【「RBHG2024 APAC Qualifier」優勝 T1インタビュー】MeteorはCLZ、BuZzはCGZ、staxはZETAに注目!「ZETA戦の敗北で成長できた」というオフシーズン国際大会の意義

2024.10.21 宮下英之
2024年10月19日(土)〜20日(日)にかけて両国国技館で開催された『VALORANT』のオフシーズン公式大会Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier」(以下、RBHG2024 APAC)。アジア地域から招待された5チームと、日本予選を勝ち抜いた1チームの計6チームから、優勝チームだけが11月20日(水)〜23日(土)にドイツ・ベルリンで開催される決勝大会「Red Bull Home Ground 2024」に参戦できる。

19日に行われた予選のグループステージは、Bo1(1ゲーム先取)での1マップ勝負。T1は初戦のZETA DIVISION(ZETA)に敗れたもののCREST GAMING Zst(CGZ)に勝利し、2位で準決勝に駒を進めた。そして、この日に行われた準決勝はBo3(2ゲーム先取)で、Rex Regum Qeon(RRQ)に勝利して決勝進出を決めた。

そして、明けた20日はBo5(3ゲーム先取)にてZETAとの決勝戦。前日の課題を修正して挑み、ゲームカウント3-1で優勝。わずか2日間だけの大会ながら、実戦の中で少しずつチームの練度を上げ、個の強さをチーム力に変えていったところはさすがT1という見事な試合だった。

優勝トロフィーを掲げるT1

本記事では、T1の優勝セレモニー直後に行われた配信終了後の壇上インタビューの一部(インタビュアーはOooda氏と岸大河氏)と、セレモニー終了後のメディア向け合同インタビューのコメントをお届けしたい。

今大会の実況・解説・レポーターのみなさん。壇上インタビューはOoodaさん(左から3番目)と岸大河さん(左から2番目)が行った


参戦チームへの大会直前インタビューはこちら。
・【ZETA DIVISION VALORANT部門インタビュー】 Lazなき新星ZETA初お披露目!——XQQ「俺が抜けたらまたLazが、たまにcrowが戻ってきたりする」
https://esports-world.jp/interview/43284
・【DetonatioN FocusMe VALORANT部門インタビュー】 ArtのIGLがDFMを変える!? 超大型ルーキーgyenも加入した新生DFMの意気込みを聞く
https://esports-world.jp/interview/43299
・【CREST GAMING Zst VALORANT部門インタビュー】 “実質日本最強チーム”は、Tier1チームにどこまで迫れるか?
https://esports-world.jp/interview/43324
・【Talon Esports、T1、Rex Regum Qeon インタビュー】 「Red Bull Home Ground APAC」での日本のライバルチームの仕上がり具合は?
https://esports-world.jp/interview/43221


試合後インタビュー:iZu「個々の選手の強さがIGLのstaxを助けて勝てた」



──Meteor選手、優勝した感想をお聞かせください。

Meteor:日本で2本目のトロフィーを掲げることができました。これからももっとたくさんのトロフィーを掲げたいと思います。応援してくださってありがとうございます。

──来年、Meteor選手が警戒しているリージョンなどありますか。

Meteor:僕は世界の試合に何度も出たことがありますが、最近はアジアのチームをすごく警戒しなければならないと思っています。日本のチームもすごく成長しているので、警戒しています。


──T1というチームを俯瞰で見てどんなチームでしょうか?

Meteor:まだチームとして合わせてからあまり時間が経ってないんですけれども、今日こうして優勝できたので、これからも期待できると思っています。今のメンバーは攻撃的なプレーがすごくうまいので、その部分を活かしてこれからも優勝を目指していきます。

──ちなみに、帰国前に「一蘭」に寄りますか?

Meteor:実は明日帰国で、今日はこの後優勝のお祝いにみんなで行くので、ちょっと行けそうにありません……。次の機会にまた来日したら行きたいと思います。

──iZu選手、今のお気持ちを聞かせてください。

iZu:(以後、日本語でコメント)久しぶりに日本のファンのみなさんの前で大会ができるのが嬉しいです。このメンバーで優勝できて本当によかったと思います。


──練習期間はどれぐらいありましたか。

iZu:多分1週間もしていないと思います。

──それでもこれだけ強いT1の秘密は?

iZu:今のT1はみんなの基本能力、撃ち合いが強いので、多分それがstaxのIGLを助けて勝てたのだと思います。

──今大会でもメタ構成、オフメタ構成などが出ましたが、選手として大変でしたか?

iZu:大変ではあったと思うんですけど、メタ構成だけじゃなくてオフメタ構成もやることで、ゲームの知識が非常に上がると思います。

──BuZz選手、優勝の気持ちを聞かせてください。

BuZz:優勝できてすごく嬉しいです。2025年シーズンが始まる前にいいスタートが切れました。東京では去年の「Red Bull Home Ground」とか「Masters Tokyo」でうまくいかなかったの、ジンクスとまではいかないのですが、ちょっとあったような気がしていました。それを打ち破ることができたのがすごく嬉しいです。皆さんの前でこうやってトロフィーを掲げることができてよかったと思っています。


──現状のネオン環境について、BuZz選手はどう感じていますか?

BuZz:(ネオンは)すごくOPだと思うので、やっぱりナーフは入ってもらいたいですが、ナーフされる前に使うこともチームとしての能力だと思うので、T1としても使いたいと思います。

──ちなみに、stax選手はBuZz選手の横で「ゴミ、ゴミ」と言っていました(笑)。Sylvan選手、優勝のお気持ちはいかがですか?

