【VALORANT Masters Tokyo】🇰🇷DRXが🇹🇷FUTに勝利しプレーオフ進出!1マップ目で窮地に追い込まれた🇰🇷DRXが魅せた底力【試合直後インタビュー】

2023.6.15 スイニャン
筆者は先日から「VALORANT Masters Tokyo」の現地取材を行っており、今回は6月14日(水)に行われたGroupBのグループステージ最終戦に出場した🇰🇷DRXへの取材を実施した。

この日の対戦相手はEMEAリーグ3位のトルコチーム・🇹🇷FUT Esports(🇹🇷FUT)。1マップ目のバインドでは、3:11と大差を付けられる場面もあり、9:13で敗北。あわや敗退の境地に追い込まれたものの、2マップ目のフラクチャーからは調子を取り戻し、13:8で勝利。続く3マップ目のバインドでは、圧倒的な力を見せつけて13:4で勝利を収めた。これにより🇰🇷DRXのプレーオフ進出が確定した。

ここでは試合終了後に行われたBuZz選手、Rb選手の単独インタビューのほか、合同インタビューの様子として、Zest選手起用に関連した海外メディアからの質問と、筆者が準備した選手への3つの質問についてお伝えしたい。

▲写真左上からtermi(たーみ)コーチ、Foxy9(ふぉくしーないん)選手、Mako(まこ)選手、stax(すたっくす)選手、Rb(あーるびー)選手、BuZz(ばず)選手、Zest(ぜすと)選手

Foxy9選手は🇰🇷DRXにとって大きな財産となるだろう——
試合直後合同インタビュー


——🇰🇷DRXはこれまでZest選手とともに経験を積んできましたが、メンバー変更を度々行うことがリスキーだとは思わないのかおうかがいしたいです。

termiコーチ:ロスターについて、外から見ている方が不安がっているようなのですが、我々としては未来への投資をしているところです。

いつになるかはわかりませんが、Foxy9選手が「Pacific リーグ」と「Masters Tokyo」で経験を積むことによって、我々にとって大きな財産になると確信しています。メンバー交替はチームにとって一番リスキーなことであると考えているものの、未来への投資が必要なので、Foxy9選手をできるだけ起用しています。

Zest選手への信頼は変わりませんし、いつ出場することになっても準備ができているので、その信頼に応えてくれているZest選手に感謝しています。「Champions」では、皆さんもそれほど心配せずにいられるのではないかと思います。

▲termiコーチ

——Zest選手の立場からはFoxy9選手が出場することについて、あまりいい気はしない可能性もあるのではないでしょうか。

Zest選手:選手の立場からすると、シックスマンとして入るということは思っていたより辛いことでした。シックスマン体制でやっているチームは多いですが、ほかのチームのシックスマンたちのことが心配になったりもしますね。

——では、Zest選手は今日初めて「Masters Tokyo」に出場してみていかがでしたか。

Zest選手:大勢の日本のファンの皆さんの前で大会に出ることができて光栄でした。練習はいつも大変ですが、大会は楽しくやっているので、出られてとても良かったです。

——続いてstax選手におうかがいします。1マップ目のバインドで負けてしまいましたが、ズバリ敗因は何だったんでしょうか。

stax選手:1マップ目は僕らの間でコミュニケーションがうまくいかなくて、何もできずに負けてしまいました。僕らが下手くそで自滅してしまった感じですね。

——では最後にMako選手。試合の間にずっとニコニコしているのが画面に映し出されていましたが、なぜ終始あんなににこやかだったのか気になっています。

Mako:これまでずっと無表情で試合をしていたような気がして、グループステージ最終戦ということもあり、ニコニコしながら雰囲気を盛り上げたいという感じでした。すごく深い理由があったというわけではないです。

▲Mako選手

以上が合同インタビューの一部となる。ここからは、BuZz選手とRb選手の単独インタビューの模様をご覧いただきたい。

日本の会場はまるでホームグラウンドのよう——
Rb選手×BuZz選手単独インタビュー


▲写真左からRb選手、BuZz選手

——プレーオフ進出おめでとうございます! 今日はFoxy9選手に代わってZest選手が出場しましたが、チームメイトの立場ではZest選手の合流によってゲーム内でどんな効果がありましたか。

