【オーバーウォッチ 2】日本だけでも参加人数は400人以上!?——今激アツの新リーグ「OWCS」のフォーマット+注目チーム徹底解説

2024.2.25 gappo3
オーバーウォッチ 2』の競技シーンとして一世を風靡したOverwatch League(OWL)は、2023年に終わりを迎えました。そして2024年からは新たな形で競技シーンを再構築することをBlizzardは宣言しており、「オーバーウォッチ チャンピオンズ・シリーズ(OWCS)」がその口火を切ることになりました。

大会進行が多少複雑なので、本記事ではOWCSアジアについてわかりやすくおさらいしていきたいと思います。

OWCSは誰もが参加できるオープン大会!


2023年に幕を閉じたOWLはフランチャイズ制を導入していました。これは野球のように特定の都市を本拠地にして大企業がチームオーナーとなるシステムであり、プロプレーヤーに対して一定の年俸を提供しやすい・リーグを安定運営しやすいという特徴があります。

しかし高い参入障壁、アマチュア・セミプロシーンの縮小、配信サイトの移行、新型コロナウィルスの世界的流行などの影響により徐々にOWLの勢いは萎んでいき、2023年にリーグ終了の憂き目にあいました。

対して2024年2月から始まったOWCSはオープン大会を中心に設計されているので、アマチュアからプロプレーヤーまで幅広く競技シーンに参戦することができます。

OWLとは違ってリーグ制ではないので、年俸などはありませんが、地域や国を代表するようなプロチームは以前よりもはるかに参入しやすいですし、配信サイト(ミラー配信含む)も比較的自由なので、視聴者層に対するメディア露出も豊富で配信活動と両立しやすいというメリットがあります。

またOWCSは基本的に各地域の選手でチームを組むことが義務付けられており、チーム毎に2枠だけ国外の選手を起用できるという「クォーター制」を採用しています。

OWCS ASIA概要


まずOWCS ASIAには韓国、日本、パシフィックの3地域が存在しています。日本の場合はTier4のOWCS JAPAN OPEN(オープン大会)・Tier3のOWCS JAPAN(地域大会)が用意されており、この大会を勝ち抜くと3地域が合流するTier2のOWCS ASIA(アジア大会)に出場することができます。ここまでがOWCS ASIAの管轄です。

▲OW公式より引用。左から順にTier4から始まり最終的にはTier1の大会まで進行する

そしてTier2の大会を勝ち抜いた上位2チームのみがTier1大会であるOWCS MAJOR(世界大会に出場可能です。このようにOWCSはTier4(地域オープン大会)⇒Tier3(地域大会)⇒Tier2(アジア大会)⇒Tier1(世界大会)という順で、年に2回開催される予定です。

次に各Tierの大会についてひとつずつ説明していきます。

Tier4:OWCS JAPAN OPEN(オープン大会)


各地域のオープン大会で、開催日時は2月19日(月)〜21日(水)の3日間。

この大会にはあらゆるプレーヤーが参加可能であり、上位9チームが次のTier3の大会に出場できるようになります。現時点ではTier3へのシード枠はありませんので、どのような実績を持つチームでも、まずはこのオープン大会に出場する必要があります。

Tier3:OWCS JAPAN(地域大会)


Tier4のオープン大会を勝ち抜いたチームが参加できる地域大会です。開催日時は2月26日(月)〜4月3日(水)で、オンライン形式。

大まかな流れはGroup Stage⇒Seeding Decider Matches⇒Last Chance Qualifier(LCQ)⇒Playoffs⇒Wild Cardの5段階進行です。各段階についてなるべく短めに説明していきます。

Group Stage:全体の順位決めを行います。上位4チームがSeeding Decider Matchesに進出。5〜8位のチームがLCQに進出。最下位のチームは敗退になります。

Seeding Decider Matches:4チームの順位を決めます。上位2チームがプレーオフでの「a first-round bye(一回戦免除)」を得られます。4チームすべてがPlayoffsに進出できます。

