【ALGS Year 5】来年も“札幌開催”が決定! 異例の3年連続はなぜ実現したのか——ALGS運営に聞く「進化する視聴体験と、日本コミュニティに寄せる情熱」とは
「ここに戻ってこなければならないと確信した」——。 そう語られるほど、昨年の札幌開催が残したインパクトは大きかったようだ。『Apex Legends』の世界大会「ALGS Championship」が、昨年に続き、来年も札幌で開催されることが決定した。
世界中を巡るeスポーツサーキットにおいて、同一都市での3年連続開催は異例であり、「eスポーツの聖地に」を掲げる札幌とALGSの「相思相愛」と言っても過言ではない。
なぜ、札幌なのか。そして、なぜ大和ハウス プレミストドーム(札幌ドーム)でなければならないのか——。ALGS Head of EsportsのMonica Dinsmore氏と、Senior Director Esports ProductのSam Turkbas氏へのインタビューからは、日本のファンへの深いリスペクトと、札幌を「eスポーツの聖地」へと進化させようとする並々ならぬ情熱を聞いた。
本インタビューは「ALGS Year 5 Championship」開催期間中の2026年1月17日(土)に実施したものである。

——さっそくですが、去年に続き今年も、そして来年と3年連続でChampionshipを札幌で開催することになりました。その決め手は何だったのでしょうか?
Monica:昨年初めて札幌で開催した際、札幌市、大和ハウス プレミストドーム、そして北海道eスポーツ協会との連携が本当に素晴らしかったことが最大の理由です。ファンの皆さんの熱量やコミュニティの温かさも相まって「またここに戻ってこなければならない」と確信しました。
Sam:3年連続で開催できるというのは、私たちにとっても非常にユニークで特別な機会です。通常、世界各地を転戦する場合は毎回ゼロから学び直す必要がありますが、札幌に腰を据えることで、前年の経験を生かし、ファンの皆さんが何を求めているのかをより深く理解して、毎年体験をアップデートしていくことができます。
——札幌市のような地方自治体からの協力体制は、他の国や地域と比較して珍しいものなのでしょうか?
Monica:ここまで密接で効果的なコラボレーションは、世界でも他に類を見ません。私たちが札幌に戻ることを決めた大きな要因のひとつです。Samも言うように、この街とは非常に特別な関係を築けていると感じています。
——札幌にある特別なものをなにかひとつ挙げるとしたらなんでしょう。
Monica:大和ハウス プレミストドームです。巨大な55メートルのステージを設置できる広さがあること、大勢の観客を収容できることはもちろん、巨大なファンゾーンでブランドパートナーや地元のベンダー、チーム、選手が、ファンとシームレスに交流できる場を作れるという意味で、とても特別な会場です。

——聞いていると、国際大会の開催地選びには、会場探しが最も難しそうですね。
Sam:そうです(笑)。
会場選びは最も難しい仕事のひとつです。60人の選手が同時にプレーするためには巨大なステージが必要です。そもそもそのステージが入るのかをまず確認します。仮に入ったとしても客席が削られてしまうことが多いのですが、大和ハウス プレミストドームはその両立が可能だったんですよ。すべてが完璧です。
——北海道での経済効果やマスへ向けたメディア露出など、eスポーツと地域創生の相性の良さについてはどう感じていますか?
Monica:数字がすべてを物語っていると思います。一方で、日本のファンベースは『Apex Legends』のエコシステムにとって極めて重要です。この地域に私たちが直接足を運び、素晴らしい体験を直接届けることは、戦略的にも非常に価値があることだと考えています。

——日本には巨大な会場がたくさんあります。ぜひALGS日本ツアーを開催してください(笑)。
Monica:日本航空に連絡しなきゃね(笑)。
——とはいえ、日本はビザの取得が難しいなど、特有の問題を抱えています。より日本でeスポーツ大会を開催しやすくするために、なにを求めますか?
Sam:本質的にパブリッシャーが注視しているのは「ファンの意向」なんです。ファンにしっかり耳を傾ければ、どこに行くべきかを教えてくれるはずで、その結果が3年連続の札幌開催といえます。
——オフライン・オンライン双方で、今後どのように視聴体験を拡張していきたいですか?
Sam:オフラインでは、新しいカメラアングルやLEDの演出、音響システムの最適化に注力する段階にありました。ファンゾーンの拡張もそうです。オンラインでは「マルチビュー」を最高レベルで提供し、ファンが好きなチームを追いかけられるようにしています。また、日本語放送はもちろん、今年は中国語放送も追加し、10以上のクリエイターによるウォッチパーティも実施しています。

