【大会レポート】『VALORANT』の世界王者を決める戦い「VCT Stage 3 - MASTERS BERLIN」閉幕!並みいる世界の強豪を押しのけ王者に輝いたのはGambit Esports

2021.9.22 eSports World編集部
VALORANTの世界王者を決める大会「VALORANT Champions Tour Stage3 Masters」が2021年9月10日(金)~9月20日(月)にかけて開催された。

「VALORANT Champions Tour」とはVALORANTの年間王者を決める大会でChallengers・Masters・Championsの3段階で構成されている。地域大会Challengersとその勝者が出場する国際大会Mastersが全3回にわたって開催。


そこで成績上位のチームがVALORANT年間チャンピオンを決める大会Championsへの出場権を獲得する。9月10日(金)から開催された「VALORANT Champions Tour Stage3 Masters」では各地域の予選を勝ち上がった15チームがドイツのベルリンに集結。Stage3の世界王者を決める戦いに臨んだ。


ここではMastersの決勝トーナメント、そして日本代表として出場した🇯🇵ZETA DIVISION、🇯🇵Crazy Raccoonの結果を振り返っていこう。

大波乱の決勝トーナメント


熾烈なグループステージを突破し、決勝トーナメントに進出したのは以下の8チーム。トーナメント発表後はNA1位の🇺🇸Sentinels(SEN)とEMEA1位の🇷🇺Gambit Esports(GMB)の決勝が予想されていた。しかし蓋を開けると、🇺🇸Envyが王者🇺🇸SENを2-0で下し、さらに🇷🇺GMBが🇩🇪G2をアイスボックスで13-0と圧倒するなど大波乱のトーナメントとなった。


▲今大会の優勝候補にも挙げられていた🇷🇺GMBに🇺🇸SENを破った🇺🇸Envyがどこまで食らいつけるのか。世界中のファンが固唾をのんで見守った

前回大会同様にNA vsEMEAの構図となった決勝。試合はNA1・2位を下して勢いに乗る🇺🇸Envyを、平均年齢19歳の🇷🇺GMBが、その若さに似合わない落ち着きで支配。終わってみれば3-0と相手に1マップすら与えない圧倒的な力を見せつけ、EMEAに待望の栄冠をもたらした。

▲優勝を決定づける3連続キルを見せたChronicle選手(GMB)。決勝では3マップとも違うエージェントを使用していたにもかかわらずK/DA2.3を叩き出した

▲優勝トロフィーを掲げる🇷🇺GMBの選手たち。大会を通じて他のチームを寄せ付けず文句なしの世界王者となった

日本代表の両チームは対照的な結果に


続いて気になる日本代表の結果をレポートしよう。アイスランドでは1マップすら獲得することができず、世界の壁を痛感した日本代表。王者に返り咲いた🇯🇵ZETA DIVISIONとアイスランドのリベンジを誓うCrazy Raccoonはどこまで勝ち進むことができたのだろうか?

大きな課題を残した🇯🇵ZETA DIVISION


🇯🇵ZETA DIVISION(ZETA) vs 🇦🇷KRU Esports(KRU)
日本王者の🇯🇵ZETAは初戦ラテンアメリカ1位の🇦🇷KRUと対戦。1マップ目のアセントは前半1-11で折り返す苦しい展開となったが、ディフェンス側に回った後半からアビリティを生かした丁寧なリテイクでペースを取り戻す。

8-13で1マップ目を落としたが、らしさを取り戻した🇯🇵ZETAは続くスプリットで🇦🇷KRUを圧倒。ディフェンス側では1ラウンドすら取らせずに13-5で勝利し、決着の行方は3rdmapのバインドにもつれた。

序盤こそラウンドを取り合う接戦だったが、日本にない強気なタイミングでのピークと少人数戦での素早い判断で上回った🇦🇷KRUが徐々に試合をリード。粘りを見せたかった🇯🇵ZETAだが、常にカバーを付けてリスク管理を徹底した🇦🇷KRUが7-13で勝利し、🇯🇵ZETAは惜しくもLower Bracketに回ることとなった。

▲日本代表初となるマップ勝利を決めたtakej選手(ZETA)。試合途中のエースチャンスで発した「俺のAceだろうが」がトレンド入りするなど日本のVALORANTファンを熱くさせる試合を見せてくれた

試合後のインタビューでLaz選手(ZETA)が「想定していた通りの戦いだったが、細かい部分のレベルが高かった。」と語る通り、🇯🇵ZETAが通用する部分と世界の壁の高さを同時に痛感させられたこの試合。

日本語の公式配信とStylishnoobさん・釈迦さんのミラー配信を合計すると20万人以上が見守る中、惜しくも試合に敗戦した🇯🇵ZETA。しかし、日本で培った丁寧なアビリティの合わせとマップコントロールは世界でも通用すること、そして何よりMasters世界大会で日本代表初となるマップ取得など多くの見せ場を見せてくれた。

🇯🇵ZETA DIVISION(ZETA) vs 🇧🇷Vivo Keyd(VK)
負ければ帰国となるLower Bracketで🇯🇵ZETAはブラジル1位の🇧🇷VKと対戦。🇦🇷KRU戦のパフォーマンスから次こそは勝利をと期待が集まっていた。しかし、試合は🇧🇷VKが1マップ目のブリーズでHeat選手(VK)を中心に11回のファーストブラッドを記録。

🇦🇷KRU戦で見せた🇯🇵ZETAらしさは鳴りを潜め、個人で勝負して狩られる場面が多く、最後まで流れをつかめなかった。続く2マップ目のスプリットでも勢いに乗るHeat選手(VK)・murizzz選手(VK)のダブルデュエリストを止めきれなかった🇯🇵ZETAは2マップ合計でわずか7ラウンドしかとることができずに敗戦という悔しい結果に終わった。

