【インタビュー】なぜシャドバのeスポーツ展開は生き返ったのか?——川上尚樹氏が語る新リーグ刷新の舞台裏
- 『シャドバWB』はなぜ盛り上がったのか
- リリース時の「インフルエンサーへのいわゆる“PR案件”はゼロ」
- 1年のリリース延期はプラスに働いたのか
- 前回のプロリーグの総括
- 新リーグで「プロ」という文言が記載されていない理由
『Shadowverse: Worlds Beyond(以下、シャドバWB)』による新リーグ「Shadowverse Premier Series 26-27(以下、プレミアシリーズ)」が7月11日から開幕する。
いま勢いのある『シャドバWB』を用いたリーグということもあり、非常に注目度が高い。
ただ「なぜ『シャドバWB』はここまで盛り上がったのか」「なぜ前回のプロリーグは終わったのか」など、新リーグの開幕前に聞いておかないといけないことがある。
そこで今回は、Cyagamesのeスポーツ部門を統括している、マーケティング本部副本部長 川上尚樹氏に話をうかがった。
どれくらいインフルエンサーにPR案件を振ったのかなど、これまで語られる機会の少なかった内容についても話をうかがった。
──新プロジェクト・プレミアシリーズについてうかがう前に、まずは『シャドバWB』がここまで盛り上がっている理由についてお聞かせください。
川上:私たちの想定以上の反響がありまして、正直驚いています。
インフルエンサーの方々にも継続的に遊んでいただけて、大会の参加者数も前回から大きく増えているのが、数字にも表れています。
──スタートダッシュに成功した印象がありました。具体的に出せる数字で何かありますか。
川上:具体的な数字は難しいのですが「RAGE Shadowverse」やオンライン大会のエントリー数については、多いところでは3倍から4倍に増えました。
前作でも、大会では数千人のエントリーがありましたが、『シャドバWB』のリリース直後は数万単位でのエントリーがありました。
前作から遊んでいただいている方だけでなく、前作を一度はやめてしまった方や『シャドバWB』から始めていただいた方にも多くエントリーいただきました。
今作から「大会に出てみよう」と思っていただいた新規の方々がいたのが大きかったですね。
──eスポーツ観点での盛り上げ方について、何か意識されたことはありましたか。
川上:“オフラインイベントの在り方”を変えていこうという意識は明確にありました。
これまでは、競技として参加した人が楽しめることをベースに大会を設計していました。
ただ、これだけ多くの方々に来ていただけるようになったことで、競技として参加した方々だけでなく「キャラクターが好きな人」といった「シャドウバース」というIPが好きな方々でも楽しめるように、フェスのような要素を取り入れるように変更しました。
「イベントに遊びに来ました」→「ついでに大会に出ます」という方 おり、具体的には、グッズ販売、サイドイベントなどの拡充を意識的に増やすようにしてきしました。
──たしかにグッズ販売は、初回のRAGE(RAGE Shadowverse Japan Championship 2025)から一気に増えていた印象でした。
川上:そうですね。特にグッズ販売に力を入れたのは、2025年12月の世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2025」でした。
これまでの物販では、ラバーマットなどのカードゲーム関連商品に特化していたのですが、試験的にフェスイベントなどで売っているようなグッズを置いてみたところ、午前中のうちにほとんど売り切れてしまいました。
私たちとしても想定以上の売り上げだったので、皆様にご迷惑をかけてしまったと思っています。

──ここまでの話は『シャドバWB』がリリース時に盛り上がって、その盛り上がりを継続させるための施策に思えました。そもそもなぜリリース時に盛り上げることができたのでしょうか。
川上:まずはゲーム自体の出来が良かったということは大前提ですが、インフルエンサーの方々にも多く遊んでいただけたことで、タイトルの盛り上がりが可視化されたのかなと思います。
今作ではリリース時に遊んでくださったインフルエンサーの方々が、1年経った現状も継続して遊んでくださっています。
とてもうれしいことに、案件でなくても遊んでくださっていて、案件をお渡ししても快く受けてくださいます。