LCQ:ダブルエリミネーション方式で4チームの順位を決める敗者復活戦。上位2チームがPlayoffsに進出し、下位2チームは敗退です。

Playoffs:シングルエリミネーション方式で6チームの順位を決めます。上位2チームがTier2大会である「OWCS ASIA」へ駒を進められます。3位のチームはTier3の「Wild Card」という大会に進出します。

Wild Card:日本3位、韓国3位、太平洋3位の3チームで順位を決めます。1位のみがTier2大会である「OWCS ASIA」に進出できます。1位以外は敗退となります。

Tier2:OWCS ASIA(アジア大会)


Tier3を勝ち抜いたチームが参加できるアジア大会OWCS ASIAが該当します。開催期間は4月25日(木)〜28日(日)で、韓国「WDG eSports Studio」にてオフライン開催されます。

日本2チーム・韓国3チーム・太平洋2チーム・LCQ1チームの計8チームがこの大会で合流します。ダブルエリミネーション方式で順位を決め、上位2チームがTier1大会である「OWCS MAJOR」に進出できます。

Tier1:OWCS MAJOR(世界大会)


Tier2を勝ち抜いたチームが参加できる世界大会です。開催期間は5月31日(金)〜6月2日(日)で、アメリカ「Kay Bailey Hutchison Convention Center」にてオフライン開催されます。ちなみにここからはOWCS ASIAの管轄を離れます。

アジア2チーム・NA3チーム・EMEA3チームの計8チームが合流し、世界一位を決めます。大会形式はダブルエリミネーション方式です。

以上が前期OWCSの概要です。後期OWCS ASIAもほぼ同じ形式で進みますが、細かい日程はまだ発表されていません。大体8月頃にオープン大会が開催され、Tier1のオフライン大会が11月22日(金)〜24日(日)にスウェーデン「Stockholmsmässan」にて開催される予定です。

また、上記で紹介した大会については日本語配信の実施を予定しています。
以下がURLです。

Twitch
https://www.twitch.tv/wdgjapan_ow
https://www.twitch.tv/playoverwatchjp

YouTube
https://www.youtube.com/@WDGStudio

群雄割拠のOWCS、注目チームを一部紹介


ここからはOWCSアジアの中でも、特に筆者が注目しているチームについて紹介していきます。日本・太平洋・韓国からいくつかピックアップしてみました。


最注目の日本チーム「DONUTS VARREL(VARREL)」


VARREL公式Twitterより引用

2023年度Overwacth World Cup(OWWC)日本代表7名を擁する日本最強のプロチーム。『オーバーウォッチ』の頃から長い期間をかけて活動し続けていて、2023年度の国内大会では無敗。信頼と実績に関しては他の日本チームと比べても頭ふたつほど抜けています。OWCS JAPANにおいてはまず間違いなくひと際目立つ存在になるはずです。

特にリーダーを務めているNico(にこ)選手はチームにおける人望も厚く、配信活動や動画投稿にも熱心で、VARRELのチームイベントでは企画・立案役として貢献しており、名実ともにチームの大黒柱として活躍しています。

対VARREL最終兵器「SixBlow」



年々勢いを増してきている中、OWCSにて韓国プレーヤーを補強したことで、遂に完成されてしまった日本随一のストリーマーチーム。世界有数の地域大会として恐れられている「Contenders Korea(2023年にて終了した競技シーン)」で活躍していたDoux(どうくす)とpressure(ぷれっしゃー)の参入は、まず間違いなく日本地域の勢力図に一石を投じる采配となるでしょう。

2023年度の最後の国内大会となった「Flash Ops Holiday Showdown - Japan Qualifiers」では3位という順位だったものの、現時点での実力は最早未知数。OWCS群雄割拠の象徴であり、VARRELの筆頭対抗馬として要注目のチームです。

