えてしまったりして思い通りの動きができなかったことがありました。「いつも通りやろう」って声かけをしてもチーム全体が緊張してしまっていた部分もあったので、そういった部分が改善できるようになれば、もっといい戦いができるんじゃないかなあと思っています。
——今回公式大会に出場するにあたり、女性VALORANTチーム「Lily Merry」として活躍していたメンバーがREIGNITEに加入して、「REIGNITE Lily」として再始動したわけですが、チーム全体に大きな変化はありましたか?
R4M:ちゃんとプロとしてやっていくということもあり『VALORANT』に対する意識が変わりましたね。あとはスタッフの方が本当に優しく、「ブートキャンプをしたい」という私たちの希望を実現していただいたことで、得られたことも多くなりました。そういった意味で、スタッフの皆さんには感謝でしかありませんね。
——ゲーム内での変化はありましたか?
R4M:REIGNITEに入ってから、メンバーのエージェント構成もがらりと変わりました。コーチのnagiさんが持ってきてくれた作戦に対応するために、例えば今までスモーク役をやっていなかったSayaがオーメンを使ったり、ほかのプロチームの構成を参考にしてエージェントピックを変えたりしました。
——Lily Merry時代から2年間同じ仲間で戦い抜いてきたメンバーですもんね。チームの雰囲気はどうですか?
R4M:うちのメンバーは本当に全員仲がいいですね。もちろんスクリムやっている時に悪い雰囲気になっちゃうこともありますが、最終的には意見を言い合って仲直りする感じです。ある意味何でも話せる家族みたいな感じかな。
——最後に、応援してくれているファンに向けて、そして東アジア予選に向けてひとことお願いします。
R4M:いつも応援いただきありがとうございます。日本一は取れませんでしたが、ここまで来られたのもファンの皆さんのおかげです。2年前からずっと応援してくれている人もいるので感謝でしかありません。これからも「REIGNITE Lily」としてがんばっていくので応援よろしくお願いします!
大会では緊張しちゃう部分があるので、気持ちを落ち着かせて戦えるようにメンタル面も修正して東アジア予選に挑みたいと思います!
——ありがとうございました!
———
初のBo5でフルマップ試合を行い、100試合以上のラウンドを戦い抜いたFLとRIG。今シーズン初の女性部門王者はFLに輝いたが、この先世界一へ向けて、両チームは東アジア予選へと進出する。スピード感のある戦いが得意なFLに、時間をじっくりかけてじわじわと攻め寄るRIG。まったく異なる戦術が世界でどのような結果を見せてくれるのか、引き続き彼女たちの活躍を見届けていきたい。
こうして日本初開催となる「VALORANT CHAMPIONS TOUR GAME CHANGERS JAPAN」もぶじに閉幕。実況キャスターには、女性キャスターの谷藤博美さんが起用されるなど、大会だけでなく演出面でも新たな試みに挑戦している。谷藤博美さんは、初めての実況にもかかわらず的確で冷静な実況をされていて、解説の岸大河さんとの連携もバッチリ。
試合を重ねるごとにおふたりの息が合っていくのを見るのも楽しいので、まだ試合を見ていない人はぜひアーカイブでチェックしてみてほしい。
なお東アジア予選は2022年10月12日(水)〜16日(日)から開催される。VCTと併せて世界で戦う日本チームを応援していこう。
■FENNELメンバーTwitter
Curumi:
https://twitter.com/milk_crm
KOHAL:
https://twitter.com/khl3na
Aika:
https://twitter.com/tttttowan
Festival:
https://twitter.com/festivalvlrt
Len:
https://twitter.com/__len77
■REIGNITE LilyメンバーTwitter
R4M:
https://twitter.com/cs_R4M94
Saya:
https://twitter.com/_sayamuu
Kiera:
https://twitter.com/K3_uwu
Zodiac:
https://twitter.com/L3_QwQ
Mincho:
https://twitter.com/M3_XwX
配信アーカイブ
Twitch:
https://twitch.tv/valorant_jpn
YouTube:
https://youtube.com/c/VALORANTjp
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1マップ目は13:11でRIGが勝利。2マップ目は13:10でFLが勝利と、相手のピックマップで勝利をもぎ取る流れが続き、3マップ目のフラクチャーでは13:9でFLが勝利。優勝への王手をかける。4マップ目のアイスボックスでは、7:1とFL優勢で試合が展開し、誰もがFLの勝利を予感してしまう瞬間ではあったが、RIGが意地の取り返しを見せ13:10で後を追いかける。
そして試合は最終マップのスプリットへ突入。FLが、終始自分たちの戦いを展開し続け13:6で勝利。見事女性部門初の日本一王者に輝いた。今回は歴史的な試合を戦い抜いた両チームのリーダーにインタビュー。初めての公式大会に出場した感想や、試合中の作戦などを試合直後におうかがいした。
なお、今回決勝まで勝ち上がった2チームは、10月に開催される「VALORANT GAME CHANGERS EAST ASIA」(東アジア予選)に出場が決定している。
密度の濃い練習が勝利へとつながった——FL Curumi選手インタビュー
まずは見事日本初の女性部門王者に輝いたFLのリーダー、Curumi選手のインタビューをお届けしよう。
——まずは初の女性王者部門日本一おめでとうございます! 今の気持ちをお聞かせください。
Curumi選手(以下、Curumi):ありがとうございます! 本当にうれしいです!
