Yossyとは何者なのか——Negitaku.org 20年の軌跡【Negitaku.org運営 Yossyさんインタビュー】
- 実は格ゲーマー? Yossyさんの知られざる歴史
- Negitaku.orgはこうして生まれた
- 個人サイトにこだわる理由は「自由」だということ
- 歴史がなかったことになるのは悲しい〜eスポーツ元年は毎年やってくる〜
eスポーツ元年と呼ばれた2018年を皮切りに、eスポーツ競技タイトルも増加。それに合わせて、大会自体の数が増えてきている。参加者や主催者のなかには新参の人もいるが、日本も世界に匹敵するほどの大規模な大会も増えてきている。
中でもFPSタイトルの人気はめざましく、『VALORANT』ではさいたまスーパーアリーナでのオフライン大会で2日間で約2万6000人を動員するという、とんでもない盛り上がりを見せている。
そんなFPSタイトルシーンを初期の初期から追い続けているYossyさんという人物をご存じだろうか。「Negitaku」という異名を聞けばなんとなく耳にしたことがある人も少なくないはず。
数々のFPSタイトルの競技シーンを追い続け、とにかく情報量がとてつもないNegitaku.orgというニュースサイトを運営。時には選手をインタビューし、時には大会の写真を撮影、さらには試合中のクリップまでも投稿するという、まさに「とんでもない人物」なのである。
今回、そんなYossyさんに突撃インタビュー。Yossyとは何者なのか——追い続けるためのモチベーションはどこから来るのか——。彼の活動を深掘りしていく。
——『VALORANT』を筆頭に日本のeスポーツシーンも大きく成長してきたと思います。そんな中、eスポーツに興味を持ち始めた人がSNSでYossyさんの存在や、Google検索などでNegitaku.orgにたどり着いた方も多いのではないかと感じています。今あらためて、Yossyさんが何者なのかというのをご紹介できればと思っています。
Yossyさん(以下、Yossy):改めましてよろしくお願いします。Negitaku.orgという個人ニュースサイトを運営しているYossyと申します。2002年8月から運営しているので、気がつけばもう20年にもなってしまいました。
そのほかには、「電競元年ラジオ」というラジオを配信していたり、プロゲーマーの宣材写真をコレクションする「ゲーミング腕組みコレクション」や、eスポーツ元年というフレーズが使われているメディアの記事をnoteにまとめたりもしています。基本的に情報を集めるのが好きなんです。
あと変わったところでいえば、eスポーツキャスターの岸大河くんのアンバサダーまとめですかね(笑)。
今はもう更新はしていませんが、ゲーミングデバイスだけを取り扱う「wasd.jp」やインタビューだけを取り扱うサイト「GEAIM」なども運営していました。とにかくeスポーツに関するやりたいことをこの20年間やり続けています。
——すごい。もうこれだけでも膨大な情報量です!ちなみに、Yossyさんご自身がeスポーツ(ビデオゲーム)にふれたきっかけは何だったのでしょうか?
Yossy:ビデオゲームにはじめてふれたのは幼稚園の頃のファミコンです。友だちの家で『マリオブラザーズ』や『サッカー』とか『テニス』なんかをプレイしたのを覚えています。
——なるほど、結構古くからゲーム自体はプレイされていたんですね。そんな中、Negitaku.orgの核ともいえるFPSタイトルに出会ったのはいつ頃なのでしょうか?
Yossy:コンシューマーゲームはファミコンから、スーファミ、プレステと世代ごとにプレイし続けていました。初めてeスポーツっぽいタイトルをしたのは、多分『ストリートファイターII』(以下、『スト2』)ですね。ゲームセンターで知らない人と対戦できるというのが衝撃で、ものすごいお小遣いを投入してプレイしていたのを覚えています。
——えええっ、当時は格ゲーマーだったんですね!