──最近のゲームはリリース時にインフルエンサーに案件をバラまくケースが多いですが、『シャドバWB』については、それが控え目だったというか、ほぼやっていなかったように思えます。
川上:おっしゃるとおりでして、一般的によくある、リリース時にインフルエンサーの方にPR案件として「『シャドバWB』を個人配信で遊んで宣伝してください」という依頼はしていなくて——。
──えっ! “PR案件”はゼロなんですか。
川上:そうですね。
どちらかというと、施策の中で効果的だったのは、リリース直後のインフルエンサーさんの熱量が高いうちに、インフルエンサーの方々が参加できる大会を開催したというものだったと思います。
具体的には、ゲーム内の「パーク」にインフルエンサーさんを集合させて「パーク」のことを知ってもらいながら、大会を楽しんでいただくというものです。

その大会自体はOPENRECさんご主催のもとローンチ前から決まっていたことではありますが、「『シャドバWB』のイベントがあるからせっかくだから遊ぼう」という形でリリース時から自主的に配信も含めて取り組んでいただけたのかなと思います。
──なるほど。リリース時のPR案件で仕事として配信をさせるのではなく、少しでも自然な形で『シャドバWB』を遊んでくれるような状況を作れたと……。ただ、これって不確定要素が多いというか、イベント出演が決まっているからといって、インフルエンサーさんが自主的に配信してくれるとは限らないですよね。
川上:もちろんそこは強制できるものではなかったので、結果として多くのインフルエンサーさんに遊んでいただけたのは結果論だと思います。
ただ、昨今、インフルエンサーによるPR配信というのは、マーケティング的にも効果が見えづらく、ファンの皆さんも前向きに楽しみづらくなっていると感じています。
なので、インフルエンサーの方々が自分の判断で遊んでくれて、ファンの皆さんと一緒に楽しんでくれるような形に近い状況を作ることを目指しました。
──これは当たり前ですけど、どんなマーケ施策も「ゲーム自体が面白い」というのは大前提なんですね。そうじゃないと、ここまで継続して遊んでくれないので。
川上:おっしゃるとおりで、開発メンバーが一生懸命、このゲームを作ってくれたのが大きいです。
──ちなみにリリースが1年ほど延期になりましたが、その間にされた施策はありましたか。
川上:正直、eスポーツ関連の施策としては、「Shadowverse 最強チーム決定戦 powered by RAGE」を開催するなど、前作を少しでも長く遊んでもらうことしか、できることはありませんでした。
ただ、リリース延期がプラスに働いたと考えているのが「リリース前に先行体験会として遊んでいただける機会を用意できたこと」です。
──ベルサール秋葉原での先行体験会ですね。
川上:はい。もちろん、一刻も早くリリースしたほうがいいのは前提ですが、実際にあのイベントでお客様に遊んでいただいて、リアルな声を聞けたのは大きかったです。
「超進化」などの新システムやさわり心地など、開発チームとしてはリリースに向けての大きな手応えになったと思います。また、マーケティングとしても熱狂的な先行体験会の機会を設けられたのは大きかったと考えています。

──新リーグの前に、まずは旧リーグの総括をお聞かせください。達成できたこと、課題となったことはありますか?
川上:最も大きな成果は、ファンの皆様に長く深く愛していただける選手やチームを生み出せたことだと思っています。
長く続けてきたことを通して、競技シーンの魅力を大きく広げることができました。
一方で、時代の変化とともに選手やチームに求められる役割も増えてきています。
現在はSNSや動画配信などを通じて、選手自身がファンと直接つながる時代です。その中で、競技力だけでなく発信活動やファンとの関係づくりまで含めて発展の余地があったと考えています。

