【スタンミ×丹生明里インタビュー】ゲームに出会えたから今ここにいる——現役プロが父親をコーチングする「スーパーファミリーゲーミング」 が放送中

テレビ朝日で『ストリートファイター6』(スト6)を題材にした「スーパーファミリーゲーミング」 が放送中。プロ選手が父親に本気で『スト6』をコーチングして、最終的に1対1のガチンコ対決を行うという企画だ。コーチングをするのはLa VISION所属のトラボ選手に、ODD PLAN所属のざぶとん選手。

『スト6』未経験のトラボ父、かたや格ゲー経験者であり現在進行形で『スト6』をプレー中のさぶとん父といった相反するふたりが、どのようなコーチングで腕を磨いていくのか——。子が親に格ゲーを教えるといった新境地が楽しめる注目のコンテンツとなっている。

▲スタンミじゃぱん(左)、丹生明里(右)

そんな番組にMCとして出演しているのが、人気ゲーム配信者であり、モデル・俳優でもあるスタンミじゃぱんさん、元日向坂46のメンバーで、現在はYouTubeチャンネルを開設し、ゲーム配信者としても活動している丹生明里さんのふたり。

今回は、そんな「スーパーファミリーゲーミング」 の収録を終えたふたりに突撃インタビュー。番組の魅力はもちろん、私生活におけるゲームの向き合い方を語っていただいた。

親子の素晴らしさ、eスポーツの素晴らしさの両方を感じられた


——全4回の収録を終えた感想をお聞かせください。

スタンミ:率直な話、VTRが期待以上でした。このお仕事をいただいたときは、企画が新しすぎて内容のイメージがつかなかったんですけど、「こんなにも完成されたコンテンツになるのか!」って感じですね。

今回のふたりに関しては、正直「できすぎてる」部分はたくさんあるんですけど——。まあ、そうじゃなかったパターンだったとしても、おのおの家族の色が見られるという点ではどの家族が選ばれても面白い企画になるんじゃないかな。いち視聴者としてもとても楽しめました!

今回は、ほっこり×ほっこりの親子でしたが、逆にギスギスバージョンでもこの番組なら面白くなると思いますしね。

丹生:プロの選手が配信者の方や一般のプレーヤーさんにコーチングするというのは聞いたことがあるんですけど、自分のお父さんというのは初めての感覚だったので、もうめちゃくちゃほっこりしました!

家族によっては親子の関係性はいろいろあると思うんですけど、今回の企画を通して、またeスポーツを通して親子の愛が皆さんに届けられるというのはとても貴重な体験だと思います。親子の素晴らしさ、eスポーツの素晴らしさの両方を感じられた番組でした。

多分、出演されたおふたりも相当濃厚な家族愛を感じられた時間だったと思いますし、私も「優しくありたいなー」みたいな気持ちになれました(笑)。


——個人的に印象に残ったシーンはありますか?

スタンミ:僕はトラボさんの家庭内会話ですね。うちの家庭だとないような会話をナチュラルにできてるっていうのが本当にエモくて——。親子だとこっぱずかしいようなこともガンガン言うっているんですよ。例えば、スタッフさんの質問に対して「親子なんで(大丈夫です)」みたいな。

トラボさんの家庭はああいったテンションをこっぱずかしいなんて思っていない。当たり前の家庭に対する尊さを感じたというか、そういった部分が対戦の活力にもなっているんじゃないかと感じました。「やっぱりゲームって気持ち(も大事)なんだなー」って。

丹生:私はざぶとん選手のお父さんが対戦会に行ったときのシーンです。ざぶとん選手は中学校時代、なかなか学校に行けなかったという背景があったと思いますが、さぶとん選手がゲームを通していろんなプレーヤーさんと交流している姿をお父さんが見て、「このゲームに出会えてよかった」と感動されていたシーンが心に響きました。

今回、選手の方がお父さんにコーチングするという企画なので「教えてもらったから勝ちたい!」という気持ちは強くある中で、お父さん視点として今まで見られなかった息子さんの活躍が見られる姿が見られたというのはうれしかったんじゃないかなと思いますね。

——今回の企画のように、子として親御さんに何か教えたという経験はありますか?

スタンミ:僕はめちゃめちゃありますね。僕は男性アイドルが好きなんですが、父親や母親は最近のアイドルはみんな同じ顔に見えるっていうんですよ(笑)。だから「この人は○○で〜この人は▲▲で〜」っていうのを常々してますね。

あと、僕が配信でほかの配信者さんとコラボすると、僕以外の声はみんな同じに聞こえるみたいなんですよ(笑)。だから、「今話してるのがVTuberのだれそれで〜」っていうのをLINEでやりとりすることもありますね。


丹生:私は逆に教えてもらうことばっかりで教えることはあまりなかったんですよ。どちらかというと“威厳のある父”なので——。今時の言葉なんかは教えることはありましたが、私が大好きなゲームをお父さんに教えられたらいいなってこの番組を見て感じました。

今までゲームに関する会話はほとんどなかったので、こういった機会で共通の話題が作れたらいいなぁって憧れちゃいました。

——おふたりは『スト6』のほかに、スタンミさんは『リーグ・オブ・レジェンド』、丹生さんは『VALORANT』も得意なゲームだと思いますが、今回の企画のように親御さんにゲームを教えてみたいと感じましたか?