Yossy:そうですね。その流れで『バーチャファイター』もプレイしていて、当時は「ファミ通」のブンブン丸さんが連載していた記事をめちゃめちゃ読んでいました。その後は時代が変わってオンラインゲームがブームになり、その流れで『Quake II』というFPSタイトルをプレイしたのが1997年です。
その後は続編の『Quake III Arena』や『Couter-Strike』をひたすらプレイしていたのですが、これらが海外ではeスポーツとして扱われて大会が行われるようになっていきました。
なので感覚的には「好きなゲームがいつの間にかにeスポーツになっていた」って感じです(笑)。当初Negitaku.orgを立ち上げた時も「eスポーツのサイトを作るぞ!」っていう感覚ではなかったですね。
——実にさまざまなタイトルをプレイしているようにも感じていますが、Yossyさんご自身が大会に出場したり選手として活動していた時代はあったのでしょうか?
Yossy:コミュニティ主催である『Quake III』の大会には出場していましたが、日本一になるとか世界一になるのを目指すという感じではなく、いちプレイヤーとして対戦を楽しむために参加していました。
——プロ選手になるぞ!的な気持ちはなかったのでしょうか?
Yossy:そういう気持ちは全然なかったですね。そもそも当時はプロ選手になるという概念もなかったですし。
——ここまで話を聞いてみると、ごくごく一般的なゲーマーという印象を受けました。そんな中、サイトを立ち上げようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
Yossy:古い記憶だと1997年頃かな……。雑誌で「世界では賞金を賭けた大会が行われている」という記事を見て衝撃を受けたのを覚えています。当時は、日本だと賞品がもらえたらすごいくらいの感じだったのではないかと思います。
あとは、アメリカでは「QuakeCon」という大規模なLANパーティの中で大会が開催されていて、そのトーナメントに日本の『Quake III Arena』プレイヤーが出場するぞというプロジェクトがありました。2000年頃の話です。
このプロジェクトは参加者が現地からレポートを更新していて、攻略サイトの掲示板でみんなものすごく盛り上がっていました。僕自身も更新されるのを楽しみにしていたのを覚えています。
2000年には「World Cyber Games」という国際的なeスポーツ大会も行われるようになり、その頃からさらにeスポーツの競技シーンというものに興味を持つようになったと記憶しています。
当時、自分は「IRC」(今でいうと「Discord」のようなチャットツール)で、競技シーンの情報をチャンネルにいたゲーマー仲間に紹介していたのですが、いかんせん「IRC」だとクローズドな環境ということもあり、どうせだったらウェブサイトを立ち上げて、不特定多数の人に見てもらえるようになったら楽しいんじゃないかなと思って立ち上げました。
——「IRC」懐かしいですねー(笑)。確かに、「IRC」はマニアックというか、コアな人が導入するチャットツールというイメージがありますもんね。
Yossy:そうですね。当時は個人ニュースサイトというものが流行っていました。主催者が自分の好きなニュースを集めてきて、ひとことコメントと共に紹介するような形式のサイトです。そういうサイトをよく見ていたので、参考にしてサイトを立ちあげました。
参考:個人ニュースサイト史 < 佐倉葉ウェブ文化研究室
https://websitemap.sakura.ne.jp/monograph/monograph06.html
今でこそひとつの記事をしっかりと書いていますけど、立ち上げた頃は元記事のURLを貼り付けて、それに対してひとことコメントをするみたいな簡易的な記事をひたすら投稿していました。「こんなアップデートがあったよ」とか「大会で○○が優勝したよ」とかメモのような感覚で更新していましたね。
——なるほど。Yossyさんの根底にある「情報を集めるのが好き」という部分を具現化したようなイメージですね。
Yossy:そうですね。情報を集めて、それをみんなに知ってもらいたいという気持ちが強かったのも影響しているかも。
——基本的にはニュースサイトというのを一貫していたのでしょうか?
Yossy:実はNegitaku.orgは20年の中でさまざまなバージョンがあります。初期は「GeekBoys」という海外のサイトを参考に、ログイン機能やアクティビティがわかるような仕組みを自分で構築したこともあります。
「GeekBoys」はアカウントを作ると自分のプロフィールを詳細に入力することができるeスポーツプレーヤー向けSNSのようなサイトでした。そのページを誰が閲覧しているのかというアクティビティが表示されて、サイトの中にゲーマーが存在しているような感覚で衝撃を受けたのを覚えています。日本にはそういうサイトがなかったので、ぜひ作りたいと思って参考にしながらサイトを構築しました。
——すごい!プログラムもご自身で組んだんですか?