ただ自分たちが初代日本王者という称号を手に入れたことは夢みたいで、まだ実感が沸かないかな(笑)。
——本当に長い長い戦いお疲れさまでした。RIG戦では5マップ目までにおよぶ熱戦が繰り広げられましたが、全体を通して勝因はなんだと思いますか?
Curumi:ほかのチームに比べて練習時間があまり取れていなかったのですが、短い時間の中で「密度の濃い時間を過ごそうね」という活動方針で練習していたことが勝利につながったのではないかと感じています。
あとはコーチ陣からのサポートも勝因のひとつだと思っています。試合の合間のタイムアウトでも、私たちが気づけなかった部分もアドバイスをしてくれるのでありがたかったです。
——練習時間が取れていなかったというのは具体的にどれくらいのスケジュールだったのでしょうか?
Curumi:FLのVALORANT女子部門は3月くらいからあったのですが、実はメンバーに入れ替えがあって、今は当時と違うメンバーで構成されています。実質新しいメンバーで練習できたのは2、3カ月くらいでした。
——そんな短い練習期間でここまで連携が仕上がっていたのは、本当に密度の濃い時間が過ごされたんでしょうね!
Curumi:ありがとうございます!
——具体的にどのような準備をして大会に挑んだのでしょうか?
Curumi:基本的なことにはなるのですが、各マップのセットだったり、詰め待ちの形だったりを準備してきました。時間のない中、7マップ分覚えるのは大変でしたが、どうにか形にすることができて良かったです。
——ちなみに今回、全体を通してアセントをBANしていたのは何か理由があったのでしょうか?
Curumi:純粋に私たちのチームがアセントを得意としていないからです。アセントはどうしてもパワーで押せないマップで、5vs5の基本的なマップとも言われていることもあるのですが、私たちには合わないマップでもあったのでBANし続けていました。
ただ東アジア予選に向けて修正点を改善し、得意マップにできるようにがんばります!
——なるほど。ただ今回は出場チームの情報があまりない中の大会だったと思います。相手の情報がない中で、どのように作戦を練っていたのでしょうか?
Curumi:とりあえず男子のプロチームに勝てるようになったら女子チームにも勝てるだろうという気持ちがあったので、練習試合では自分たちより強い相手を選んで練習していました。
言葉の壁もなんのその。長丁場でも声を掛け合い仲間を支え合う絆
——Festival選手は確か韓国人選手でしたよね。言葉の壁はなかったのでしょうか?
Curumi:元々彼女も簡単な日本語は話せていたのですが、普段のコンペティティブモード(ランクマッチ)でも日本語を覚えるために彼女自身、日本語を練習をしてからFLに加入しました。私たちと一緒に活動することで「Aひとり」とか「Bひとり」とか、「戦う」、「引く」っていう感じの言葉を教えたかな。
そうしたら、ものすごいスピードで日本語を覚えてくれたので、今は自分の伝えたいことはしっかり伝えてくれるまでにはなっています。
——おおっ、めちゃめちゃ頼もしいですね。
Curumi:そうですね。本当に伝わりにくい内容があった場合は、翻訳サイトを通じて具体的に伝えてもらっています。ここまでコミュニケーションが取れるようになったのは、彼女の努力のたまものだと思っています。
——今回5マップフルで戦う超熱戦になったわけですが、体力的な疲れはどうでしたか?
Curumi:配信のインタビューでは「全然疲れてない」って言ってたんですけど、めっちゃ疲れました(笑)。
——あはは。ですよね(笑)。特に後半は疲れとの戦いにもなっていたと思いますが、その辺はどのように乗り越えましたか?