スタンミ:僕はめっちゃ教えてみたいんですけど、僕のお母さんってめちゃめちゃゲーマーなんですよ。俺よりうまいんじゃないかな。

丹生:えーっ、お母さんが!?

スタンミ:うん。俺の配信を見て「下手くそすぎるだろ!」ってLINEが来るくらい(笑)。まー、我が強い父と母なんで面白い形にはなるんじゃないかな。

丹生:私もやってみたいです! お父さんでもお母さんでもいいなぁ。ふたりともそこまでゲームをプレーしているわけではないので、今回のような格闘ゲームを教えたらどんなふうになるんだろうって。なんか気合いがすごそう(笑)。

スタンミ:威厳ある父だもんね(笑)。

丹生:そうそう!


ゲームに出会えたから今ここにいる
ふたりにとってゲームの魅力とは


——おふたりにとってゲームとはどういったものでしょうか。ゲームに出会って良かった、また人生が変わったことなどあればお聞かせください。

スタンミ:ゲーム出会って良かったことかぁ。んー、多分俺の人生って、ゲームしなくても絶対いいものになってるんですけどね(笑)。

(一同笑い)

スタンミ:まあでもゲームに出会えたからこそ、こうして番組にも出られているし、今インタビューを受けられているし、丹生さんとも出会えているし——。そういった感じで、ゲームをしている世界線の人たちと仲良くなれたり、そういった世界で生きているのが面白いなぁって感じてます。

先ほども、昔から僕の『リーグ・オブ・レジェンド』の配信を見ている人がスタッフの中にいらっしゃって、今こうしてその方たちと一緒にお仕事しているのもゲームをしていたからですしね。

なのでゲームをしていたからドーンと人生が変わったというよりは、もう人生のすべてが関わっているって感じですね。全部が100点!


丹生:ゲームをすることでより仲良くなれた方々もいますし、ゲームを通じてお仕事でも仲良くなって、家に帰ってもオンラインでゲームを通じてより仲良くなれる——。ひとつのコミュニケーションツールとしても素敵な存在だと思っています。

私も今回の企画のようにコーチングを受けて大会に挑むといった経験もしたことがあったので、「本当にゲームをしていて良かった」って。

ゲームが好きだから今回のようなお仕事をいただけたり、出会いがあったりするので、(ゲームには)感謝してもしきれない存在です。

——おふたりにとってゲームならではの魅力はなんでしょうか。

スタンミ:人目を気にせず人が殴れるところ!(笑)。

(一同笑い)

スタンミ:って半分冗談で半分本気なところもあるんですけど、ゲームって空を飛んだり、銃を撃ってみたりとか、普段できないようなことを疑似体験できるっていうのは、ほかではなかなか得られないことなんじゃないかな。

アニメが好きでよく見るんですけど、例えば温泉旅館で働くことになった主人公を描いている「花咲くいろは」みたいな、お仕事を題材にした話が結構好きなんですよ。僕はアルバイト経験しかないので、自分がしたことのない体験を、アニメを通じて味わえるみたいな——。

ゲームはそれの最たるもので、魔法が打てる楽しさとか、ゲームを通じて普段できないことが気軽にできるというのは最高のコンテンツだと思っています。

丹生:確かに現実世界では味わいないことをゲームで味わえるのは楽しいなって。

スタンミ:えっ、人殴りたいの?(笑)。

(一同笑い)

丹生:ちがうちがう、殴りたいわけじゃないんです(笑)。

そのほかでいうと、ゲームがきっかけで動画編集に興味が持てたり、ゲーム実況をやってみたいという道が開けたり、ゲームを通じていろいろやりたいことの幅が広がるのもゲームの魅力だと思っています。


——卒業セレモニーでもゲームイベントがありましたもんね。

丹生:まさにゲーム好きだからこそ、今までできなかったゲームイベントができたのはうれしかったですね。あと、私の配信を通じて「丹生ちゃんがこのゲームやってたから、私もやってみたらはまったよ〜」みたいな声をいただくこともあったので、いつかはファンの皆さんと一緒にゲームをできる場所が作れたらうれしいなぁ。

——今回番組でも採用された『スト6』の魅力もおうかがいしたいです。

スタンミ:「全部自分のせい」だというところです。勝とうが負けようが何をしても「自分のせい」。チームゲームをやっていると、コミュニケーションやチームワークとかさまざまな要素がありますが『スト6』にはない。

ただ己の中の己と戦うだけっていうシビアさが面白いし、イラつくし、その反動でまた面白くなるしって思いますね。あとは「モダン操作」の存在ですね。

僕はモダン操作がなかったら『スト6』やってなかったんで——。それだけクラシック操作って敷居の高いものなんですよ。そういった敷居が高いとされる格ゲーのジャンルを「モダン操作」のおかげでやらせてもらえてハッピー!

