VALORANT開発チームの才能と情熱を垣間見たメディア懇親会「ラウンドテーブル」ウラ話

2023.6.25 宮下英之
6月16日(金)に開幕し、24日(土)〜25日(日)に幕張メッセで決着がつく世界大会VALORANT Champions Tour Masters Tokyo」に合わせて、ライアットゲームズのVALORANT開発チームのメンバーが現地を訪れている。

そして、準決勝の前日である6月23日(金)に、日本のゲーム/eスポーツ関連メディアを集めて新エージェントや新ゲームモードの紹介、開発者への質疑応答を行う「ラウンドテーブル」という催しが行われた。

来日したのは、新エージェントや新ゲームモードを手がけたライアットゲームズ『VALORANT』部門のメンバーたち。残念ながら、最新情報を公開できるようになるにはもう少し時間がかかるのだが、今回はラウンドテーブルに参加してくれたメンバーのご紹介と、そこで話された話題の中で特に印象に残った言葉をご紹介したい。

左から、Andy Ho氏(Sr.Director,Game/Product Direction)、Coleman Palm氏(Ass,Director of Product Management)、Alexander Mistakidis氏(Senior Technical Game Designer)、Anna Donlon氏(SVP,Executive Producer)、Kyle Powell氏(Game Designer)、David Nottingham氏(Creative Director, VALORANT at Riot Games


国際色豊かな「ラウンドテーブル」での質疑応答


集まったメディアの中には、今回の世界大会に合わせて来日したインドやタイなどのアジアのメディアもおり、『VALORANT』の人気が世界的なものであることをうかがわせた。

すでに24日(土)の準決勝で、パシフィック地域代表のPaper Rexが北米代表のEvil Geniusesに敗れ、決勝のカードはFnaticとEvil Geniusesに確定している。日本も属するアジア・パシフィック代表が残れなかったことは残念だが、日本で行われる世界最高峰の大会にふさわしいチームが勝ち残ったと言えるだろう。

ライアットゲームズのシニアバイスプレジデント(SVP)であり、『VALORANT』のエグゼクティブプロデューサーを務めるAnna Donlon氏は冒頭のあいさつで、「コロナが明けた2023年の『VALORANT』の公式大会は絶対に日本でなければと思っていました」と日本開催への思いを語った。
 
Anna Donlon氏

これから公開されることになる新エージェントや新ゲームモードについても、開発者自身の口から聞けたことはとても印象的だったし、それを日本で日本のメディア向けに行ってくれたことは素直に嬉しい。プレゼンのパワーポイントなどをファンの皆さんにお見せできないのは本当に残念だが、世界中でプレイされている『VALORANT』というゲームのポリシーに基づいて、さまざまな試行錯誤とアイデアののちに実装されているからこそ、いまの人気があるということを強く感じた(新エージェントの雰囲気や性格がどのように作られていったのか、また新ゲームモードがどんなものなのかについては、後日別の記事にて開発者コメントもご紹介したいと考えているので、楽しみにしていてほしい)。

新エージェントのプレゼンテーションを担当したAlexander Mistakidis氏(Senior Technical Game Designer)

新ゲームモードのプレゼンを担当したKyle Powell氏(Game Designer)


『VALORANT』成功の理由が垣間見える開発者の考え


ちなみに、このラウンドテーブル自体、単なるキャラクターやゲームについての話題ではなく、ライアットゲームズの開発姿勢、世界最大のeスポーツタイトルを手がけるライアットゲームズの開発者からゲーム開発を志す若者への言葉、『VALORANT』の新機能やエージェントの導入プロセスといった、こういった機会でしかうかがえない質問が飛び交っていた。

中でも個人的に印象的だったのは、Coleman Palm氏が若者への言葉として語った「私たちは開発者でもありプレイヤーでもある」という言葉だ。

Coleman Palm氏(Ass,Director of Product Management)


eスポーツタイトルとして成功させるために必要なこととして、プレイ体験を最も重視していることは当然ではあるが、そのゲームをいかに愛し、プレイし続けられるか、長期的な取り組みがeスポーツタイトルには求められる。

メーカーが考えたストーリーがあり、クリアすることが目的の小説のようなゲームと異なり、『VALORANT』はサービスが続く限りキャラクターたちはずっとゲームの中に生き続け、飽きたり諦めたりすることがない限り、プレイヤーは遊び続けることができる。彼らも開発者であると同時に、プレイヤーとして楽しむことも大切にしているということが伝わってきた。

もうひとつは、『VALORANT』の開発においてキャラクターとマップなどのどちらに重点を置いているかという質問に対する「マップはパズル、エージェントはそれを解くためのツール」という言葉だ。

テロリストとの戦いや、戦争中のミッションのようにリアルな世界から出発したタクティカルシューターもあるが、『VALORANT』は特異能力を持つエージェントたちが、現実には存在しないような構造の街並みの中で戦う競技だ。そこはバーチャルが前提の世界ではあるものの、現実世界にいそうな地肉の通ったエージェントたちが集結している。

そのため、マップは開発者にとっても都合のいいパズル要素を含んだ戦略的なフィールドであり、その中で戦うさまざまなアビリティを持ったエージェントはそのパズルを解くためのカギだったり、ヒントだったり、あるいは解答そのものだったりもする。

1時間程度のラウンドテーブルでの短い答えの中に、なぜ『VALORANT』というゲームがリリースからわずか2年足らずでここまで成長できたのか、その秘密の一端が見えたような気がした。

これまで述べた以外にも、メンバーそれぞれが語った「ゲーム開発は非常に情熱的な産業である」という言葉や、「私はエンジニアでもありアーティストでもある」といった言葉、「さまざまな日常の体験の中で“本物の人間”(新エージェントのこと)を作ろうとしている」といった印象的な言葉もたくさんあった。

Andy Ho氏(Sr.Director,Game/Product Direction)

David Nottingham氏(Creative Director, VALORANT at Riot Games)

通訳を介した質疑応答ということと、自分自身の英語力のなさゆえ、細部まで理解できたとは言いがたく、人生でこれほど悔しいと感じたことはなかった。

そんなわずかな時間の中でも『VALORANT』というゲームを作り上げているメンバーの才能と努力と情熱をひしひしと感じ、リスペクトの気持ちを新たにする会となった。

さて、いよいよ本日6月25日(日)はグランドファイナルだ。会場を訪れるファンも配信で楽しむファンも、泣いても笑っても約1カ月に及んだ日本での『VALORANT』フィーバーは終わってしまう。

いずれのチームも強豪同士であり、今大会最高の試合を見せてくれることは間違いない。世界だけでなく日本の『VALORANT』史にも刻まれるビッグイベントを、日本中の『VALORANT』ファンとともに心ゆくまで楽しもう。




海浜幕張駅も「Masters Tokyo」一色だ!


VALORANT Champions Tour Masters Tokyo 大会公式サイト:https://valorantesports.com/news/masters-tokyo-everything-you-need-to-know/ja-jp
 
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