【インタビュー】Nico「改善の余地はある。もっとファンを楽しませたい!」——VARREL オーバーウォッチ部門 選手&マネージャーが語るファンミの重要性

2023.9.4 gappo3
オーバーウォッチ 2』の国内絶対王者であるDONUTS VARRELのオーバーウォッチ部門が、8月11日(金)に初のファンミーティングとなる「VARREL ZONE Limited vol1.2」を開催しました。

先行販売ではなんと即日で一般チケットが完売し、翌日に追加チケットが販売されるという異例の事態も発生。今回は、本イベントのプロデュースに携わったマネージャーの大久保さんとNico(にこ)選手の両名のインタビューをお届けします。

VARREL ZONE ver1.2は大成功! VARREL史上でも最も反響が大きく、次回開催にも繋がる内容だった


まずは「VARREL ZONE ver1.2」の仕掛け人でもあるDONUTS VARRELオーバーウォッチ部門マネージャーの大久保氏に、本イベントの手応えについて語っていただいた。


——今回のオフラインイベント「VARREL ZONE Limited vol1.2」は会場が横濱ゲートタワーでしたが、ゲームイベントの開催場所としては少々珍しいのかなと感じました。どのような意図があったのでしょうか。

大久保氏(以下、大久保):ここは去年の5月から18階と19階がPC DEPOTさんのオフィスとなっているんですが、今年5月にVARRELがPC DEPOTさんと連結協定を結んだタイミングでVARRELのオフィスをPC DEPOTさんのオフィスの一角に構えるようになったんです。

その際、VARRELとの連結協定以前はあまり活用のできていなかったというイベントホールを有効活用したいという考えと、横浜周辺の地元民に対してVARREL、さらにはeスポ―ツを広く知っていただきたいという思いがあり、現在の複数部門におけるファンミーティングの定期開催に至りました。

——VARREL オーバーウォッチ部門にとっては初めてのファンミーティングとなりますが、何が開催のキッカケとなったのでしょうか。

大久保:僕は元々VALORANT部門専門のマネージャーだったんですが、仕事の流れでNicoさんとお話しするようになりまして——。そこでオーバーウォッチ部門のポテンシャルの高さ、加えてNicoさん自身のアツい思いにも感化され、ご縁があり2023年の3月からはオーバーウォッチ部門とVALORANT部門の両方のマネージャーを兼任することになったんです。

Nicoさんはいつも「オフラインイベントでファンと接する機会が欲しい」と熱望されていたんですが、タイミングのいいことに、4月に日本代表メンバーとしてVARRELの選手が全員選出され、これまで以上にコミュニティの多くの方々に注目されたことがファンミーティング開催の大きなキッカケにはなりました。

しかし今年の4月から7月は常に大会が開催された関係で、選手にとっては気の休まらない時期が続いていました。ですので開催のタイミングは慎重にうかがっていましたね。

8月になってから短期間のオフシーズンが到来したので、ようやくファンミーティングを開催できたという形です。


——今回のファンミーティングは傍から見てると大盛況だと感じましたが、大久保さん的にはいかがでしたか。

大久保:これまでDONUTS VARRELは多くの部門でファンミーティングを開催してきたのですが、その中で最も反響が大きかったのは間違いなくオーバーウォッチ部門です。

今回のファンミーティングの先行販売チケットは即日完売してしまいましたし、アフタータイムの参加者も運営側の予想を遥かに超えた人数となりました。なにせアフタータイムの時間がメインイベントよりも長くなってしまいましたからね(笑)。

正直いうと満足を越えてビックリしています。企画の中心を選手であるNicoさんが、自分と一緒になって担ってくれていたので成功する自信はあったのですが、チケットが売られるまでは社内における期待値はそこまで高くなかったんです。

——初のファンミーティングということもあって過去の実績がないですから、仕方ないのかもしれませんね。そういった雰囲気の中で実施するのは不安ではありませんでしたか?