すげームズいんだからクラシック。やってみてよ。(丹生さんを見て)

丹生:私もできないですよ!

スタンミ:本来ならば、1週間とかトレーニングモードでずっと練習しないとまともにキャラクターを動かせなかったジャンルなのに、『ストV』の時点であれだけの人気があったのが格ゲー。その人気のジャンルに「モダン操作」のおかげでやらせてもらえて、ハッピー。


丹生:私も、本当に自分が頑張った分だけが出るゲームだと思っています。その分他責にはできないし、全部が自分の責任に降りかかってくるので、自分との戦いなのが楽しめるのが魅力的ですね。

——ありがとうございました!


———

「スーパーファミリーゲーミング」のテーマは“eスポーツ×家族の絆”。コーチングを通じて、親子が力を合わせて真剣にeスポーツと向き合う姿勢は、いままで見たことがない企画だ。

収録後、スタンミさんは「いい意味で裏切られた」と番組の出来栄えを絶賛。筆者も同じ意見で、ここまでアツくなるとは思わなかったという、ひとつのドキュメンタリーを見ているような、そんな気持ちになった。

ふたりが言うように、eスポーツは新しい自分を見つけられるツールであり、同時に新たなチャレンジを切り拓く舞台でもある。そこには単なる競技を超えた、人と人、そして未来をつなぐ力があるのかもしれない。

そんなついつい次回が気になってしまう「スーパーファミリーゲーミング」はTVerでも放送中。まだ1回目を見ていない人も、もう一度見たい人もぜひ下記URLからチェックしてほしい。


■関連リンク
スーパーファミリーゲーミング #1(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/epp4rvjibt

スーパーファミリーゲーミング #2(見逃し配信):
https://tver.jp/episodes/ep4ye2m293

スーパーファミリーゲーミング【公式】:
https://x.com/sfg_tvasahi

スタンミじゃぱん:
https://x.com/sutanmiJPN

丹生明里&マネージャー
https://x.com/nibuchan_staff


【番外編】スタンミが描くゲーム以外の道は?

——スタンミさんは本態性振戦(手が震えるなどの病気)が発覚して俳優の夢を諦めたというエピソードを別の記事で拝見しました。その時に目標を失ってゲーム配信ばかりするようになったという心境はどういったものだったのでしょうか。

スタンミ:これは俺の手札の話になるんですけど。

——手札?

スタンミ:つまり、手の震えで俳優を諦めたとしても自分の持っている剣で戦うしかないんですよ。たとえそれがオンボロだったとしてもね。だからゲーム配信していたころも、別に劣等感は感じなかったし、俺の剣を振るう場所がここ(ゲーム配信)になっただけという感覚でしたね。

ほかの人の持っている剣がどんだけ研ぎ澄まされていようが俺には関係ない。逆にこのオンボロの剣を振らないまま鞘に収まっている方が嫌だったんで、がむしゃらに振りまくっていたのがあの頃です。

その中で得意なフォームが見つかったのが“ゲームだった”っていう感覚かな。なのでその時の気持ちはプラスでしかなかったです。


——最近は俳優業にも力を入れていますが、監督やストーリーを作っていく側の活躍も考えることはありますか?

スタンミ:僕自身、何かをプロデュースすることは好きだし得意な部類だと思っていますが、現時点ではその場所は奥すぎる。今俳優に集中している中で、副産物的に生まれることだと思っているんで、目指しているとかは言えないかな。

そういう立ち位置って、今やっているものが極まったあとにあるものだと思っているんで。

僕の生きるルーティーンとしては「常に何かを作り続けたい」ということです。今回ショートドラマを作りましたが、次もまたショートドラマを作って、その先にはミュージカルにも挑戦してみたいと思っています。

それは監督を目指しているからというわけではなく「技術を高めたい、日々を幸せにしたい」という思いからです。結果的にそういう道に進むこともあるかもしれませんが、まずは「作ること」自体が僕にとって大切なんです。

こういうことをやっていった先に、もしかしたらそういうことになるかもね〜ってくらいですね。


撮影:いのかわゆう
編集:いのかわゆう


【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『Bloodborne』。

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