BuZz選手:Zestさんが加わって、チーム的な効率が上がったような感じがしました。Zestさんはそういった面の能力に長けているほうなので、ゲーム内で判断などをする時にとても楽でしたね。

——では、1マップ目のバインドから順を追ってお話聞かせてください。正直あれほどの大差をつけられて🇰🇷DRXが負けるとは想像していなかったのですが、一体何が起こっていたのでしょうか。

Rb選手:早い時間帯だったのもそうですし、急きょZest選手が起用されての試合だったのもあって、自分たちの中でうまくいかない部分が多くて負けてしまったと思います。

——Mako選手も試合終了直後に日本語放送のインタビューで「1戦目のあとエナジードリンクを飲んで目が覚めた」と話していました(笑)。

Rb選手:その後Mako選手がキャリーしてくれたのを思うと、やっぱりエナジードリンクを飲んでシャキッとしたからなんでしょうね(笑)。

——続くフラクチャーでも、前半戦は相手チームのピークのタイミングが完璧で苦しめられるシーンもありました。実際に戦ってみてどうでしたか。

▲2マップ目フラクチャーでのワンシーン。スパイク設置後、サイト内で守る🇹🇷FUTが見せたトリプルピークでの撃ち合い。全員が同じタイミングで顔出して撃ち合いをすることで常に人数有利で撃ち合える状況を作っていた。こういった撃ち合い時における連携力の高さが🇹🇷FUTの強みともいえる(https://www.youtube.com/live/0M1gFXJ_NuA?feature=share&t=7246

Rb選手:やっぱりヨーロッパで3位になったチームですし、チームワークの面ではいい動きもかなり見せていたので、負けられないという気持ちになりました。それでこちらもチームワークをさらに発揮することができて、勝つことができたと思います。

——BuZz選手はバッキーを持ってBサイトを守りきったラウンドが印象的でした。あのラウンドのあと笑顔を見せるシーンもありましたが、どんな状況だったんでしょうか。

▲ラウンド差を付けたい🇹🇷FUTとラウンド差を縮めたい🇰🇷DRXの思いがぶつかった非常に混戦したラウンド。Bサイトを守るBuZz選手は、バッキー(ショットガン)という扱いの難しい武器でありながら、地形を生かした立ち回りに、相手との距離に応じてクラシック(ハンドガン)に持ち替えた戦術でスリフティを決めた!(https://www.youtube.com/watch?v=0M1gFXJ_NuA&t=7304s

BuZz選手:あのラウンドはこちらのお金がなくて、武器が良くない状況でした。そこで、状況を変えられる可能性のあるバッキーを選択したんです。短い距離で撃ち合いを行って有利に持ち込もうと考え、それがうまくかみ合ったと思います。笑っていたのはゲームが楽しかったからです。僕の思い通りにやれたので(笑)。

——じゃあ1マップ目は……。

BuZz選手:楽しくなかったです(笑)。

——それでいくと後半になるにつれてどんどん楽しくなっていった試合だったかと思いますが、マッチポイントのラウンドではRb選手が反対サイトに行くフェイクを見せたのも最高でした。

▲マッチポイントを迎えたラウンド21。ネオンをピックしたRb選手がBサイトでアクションを起こして、あたかもBサイトに攻めるようなフェイクを見せる。🇰🇷DRXといえば、流れるようなエントリーでスパイクを設置するという印象が強いため、🇹🇷FUTの選手もたまらずBサイトへ集結。しかし🇰🇷DRXの本命はAサイト。がら空きのAサイトへスパイクを設置すると、そのままラウンドを勝利した(https://www.youtube.com/watch?v=0M1gFXJ_NuA&t=8824s