Yossy:プログラミングの本を買って何度も挫折と試行錯誤を繰り返して作ったのを覚えています。チームメンバーの募集をすることができる機能がよく使われていて、いまでも「便利だった」とか「仲間が増えるきっかけになった」といったお話をいただくことがあります。
一番人気だったと思うのは自分のデスクまわりやデバイスを投稿できる機能です。「あの人がどんなマウスを使っているか」とか「どんなモニターを使っているのか」というのはゲーマーにとって非常に興味のあることです。自分が知りたいと思って作ったのですが、みんなも同じだったようでかなり人気でした。また、自分の環境を共有できる機能としても注目されていました。
——そこまで巨大なサイトになるとそれこそサイトの管理も大変なんじゃないでしょうか?
Yossy:元々はレンタルサーバーを借りて運営していたのですが、プログラムとデータベースを使った高負荷なプログラムが動いているということもあり「(負荷がかかるから)出て行ってくれ」って言われてしまいました(笑)。なのでサーバーを自分で買って、当時働いていた会社にお願いして、データセンターの空いているラックにサーバーを置かせてもらったりしてしのいだりしていました。
——ひええ、すごい世界だぁ!
Yossy:サーバー管理やプログラムは本職ではないので、不具合が起きたり動かなくなると気が休まりませんでした。セキュリティの問題が出てきたり、時代的に個人情報の取り扱いも厳しくなってきていたので、残念ではありましたが機能を提供をやめて、Wordpressを使った形式のニュースサイトに落ち着きました。
——なるほど。ちなみに運営が嫌になったことってなかったのでしょうか?
Yossy:自分が大きな間違いをして情報を掲載してしまったり、中傷されて嫌になったようなことがあります。ただ、「好きでやっている」というのが根底にあるので、止めようと思ったことはありません。
あと中傷されるようなところは見ないようにしたりと、なるべく気にしないようにしています。運営が嫌になることよりも、当時は毎日更新して情報を発信しないといけないという使命感の方が強かったので続いていたという部分もあるかもしれません(笑)。
——Negitaku.orgの新って一筋縄ではいかないレベルのクオリティだと感じています。ニュースに、インタビューに、大会情報に……。個人的に「どんな生活をしているんだろう」ってものすごく気になってしまうのですが……。
Yossy:僕は一般的な企業に勤めているので、本業の傍らサイトを運営しているという感じですね。基本的に運営はひとりでやっています。
——えええっ。あれだけのサイトをお勤めしながらひとりで?
Yossy:はい。基本はワンオペで運営しています。知り合いのゲーマーが記事を寄稿してくれたり、手伝ってくれることもあります。
——しかしあそこまで大規模になると、当然運営に時間もコストもかかると思いますが、Negitaku.orgには特に大きな広告もないですし、企業さんからスポンサードされているようにも見えませんでした。なぜ収益化やスポンサードを受けず個人サイトとして運営しているのでしょうか。
Yossy:広告は入れていた時代もありますが、実はGoogle AdSense(Googleの広告)のアカウントがBANさてしまいまして……。
——えっ、それはどうして?
Yossy:先ほどお話ししたログイン機能がある頃、登録ユーザーのプロフィールにGoogleの規約に引っかかる画像が使われていたのが原因でした。僕がそれに気づかずに運営していたところ、アカウントごとBANされてしまいました(苦笑)。
10年くらいした最近になってBANが解除されて広告を載せることができるようになったのですが「ここまできたら広告なくてもいいや」って思って、そのままになっています(笑)。
——そんな経緯があったとは!ということはサイト自体の収入はない?