大久保:オーバーウォッチワールドカップ前後からオーバーウォッチのブームが来ているなと感じていたのと、選手それぞれの配信の数字も伸びていたので、不安はありませんでした。

それに今回のファンミーティングはNicoさんがプロデュースに深く関わっているので、成功するという自信がありました。彼の熱量とファンの方々に対する想いは本当に凄いですから。正直、僕や他のスタッフがいなくてもファンミーティングを成功させられたんじゃないかと思えるほどです。

なぜ、Nicoさんたちが何年間もチームを存続できたのか、その理由を肌で感じました。

今回のイベントでオーバーウォッチ部門に対する社内からの見え方も大きく変わったと思うので、個人的には凄くうれしい限りです。

ただNicoさんは今回のファンミーティングで満足しているわけではなくて、満足度的には50点くらいだと仰っていましたね。


——それは意外ですね。今回の盛況ぶりを見るに満点に近い点数をつけてもおかしくないと思ったのですが。

大久保:Nicoさん自身の満足度ではなく、お客様たちの満足度を考えると、まだまだ十分ではないなと。ただ改善点は沢山見つけているので、これからもどんどん回を重ねて、より良いものにブラッシュアップしていくことは可能だと思っています。

——ということは次のファンミーティングに繋がる可能性は高いということでしょうか。

大久保:100%繋がります。今後は大会前後のタイミングでパブリックビューイングやファンイベントを開催していくことになりそうかなと考えています。

今回のファンミーティングの参加者の方々に「今後どのようなイベントをやってほしいか」という質問を投げかけたところ、全会一致で「オーバーウォッチのオフラインイベントを増やしてくれ」とお願いされたんですよね。

このようなことはあまりほかのタイトルでは見れないことです。そこの部分でファンの方々の意見が統一されていることもあり、今後もオフラインイベントを大会に関連付けて開催していくことになるだろうと想定しています。

——ありがとうございます。次回開催に繋がることを心より願っております。

もっとファンを楽しませたい!
ファンミ成功の裏にあるのはファンへの真摯な思いやり。妥協せずにこだわり続けることがNico選手の流儀


▲VARREL オーバーウォッチ部門のリーダーを務めるNico選手

——ファンミーティングおつかれさまでした。終わったばかりではありますが、いかがでしたか。

Nico選手(以下、Nico):素直にうれしいですね。ファンと近い距離でふれ合うというのが初めての経験だったので、ファンの熱量を間近で知れて良かったですし、これからの活動のモチベになったのが個人的には大きかったです。

今回のファンミーティングをやるにあたってVARRELの企画部と何度も打ち合わせをして、自分のやりたいように実現させてもらったんですけど、まだまだ改善の余地はあるなとも感じました。

——終わったばかりなのに気を緩めていないのもストイックなNicoさんらしいですが、どういった部分が気になりましたか。

Nico:特にイベントの構成ですかね。自分の立場ではなく見てる方の感覚になるので確かなことは断言できないのですが、退屈を一切感じないような濃密な構成にしたかったなと感じました。

もっと来場者が楽しめるようなコンテンツを増やして、グッズの魅せ方なども工夫し、退屈な時間帯をもっと削ぎ落すようにしたら、更にいいイベントになるんじゃないかなと思います。


——ファンの熱量を間近で知れたと仰っていましたが、今回のイベントで印象に残ったことはありますか。

Nico:V-VIPチケットを使った1対1のアフタートークでの時間に、いつも配信見てくれてる方や、今回自分のことを初めて知ってくれた方も来てくれて、オフラインイベントでしかできない対面でのコミュニケーションを通してファンとの距離が縮んだことですね。

この経験のお陰で、ファンのためのコンテンツはかなり大事にしなければいけないと再認識しました。

——今回のファンミーティングではわざわざ遠方から来た方も多いとうかがいました。

Nico:そうなんです。一番遠い場所ですと鹿児島から来ていただいた方もいらっしゃいました。その他にも関西、福井、広島、宮城などからも——。

しかもVARREL ZONEのためだけに来てくれたようで、明日にはすぐ地元に帰ってしまうそうです。本当にありがたい限りです。


——今回のイベントはNicoさんも深く企画に携わっているということですが、選手が企画立案者としてファンミーティングを作り上げるのは少し珍しい事例だと思います。どのような考えをもって携わったのでしょうか。

