なぜコミュニケーションエラーは起こるのか——世界と戦って感じた可能性『VALORANT』Crazy Raccoon ade選手インタビュー

2021.9.17 井ノ川結希(いのかわゆう)
ライアットゲームズが主催する『VALORANT』の国際大会「VALORANT Champions Tour」が開催中。

2021年2月から地域大会である「Challengers」、国際大会である「Masters」が開催され、年間を通した戦いに勝ち残った真の猛者のみが、年末に行われる「Champions」進出できるという『VALORANT』世界一を決める大会だ。


2021年9月10日(金)から9月20日(月)の10日間、ドイツのベルリンではStage3のMastersが開催中。日本からは、ZETA DIVISION(ZETA)とCrazy Raccoon(CR)が出場した。世界の強さに圧倒される中、Day5のHaven Liberty戦で、CRが渾身の1勝を上げ、日本中がCR一色となったのは記憶に新しい。

そして迎えたDay7。Day2の雪辱を果たすべくGambit Esports(GMB)にリベンジ。惜しくも勝利は逃してしまったもの、Day2とは見違える動きを見せ、OT(オーバータイム)まで持ち込むアツい戦いを繰り広げたCR。そんなアツい試合を終えた、ade選手に特別インタビューを実施。国際大会を終えた感想や、今後の目標について語っていただいた。

ade(あで)選手

CRらしさを取り戻したリベンジ戦


——まずは、GMB戦おつかれさまでした! 本当に惜しかったです。見ている私も緊張しちゃうくらい白熱していました。

ade選手(以下、ade):いやぁ、本当に悔しかったです。僕も緊張して手がプルップルですよ(笑)。悔しい!

——めちゃめちゃ接戦でしたもんね。配信もとても盛り上がっていました。今回はDay2のリベンジという形のGMB戦でしたが、リベンジにあたりどのような作戦を考えていましたか?

ade:Day2では、緊張もあって自分たちの持ち味を出すことができなかったので、まずは自分たちの良さや強みを出していこうということを第一に考えて挑みました。その中で、GMBの研究をチーム全体で行い、相手の弱点を自分たちの強みで押すという作戦をとりました。

例えばフィジカル面だったり、相手の対応力ですね。

——確かに、1マップ目のアセントでいきなり6連勝したのを見たとき、緊張よりもCRらしい勢いを感じました!

neth(ねす)選手

ade:あはは。イケイケでやってましたからね(笑)。GMBは割とミッドを主体に攻めてくるチームだというのが研究でわかっていたので、ミッドにプレッシャーを与えつつ時間を稼いで守りました。

残り40秒から30秒辺りで相手の位置がわかってしまえば、近い方のサイトを攻めてくる傾向にあるため、そっちに守りを固めて迎え撃つという作戦で戦っていました。

——ただ、GMBはタイムアウト後に勢いに乗ってきて、そこから押されてしまった印象を受けました。また、100Tですら1本も取れなかった、まるで要塞のような堅いディンフェンスはやはり強かったですか?

ade:そうですね。相手も僕たちがあまりフェイクをしていなかったことに気づいて、その辺をうまく修正した立ち回りをしてきたと思いました。

一度アクションを起こしたあと、時間をかけて反対側のサイトに向かったと思わせて、再び同じサイトを攻めにいくという作戦も引っかからず、ずっと同じ場所を守っていたり——。攻めに行くときに、相手の人数が常に多いといった強さを感じました。

Munchkin(まんちきん)選手

——なるほど。あと、とても興味深かったのが2マップ目のピックです。Day2で13:1という大差で負けてしまったアイスボックスを再び選んだ理由はなんだったのでしょうか?

ade:マップピックに関しては、Twinkl(トゥインクル)コーチに一任していて、コーチの判断でピックしました。

特にDay2のアイスボックスでは、GMBがディフェンス側の時のプッシュに対応できずに負けてしまった部分もあり、そこを対応すれば自分たちのペースに持って行けるとは感じてましたしね。

国内でもアイスボックスの勝率は高く、自信はあったので、相手のやりたいことを一度止めて、自分たちのやりたいことがやれれば、全然勝機はあると感じていました。

——Day2の敗北は引きずっていなかった?

ade:そうですね。まったく引きずっていませんでした。みんな気持ちを切り替えて「今日が1試合目」みたいな感じで挑んでいました。

——確かに、前回とは比べものにならないほど相手にプレッシャーを与えてましたもんね。OTの末、惜しくも負けてしまったのですが、相手のどんなところに苦戦を強いられましたか?