──リーグ名が「プロリーグ」ではなく「プレミアシリーズ」で、公式サイトにも「プロ」という文言が見当たりません。これは意図的に避けているのでしょうか。
川上:そうですね。長年のリーグ運営によって「シャドウバースのプロ=ゲームが強い人」というイメージがついています。
今回の刷新で、そのイメージを変えようとしている以上、プロという言葉をそのまま使ってしまうと、「プロ」とは何か、という話から始めなければならなくなってしまったり、ことを危惧しました。
それであれば、これまでの「プロ」というものと線引きをして「今回は全く別物だよ」というメッセージ表現の方が
──選考基準は、かなり振り切った内容に見受けられました。この5要素は、社内でどのような議論を経て設定されたのでしょうか。
川上:当然、ゲーム内実績や大会実績、とプレースキルは求められる要素のひとつです。
ただ現状、他タイトルのプロリーグにおいても「強さ」だけが求められているリーグというのは、ほとんど存在していません。各リーグの選手が、スポンサーの商品を訴求できるような人柄を持っていたり、発信活動をしているのが当たり前になっているように思います。
その点、前作のシャドバのプロリーグは、競技面に特化しすぎていました。
「うまければ正義」というイメージが先行していて、それが視聴者の中でも強くなっていたので、その意識を変えたかったというのがあります。
プロというのは、企業の看板を背負うということです。また視聴者が「そのゲームをやりたい」と思えるような存在、新しいリーグの未来がないと考え、、今回の5つの選考基準を設けました。
──ちなみにこの基準を各チームに伝えたときの反応はいかがでしたか。優勝賞金1億円を狙うのであれば、どのチームも「実力・プレースキル」だけで選手を選びたいのかなと思いまして、どこまで協力的にやってくれるのかなと……。
川上:今回、ほとんどが新規参入のチームだったこともあって、ドラフト枠も含めて、同条件でスタートするという点でご理解いただけたように思っています。
オーディション枠の選考やABEMAでの放送については、チームの方々からも「面白い」と言っていただけたので、我々としては挑戦的な企画ではありましたが、実施して良かったと思いました。
──本日はありがとうございました! 新リーグ「プレミアシリーズ」の開幕を楽しみにしています。
———
モバイルゲームが冬の時代を迎え、eスポーツの新規タイトルも参入が難しくなってきた昨今、それらをものともせず『シャドバWB』は最高のスタートを切った。
今回の取材では、その盛り上がりに、やや水を差しかねない「課題」「反省」「意図」などを中心にうかがったのだが、どの質問にも包み隠さず答えていただいた。
Cygames社が過去から学び、前進を続ける企業であることが分かったと思う。
また新リーグの方針も明確になった。世の中では「プロリーグ」という通称になっているが、筆者は「選手がプロになっていく過程を楽しむリーグ」であると解釈した。
現状、国内で盛り上がっているeスポーツシーンの多くは、コミュニティ出身のスターたちが企業の枠組みで社会化していったものであり、運営主導で継続的にスターを生み出せているケースは少ない。
「プレミアシリーズ」はスターの輩出とプレーヤーの社会化を同時に試みる、挑戦的な取り組みといえるだろう。
■関連リンク
「Shadowverse Premier Series」特設サイト:https://ps.shadowverse-wb.com/26-27/
「Shadowverse Premier Series」公式YouTube:https://www.youtube.com/@Shadowverse_PS
「Shadowverse Premier Series」公式X:https://x.com/shadowversePS
編集:いのかわゆう
いま勢いのある『シャドバWB』を用いたリーグということもあり、非常に注目度が高い。
ただ「なぜ『シャドバWB』はここまで盛り上がったのか」「なぜ前回のプロリーグは終わったのか」など、新リーグの開幕前に聞いておかないといけないことがある。
そこで今回は、Cyagamesのeスポーツ部門を統括している、マーケティング本部副本部長 川上尚樹氏に話をうかがった。
どれくらいインフルエンサーにPR案件を振ったのかなど、これまで語られる機会の少なかった内容についても話をうかがった。
『シャドバWB』はなぜ盛り上がったのか
──新プロジェクト・プレミアシリーズについてうかがう前に、まずは『シャドバWB』がここまで盛り上がっている理由についてお聞かせください。
川上:私たちの想定以上の反響がありまして、正直驚いています。
インフルエンサーの方々にも継続的に遊んでいただけて、大会の参加者数も前回から大きく増えているのが、数字にも表れています。
──スタートダッシュに成功した印象がありました。具体的に出せる数字で何かありますか。
川上:具体的な数字は難しいのですが「RAGE Shadowverse」やオンライン大会のエントリー数については、多いところでは3倍から4倍に増えました。
前作でも、大会では数千人のエントリーがありましたが、『シャドバWB』のリリース直後は数万単位でのエントリーがありました。
前作から遊んでいただいている方だけでなく、前作を一度はやめてしまった方や『シャドバWB』から始めていただいた方にも多くエントリーいただきました。
今作から「大会に出てみよう」と思っていただいた新規の方々がいたのが大きかったですね。
──eスポーツ観点での盛り上げ方について、何か意識されたことはありましたか。
川上:“オフラインイベントの在り方”を変えていこうという意識は明確にありました。
これまでは、競技として参加した人が楽しめることをベースに大会を設計していました。
ただ、これだけ多くの方々に来ていただけるようになったことで、競技として参加した方々だけでなく「キャラクターが好きな人」といった「シャドウバース」というIPが好きな方々でも楽しめるように、フェスのような要素を取り入れるように変更しました。
「イベントに遊びに来ました」→「ついでに大会に出ます」という方 おり、具体的には、グッズ販売、サイドイベントなどの拡充を意識的に増やすようにしてきしました。
──たしかにグッズ販売は、初回のRAGE(RAGE Shadowverse Japan Championship 2025)から一気に増えていた印象でした。
川上:そうですね。特にグッズ販売に力を入れたのは、2025年12月の世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2025」でした。
これまでの物販では、ラバーマットなどのカードゲーム関連商品に特化していたのですが、試験的にフェスイベントなどで売っているようなグッズを置いてみたところ、午前中のうちにほとんど売り切れてしまいました。
私たちとしても想定以上の売り上げだったので、皆様にご迷惑をかけてしまったと思っています。

