【インタビュー】V3 Esports Ace選手:「PCS プレイオフ」の手応えと夏に向けての課題「手札を増やしてコールを簡潔に」

2024.3.14 スイニャン
リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の国内プロリーグ「LJL」の大会形式が今年2024年から変更になり、国内上位3チームが「PCS 2024 Spring Splitプレイオフ」で、PCS地域およびLCO地域のチームと対戦し「MSI」出場を目指す形式となった。

「LJL Spring Split」において3位で「PCS Playoffs」進出を果たしたV3 Esports(V3)は、3月11日(月)にBeyond Gaming(BYG)と対戦し、惜しくも0-2で敗北。もう一度負けたら敗退という厳しい状況のなか、3月13日(水)にGround Zero Gaming(以下GZ)戦に臨んだ。結果は残念ながら0-2で敗退が決まったものの、一昨年からのチーム低迷期を思えば大健闘と言えるだろう。

筆者は現地取材を通じて試合終了後にミッドレーナー・Ace選手にお話を伺ってきたので、早速インタビューをお届けしたい。

※「LJL」の公式サイトでは「Acee」という表記になっていますが、本記事中ではご本人の意向により、元々のプレイヤーネームである「Ace」としています。

ヨネのピックは自分の意志


──まずは試合お疲れさまでした。前回のBYG戦の敗北から1日空いての試合でしたが、どんなフィードバックを経て今日のGZ戦に臨みましたか。

Ace:チーム内で作成している、チャンピオンの優先順位を決めるティア表を再確認しました。それに従ってスクリムで試したところ悪くなかったので、これで行こうとある程度決めてから、今日の1戦目を戦ったんです。

Ground Zeroとの1戦目


──1戦目は勝てそうだっただけに、すごく惜しかったですね。

Ace:最初、レベル1~2あたりでスクリムでは出ていないようなミスが出てしまったのですが、慣れているピックだったので立て直すことができました。このままいけば勝てるという感じになったところでまたミスが2個ぐらい出てしまって。1戦目で負けたのが大きかったかなと思います。

──途中まで、レナータ・グラスクのアルティメットからのキャッチもうまくいっていましたよね。

Ace:Shernfire選手のオフェンシブなプレイのカウンターとして、レナータが刺さっていたと思います。バンピックも問題なかったですし、インゲームでミスしたのが響いてしまって、本当に悔しい気持ちになりました。

──2戦目は、まさにそのShernfire選手が大暴れしていた印象がありました。

Ace:そうですね。2戦目については、HW4NGコーチが「後悔のないように」と僕にチャンピオンを選ばせてくれたんですよ。

Ground Zeroとの2戦目


ヨネがフェイを相手にレーンで有利を取り切れるかといったら難しいですが、僕は今までずっと皆に合わせるようなピックをしてきたのに結果が出なかったじゃないですか。それだったら「ヨネをやりたい」と言ったんです。

だけど僕もレーニングが良くなくて……。後悔はしていないんですけど、その分、初日や1戦目の試合が惜しかったなと思いますね。

──では、ジェイスはフレックスとしては考えずに、最初からトップで起用するつもりだったのでしょうか。

Ace:そもそも向こうが結構ジェイスを使うチームだったので、相手に使われるくらいだったらこちらで先に取り上げてしまおうという意図がありました。ほぼトップで使うつもりではあったものの、TaNaには「俺が使ってもいいよ」とは言ってあった状況で、相手がフェイを出してきたのを見て、僕はジェイスがメイジ相手にそんなに良いとは思っていないのでヨネを選んだんです。

CS差をつけられてしまったのが良くなかったですが、1コアのタイミングではサイドでフェイに勝つことも多かったので、それまでチームが耐えられていたら可能性はあったと思います。

「PCS プレイオフ」で学んだ弱点と課題


──「LJLプレイオフ」のインタビューで「初めての国際戦のときはうまくできなかったので、次は良いところを見せたい」と話していましたが、前回よりうまくやれた感触はありますか。


Ace:今日のヨネの試合はレーン戦で負けちゃったんですけど、初日のBYG戦では、自分としては負けていなかったと思っています。初めて「Worlds」に出たときは緊張してやりづらかったんですが、今回は全然緊張しなかったので経験が助けになったかなと思いました。

──「PCS」に参戦することで、海外チームと戦う機会が増えました。実際に2チームと戦ってみて、どんな点において「LJL」チームとの違いを感じましたか。

Ace:「LJL」ではあまり出てこないピックが出てきて、相手チームのチャンピオンプールの広さを感じましたね。こちらは結局TaNaがキャリーするという形なのでバンピックも読まれやすく、プレイスタイルがひとつしかないというのも弱点だったと感じました。

──今回の「PCSプレイオフ」を通じて、学びや得たものがあれば教えてください。

Ace:今回戦ってみて、強いチームは不利にならない形がいつでも継続できている。個人のいるポジションがうまいんですよね。僕らもそこは学べたと思います。あとは、コールの事前説明が多すぎるのが良くなかったなと感じました。うまいチームは簡潔なコールができているので、それも夏に向けて改善すべき課題だと思っています。

日本人メンバーの成長がV3躍進につながった


──早くも「Summer Split」に気持ちが向かっているんですね。そもそも「LJL Spring Split」での成長がとても印象的でしたが、V3が3位まで躍進できた理由は何だと思いますか。

Ace:一番は韓国人選手2名が入って戦力が強化されたことで、その次に日本人選手が韓国人選手の「こうしてほしい」というオーダーに答えるために、頑張って学ぼうとしたことが大きかったと思います。僕も勝ちたいので結構そういうオーダーを言う方ですが、日本人選手は言わない選手も多くて。今シーズンは、日本人選手たちが韓国人選手たちの勝ちにこだわる姿勢に引っ張られて頑張れたという感じが伝わってきました。

──最後に、「Summer Split」に向けた意気込みをお願いします。

Ace:「PCSプレイオフ」の枠は今3つですが、強豪チームであるDetonatioN FocusMeとFukuoka SoftBank HAWKS gamingに加え、夏にはSengoku Gamingが強化されると思うので、うちのチームも手札を増やしたり簡潔なコールを心がけたりしていかなければならないと考えています。

僕は「LJL」でJett選手が一番レーン戦がうまい選手だと思っているんです。自信のあるマッチアップでも覆してくるし、ジャングルを使わずに1対1がうまい選手なので、僕個人としても負けないように頑張りたいと思います。

※ ※ ※

敗北という結果に落ち込んでしまう選手もいるなかで、今回Ace選手は悔しさをにじませつつも非常に前向きにインタビューに答えてくれたのが印象的だった。チーム唯一の「Worlds」参戦という経験を糧に、今回は緊張せずにプレイできたというAce選手。夏には、よりいっそうステップアップした姿を見せてくれることを期待したい。

V3 Esportsのメンバー(左上から時計回りに、TaNa選手、Ace選手、hetel選手、HRK選手、Bini選手)


V3 Esports:https://v3esports.com/
LoL Esports:https://lolesports.com/

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