【インタビュー】いま話題の“双子”大学生ゲーマー「2WINz」——なぜ彼らは『スト6』ではなく『2XKO』を選んだのか

2025.11.25 小川翔太
大学を休学して、格闘ゲームのプロを目指す“双子”ゲーマーがいる。2WINzのトシさん(兄)とハルさん(弟)だ。

▲左トシさん(兄) 右ハルさん(弟)

双子である「2WINz」がデュオ推奨の格闘ゲーム『2XKO』のプロゲーマーを目指して活動している。それだけでも十分な話題性なのだが、ここで重要なのが、彼らが「強い」ということだ。

2025年11月23日(日)、東京都渋谷区の「シブヤeスタジアム」で開催された『2XKO』のオフライン賞金制大会「JAPAN KNOCKOUT Presented by PLAYBRAIN」(以下 JPKO)で準優勝、賞金1,500ドルを手にした。ちなみに、本大会の優勝者は『ドラゴンボール ファイターズ』の有名プレーヤーいこあん選手。「2WINz」はオフライン決勝に残った唯一の日本人デュオプレーヤーだった。

「なぜ人気のスト6ではなく2XKOなのか?」
「プロチームから声が掛かっているのか?」
「ふたり同時の休学は親から反対されなかったのか?」

気になることがありすぎるので、試合後の彼らに聞いてみた。

『2XKO』とは

チームワークが勝利の鍵となる、2対2で戦う対戦格闘ゲーム。ソロでのプレーも可能だが、1キャラクターを1プレーヤーが操作するデュオプレーも楽しめる新感覚のタイトル。

また、『リーグ・オブ・レジェンド』や『Arcane』に登場するチャンピオンがプレーアブルキャラクターになっていることもあり、現在アーリーアクセス中でも注目のコンテンツとなっている。


https://2xko.riotgames.com/ja-jp/

『スト6』ではなく『2XKO』を選んだ理由は?


──現在格闘ゲームの競技シーンでは『スト6』が人気ですが、その中でも『2XKO』を選んだ決め手はなんだったのでしょうか。

ハル:『スト6』もふたりでプレーしていましたが、デュオでプレーできる格闘ゲームである『2XKO』に可能性を感じました。

トシ:「双子のデュオで活動をして、強くなれば、注目を集められるのではないか」と思いました。

ベータ版が出た当時から『2XKO』を本気でやろうというのは決めていました。1年以上前から準備を進めてきて、リリースのタイミングで休学することも含めて計画していたんです。

──どちらが言い出しっぺなのでしょうか。

トシ:Project L」として情報が出たときに、僕が見つけてきてハルに教えました。

ハル:トシが『2XKO』を見つけてきて、僕が「この活動をやろう!」って言ったと思います。

トシ:たしかにそうだったかも!


──昨今のeスポーツシーンでは「強い」だけでは注目されない——。そんな中、「(双子なら)注目を集められる」というのは、めっちゃ打算的で面白いですね。ゲーム性の部分で「双子であること」が優位に働く部分はありますか?

トシ:「阿吽の呼吸」の連携だと思います。一緒に住んでいて、一緒に練習する時間が長いのは、双子である僕らの利点です。

実際、一切声をかけ合っていないのに、僕が「そろそろアシストしたい」と考えていると、ハルが「僕からのアシストが来る前提の動き」をする時があります。僕としては「なぜ言ってないのに分かるんだ(笑)」といつも驚いています。

ハル:雰囲気で「絶対、ここでトシからのアシストが来るな」と分かるんですよね。

──なるほど。「長い時間を共にしている」おふたりの連携が優位に働くんですね。ちなみに生活スタイルもバラバラな人たちでも、『2XKO』のデュオプレーはおすすめできますか。

トシ:もちろんです。海外では強いプレーヤー同士がデュオを組んで、そのまま大会で優勝した例もあります。

ハル:ソロでプレーしてきた人たちでも、ある程度の練習時間があれば(デュオプレーに)適応できるゲームだと思います。デュオならではの敷居の高さがあるゲームではないと感じています。

ただ、大会で1位を目指してやるとなると、相当一緒に練習しないといけないので、競技的にデュオで活動していくのは難しさもあるでしょう。

トシ:今はリリース直後なので分かりませんが、例えば週に2〜3回しか一緒にできない方たちでも、それを継続したら絶対に強いデュオになれるはずです。

今後(僕たちみたいな)デュオ専門プレーヤーが出てくるかどうかには、注目したいですね。

──確かに強いプロ同士が一時的にデュオを組んで出場する——というケースはありそうですが、おふたりのような「デュオ専門のプレーヤー」となると珍しそうですね。

トシ&ハル「プロになるので休学します」
親御さん「いいよ」


──おふたりは『2XKO』に注力するために大学を休学しているそうですが、親御さんから反対はされなかったのでしょうか。

ハル:「『2KXO』で活動していきます」と伝えるとすんなりOKをもらいました。

トシ:驚いてはいましたが「やるなら頑張ってみなさい」と前向きに賛成してくれました。

ハル:反対されると思っていたので、賛成してくれてありがたかったです。

──現在、大学4年生で休学中とのことですが、進路に対する不安はないのでしょうか。

トシ:不安はあります。就職活動もしておらず(2XKOでの活動が)うまくいかなかったら終わりなので……。

ハル:相当人生がかかっていますからね。

──復学や卒業についてはどう考えていますか。

トシ:将来的には、卒業するつもりです。親からも「絶対に卒業はしろ」と言われています。

──卒業後は、やはり「プロゲーマー」を目指しているのでしょうか。

トシ&ハル:もちろんです!