Rb選手:あの時は僕が確実にフェイクを行える状況になったんです。僕がエントリーしようとしたのを感じた🇹🇷FUTの選手がアビリティーをたくさん使っていたのを見て、「相手は今すごくビビっているな」と思いました。

結果とてもいいフェイクを見せることができてよかったです。

——最後3マップ目はヘイヴンでしたが、🇰🇷DRXらしい素晴らしい立ち回りだったと思います。🇹🇷FUTは索敵に必須ともいえるソーヴァをピックしていませんでしたが、戦いやすかったんでしょうか。

Rb選手:ヘイヴンの時はとてもスムーズに試合が進んで、「これが🇰🇷DRXのヘイヴンだ」といったところをきっちりお見せできたかと思います。相手が完璧な索敵というにはちょっと微妙なイニシエーターを出してきたのもあって、無難に勝てそうだなと思いましたね。僕らのほうがしっかり情報を得られるイニシエーターだったので、きちんと勝つことができました。

▲まさに「これが🇰🇷DRXのヘイヴンだ」といわんばかりの大差で勝利した3マップ目。イニシエーターからデュエリストまで使いこなすBuZz選手のフィジカルの高さも光っていた(https://www.youtube.com/watch?v=0M1gFXJ_NuA&t=10782s

——改めて勝利おめでとうございました。ところで🇰🇷DRXは前にもイベントマッチで何度か来日しましたが、今回初めて日本で国際大会を戦ってみてどうですか。

BuZz選手:『VALORANT』の公式大会を日本で初めてやってみて、思ったより大勢のお客さんが見に来てくださって、歓声もめちゃくちゃ大きくてうれしかったです。

僕たちのことを好きになってくれたファンの皆さんもたくさんいらっしゃって、そういったファンの皆さんの前でいい試合をすることができて、光栄で幸せです。

——ステージの上からでも歓声は聞こえるんですか。

BuZz選手:相手チームより僕らに対する歓声のほうが大きいっていうのも感じられましたし、ホームグラウンドみたいな感じがしました。

——そうなんですね。では最後に次の試合に向けた意気込みと、応援してくださった日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。

BuZz選手:次の試合は各地域の第1シードのチームと対戦することになるので、どこのチームと対戦することになっても簡単ではないと思いますが最大限がんばりたいと思います。

そして、毎回多くのファンの皆さんが試合を見に来てくださってすごくありがたいです。僕らとしてもその期待に応えるべく、いい成績が出せるよう努力していきます。

Rb選手:無事プレーオフに進出することができましたが、プレーオフからが本番だと思っているので、どのチームと当たっても油断せずにしっかり準備していきたいです。それから、試合会場へ足を運んで応援してくださっているファンの皆さん、本当に感謝しています。次も面白い試合をお見せしていきたいと思います。

——ありがとうございました!

———

このインタビューの後にプレーオフの対戦表が発表となり、🇰🇷DRXは🇸🇬Paper Rexとの対戦が確定した。いきなり同じPacific地域同士の対戦となったが、ダブルイリミネーション方式であることを考えれば、Pacific地域から確実に1チームがアッパーセミファイナルに進出できるのは、それほど悪くないのではないだろうか。

筆者はこれまで🇰🇷DRXのメンバーと通訳や取材を通じて交流を重ねてきただけに、やはり🇰🇷DRXに勝ち上がってもらいたいという気持ちが強い。

今回の取材では選手たちが非常にリラックスしてインタビューに応じてくれたのをひしひしと感じられたので、引き続き「Masters Tokyo」で🇰🇷DRXへのインタビューのチャンスがあればお伝えしていきたいと思っている。

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【スイニャン プロフィール】


韓国在住時にeスポーツと出会い、StarCraft: Brood Warプロゲーマーの追っかけとなる。帰国後、2009年ごろからさまざまなWEBメディアで取材・執筆活動を開始。また、語学力を生かして韓国人選手のインタビュー通訳や翻訳などの活動も行っている。自らはゲームをほとんどプレイせず、おもにプロゲーマーの試合を楽しむ観戦勢。 Twitter:@shuiniao
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