Sylvan:僕が『VALORANT』を始めて4年なんですけれども、トロフィーというものを一度も掲げたことがありませんでした。今回、チームメイトたちのおかげで掲げることができて、チームメイトたちとコーチ陣に感謝しています。


──新たなチームになって合わないこと、逆にこのメンバーでうまく戦えたことなどあれば教えてほしいです。

Sylvan:やっぱり意見が合う部分の方がすごく多いです。僕が平凡なプレーをしていても、チームメイトたちがすごくうまくプレーしてくれる感じがあります。なので、うまくいかない、合わない部分はないです。

──Autumnコーチにも、今のお気持ちを聞かせてください。

Autumn:練習はほぼできてないような状態で大会に臨んだわけですけれども、もう選手たちのレベルが本当に高かったので、こちらの言うことを早く理解してくれて、素晴らしいプレーを見せてくれました。選手たちが本当に素晴らしくて感謝しています。

──これからのT1をどうしていきたいとお考えですか?

Autumn:当然、2024年に関してはうまくいかなくて、ファンの皆さんをがっかりさせてしまいました。なので、2025年はT1のファンであると自信を持って言えるような、そういう1年にしていきたいと思っています。

──新たな知識と経験を持った選手がT1に加入し、最初の大会である今回の「Red Bull Home Ground APAC Qualifier」で、どのように調整していくお考えでしたか?

Autumn:とにかくレベルの高い選手たちが入ってきてくれたので、チームの方向性としてはすごく期待していました。選手たちが本当にうまいので、理解力がすごく早いという点も強みですし、今回その一歩を踏み出すことができました。

──carpe選手は2024年のシーズン、そして今大会で、どんなふうにチームメンバーをサポートされたのでしょうか?

carpe:僕にとって重要なことはチームの優勝なので、自分が厳しい立場だとは思っていません。自分にできることをして、大会に向けてベストを尽くしてサポートできたらと思います。


メディア合同インタビュー:Autumn「全チームが準備不足の中でベストを尽くす、いい大会だった」


ここからは、セレモニーを終えた後のメディア向け合同インタビューの内容をお届けしよう。

──あらためて「Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier」での優勝、おめでとうございます! stax選手、今大会で優勝できる自信はありましたか?

stax:このメンバーで勝つ自信はありました。結果がついてきてくれましたが、どんな結果になったとしても成長するというマインドで望んでいました。


──この2日間で最も印象に残ってるチームはどこですか。

stax:やっぱりZETAが印象に残っています。もちろん勝つ自信はあったんですけれども、油断しないようにしていて、本当にうまかったなと思います。

──この大会は、T1というチームにとってどんな大会になりましたか?

stax:今回は練習期間も長くなかったので、選手個人個人の長所を知っていく時間だったと思います。とにかく「成長しよう」というマインドで臨みました。

──Meteor選手とBuZz選手、印象に残った選手はいますか?

Meteor:CLZ選手がやっぱり印象に残っています。2v4を2回されてしまったので……。

BuZz:僕としてはこの選手という人はいないんですけれども、CGZが印象に残ってます。経験もあまりなく、若い選手が多いチームだと思うんですけれども、こういった大きなオフラインの大会にもかかわらずすごくいい試合をしていました。


──今大会は昨年と異なり「APAC Qualifier」という予選ですが、オフシーズンにこういう大会をやることの意義について、Autumnコーチとstax選手はどう思いますか?

Autumn:すごく大きい大会だと思いますし、世界大会の予選ということでチームとしては準備不足という点はあります。ですが、すべてのチームがベストを尽くしているっていう感じがしますし、そういった経験を積む上でもすごく役に立ったので、意味のある大会だと思っています。


stax:去年と違って、リビルディングされた(チームメンバーが変わった)状態ですぐに世界大会でトップレベルのチームと対戦する形ではなく、アジアの中だけでお互いに成長しながら戦えるシステムがすごく気に入っています。

──韓国のチームは「VCT Assension」からまた1チームが昇格しますが、韓国のチームが強い秘密を教えてください。

Meteor:勉強が嫌いな子どもたちがゲームをするというところと、韓国にはPCバンという韓国式のネットカフェの文化があって、本当に幼い時からゲームをする環境があるので、そのおかげだと思います。

──新チームで実際に大会で戦ってみて、良かった点と課題だと思う点があったら教えてください。

Autumn:我々は練習し始めてからまだあまり時間が経ってないんですけれども、今大会を通じていろいろなチームとすごくクオリティの高い試合ができたと思います。これらの試合を通じて、我々に足りない部分をチェックできました。

最初にZETAと対戦した時には負けてしまいましたが、その時にコミュニケーションの部分に問題があるとわかり、チーム内でたくさん話し合って修正していくという形を取りました。試合を重ねるにつれてどんどん良くなっていって、昨日のRRQ戦から今日のZETA戦にかけて、すごく高レベルな試合ができて成長できたと思っています。

───

大会はT1の優勝というかたちで終わったものの、日本にとってはZETAがT1に肉薄したこと、そのZETAとDFMがほぼ互角に渡り合えたこと、そしてTier2から勝ち抜いたCGZもAPACのチームを相手に十分に戦える実力を示したということが大きな収穫だった。

発売から4年が経過した『VALORANT』だが、日本では特に世界と比べても人気が高く、日本から世界で活躍できるチームも増えている。毎年チーム編成が変わってはいるものの、そのたびにgyen選手のような若手のホープが登場し、新たな強さを見せるようにもなっている。

「Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier」はあくまで2025年シーズンの序章でしかない。今回実力を示した参戦チームだけでなく、これから編成されるであろう日本チームもまだまだ時間をかけて再構築されていくはずだ。

ZETAとDFMを筆頭に、世界で日本チームが活躍するチームが登場することを願いつつ、APAC代表のT1のベルリンでの活躍にも期待したい。




Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier:https://esports-world.jp/tournament/40791

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