Curumi:4マップ目のアイスボックスをRIGに取られてしまった時は、メンバー全員が落ち込んでしまったんですが、コーチから「いつものお前らなら絶対いけるから!」って激励の言葉をいただいて、そのひとことでパワーが戻ってきました。最後の5マップ目はいつもの調子でプレイすることができました。
——特に5マップ目のスプリットでは9ラウンド目にタイムアウトを取ってからラッシュ主体とした攻めに変わったように感じました。あの辺はタイムアウトで話し合った結果なのでしょうか?
Curumi:そうですね。ラウンド中に相手のクセがわかってきて、寄ってくるタイミングもつかめるようになりました。話し合いをすることで「じゃあ、Aサイトにラッシュしよう」ってことになって、そこからラッシュがささるようになり、読み勝ちできたと思っています。
——読み勝ちといえば後半の14ラウンドもかみ合っていましたね。Aスタックがかみ合ってエコラウンドで取った1本は完璧にささってましたね。あそこからさらにFLが勢いづいたようにも感じましたが、心境の変化はありましたか?
Curumi:あ〜。大分変わりましたね。IGLをやっているLenちゃんが「Aスタックをしよう」って指示を出してくれて、ラウンドを取ったあとに本人が一番喜んでいました(笑)。
あのラウンドを取った後、一気にみんなの勢いが戻ってきましたね。
——その後、Aika選手のエースもありましたもんね!
Curumi:そうですね! 私もうれしくなっちゃいました。
——先ほどコーチから「いつものお前らなら絶対いけるから!」というアドバイスをもらったというお話をされていましたが、どのような部分にスクリムと大会での違いを感じましたか?
Curumi:大会になると味方同士のコミュニケーションがうまくいかなくて、コミュニケーションエラーで落としたラウンドが多かったですね。人間だから緊張するのは仕方ないことだとは思うんですけど、軌道修正するのがとても大変でした。
——具体的にどんなエラーだったのでしょうか?
Curumi:一番顕著なのが、攻めるサイトやリテイクに入るサイトなど、乱戦時の位置報告が全然違っている時があって、「ここいる!」って指示した場所と全然違う場所に敵がいたことが多かったですね。
——そういったエラーで負けが込んだりするとメンタル的にも堪えるものがあると思うんですが、そういった時に盛り上げ役となる選手はいますか?
Curumi:ぶっちゃけ全員が盛り上げ役みたいなところはありますね(笑)。お互いがそれぞれを励ましあって本当に騒がしいチームだなあと思ってます。
——めちゃめちゃいいチームですね!最後に、応援してくれているファンに向けて、そして東アジア予選に向けてひとことお願いします。
Curumi:いつも応援してくれているファンの皆様ありがとうございます。選手個人の配信の中でも「大会、めちゃめちゃ応援してます」とか「ちゃんと観るから勝ってきてね」とかコメントをいただけて、それがとても励みになっています。
またLenちゃんも言っていたんですがSNSでの励ましのコメントもすごく私たちの力になっていました。10月には東アジア予選という大きな舞台に立つのですが、変わらぬ声援をよろしくお願いします! がんばって勝って帰ってきます!
「VALORANT CHAMPIONS TOUR GAME CHANGERS」自体はほかの地域で去年から開催されていて、予選から見ていたのですが、本当に強いチームばかりで、正直すごくおびえています。1日1日を大切に練習して、勝ちを取るためにがんばりたいと思います!
——ありがとうございました!
公式大会という緊張の波に呑まれてしまった——RIG R4M選手インタビュー
続けて惜しくも優勝は逃してしまったが、長い長い試合を戦い抜いたRIGのリーダー、R4M選手のインタビューをお届け。
——100試合にもおよぶ長丁場おつかれさまでした。まずは試合を終えた率直な感想をお聞かせください。
R4M選手(以下、R4M):負けてしまって悔しいですが、FLには「おめでとう」という言葉を贈りたいですね。こうして一緒に戦えた選手として、私もうれしいです。
——今回、惜しくも負けてしまいましたが決勝に進出した時点で東アジア予選の出場は確定しました。東アジア予選に進出が決定した瞬間はどんな気持ちでしたか?