▲世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2025」物販ブースの様子。売り場には多くのファンが押し寄せていたが、午前中には完売しているグッズも
リリース時の「インフルエンサーへのいわゆる“PR案件”はゼロ」
──ここまでの話は『シャドバWB』がリリース時に盛り上がって、その盛り上がりを継続させるための施策に思えました。そもそもなぜリリース時に盛り上げることができたのでしょうか。
川上:まずはゲーム自体の出来が良かったということは大前提ですが、インフルエンサーの方々にも多く遊んでいただけたことで、タイトルの盛り上がりが可視化されたのかなと思います。
今作ではリリース時に遊んでくださったインフルエンサーの方々が、1年経った現状も継続して遊んでくださっています。
とてもうれしいことに、案件でなくても遊んでくださっていて、案件をお渡ししても快く受けてくださいます。

──最近のゲームはリリース時にインフルエンサーに案件をバラまくケースが多いですが、『シャドバWB』については、それが控え目だったというか、ほぼやっていなかったように思えます。
川上:おっしゃるとおりでして、一般的によくある、リリース時にインフルエンサーの方にPR案件として「『シャドバWB』を個人配信で遊んで宣伝してください」という依頼はしていなくて——。
──えっ! “PR案件”はゼロなんですか。
川上:そうですね。
どちらかというと、施策の中で効果的だったのは、リリース直後のインフルエンサーさんの熱量が高いうちに、インフルエンサーの方々が参加できる大会を開催したというものだったと思います。
具体的には、ゲーム内の「パーク」にインフルエンサーさんを集合させて「パーク」のことを知ってもらいながら、大会を楽しんでいただくというものです。