Yossy:Amazonのアフィリエイトのリンクは貼っていますが、大きな金額になるわけでもないですしね。ただ「収益がないってどうなの?」って考えることもあります。
——私も個人サイトを運営していたので収益がないことに疑問を感じていました。やっぱり運営するにはコストもかかるし、そのコストを埋めるためにも収入はなくてはならないと考えているので、Yossyさん的にどのような考えをお持ちなのかというのがずっと気になっていました。
Yossy:サイトの価値に対する対価がもらえるならめちゃめちゃ欲しいのが正直なところです(笑)。ただお金を頂くとなると、対価に見合った記事を書かなければならなりません。当然、求められる物も増えてくるとなると責任感も増えてきます。
また、原点に戻ると「eスポーツが好きで、情報をみんなに知ってもらいたい」という気持ちで立ち上げたのであって、「お金が欲しいとか人気者になりたい」という理由でサイトを立ち上げたわけではないので、お金やアクセス数には気にせず、自分が好きなことを紹介する個人ニュースサイトという体裁を貫いています。
まあ毎年自問自答している課題ではあるんですけどね(笑)。
——そんなeスポーツ黎明期からeスポーツに携わっていたYossyさんですが、Yossyさんにとってのeスポーツ元年はいつ頃になるのでしょうか?
Yossy:eスポーツという言葉自体は、僕の中ではサイトを立ち上げた2002年頃からあった言葉なので、特に「元年はいつだ」っていう感覚はありませんね。ただeスポーツという言葉自体が大きくなってきているのは日々感じています。
——なるほど。日本のメディアの多くは2018年をeスポーツ元年と定義していますが、その点についてはどう思われますか?
Yossy:確かに2018年にはプロライセンス制度ができたり、賞金問題が解決したり、流行語大賞にノミネートされたりとeスポーツという言葉が世間に知れ渡ったタイミングでもありますし、2018年が日本のeスポーツ元年というのはいい区切りなのではないかと思っています。
でもeスポーツ元年という言葉は、自分が調べたところ2006年頃には雑誌で使われていた言葉なんです。
——すごい!eスポーツ元年自体が迷走してますね(笑)。
Yossy:そうですね。個人的には、eスポーツ元年を定義したことでそれまでの歴史がなかったものと思われてしまうのは悲しいです。日本のeスポーツシーンがここまで成長したのは、間違いなくeスポーツが広く認知される前から活動されていた選手や大会運営の方々のおかげですし、そういった頑張りが無になってしまうのは避けたい認識です。
最近では、毎年eスポーツが成長していることの証として「eスポーツ元年は毎年やってくる」って思っている部分はありますね(笑)。
——あはは。確かに記事を書いている人が「eスポーツってこんなに盛り上がってる。今年がeスポーツ元年だ!」って思えば、その年がその人にとってのeスポーツ元年ということですもんね。
Yossy:今年はZETA DIVISONが『VALORANT』で世界3位になったり、Fnaticが『Apex Legends』で世界4位になったりとか、日本のプレイヤーが世界で活躍するのが当たり前な時代になってきています。2023年はもっとすごいことが起こるんじゃないかと思っているので、来年もまたとんでもないeスポーツ元年になるんじゃないかと期待しています。
——最後にNegitaku.orgとして、Yossyさんとして、今後の展望をお聞かせください。
Yossy:ここで大きな発表があったらいいんですけどなにもなくて……(笑)。
Negitaku.orgというサイト自体未来を見据えて作った訳ではありませんが、せっかく20周年を迎えられたので、次は30周年、次は40周年と続けられるところまで続けたいと思います。1年でも多く続けて、より多くの方にeスポーツの魅力を届けられるようがんばりたいと思います。
——ありがとうございます!