R4M:「東アジア予選に出られるんだ!」って気持ちでめっちゃうれしかったです。ある意味昨日の準決勝戦が、決勝戦みたいな気持ちでしたね。逆に、今日は全然緊張してなくて「おっ、行けるんじゃない?」って思って挑んだんですが、いざ試合が始まってみるとみんな緊張しちゃってガチガチになっちゃいました。やっぱり、緊張するもんですね(笑)。
——初の公式戦で多くの試合を勝ち抜いてきたかと思いますが、「VALORANT CHAMPIONS TOUR GAME CHANGERS JAPAN」を戦い抜いた感想をお聞かせください。
R4M:まず公式大会に出られたことがうれしかったですね。ZETA DIVISON戦では負けてしまいましたが、繰り上がりにより準決勝まで進むことができて、INSOMNIA戦でも接戦を戦い抜いて勝てたことはいい経験になりました。ただ「もうちょっとできたのにな」っていう悔しい気持ちもありますね。
——準決勝でのINSOMNIA戦を勝ち抜いた後、配信のインタビューで「今回良くなかった部分を反省してFL戦に生かしたい」と話されていましたが、具体的にどの辺を改善しましたか?
R4M:先日の準決勝戦では、戦略的に前に出るタイミングではないのに、突っ込んでしまった部分があったりしました。そういった部分をコーチからアドバイスをもらい、戦略面を見直しました。あとは「どこを見てる」という声かけを修正しました。
ただ1マップ目のバインドこそ改善した部分をうまく出せていたのですが、2マップ目からグダグダになってしまいました……。
——なるほど。グダグダになってしまった原因もあったかと思います。FLのどういった部分に苦しめられましたか?
R4M:私たちは不意を突かれるのが苦手で、リテイクの際に急に相手のアビリティが飛んできたり、予想している動きとは違うことをされたりした部分に苦しめられました。臨機応変に対応できない部分は、私たちの弱点でもあるので今後は修正をしていきたいと感じました。
——ただ4マップ目のアイスボックスの巻き返しは素晴らしかったと思います。1:7と追い詰められた場面から逆転勝利できた要因は何だったのでしょうか。
R4M:1マップ目のバインドは取れたものの、2マップ目、3マップ目とFLに取られてしまい、正直焦っていました。さらに私たちがいつもできていることができなかったこともあったのですが、どの道この試合で勝っても負けても次(東アジア予選)はあるので、「とりあえず楽しくやろう」という気持ちに切り替えたことで、必然的にチーム全体の雰囲気も良くなって勝ちにつながったのではないかと思っています。
——あの巻き返しは本当にすばらしかったです!しかし、全体的に試合を振りかえると、やはりもったいないというか惜しいラウンドが多かったようにも感じました。
R4M:そうですね。やっぱり練習とは違って大会になるとみんな緊張しちゃって、いつも言えてる報告ができなかったり、射線管理の情報共有も全然できなかったり……。そんな中、勝手にひとりで飛び出しちゃってやられてしまったこともありましたね。取れたラウンドも取れなかった状況が多かったです。
——あとひとつ印象に残ったラウンドがあります。5マップ目のスプリットでR4M選手がオーメンのアルティメットスキル「フロム・ザ・シャドウ」でアタッカーサイドまでワープし、落ちているスパイクを発見したラウンドがあったと思います。実際目の前にあるスパイクを発見した時、どんな心境になったのでしょうか。
R4M:「うわ、スパイクある(笑)」って感じでした(笑)。
——あはは(笑)。
R4M:スパイクを発見した時「タレットの音が聞こえるから、近くにAika選手がいるのはわかる。いつもだったらBメインを見ているはずだから、裏を突くことができるなあ」と思っていたんですが、前に出ようかもう少し耐えようかものすごく迷っちゃって……。結局しばらくして前に出たんですが、敵が見えた瞬間に震えてしまってエイムがぶれて2キルできずにやられてしまいました。
——ああいう場面ていつも以上に緊張しちゃいますもんね。ちなみに、スクリム(練習試合)も多くしているかと思いますが、実際に大会になると雰囲気とか違うものですか?
R4M:私は特に緊張するタイプなので全然違う雰囲気でしたね。試合中に思考が固まってしまったり、手が震えてしまったりして思い通りの動きができなかったことがありました。「いつも通りやろう」って声かけをしてもチーム全体が緊張してしまっていた部分もあったので、そういった部分が改善できるようになれば、もっといい戦いができるんじゃないかなあと思っています。
REIGNITEに加入して構成をがらりと変えた新生「Lily」
——今回公式大会に出場するにあたり、女性VALORANTチーム「Lily Merry」として活躍していたメンバーがREIGNITEに加入して、「REIGNITE Lily」として再始動したわけですが、チーム全体に大きな変化はありましたか?