▲【OPENREC PARK】シャドバビヨンドパーク DAY1:もこう、みゃこ、OooDaがMC・実況を担当。赤見かるびやゆゆうたをはじめとした、人気ストリーマーたちが『シャドバWB』をプレーした(https://www.mellow-fan.com/live/2k8m49vp086)
その大会自体はOPENRECさんご主催のもとローンチ前から決まっていたことではありますが、「『シャドバWB』のイベントがあるからせっかくだから遊ぼう」という形でリリース時から自主的に配信も含めて取り組んでいただけたのかなと思います。
──なるほど。リリース時のPR案件で仕事として配信をさせるのではなく、少しでも自然な形で『シャドバWB』を遊んでくれるような状況を作れたと……。ただ、これって不確定要素が多いというか、イベント出演が決まっているからといって、インフルエンサーさんが自主的に配信してくれるとは限らないですよね。
川上:もちろんそこは強制できるものではなかったので、結果として多くのインフルエンサーさんに遊んでいただけたのは結果論だと思います。
ただ、昨今、インフルエンサーによるPR配信というのは、マーケティング的にも効果が見えづらく、ファンの皆さんも前向きに楽しみづらくなっていると感じています。
なので、インフルエンサーの方々が自分の判断で遊んでくれて、ファンの皆さんと一緒に楽しんでくれるような形に近い状況を作ることを目指しました。
──これは当たり前ですけど、どんなマーケ施策も「ゲーム自体が面白い」というのは大前提なんですね。そうじゃないと、ここまで継続して遊んでくれないので。
川上:おっしゃるとおりで、開発メンバーが一生懸命、このゲームを作ってくれたのが大きいです。
1年のリリース延期はプラスに働いたのか
──ちなみにリリースが1年ほど延期になりましたが、その間にされた施策はありましたか。
川上:正直、eスポーツ関連の施策としては、「Shadowverse 最強チーム決定戦 powered by RAGE」を開催するなど、前作を少しでも長く遊んでもらうことしか、できることはありませんでした。
ただ、リリース延期がプラスに働いたと考えているのが「リリース前に先行体験会として遊んでいただける機会を用意できたこと」です。
──ベルサール秋葉原での先行体験会ですね。
川上:はい。もちろん、一刻も早くリリースしたほうがいいのは前提ですが、実際にあのイベントでお客様に遊んでいただいて、リアルな声を聞けたのは大きかったです。
「超進化」などの新システムやさわり心地など、開発チームとしてはリリースに向けての大きな手応えになったと思います。また、マーケティングとしても熱狂的な先行体験会の機会を設けられたのは大きかったと考えています。

▲2025年3月に行われた先行体験会の様子。昼過ぎには整理券の配布は終了していた
前回のプロリーグの総括
──新リーグの前に、まずは旧リーグの総括をお聞かせください。達成できたこと、課題となったことはありますか?
川上:最も大きな成果は、ファンの皆様に長く深く愛していただける選手やチームを生み出せたことだと思っています。
長く続けてきたことを通して、競技シーンの魅力を大きく広げることができました。
一方で、時代の変化とともに選手やチームに求められる役割も増えてきています。
現在はSNSや動画配信などを通じて、選手自身がファンと直接つながる時代です。その中で、競技力だけでなく発信活動やファンとの関係づくりまで含めて発展の余地があったと考えています。