▲マーシャルのみでのエースを見せたHeat選手(VK)。🇯🇵ZETAのプランは間違いなく彼によって壊されてしまった

惜しいラウンドも多くあったが、🇧🇷VKの少人数戦での咄嗟のアイデアに苦しめられ続けた🇯🇵ZETA。さらに個々が撃ち合いで負けた事で強気な撃ち合いに挑めず、マップコントロールでも常に後手に回っていた印象だ。試合後のインタビューでLaz選手(ZETA)が「最悪の結果、惨敗」と話した通り、LastChanceQualifier(LCQ)に向けて取り組むべき課題が多く見つかったMastersとなった。

日本の意地を見せた🇯🇵Crazy Raccoon


🇯🇵Crazy Raccoon(CR) vs 🇷🇺Gambit Esports(GMB)
🇯🇵CRは初戦でEMEA1位の🇷🇺GMBと対戦。並みいる強豪チームを押しのけて1位に輝いた🇷🇺GMBに🇯🇵CRがいかに喰らい付けるか期待されていた。しかし試合は🇷🇺GMBが終始レベルの違いを見せつけて圧倒。🇯🇵CRの選手もオフラインの独特の緊張感と相手の動きに飲まれてしまい、本来の動きをまったく見せられず。結果的には2マップ連続で1-13という記録的な大差を付けられての敗戦となってしまった。

▲日本でのPlayoffから大きく構成を変えてきた🇯🇵CR。Stage1以来となるneth選手(CR)のレイズピックは視聴者を驚かせた(写真はade選手)

ある程度の力の差は予想されていたが、明らかなコミュニケーションエラーで落とすラウンドもあった🇯🇵CR。試合後にはロールやロスターに対して疑問の声が多く上がるなど、厳しい声も多く見られた。

🇯🇵Crazy Raccoon(CR) vs 🇧🇷Havan Liberty(HL)
こちらも負ければ帰国となるLoser Bracketで🇯🇵CRは、ブラジル2位の🇧🇷HLと対戦。🇷🇺GMB戦ではまったくいいところを見せられず厳しい声も多かったが、この日は見違えるパフォーマンスを披露。

特にアタッカー側では臆することなく撃ち合いに挑み、序盤から常にリードを取る危なげない展開を見せた。試合終盤に勝利を意識してか、少し連携に乱れが生じて相手に流れを渡しかける場面もあったが終わってみれば13-9・13-8と2マップ連続で勝利。日本代表初となるMasters世界大会での勝利を掴み取った。

▲ケージ越しの3キルなど、この日🇯🇵CRを牽引したのは間違いなくMedusa選手(CR)。コミュニケーション面はもちろん、ラークで常に相手の情報を取り続けていた

▲勝利後に円陣を組む🇯🇵CRの選手たち。逆境の中掴み取った日本代表の初勝利に実況/解説も涙を見せた

アイスランドでのMasters、そして🇷🇺GMB戦での悔しい思いを乗り越えた🇯🇵CR。ade選手(CR)が「みんなから背中を押されていた。何としても勝ちたかった」と語る通り、各選手が見せた勝ちへの執念は多くの視聴者の胸に響いたに違いない。

🇯🇵Crazy Raccoon(CR) vs 🇷🇺Gambit Esports(GMB)
勝ったチームがグループ突破を決める重要な一戦。前回対戦では大敗を喫したが、🇧🇷HL戦を経て大きく成長した🇯🇵CRは1マップ目のアセントで一気に6ラウンドを連取。TO(タイムアウト)以降は🇯🇵CRの対策への対策を即座に練った🇷🇺GMBの地力が勝り、8-13でアセントを落としてしまう。

しかし、90%以上の勝率を誇る🇷🇺GMBのアセントで序盤とはいえ試合をリード、攻守交代後も🇺🇸100Tが1ラウンドも取れなかった🇷🇺GMBの堅牢を崩すなど随所で🇯🇵CRの強さも光る内容となった。そして迎えた2マップ目のアイスボックスでも臆することなく撃ち合いに挑み、互角の戦いを見せた🇯🇵CR。前回の1-13が、うそのような一進一退の攻防はOT(オーバータイム)にまでもつれた。

惜しくも12-14で敗れたが、世界中のVALORANTファンが🇯🇵CRの見せたMastersでの成長と気持ちのこもったプレーに惜しみない称賛を送った。

▲試合後に涙を浮かべたneth選手。惜しくも試合には敗れたがこの涙がまた🇯🇵CRを強くしてくれるだろう

Medusa選手は反省点として繰り返し「コミュニケーション」という言葉を挙げており、連携面での差を痛感したようだ。しかし、🇯🇵CRが日本のVALORANTは世界トップレベルにも通用する事を証明したのは間違いない。年末に控えるChampionsでさらなる成長を遂げた🇯🇵CRが世界中をアッと言わせる大躍進を見せてくれることに期待したい。

まとめ


グループ突破こそかなわなかったものの、世界との壁は確実に縮まっていることを実感させてくれた日本代表。ベルリンで得た経験を🇯🇵ZETAはLCQ、🇯🇵CRはChampionsに必ず生かしてくれるだろう。これからの両チーム、引いては日本のVALORANTシーンの成長に期待したい。

試合を終えたade選手のインタビューもぜひ見てほしい。

なぜコミュニケーションエラーは起こるのか——世界と戦って感じた可能性『VALORANT』Crazy Raccoon ade選手インタビュー
https://esports-world.jp/interview/14483

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