「LJL」のライバルの勢力図は? 「PCS」「LCO」の歴史と、2024年有力チームまとめ

2024.1.31 あかさん
リーグ・オブ・レジェンド』の日本プロリーグ「LJL(League of Legends Japan League)」は、2024年から台湾・香港・マカオ地域を中心としたプロリーグ「PCS(Pacific Championship Series)」との共同開催となり、「PCS」、そしてオセアニア地域のプロリーグ「LCO(League of Legends Circuit Oceania)」との合同プレーオフを行うことになった。

今回は、日本勢のライバルとなる「PCS」「LCO」の歴史や国際戦でのこれまでの対戦結果、2024年シーズンの注目チームなどを紹介していきたい。

『LoL』2024シーズン 新エコシステムのおさらい


各リーグの紹介に移る前に、今季の我らが「LJL」が「MSI」や「Worlds」を目指すための道筋についておさらいしておこう。

画像引用:https://lolesports.com/article/league-of-legends-japan-league%E3%80%81pacific-championship-series%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E5%8A%A0%E5%85%A5%E3%81%B8/blt80ae84082260adc9

「LJL」は6チームによる総当たり2回のリーグ戦を行い、上位4チームが「LJL」内のプレーオフに進出する。そのプレーオフで上位3チームが「PCS」との合同プレーオフへと進むことになる。

合同プレーオフには「PCS」からは6チーム、「LCO」からは2チームが参加し、「PCS」のレギュラーシーズン1位、2位、そして「LJL」のプレーオフ1位の3チームはシードとしてプレーオフに登場する権利を得られる。

一見不平等に見えるルールだが、これまでの国際大会での実績を考えると、この3リージョンの中では「PCS」が頭一つ抜けており、妥当な配分と言えるだろう。

今後「LJL」が「PCS」とのプレーオフで好結果を残し続けることができればプレーオフ出場枠やシード枠が拡大されるかもしれないし、逆に結果が伴わなければシード権のはく奪もありえるだろう。

「MSI」や「Worlds」への出場権がかかっていることはもちろん、そのチャンスを増やすためにも「LJL」勢としては負けられない国際戦だ。

世界一経験も持つ、歴史ある東南アジアリージョン「PCS」



「PCS」は2020年に台湾・香港・マカオ地域のプロリーグ「LMS」と、東南アジア地域のプロリーグ「LST」が合併する形で生まれたリーグで、現在は台湾、香港、フィリピンから計8チームが参戦している。

「LCO」が2023年に、「LJL」が2024年に加入したため、現在は3リーグ制のような形になっている。

シーズン2の世界王者であるTaipei Assassins(TPA)を輩出したリージョンで、以降も「LPL」、「LCK」、「LEC」、「LCS」の4大メジャーリージョンに次ぐ位置につけている。

画像引用:https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/champions/ezreal/

上のイラストがTPAの優勝記念スキン。これは昨今の優勝スキンと違い、選手が選んだチャンピオンではなく決勝で実際にピックされたチャンピオンをもとに作られている。今のプレイヤーには信じられないだろうが、このときはヌヌがサポートだった。

リージョンの特色でいうと、選手交流が盛んなこともあって「LPL」とスタイルが似ていて、1つひとつのファイトが非常に長く、戦い始めたら利益を取り切るまで徹底的にファイトするというのが特徴。

また、ミッド・ジャングルのラインが強力なチームが多い印象で、「LCK」の影響が強い「LJL」よりも展開が早くゲームが進むことが多い。


また、今シーズンはサイド選択権を試合前に代表選手の1v1で決定するという面白い試みを行っている。日本からの時差もあまりないのでぜひ一度観戦してみてほしい。

日本勢との対戦は2017年の「Worlds」でRampageとHongKongAttitudeが対戦したのが初で(その時は0勝2敗)、以降2勝7敗と苦戦を強いられている。

選手の交流でいうと、SCARZ時代はIvyのサモナーネームでプレイしていた現「LCS」Shopify RebellionのBugi選手や、V3 Esports時代はBabyのサモナーネームでプレイしていた現100 ThievesのRiver選手、2023年までSengoku Gamingで活躍していたOnce選手など、「LJL」-「PCS」間の移籍も多くあり、実はつながりの深いリージョンの1つなのだ。

PSG Talon(PSG)



フランスのサッカーチームParis Saint-GermainとTalon Esportsが共同運営する『LoL』チーム。

2023シーズンの「PCS」王者で、「Worlds」ではプレイイン突破目前までいったものの、“GODS”Adam選手擁するTeam BDSにリバーススイープを受けてグループステージ進出を逃した。

2024年は、ADCがWako選手からBetty選手に変わっただけでロースターをほぼ残すことに成功し、依然として優勝候補筆頭と言えるチームに仕上がっている。「PCS」らしく序盤から積極的にファイトしていくのが得意で、展開の早いゲームが彼らの持ち味。

注目はなんといってもミッドのMaple選手だ。

「LPL」のSuningやLNG Esports、「LCS」のTSMなどでスターターを務めていた台湾を代表するプレイヤーで、2023年の「Worlds」後は引退もほのめかしていたが、今シーズンもPSGでプレイすることになった。

彼が「PCS」地域のチームでプレイした年は必ずチームを「Worlds」へと導いており、まさに優勝請負人。

CTBC Flying Oyster(CFO)



2023シーズンの「PCS」2位のチームだが、ストーブリーグを最も盛り上げたのはこのチームと言っていいだろう。

ジャングルにKarsa選手、サポートにSwordArt選手と、海外リーグで活躍していた台湾のレジェンドたちを獲得。ミッドに「LCS」で活躍していたGori選手を獲得して「PCS」のドリームチームを作り上げた。