———
今回、Yossyさんと実際対談してみて、尋常ではない熱意を感じることができた。あまたのサイトが生まれ消えていく中、20年も続けているというのは並大抵の努力ではない。彼が心の奥底からeスポーツが好きなんだという思いが伝わってきた。
多くのeスポーツチームや選手、ファンや各メディアといった多方面から愛されているNegitaku.org。温かく選手を見守るYossyさんは、ある意味日本のeスポーツシーンの父なのではないだろうか。
今後もまた30周年、40周年と歴史を重ねていき、いつかギネスに認定されるようなとんでもないサイトになってくれることを願うとともに、いちファンとしてNegitaku.orgを応援し続けたい。なお、つい先日Negitaku.orgはぶじに20周年を迎え、多くのファンが集まる記念パーティが開催された。
記念パーティの様子はYouTubeで視聴することができるので、歴史的瞬間をぜひその目で確かめてほしい。
関連リンク:
Negitaku.org:
https://www.negitaku.org/
YossyさんTwitter:
https://twitter.com/YossyFPS
中でもFPSタイトルの人気はめざましく、『VALORANT』ではさいたまスーパーアリーナでのオフライン大会で2日間で約2万6000人を動員するという、とんでもない盛り上がりを見せている。
そんなFPSタイトルシーンを初期の初期から追い続けているYossyさんという人物をご存じだろうか。「Negitaku」という異名を聞けばなんとなく耳にしたことがある人も少なくないはず。
数々のFPSタイトルの競技シーンを追い続け、とにかく情報量がとてつもないNegitaku.orgというニュースサイトを運営。時には選手をインタビューし、時には大会の写真を撮影、さらには試合中のクリップまでも投稿するという、まさに「とんでもない人物」なのである。
今回、そんなYossyさんに突撃インタビュー。Yossyとは何者なのか——追い続けるためのモチベーションはどこから来るのか——。彼の活動を深掘りしていく。
【吉村 尚志(よしむら ひさし)Yossy(よっしー)プロフィール】
eスポーツ、FPS、MOBA、ゲーミングデバイスの最新情報を紹介する個人ニュースサイト「Negitaku.org」を運営するライター・フォトグラファー。2002年から20年以上eスポーツシーンを追いかけ続け、eスポーツを語る上では欠かせない人物。なお、「Negitaku.org」の名前の由来は「ゲームチャットのBOT(自動返信ツール)の名前から適当につけた」とのこと
eスポーツ、FPS、MOBA、ゲーミングデバイスの最新情報を紹介する個人ニュースサイト「Negitaku.org」を運営するライター・フォトグラファー。2002年から20年以上eスポーツシーンを追いかけ続け、eスポーツを語る上では欠かせない人物。なお、「Negitaku.org」の名前の由来は「ゲームチャットのBOT(自動返信ツール)の名前から適当につけた」とのこと
実は格ゲーマー? Yossyさんの知られざる歴史
——『VALORANT』を筆頭に日本のeスポーツシーンも大きく成長してきたと思います。そんな中、eスポーツに興味を持ち始めた人がSNSでYossyさんの存在や、Google検索などでNegitaku.orgにたどり着いた方も多いのではないかと感じています。今あらためて、Yossyさんが何者なのかというのをご紹介できればと思っています。
Yossyさん(以下、Yossy):改めましてよろしくお願いします。Negitaku.orgという個人ニュースサイトを運営しているYossyと申します。2002年8月から運営しているので、気がつけばもう20年にもなってしまいました。
そのほかには、「電競元年ラジオ」というラジオを配信していたり、プロゲーマーの宣材写真をコレクションする「ゲーミング腕組みコレクション」や、eスポーツ元年というフレーズが使われているメディアの記事をnoteにまとめたりもしています。基本的に情報を集めるのが好きなんです。
あと変わったところでいえば、eスポーツキャスターの岸大河くんのアンバサダーまとめですかね(笑)。
今はもう更新はしていませんが、ゲーミングデバイスだけを取り扱う「wasd.jp」やインタビューだけを取り扱うサイト「GEAIM」なども運営していました。とにかくeスポーツに関するやりたいことをこの20年間やり続けています。
——すごい。もうこれだけでも膨大な情報量です!ちなみに、Yossyさんご自身がeスポーツ(ビデオゲーム)にふれたきっかけは何だったのでしょうか?
Yossy:ビデオゲームにはじめてふれたのは幼稚園の頃のファミコンです。友だちの家で『マリオブラザーズ』や『サッカー』とか『テニス』なんかをプレイしたのを覚えています。
——なるほど、結構古くからゲーム自体はプレイされていたんですね。そんな中、Negitaku.orgの核ともいえるFPSタイトルに出会ったのはいつ頃なのでしょうか?