ade:そうですね。個々の判断能力の早さですね。どのタイミングで戦って、どのタイミングで引くのかといった、こちらのミスを誘う動きがとてもうまかったです。僕自身の感想になってしまうのですが、やはりそういった判断能力やフィジカル面が少し足りていなかったのかなという印象でした。

——nAts選手のラークがかなりいやらしかったですよね。

ade:いやー、ほんと……。こういっちゃいけないんですけど、マジでうっとうしかったです(笑)。ほんとマジで(笑)。

——ですよね。私たちはいわゆる神視点で見ているので、選手全体がどこにいるのか把握しながら見ていたのですが、「うわ、そんなところにいるのかよっ」とずっと思ってました。しかも、なかなか顔を出さないし(笑)。

ade:そうなんですよー。一番いられたら嫌な場所に毎回いられて……。エージェントの構成と、アイスボックスというマップの特性上、どこかに死角となる穴ができてしまうんですよ。そういうところにチョロチョロといられて……。しかもこっちがドローンを使ったタイミングでヒョコッと顔出したりしてきて(笑)。

Bazzi(ばっじ)選手

——あはは。見てる方も胃がキリキリしました(笑)。でも、ade選手のクラッチはめちゃめちゃアツかったですね!

ade:ありがとうございます。僕も少人数戦には自信があったので、そういってもらえるとうれしいです。

▲アイスボックス6ラウンド目のクラッチ。背後から迫り来るRedgar選手を感じ取り、振り向いてキル! キャスター陣も配信も大いにわいた

コミュニケーションエラーの改善が勝利への第一歩


——先ほどキャスター陣の方々がMedusa(めどぅーさ)選手にインタビューをされていたときに、コミュニケーションエラーがなければ全然勝てる試合だったと語っていました。やはり、日本人選手と韓国人選手における言葉の壁というのは大きいのでしょうか?

Medusa(めどぅーさ)選手

ade:そうですね。やっぱり、大雑把なコミュニケーションはとれるのですが、細部になるとコミュニケーションのミスが出てしまいますね。「あれ? ここ誰も見てないの?」とか「このスキルどういう意味なの?」とか……。

そういったミスが続いてラウンドを落としてしまうことで流れが悪くなってしまうということも少なくないので、コミュニケーションエラーさえ解決できれば、GMBにも勝てると信じています。

——今後はコミュニケーションエラーの改善が課題ですね。

ade:はい。あとは、個人技の判断能力を高めていけば、EUでも全然通用できると感じたので、もっともっと練習していきたいと思います。

——おおっ、それは心強いですね! 話は変わりますが、ade選手やFisker選手は海外大会がはじめてだったそうですが、初めての国際大会いかがでしたか?

Fisker(ふぃすかー)選手

ade:めちゃめちゃ楽しかったです。大会の試合だけじゃなくて、スクリムで色んなチームと戦えて、色んな戦術を体験することができたのがうれしかったです。

いち早く、この舞台に戻ってきていっぱい戦いたいです。今から「Champions」が楽しみです!

——最後に「Champions」に向けての意気込みと、ファンの皆さんにひとことお願いします!

ade:
今回は惜しいところまで負けてしまいましたが、まだまだ僕たちは終わっていないので、「Champions」に向けてもっともっと練習していきたいと思っています。

これからも応援よろしくお願いします!

——ありがとうございました!


———

Day2で惨敗を経験したCR。あの試合を見たとき、「CRどうした……」という気持ちになった方もいるのではないでしょうか。そんな不安な気持ちを吹きとばすかのようにHavan Libertyで快挙を見せ、続くGambit Esports戦でも強さを見せつけてくれました。

世界強豪といえるEMEAのチームに、ここまで戦えたのは大きな前進になったのではと感じました。なにより、大きな勇気を感動を与えてくれたCR、そして大接戦を戦い抜いたあと、気さくにインタビューに応じてくれたade選手には感謝のひとことに尽きます。

次回はいよいよ世界一が決まるChampions。次はどんな戦いを見せてくれるのか、今から楽しみです!

VCT Stage 3 - MASTERS BERLIN Day 7


ade選手 Twitter:
https://twitter.com/ade3_

valorant_jpn:
twitch.tv/valorant_jpn

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