Nico:自分たちのファンがどのようなイベントを求めているのかは、運営側だけだとどうしてもわからない部分です。どうしたらファンが喜ぶのかは当事者である選手にしかわからない領域でもあるので、積極的に企画させていただきました。

また今年の3月からオーバーウォッチ部門のマネージャーに就いた大久保さんが、選手ファーストの考えを強く持っている方だったので、僕の立場からしたら意見を出しやすい環境に変化したと感じました。僕個人としても大久保さんのことは信頼しています。

——今回の成功は、今後どのような影響を与えると考えていますか。

Nico:ファンミーティングの反響が大きかったおかげで、VARREL運営からの見方も大きく変わりました。今後のオーバーウォッチ部門の活動には間違いなくいい影響があるかと思います。それはオフラインイベントもそうですし、動画コンテンツなどの充実にも繋がっていくことになりそうです。ご期待ください。

——ありがとうございます。少し話題は変わりまして、来月以降のコンテンダーズ(年に数回開催される国際大会)についてお話を聞けたらと思うのですがいかがでしょうか。

Nico:実はですね、いろいろと仕込んでいることが有りまして……現時点では情報を明かすことはできないですし、もしかしたら今後も明かせないかもしれないんですが、その仕込みのおかげで今までとは少し違ったVARRELを今後の大会でお見せすることができるかもしれません。


——それは非常に楽しみです。またそれに関連して、6月から7月にかけて行われたオーバーウォッチワールドカップ予選(一年に一回行われる世界大会)では日本史上初の予選突破となりましたが、次に待ち受けているのは10月末のアメリカ現地での本選グループとなります。ここからは日本にとって未知の領域となりますが、本選グループを突破する可能性はあると思いますか?

Nico:率直にいうと50%です。

グループステージというのは4グループ4チームで構成されるはずですが、この組分けに多少の運要素が混ざります。地域ごとの1位・2位・2位・3位という組分けに日本が入ることができれば突破の可能性はぐんと上がります。

ただし中国が特別枠として本選に出場している関係上、中国と地域1位が被ってしまうグループが必ず出てくるはずなんです。そこに日本が配置された場合は、どうしても厳しい戦いになるのかなと。

もちろん中国や地域1位のチームに負ける気はさらさら有りませんが、彼らの強さは間違いなくトップレベルです。それに今回は組み合わせ運だけでなく、僕達の成長性にもかかっている部分が大きいので、正直言って読めません。ですので嘘偽りなく申し上げて、50%になります。

ファンの皆様の声援にはいつも励まされているので、来月からも応援のほど宜しくお願いします。

——大会でのご活躍を願っています。本日はお忙しい中ありがとうございました!


———

VARREL オーバーウォッチ部門は何年間も共に活動してきた選手歴の長いメンバーで構成されています。それでいて国内では絶対的王者として君臨し、国際戦でも太平洋地域のTOP3を常に争っているチームです。彼らの実績を考えれば今回のファンミの成功は自然だと感じる方もいるかもしれません。

しかし実際にはNicoさんと大久保さんの高いモチベーションと志に端を発し、選手一同と多くのファンの熱量に支えられて実現した、奇跡に近い催し物だったと表現する方が実情に近いでしょう。

そんなVARREL オーバーウォッチ部門は8月30日(水)から「Overwatch WDG Open Tournament East Asia Fall」という太平洋のオープン大会に参戦します。こちらの大会は日本からも多くのチームが参戦する競争の激しいトーナメントとなっていまして、9月5日(火)から公式配信でさまざまなチームの選手達の雄姿を見ることができるかと思います。

徐々に盛り上がりつつあるOverwatchの競技シーンで、推しのチームと推しの選手を共に応援していきましょう!

関連リンク
Nico選手 X:
https://twitter.com/nico_oq

gappo3 プロフィール


オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。

Twitter:https://twitter.com/gappo3gappo3
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