トシ:『2XKO』のプロゲーマーになりたいと考えています。


すでにプロeスポーツチームから声が掛かっている


──おふたりは格ゲー歴2年とは思えないほどの腕前をお持ちですが、プロeスポーツチームからのお声がけはありますか。

トシ:はい。2チームからお声がけいただいています。

ハル:最初のチームは配信活動を開始してすぐ、つい1カ月前ぐらいの、早いタイミングでお声がけいただきました。あと実は先ほどJPKOの試合終了直後にオファーをいただきました!

トシ:どちらも非常に前向きに検討させていただいております。

ハル:正直、運が良ければ早めに声をかけてもらえるのではないかと思っていた節はありましたが、いざオファーいただくと、とてもびっくりしましたね。

──好きなプロ選手や憧れの方はいらっしゃいますか?

トシ:Crazy RaccoonのShutoさんと立川さんですね。

ハル:おふたりとも強くて面白いので好きになりました。

トシ:配信をたくさんされているので目に映る回数も多いですし、それもあって好きになりました。

格ゲーマー双子あるある!?
「60回対戦したら30勝30敗になる」


──双子のeスポーツプレーヤーって普段はどのような生活スタイルなのでしょうか。

トシ:ふたりで生活リズムを合わせるようにしていて、同じ時間に起きて同じ時間にご飯を食べて、ゲームの時間をたくさん取っています。遊びに行く日も、お互いに同じ日に設定するようにしています。

──生活リズムを意図的に合わせているんですね。「これは双子っぽいな」みたいなエピソードはありますか。

ハル:なんかあるかな(笑)。『スト6』で対戦していた時の話ですが、60戦やると30勝30敗になるんです。

トシ:ランクマッチはハルの方が強く、レートも上ですが、ふたりで戦うとなぜかいつも五分五分になるんですよね(笑)。

──面白いですね。ハルさんは初見の相手に強く、トシさんは相手の癖を読むのがうまいタイプなのかもしれませんね。それにしても本当に格ゲー歴2年なんですか? 今日の試合を見ていて驚きました。

ハル:本当に2年です。あっ、ただずっとスマブラをやってきました!

──だからか! ちょっと納得いきました。


ずっと「双子」売りするのはキツイ、「実力」で勝ちあがる


──逆にずっと一緒にいることがストレスに感じることはありませんか?

トシ:ずっと一緒に過ごしてきているので、もう慣れています。

ハル:ケンカも無限にしてきましたしね(笑)。今でも、ゲームのことでもケンカしますし、日常的なことでもちょこちょこ。

トシ:もはやケンカしすぎていて、何のことでケンカしたかも覚えていないくらいです(笑)。
それでも仲良くやれるのは、小さい頃から今までずっとそれを繰り返してきたからこその慣れです。

──練習される時は基本的にふたりでの合わせ練習がメインなのでしょうか。

トシ:朝起きてゲームをつけて、30分ほど個人でキャラクター練習をして、その後は合流してずっとふたりで合わせています。

トシ:新しいキャラクターを使ったら、しばらくはソロ練習の時間がほしいですが、基本的にはふたりでやる練習の方が大事だと思っています。

──将来的にもずっと「双子ゲーマー」として活動していく予定ですか。

トシ:ずっと続けるのは(世間のニーズ的に)しんどそうだなと思います。その頃までには、双子としてはもちろんですが、個人の実力もつけていくことが重要だと感じています。

ただ、今はとにかくふたりで『2XKO』のデュオを極めることしか考えていません。

──本日はありがとうございました!

———

インタビューを経て「いま若い世代が、本気でプロゲーマーを目指すのであれば、こうあるべきだ」という模範をみたような気がした。彼らは「今の時代にプロゲーマーになるには、どういう立ち回りをすべきか」を直感的に理解しているのだろう。

彼らは「強いだけがプロゲーマーではない」と知っている。すでにプロeスポーツチームから声が掛かっているのも当然の結果だろう。彼らは早い段階から配信活動や『2XKO』に関する情報発信を積極的に行い、コミュニティに対して自然と手を差し伸べるような活動もしているからだ。

対メディアの受け答えも申し分なく、何よりも異常なまでに自分たちの「見え方」が客観視できていることに驚嘆した。自分たちの“特徴”を正確にとらえて、「どこであれば勝てるか」「どこであれば必要とされるか」を考えている。彼らは未来の2XKOアンバサダーだ。


■関連リンク
2WINz X:
https://x.com/2WINz25


撮影:小川翔太
編集:いのかわゆう


【小川翔太プロフィール】

SEとキャリアコンサルタントを経て、eスポーツジャーナリストに。競技プレーヤーとして「MTG(マジック:ザ・ギャザリング)」の世界大会(プロツアーホノルル2016)出場経験あり。プレーヤー視点、メディア視点、両方の側面から情報発信します。

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