Yossy:コンシューマーゲームはファミコンから、スーファミ、プレステと世代ごとにプレイし続けていました。初めてeスポーツっぽいタイトルをしたのは、多分『ストリートファイターII』(以下、『スト2』)ですね。ゲームセンターで知らない人と対戦できるというのが衝撃で、ものすごいお小遣いを投入してプレイしていたのを覚えています。
——えええっ、当時は格ゲーマーだったんですね!
Yossy:そうですね。その流れで『バーチャファイター』もプレイしていて、当時は「ファミ通」のブンブン丸さんが連載していた記事をめちゃめちゃ読んでいました。その後は時代が変わってオンラインゲームがブームになり、その流れで『Quake II』というFPSタイトルをプレイしたのが1997年です。
その後は続編の『Quake III Arena』や『Couter-Strike』をひたすらプレイしていたのですが、これらが海外ではeスポーツとして扱われて大会が行われるようになっていきました。
なので感覚的には「好きなゲームがいつの間にかにeスポーツになっていた」って感じです(笑)。当初Negitaku.orgを立ち上げた時も「eスポーツのサイトを作るぞ!」っていう感覚ではなかったですね。
——実にさまざまなタイトルをプレイしているようにも感じていますが、Yossyさんご自身が大会に出場したり選手として活動していた時代はあったのでしょうか?
Yossy:コミュニティ主催である『Quake III』の大会には出場していましたが、日本一になるとか世界一になるのを目指すという感じではなく、いちプレイヤーとして対戦を楽しむために参加していました。
——プロ選手になるぞ!的な気持ちはなかったのでしょうか?
Yossy:そういう気持ちは全然なかったですね。そもそも当時はプロ選手になるという概念もなかったですし。
Negitaku.orgはこうして生まれた
——ここまで話を聞いてみると、ごくごく一般的なゲーマーという印象を受けました。そんな中、サイトを立ち上げようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
Yossy:古い記憶だと1997年頃かな……。雑誌で「世界では賞金を賭けた大会が行われている」という記事を見て衝撃を受けたのを覚えています。当時は、日本だと賞品がもらえたらすごいくらいの感じだったのではないかと思います。
あとは、アメリカでは「QuakeCon」という大規模なLANパーティの中で大会が開催されていて、そのトーナメントに日本の『Quake III Arena』プレイヤーが出場するぞというプロジェクトがありました。2000年頃の話です。
このプロジェクトは参加者が現地からレポートを更新していて、攻略サイトの掲示板でみんなものすごく盛り上がっていました。僕自身も更新されるのを楽しみにしていたのを覚えています。
2000年には「World Cyber Games」という国際的なeスポーツ大会も行われるようになり、その頃からさらにeスポーツの競技シーンというものに興味を持つようになったと記憶しています。
【World Cyber Games(わーるどさいばーげーむず)とは】
「World Cyber Games(WCG)」とは、世界中のeスポーツ選手が複数のゲームタイトルにおいてさまざまな競技を行う、国際的なeスポーツ大会。eスポーツのオリンピックともいわれていて、基本的に2000年から毎年開催されていて、メダル獲得を目指した競技シーンとなっている。
「World Cyber Games(WCG)」とは、世界中のeスポーツ選手が複数のゲームタイトルにおいてさまざまな競技を行う、国際的なeスポーツ大会。eスポーツのオリンピックともいわれていて、基本的に2000年から毎年開催されていて、メダル獲得を目指した競技シーンとなっている。
当時、自分は「IRC」(今でいうと「Discord」のようなチャットツール)で、競技シーンの情報をチャンネルにいたゲーマー仲間に紹介していたのですが、いかんせん「IRC」だとクローズドな環境ということもあり、どうせだったらウェブサイトを立ち上げて、不特定多数の人に見てもらえるようになったら楽しいんじゃないかなと思って立ち上げました。
——「IRC」懐かしいですねー(笑)。確かに、「IRC」はマニアックというか、コアな人が導入するチャットツールというイメージがありますもんね。
【IRC(あいあーるしー)とは】
Internet Reality Chat(いんたーねっとりありてぃちゃっと)の略で、各チャットルームを作成することで同じ趣味を持った仲間同士で会話がすることができるツール。現在のDiscordの走りともいえる。
Internet Reality Chat(いんたーねっとりありてぃちゃっと)の略で、各チャットルームを作成することで同じ趣味を持った仲間同士で会話がすることができるツール。現在のDiscordの走りともいえる。
Yossy:そうですね。当時は個人ニュースサイトというものが流行っていました。主催者が自分の好きなニュースを集めてきて、ひとことコメントと共に紹介するような形式のサイトです。そういうサイトをよく見ていたので、参考にしてサイトを立ちあげました。
参考:個人ニュースサイト史 < 佐倉葉ウェブ文化研究室
https://websitemap.sakura.ne.jp/monograph/monograph06.html
今でこそひとつの記事をしっかりと書いていますけど、立ち上げた頃は元記事のURLを貼り付けて、それに対してひとことコメントをするみたいな簡易的な記事をひたすら投稿していました。「こんなアップデートがあったよ」とか「大会で○○が優勝したよ」とかメモのような感覚で更新していましたね。
——なるほど。Yossyさんの根底にある「情報を集めるのが好き」という部分を具現化したようなイメージですね。
Yossy:そうですね。情報を集めて、それをみんなに知ってもらいたいという気持ちが強かったのも影響しているかも。
——基本的にはニュースサイトというのを一貫していたのでしょうか?