5人中3人、しかもジャングル、ミッド、サポートとゲーム運営に重要なロールが交代になったことでチームとしては若干不安定な部分が残るが、シーズン後半に向けて仕上がってくればPSGを凌ぐパフォーマンスを見せる可能性もあるだろう。

注目はジャングルのKarsa選手。2018シーズンから「LPL」でプレーし、Top Esports時代には「Worlds」ベスト4になるなど実績を残している。

同じく新加入のSwordArt選手もSuning時代に「Worlds」準優勝を果たしており、最近世界戦の成績が振るわない「PCS」をこの2人が盛り上げてくれるに違いない。

Frank Esports(FRK)



2023シーズンは4位。

CFOの大補強の陰で追い出された格好になったジャングルのGemini選手とミッドのJimieN選手が移籍。トップにはアカデミーから1Jiang選手を抜擢し、春は成長のためのシーズンかと思っていたが、いきなり優勝候補PSGを倒して3連勝、執筆時点(1月30日)で「PCS」首位に立っている勢いのあるチーム。

集団戦のパフォーマンスが非常に高く、序・中盤で多少不利を背負っても跳ね返してしまうパワーを感じた。

注目選手はミッドのJimieNとPretenderの両選手。Pretender選手は2023年までのスターターでジェイスなどを得意とし、JimieN選手はアジールなどのキャリー系を得意としている。

近年の競技シーンではやや珍しいミッドレーナーの併用だが、いまのところうまく機能しているので、この特色を活かしてさまざまな戦術を見せてほしい。

他地域との交流も盛んな強敵、オセアニアリージョン「LCO」


画像引用:https://twitter.com/LCO

オセアニア地域の『LoL』プロリーグの歴史は実は長く、2013年の「Worlds」(シーズン3)にはすでに代表が出場しており、2015年が初出場だった日本勢よりも先に世界戦に進出していたリージョンだ。

2020年に地域のプロリーグだった「OPL」(Oceanic professional League of Legends league)が終了し、一度プロシーンが途絶えたが、2021年から「LCO」が発足。2023年からは「PCS」に合流してリーグが開催されている。

「OPL」終了時にオセアニア地域の選手が北米地域のレジデント(海外出身選手を居住者扱いとする制度)を選択できるようになった関係で、有力選手が「LCS」でプレイしやすくなり、「LCO」は選手プールという意味では苦しい立場にあり、2023シーズンの「PCS」との合同プレーオフでは7位、8位と悔しい結果に終わった。

ちなみに、オセアニア地域の出身で「LCS」で活躍している選手は、現NRGのFBI選手やCloud9のFudge選手などがいる。

リージョンの特色としては、「PCS」よりもさらに攻撃的で戦闘が多く、2023年のサマーシーズン1試合の平均キル数は32と非常に高い。戦闘が激しいとされるベトナムの「VCS」が1試合平均28キルだったことを考えると、この数字がいかに高いかが伝わるかと思う。

また、メタに縛られない独自色のあるピックも多く、2024シーズンも早速リヴェンやレンガーなどが登場していて、昔ながらの「ワイルドカードリージョン」を感じられるリーグになっている。

日本勢との初対戦は2015年の「ワイルドカードインビテーショナル」、今でいう「MSI」のプレイイン的なイベントで初対戦。DFM vs The Chiefs Esports Clubの試合が行われ、Chiefsが勝利した。

以降は2017年、2018年に行われた「Rift Rivals」など国際大会ではかなりの対戦数をこなしており、対戦成績は9勝9敗の5分になっている。しかし近年はあまり対戦が行われていないので、力関係がどうなっているのかは、春の合同プレーオフで明らかになるだろう。

選手の交流でいえば、Corporal選手が有名だろう。「OPL」の名門Dire Wolvesなどでプレイしていた彼は、「LJL」ではAXIZ、SHG、そして2023年はFENNELで活躍した。2022年は「LCO」で優勝した経験もある。

Antic Esports



まだ試合数が少なく注目チームを絞り切れていないが、紹介するとしたらやはりこのチーム「Antic Esports」だろう。

ミッドのry0ma選手は地域を代表する選手で、「LCS」の100 Thievesに所属経験もあるプレイヤー。テクニカルチャンピオンを得意としていて、「LJL」-「LST」-「OPL」間で行われた2018年の「Rift Rivals」では、イレリアでペンタキルを達成している。

また、ジャングルで出場しているSwip3rR選手は「LCS」のアカデミーチームでコーチをしていたが、2024シーズンから選手復帰した今年30歳になる大ベテラン。なんとシーズン3の「Worlds」予選、「IWCT(International Wildcard Tournament)」にも出場していたオセアニア地域のレジェンドだ。

※ ※ ※

以上、2024シーズンの「PCS」と「LCO」についてまとめてみた。「MSI」出場に向けて、「LJL」のライバルとなる2地域のリーグも観戦してみてはいかがだろうか。

特に「PCS」のゲームはサイド選択の1v1イベント、早い展開や激しい集団戦で見どころが多いので、個人的にはおすすめだ。


PCSのTwitchチャンネル(英語)
https://twitch.tv/lolpacific/videos
PCSのX(旧Twitter)
https://twitter.com/lolesportspcs
LCOのTwitchチャンネル(英語)
https://www.twitch.tv/LCO/videos
LCOのX(旧Twitter)
https://twitter.com/LCO
LoL Esports
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