「応援してきてよかったと思ってもらえるようなチームになりたい」【DetonatioN FocusMe Yutapon選手インタビュー】

2023.8.29 宮下英之
既報の通り、6年ぶりに「LJL」にとって思い出深い大舞台である幕張メッセイベントホールで執り行われた「LJL 2023 Summer Split FINALS」は、DetonatioN FocusMeが、Fukuoka SoftBank HAWKS gamingを3-2のフルカウントで破り、「Worlds 2023」への切符を手にした。

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2023年シーズンはDetonatioN FocusMeにとって、チーム設立以来最大の波乱の年だったと言えるだろう。

Spring Splitでは、国内最強のトップレーナーとして長くDFMに所属してきたEvi選手が離脱し、新人のtol2選手が加入して優勝を果たしたものの、「MSI 2023」では未勝利という悔しい敗北を経験した。

続くSummer Splitでは、tol2選手やコーチ陣の急な離脱により、ADCのYutapon選手がトップにスイッチ。ADCにはDFM Academyに所属するMilan選手が入り、コーチには裏でチームを支えてきたGismo氏が就任した。

そんな逆境の中で、DFMは見事に2023年シーズンを優勝した。『LoL』というゲームは、個人個人の能力がいくら高くてもどうにかなるものではない。選手やコーチといった我々が知るメンバー以外にも、彼らやチームを支える存在があってのことだっただろう。

そんな優勝を決めた直後のYutapon選手にインタビューを敢行。トップを務めた想いや「Worlds」にむけた意気込みをうかがった。


自分のミスが心残りだった決勝戦


──フルセットの長い決勝戦、お疲れさまでした。率直に、この5試合を乗り超えて勝った瞬間、どんなことを思われましたか?

Yutapon:5戦目はほんとに勝ってる状況で、「ミスしなければ、普通にやれば勝てるよ」って言ってた僕がミスしちゃって、わーって思ったんですけど、目立ったミスはそれぐらいで、それ以外は本当にうまくできて最後勝利できました。個人的には、満足と言えば満足、ちょっと惜しいなって言えば惜しいなって感じでしたね。


──自分的には、最終戦でミスしてしまったのがちょっと心残りだったと……。

Yutapon:そうですね、そこ以外は完璧だったので、完璧にゲームを終わらせたかったなって気持ちはありつつも、うまく勝ててよかったなっていう感じです。

──Yutapon選手のミスといっても、見ている僕らのレベルではわからない部分だと思いますが、どんなミスをされたんですか?

Yutapon:観戦されている方には伝わらないかもしれないんですけど、僕とゼリでバロンとか食べられるシーンがいくらでもあったし、もっとなんでもできた感じはするんです。ただ、なにもできなかったところが結構あって。やっぱり緊張とかから、逆にアクションが起こしづらくなって時間が伸びちゃって、SHGが追い上げてくる展開になっちゃったというのはありましたね。


SHGの強さはチーム力


──Summer Splitでは、SHGが初めて決勝まで上がってきましたが、シーズン中も実際強いなと感じたのですが、Yutapon選手はSHGの強さはどんなところだと感じましたか?

Yutapon:個人個人ももちろんうまいんですけど、チーム単位として大会の試合をどうこなすべきかっていうのを理解した上で、チーム全体としてうまくまとまっている印象がありました。


──たしかに個人個人でのスタッツ上は、ほとんどのレーンでDFMがCSなどをリードしていたんですよね。ただ、集団戦でたびたび脅かされる場面もありました。DFMが付け入られた部分はどこにあったんでしょうか?

Yutapon:全体の構成が、SHGは終盤に向けて強くなっていく構成とか、そういったキャラを割と取っている印象があります。僕たちもそれにある程度合わせつつも、序盤からちゃんと戦えるピックをしていました。

ただ、序盤に有利は取れますけど、やっぱり僕たちも終盤はどうしてもミスが多くなってしまいます。その辺で苦戦させられたのかなと思います。

トップ時代の経験が生きていた


──そして10月から始まる世界大会「Worlds 2023」では、apaMEN選手が加入することが発表されました。今までDFMとして毎年のように上位に進出して、ベスト16まで行けていますが、今年の目標はどの辺ですか?

Yutapon:「Worlds」での試合方式が結構変わったりしているので、その辺はちょっとわからないのですが……。今回の目標として、気持ち的にはやっぱり一度到達した上の地点であるグループステージに出場するところ、それぐらいのレベルはやっぱり目指していきたいと思っています(編集部注:「Worlds 2023」は「MSI 2023」と同様に、アッパー・ローワーブラケット方式のトーナメントになる模様)。

──DFMというと、他のチームに比べてメンバーが固定されているからこそのチームワークが強みだったと思いますが、特に今シーズンはメンバーの入れ替わりがあってもなお、強さが光りました。メンバーが入れ替わって新たに発見した課題みたいなものはあったのでしょうか?

Yutapon:それはあまりないかもしれないです。僕個人の話ですけど、「Summer Split」はトップを担当したわけですが、昔からあったキャラしかできないなって思っていました(笑)。今までの経験値で戦えているんだなって感じはしましたね。

具体的に言うと、レネクトンとかは昔からいるキャラですけど当時は割とやってなくて。単純に個人的に好きなサイオンとか、昔流行っていたポッピーとか、そういうキャラは得意なんです。やっていなかったキャラもいろいろ練習で試してみたりもしたんですけど、あまりうまくできなかったですね。

──ご自身的としては、“昔とった杵柄”で戦い抜けたという感じですか?

Yutapon:そういう感じですね。当時の感覚は今も生きていました。

「MSI 2023」の借りを返しに


──先ほど、韓国はすごく行きたかった、楽しみだとおっしゃっていましたけど、その理由は?

Yutapon:ご飯がおいしいし、近いし。楽なんですよ。アイスランドとかもすごく楽しかったし、観光もしていいとこも行けて面白いなって思ったんですけど、やっぱ大変なんですよね。大変なのは嫌いです(笑)。

──韓国は近いですし、やっぱり準備とか体調管理とか、料理も好きだし。

Yutapon:そうですね、いろいろ心配なく取り組めるのがすごくいいと思っています。

──最後に、ファンに向けて「Worlds」への意気込みをお聞かせください。

Yutapon:「MSI 2023」では残念な結果になってしまって、見ている皆さんにも残念な気持ちを与えてしまったかなと思います。その気持ちを「Worlds」で払拭して、いつも応援してきてよかったって思ってもらえるようなチームになりたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。

※ ※ ※

毎年「LJL」シーズンの終わりに、Yutapon選手にはインタビューを行ってきているが、今回は例年にも増して嬉しさや笑顔を見せる場面が多かったように思う。

慣れ親しんだ仲間が一気にチームを去る中でのシーズンは、人には言えないような苦悩もあったかもしれない。しかし、チームメンバーの協力も得て、再び世界への切符を手にすることができた。

そして、10月10日から始まる「Worlds 2023」には、長きにわたるライバルでもあったapaMEN選手が仲間入りし、Yutapon選手も本領を発揮できる環境が整う。さまざまな混乱を乗り越えた現在のDFMなら、きっと世界でも新たな扉を開いてくれるはずだ。






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