太平洋の帝王「DAF」


▲DAF公式Twitterより引用

オーバーウォッチ 2』が始まって以来、常に太平洋地域の頂点争いに参戦し続けている強豪チーム。特にVARRELとはライバルのような関係にあり、太平洋地域の大会ではこの2チームが決勝戦でかち合うことが非常に多いです。ただし今のところはDAFが一歩リードしているような状況か。

NA地域のタンクの名手CLEAR(くりあ)が電撃加入したことで、OWCSへの準備は万端の様子。加えて過去にVARRELすら圧倒したタンクプレーヤーDANK(だんく)の復帰も、注目すべきポイントです。

しかしDAFの伝家の宝刀でもあるYoshinori2k(よしのりつーけー)が年齢を理由に一時離脱しているので、ダメージロールに関しては残念ながら戦力ダウンと言わざるを得ません。

しかしそれでもなおTier2大会の「OWCS ASIA」までは、ほぼ問題なく駒を進めてくるでしょう。そして毎期恒例のVARREL vs DAF戦を今年も見ることができるかもしれません。

メタの追い風を受けるかどうかが鍵「WAC」


チームロゴは現状存在しないですが、決して舐めてはいけません。レジェンドプレーヤーを多数輩出してきた名門O2Blastの黄金期世代の若手が複数在籍しながらも、OWL2023優勝プレーヤーがチームの脇を固めつつ、ベテランが牽引するという絶妙なバランスで成り立っているチームです。

韓国という修羅の国においても、その存在感は想像以上に濃いかもしれません。特に注目すべきは、ソンブラ世界一と名高いLIP(りっぷ)。複数のパッチとシーズン9大型アップデートを経たことで、現在のソンブラは過去のソンブラとは全くの別物となりましたが、この新環境にLIPが適応すれば地獄の地域でも勝ち残ることができるでしょう。

世界最強「Team Falcons」


▲Team Falcons公式Twitterより引用

世界最強のチームはどこか?と問われたら、自分は間違いなく「Team Falcons」だと断言します。このチームは2023年最後の公式大会である「Flash Ops Holiday Showdown」にて優勝を果たした「hamster」というチームが原型になっています。彼らは間違いなく2024年度の優勝候補ですが、OWにおいて史上最高といえるレベルのドリームチームです。OWの歴史を紐解いても、Team Falconsに勝てるのはおそらくhamsterくらいなので、実質無敵です。

全員が全員、そのロールにおいての超一流プレーヤーですが、特筆すべきはProper(ぷろぱー)とStalk3r(すとーかー)のダメージロールコンビです。この2大巨頭が試合を縦横無尽に壊していく展開は、ほぼ既定路線になるでしょう。

しかし史上最強だからこそ、あらゆるチームから警戒されているのもまた事実です。OWCS初年度は「いかにTeam Falconsを打倒するか」という年になるのではないでしょうか。唯一の懸念点としてはパッチの移り変わりです。アップデートの内容次第では足元をすくわれる可能性もあります。

まとめ


以上、OWCSの概要と注目チームの紹介でした。

OWCSはこれから始まる新しい試みでありながら、Overwatch 2競技シーン再構築の灯となる大会です。2023年までの競技シーンとは一味違った面白い環境を作ってくれる予感がありますし、それと同時に予期せぬトラブルなども発生するかもしれません。期待だけではなく不安もありますが、挑戦していく上では避けては通れない道です。

また昨年開催されたOWWC2023は、既にこの時期にはアナウンス等されていたことを考えると、いまだにアナウンスがない現状には多少の引っ掛かりを覚えます。OWWCも新しい形で開催されるのか。それともOWCS開催に注力するのか。どのように転ぶにせよ既存の競技シーンから脱却し、変化していこうとする強い気概を感じます。

シーズン9のアップデートなども大きな変更でしたが、今の所は世界的にも好意的に受け止められています。
2024年の順調な滑り出しを今後も維持していけるのか。BlizzardやWDGの動きに注目していきましょう。


編集:いのかわゆう


gappo3 プロフィール


『オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。

Twitter:https://twitter.com/gappo3gappo3
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