Monica:私たちが大切にしているのは「文化的真正性(Authenticity)」です。現地の音楽アーティストやパフォーマーを起用するなど、その地域の文化を尊重した演出を取り入れることで、ファンに「自分たちのためのイベントだ」と感じてもらえるよう努めています。
——Year 5では「ALGS Open」の導入や、EWC(Esports World Cup)との連携など、サーキットの構造に大きな変化がありました。これらの新しい試みは、グローバルなエコシステムの拡大という点で、どのような意味を持ちましたか?
Sam:「ALGS Open」は、普段スポットライトを浴びないチームにチャンスを与えるために導入しました。我々は誰でも参加し、競い合えるオープンなモデルを理想としています。「EWC」ではLANイベントとして新しい地域に進出することで、より多くのファンを獲得できると考えています。
——BANシステムの導入などゲームルールにも変化がありますよね。個人的に戦略に多様性が出るので好きなんですが、こういったゲームルールの変化はどのような想いで導入されているんでしょうか。
Sam:レジェンドBANについては、使用レジェンドの多様性を高めることが目的です。ファンが「自分の使っているキャラクターを使っている」という状況も生まれます。さまざまなキャラクターの活躍を見られるようにし、プロ選手には常に新しいプレースタイルを再考させる。これによって競技の奥深さが増したと考えています。
——長期的な展望と、日本のファンへのメッセージをお願いします。
Monica:我々が札幌で作ろうとしているのは、ファンコミュニティ、音楽、エンターテインメント、文化、そしてゲーミングが交差する新しいeスポーツのモデルケースです。これをさらに大きく、より良いものにしていきたいと考えています。
Sam:私からはただひと言。日本のファンの皆さんに感謝を伝えたいです。皆さんの情熱、愛、そしてサポートには、私だけでなくチーム全員がいつもインスピレーションを受けています。本当にありがとうございます。
——ありがとうございました!
最も難しいとされる会場選びにおいて、「ここしかない」とまで言われる大和ハウス プレミストドーム。広大なステージ演出、選手たちの熱気、そして地域との密接な連携、そのすべてが噛み合った空間は、やはり現地でこそ真価を発揮するはずだ。 毎年アップデートされていくという体験を、ぜひその目で確かめてほしい。世界最高峰の戦いは、今年も、そして来年も、札幌で我々を待っている。
■関連リンク
ALGS Year 5:
https://algs.ea.com/ja
ALGS APAC NORTH - JP:
https://x.com/ALGS_JP
撮影:岡野朔太郎
編集:いのかわゆう
世界中を巡るeスポーツサーキットにおいて、同一都市での3年連続開催は異例であり、「eスポーツの聖地に」を掲げる札幌とALGSの「相思相愛」と言っても過言ではない。
なぜ、札幌なのか。そして、なぜ大和ハウス プレミストドーム(札幌ドーム)でなければならないのか——。ALGS Head of EsportsのMonica Dinsmore氏と、Senior Director Esports ProductのSam Turkbas氏へのインタビューからは、日本のファンへの深いリスペクトと、札幌を「eスポーツの聖地」へと進化させようとする並々ならぬ情熱を聞いた。
本インタビューは「ALGS Year 5 Championship」開催期間中の2026年1月17日(土)に実施したものである。

▲Monica Dinsmore氏(写真左)、Sam Turkbas氏(写真右)
札幌市との密接な連携は“世界でも類を見ない”
——さっそくですが、去年に続き今年も、そして来年と3年連続でChampionshipを札幌で開催することになりました。その決め手は何だったのでしょうか?
Monica:昨年初めて札幌で開催した際、札幌市、大和ハウス プレミストドーム、そして北海道eスポーツ協会との連携が本当に素晴らしかったことが最大の理由です。ファンの皆さんの熱量やコミュニティの温かさも相まって「またここに戻ってこなければならない」と確信しました。
Sam:3年連続で開催できるというのは、私たちにとっても非常にユニークで特別な機会です。通常、世界各地を転戦する場合は毎回ゼロから学び直す必要がありますが、札幌に腰を据えることで、前年の経験を生かし、ファンの皆さんが何を求めているのかをより深く理解して、毎年体験をアップデートしていくことができます。
——札幌市のような地方自治体からの協力体制は、他の国や地域と比較して珍しいものなのでしょうか?
Monica:ここまで密接で効果的なコラボレーションは、世界でも他に類を見ません。私たちが札幌に戻ることを決めた大きな要因のひとつです。Samも言うように、この街とは非常に特別な関係を築けていると感じています。
——札幌にある特別なものをなにかひとつ挙げるとしたらなんでしょう。
Monica:大和ハウス プレミストドームです。巨大な55メートルのステージを設置できる広さがあること、大勢の観客を収容できることはもちろん、巨大なファンゾーンでブランドパートナーや地元のベンダー、チーム、選手が、ファンとシームレスに交流できる場を作れるという意味で、とても特別な会場です。

——聞いていると、国際大会の開催地選びには、会場探しが最も難しそうですね。
Sam:そうです(笑)。
会場選びは最も難しい仕事のひとつです。60人の選手が同時にプレーするためには巨大なステージが必要です。そもそもそのステージが入るのかをまず確認します。仮に入ったとしても客席が削られてしまうことが多いのですが、大和ハウス プレミストドームはその両立が可能だったんですよ。すべてが完璧です。
——北海道での経済効果やマスへ向けたメディア露出など、eスポーツと地域創生の相性の良さについてはどう感じていますか?
Monica:数字がすべてを物語っていると思います。一方で、日本のファンベースは『Apex Legends』のエコシステムにとって極めて重要です。この地域に私たちが直接足を運び、素晴らしい体験を直接届けることは、戦略的にも非常に価値があることだと考えています。