R4M:ちゃんとプロとしてやっていくということもあり『VALORANT』に対する意識が変わりましたね。あとはスタッフの方が本当に優しく、「ブートキャンプをしたい」という私たちの希望を実現していただいたことで、得られたことも多くなりました。そういった意味で、スタッフの皆さんには感謝でしかありませんね。
——ゲーム内での変化はありましたか?
R4M:REIGNITEに入ってから、メンバーのエージェント構成もがらりと変わりました。コーチのnagiさんが持ってきてくれた作戦に対応するために、例えば今までスモーク役をやっていなかったSayaがオーメンを使ったり、ほかのプロチームの構成を参考にしてエージェントピックを変えたりしました。
——Lily Merry時代から2年間同じ仲間で戦い抜いてきたメンバーですもんね。チームの雰囲気はどうですか?
R4M:うちのメンバーは本当に全員仲がいいですね。もちろんスクリムやっている時に悪い雰囲気になっちゃうこともありますが、最終的には意見を言い合って仲直りする感じです。ある意味何でも話せる家族みたいな感じかな。
——最後に、応援してくれているファンに向けて、そして東アジア予選に向けてひとことお願いします。
R4M:いつも応援いただきありがとうございます。日本一は取れませんでしたが、ここまで来られたのもファンの皆さんのおかげです。2年前からずっと応援してくれている人もいるので感謝でしかありません。これからも「REIGNITE Lily」としてがんばっていくので応援よろしくお願いします!
大会では緊張しちゃう部分があるので、気持ちを落ち着かせて戦えるようにメンタル面も修正して東アジア予選に挑みたいと思います!
——ありがとうございました!
———
初のBo5でフルマップ試合を行い、100試合以上のラウンドを戦い抜いたFLとRIG。今シーズン初の女性部門王者はFLに輝いたが、この先世界一へ向けて、両チームは東アジア予選へと進出する。スピード感のある戦いが得意なFLに、時間をじっくりかけてじわじわと攻め寄るRIG。まったく異なる戦術が世界でどのような結果を見せてくれるのか、引き続き彼女たちの活躍を見届けていきたい。
こうして日本初開催となる「VALORANT CHAMPIONS TOUR GAME CHANGERS JAPAN」もぶじに閉幕。実況キャスターには、女性キャスターの谷藤博美さんが起用されるなど、大会だけでなく演出面でも新たな試みに挑戦している。谷藤博美さんは、初めての実況にもかかわらず的確で冷静な実況をされていて、解説の岸大河さんとの連携もバッチリ。
はじめまして、谷藤博美です。
— 谷藤博美 (@Romitnfj) August 5, 2022
この度、大好きなVALORANT の実況キャスターをさせて頂く事になりました。
初の実況挑戦にとてもとても緊張しています。
VALORANT GCを盛り上げていけるよう頑張って参りますので、これからどうぞよろしくお願い致します。#VCTGameChangers #VCT #VCTJP pic.twitter.com/ky3EwaJLGI
試合を重ねるごとにおふたりの息が合っていくのを見るのも楽しいので、まだ試合を見ていない人はぜひアーカイブでチェックしてみてほしい。
2022 #VALORANT Champions Tour
— VALORANT Champions Tour JAPAN (@valesports_jp) August 5, 2022
Game Changers Japan
キャスターをご紹介!
実況:谷藤博美(@Romitnfj )
解説:岸大河 (@StanSmith_jp )
<谷藤博美さんについて>
元放送局のアナウンサー
FPS初心者ながらアカウントレベル250越え
VALORANT愛が強い谷藤さんと一緒に配信を盛り上げてまいります😊 pic.twitter.com/D369EaYFY9
なお東アジア予選は2022年10月12日(水)〜16日(日)から開催される。VCTと併せて世界で戦う日本チームを応援していこう。
■FENNELメンバーTwitter
Curumi:
https://twitter.com/milk_crm
KOHAL:
https://twitter.com/khl3na
Aika:
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Festival:
https://twitter.com/festivalvlrt
Len:
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■REIGNITE LilyメンバーTwitter
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Saya:
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Kiera:
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Zodiac:
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Mincho:
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配信アーカイブ
Twitch:
https://twitch.tv/valorant_jpn
YouTube:
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【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。
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