新リーグで「プロ」という文言が記載されていない理由
──リーグ名が「プロリーグ」ではなく「プレミアシリーズ」で、公式サイトにも「プロ」という文言が見当たりません。これは意図的に避けているのでしょうか。
川上:そうですね。長年のリーグ運営によって「シャドウバースのプロ=ゲームが強い人」というイメージがついています。
今回の刷新で、そのイメージを変えようとしている以上、プロという言葉をそのまま使ってしまうと、「プロ」とは何か、という話から始めなければならなくなってしまったり、ことを危惧しました。
それであれば、これまでの「プロ」というものと線引きをして「今回は全く別物だよ」というメッセージ表現の方が
──選考基準は、かなり振り切った内容に見受けられました。この5要素は、社内でどのような議論を経て設定されたのでしょうか。
『シャドバWB』の選考基準について
新リーグでは、ドラフト枠とオーディション枠と大きく3つの枠で選手が選定される。選考基準として、5つの要素(発信力、未来を担う自覚、人間性、実績・プレースキル、参戦チーム意向)が公表された。各チームは最低1名はオーディション枠からも選手を取らないといけない。
新リーグでは、ドラフト枠とオーディション枠と大きく3つの枠で選手が選定される。選考基準として、5つの要素(発信力、未来を担う自覚、人間性、実績・プレースキル、参戦チーム意向)が公表された。各チームは最低1名はオーディション枠からも選手を取らないといけない。
川上:当然、ゲーム内実績や大会実績、とプレースキルは求められる要素のひとつです。
ただ現状、他タイトルのプロリーグにおいても「強さ」だけが求められているリーグというのは、ほとんど存在していません。各リーグの選手が、スポンサーの商品を訴求できるような人柄を持っていたり、発信活動をしているのが当たり前になっているように思います。
その点、前作のシャドバのプロリーグは、競技面に特化しすぎていました。
「うまければ正義」というイメージが先行していて、それが視聴者の中でも強くなっていたので、その意識を変えたかったというのがあります。
プロというのは、企業の看板を背負うということです。また視聴者が「そのゲームをやりたい」と思えるような存在、新しいリーグの未来がないと考え、、今回の5つの選考基準を設けました。
──ちなみにこの基準を各チームに伝えたときの反応はいかがでしたか。優勝賞金1億円を狙うのであれば、どのチームも「実力・プレースキル」だけで選手を選びたいのかなと思いまして、どこまで協力的にやってくれるのかなと……。
川上:今回、ほとんどが新規参入のチームだったこともあって、ドラフト枠も含めて、同条件でスタートするという点でご理解いただけたように思っています。
オーディション枠の選考やABEMAでの放送については、チームの方々からも「面白い」と言っていただけたので、我々としては挑戦的な企画ではありましたが、実施して良かったと思いました。
──本日はありがとうございました! 新リーグ「プレミアシリーズ」の開幕を楽しみにしています。
———
モバイルゲームが冬の時代を迎え、eスポーツの新規タイトルも参入が難しくなってきた昨今、それらをものともせず『シャドバWB』は最高のスタートを切った。
今回の取材では、その盛り上がりに、やや水を差しかねない「課題」「反省」「意図」などを中心にうかがったのだが、どの質問にも包み隠さず答えていただいた。
Cygames社が過去から学び、前進を続ける企業であることが分かったと思う。
また新リーグの方針も明確になった。世の中では「プロリーグ」という通称になっているが、筆者は「選手がプロになっていく過程を楽しむリーグ」であると解釈した。
現状、国内で盛り上がっているeスポーツシーンの多くは、コミュニティ出身のスターたちが企業の枠組みで社会化していったものであり、運営主導で継続的にスターを生み出せているケースは少ない。
「プレミアシリーズ」はスターの輩出とプレーヤーの社会化を同時に試みる、挑戦的な取り組みといえるだろう。
■関連リンク
「Shadowverse Premier Series」特設サイト:https://ps.shadowverse-wb.com/26-27/
「Shadowverse Premier Series」公式YouTube:https://www.youtube.com/@Shadowverse_PS
「Shadowverse Premier Series」公式X:https://x.com/shadowversePS
編集:いのかわゆう
【小川翔太プロフィール】

SEとキャリアコンサルタントを経て、eスポーツジャーナリストに。競技プレーヤーとして「MTG(マジック:ザ・ギャザリング)」の世界大会(プロツアーホノルル2016)出場経験あり。プレーヤー視点、メディア視点、両方の側面から情報発信します。
X:https://x.com/oga_5648

SEとキャリアコンサルタントを経て、eスポーツジャーナリストに。競技プレーヤーとして「MTG(マジック:ザ・ギャザリング)」の世界大会(プロツアーホノルル2016)出場経験あり。プレーヤー視点、メディア視点、両方の側面から情報発信します。
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