▲ファンゾーンには札幌市もブースを出展。観光のアピールや札幌市におけるゲーム開発の取り組みなどがアピールされた
——日本には巨大な会場がたくさんあります。ぜひALGS日本ツアーを開催してください(笑)。
Monica:日本航空に連絡しなきゃね(笑)。
——とはいえ、日本はビザの取得が難しいなど、特有の問題を抱えています。より日本でeスポーツ大会を開催しやすくするために、なにを求めますか?
Sam:本質的にパブリッシャーが注視しているのは「ファンの意向」なんです。ファンにしっかり耳を傾ければ、どこに行くべきかを教えてくれるはずで、その結果が3年連続の札幌開催といえます。
視聴体験の拡張、文化への敬意
——オフライン・オンライン双方で、今後どのように視聴体験を拡張していきたいですか?
Sam:オフラインでは、新しいカメラアングルやLEDの演出、音響システムの最適化に注力する段階にありました。ファンゾーンの拡張もそうです。オンラインでは「マルチビュー」を最高レベルで提供し、ファンが好きなチームを追いかけられるようにしています。また、日本語放送はもちろん、今年は中国語放送も追加し、10以上のクリエイターによるウォッチパーティも実施しています。

▲現地ウォッチパーティーを実施していた「ゆきお」さん
Monica:私たちが大切にしているのは「文化的真正性(Authenticity)」です。現地の音楽アーティストやパフォーマーを起用するなど、その地域の文化を尊重した演出を取り入れることで、ファンに「自分たちのためのイベントだ」と感じてもらえるよう努めています。
大会構造の変化と新システムの導入
——Year 5では「ALGS Open」の導入や、EWC(Esports World Cup)との連携など、サーキットの構造に大きな変化がありました。これらの新しい試みは、グローバルなエコシステムの拡大という点で、どのような意味を持ちましたか?
Sam:「ALGS Open」は、普段スポットライトを浴びないチームにチャンスを与えるために導入しました。我々は誰でも参加し、競い合えるオープンなモデルを理想としています。「EWC」ではLANイベントとして新しい地域に進出することで、より多くのファンを獲得できると考えています。
——BANシステムの導入などゲームルールにも変化がありますよね。個人的に戦略に多様性が出るので好きなんですが、こういったゲームルールの変化はどのような想いで導入されているんでしょうか。
Sam:レジェンドBANについては、使用レジェンドの多様性を高めることが目的です。ファンが「自分の使っているキャラクターを使っている」という状況も生まれます。さまざまなキャラクターの活躍を見られるようにし、プロ選手には常に新しいプレースタイルを再考させる。これによって競技の奥深さが増したと考えています。
——長期的な展望と、日本のファンへのメッセージをお願いします。
Monica:我々が札幌で作ろうとしているのは、ファンコミュニティ、音楽、エンターテインメント、文化、そしてゲーミングが交差する新しいeスポーツのモデルケースです。これをさらに大きく、より良いものにしていきたいと考えています。
Sam:私からはただひと言。日本のファンの皆さんに感謝を伝えたいです。皆さんの情熱、愛、そしてサポートには、私だけでなくチーム全員がいつもインスピレーションを受けています。本当にありがとうございます。
——ありがとうございました!
———
最も難しいとされる会場選びにおいて、「ここしかない」とまで言われる大和ハウス プレミストドーム。広大なステージ演出、選手たちの熱気、そして地域との密接な連携、そのすべてが噛み合った空間は、やはり現地でこそ真価を発揮するはずだ。 毎年アップデートされていくという体験を、ぜひその目で確かめてほしい。世界最高峰の戦いは、今年も、そして来年も、札幌で我々を待っている。
■関連リンク
ALGS Year 5:
https://algs.ea.com/ja
ALGS APAC NORTH - JP:
https://x.com/ALGS_JP
撮影:岡野朔太郎
編集:いのかわゆう
【岡野朔太郎プロフィール】
「AUTOMATON」や「Game*Spark」に寄稿するフリーライター。「狭く深く深淵へ」をモットーにシューティングやアクションゲームを貪り食って生きている。オフラインイベントが大好きで、幼少期からゲームイベントに通っているが、いまだに武蔵野線と京葉線は間違える。
X:@sakunationninth
「AUTOMATON」や「Game*Spark」に寄稿するフリーライター。「狭く深く深淵へ」をモットーにシューティングやアクションゲームを貪り食って生きている。オフラインイベントが大好きで、幼少期からゲームイベントに通っているが、いまだに武蔵野線と京葉線は間違える。X:@sakunationninth
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