Yossy:実はNegitaku.orgは20年の中でさまざまなバージョンがあります。初期は「GeekBoys」という海外のサイトを参考に、ログイン機能やアクティビティがわかるような仕組みを自分で構築したこともあります。
「GeekBoys」はアカウントを作ると自分のプロフィールを詳細に入力することができるeスポーツプレーヤー向けSNSのようなサイトでした。そのページを誰が閲覧しているのかというアクティビティが表示されて、サイトの中にゲーマーが存在しているような感覚で衝撃を受けたのを覚えています。日本にはそういうサイトがなかったので、ぜひ作りたいと思って参考にしながらサイトを構築しました。
——すごい!プログラムもご自身で組んだんですか?
Yossy:プログラミングの本を買って何度も挫折と試行錯誤を繰り返して作ったのを覚えています。チームメンバーの募集をすることができる機能がよく使われていて、いまでも「便利だった」とか「仲間が増えるきっかけになった」といったお話をいただくことがあります。
一番人気だったと思うのは自分のデスクまわりやデバイスを投稿できる機能です。「あの人がどんなマウスを使っているか」とか「どんなモニターを使っているのか」というのはゲーマーにとって非常に興味のあることです。自分が知りたいと思って作ったのですが、みんなも同じだったようでかなり人気でした。また、自分の環境を共有できる機能としても注目されていました。
——そこまで巨大なサイトになるとそれこそサイトの管理も大変なんじゃないでしょうか?
Yossy:元々はレンタルサーバーを借りて運営していたのですが、プログラムとデータベースを使った高負荷なプログラムが動いているということもあり「(負荷がかかるから)出て行ってくれ」って言われてしまいました(笑)。なのでサーバーを自分で買って、当時働いていた会社にお願いして、データセンターの空いているラックにサーバーを置かせてもらったりしてしのいだりしていました。
——ひええ、すごい世界だぁ!
Yossy:サーバー管理やプログラムは本職ではないので、不具合が起きたり動かなくなると気が休まりませんでした。セキュリティの問題が出てきたり、時代的に個人情報の取り扱いも厳しくなってきていたので、残念ではありましたが機能を提供をやめて、Wordpressを使った形式のニュースサイトに落ち着きました。
——なるほど。ちなみに運営が嫌になったことってなかったのでしょうか?
Yossy:自分が大きな間違いをして情報を掲載してしまったり、中傷されて嫌になったようなことがあります。ただ、「好きでやっている」というのが根底にあるので、止めようと思ったことはありません。
あと中傷されるようなところは見ないようにしたりと、なるべく気にしないようにしています。運営が嫌になることよりも、当時は毎日更新して情報を発信しないといけないという使命感の方が強かったので続いていたという部分もあるかもしれません(笑)。
個人サイトにこだわる理由は「自由」だということ
——Negitaku.orgの新って一筋縄ではいかないレベルのクオリティだと感じています。ニュースに、インタビューに、大会情報に……。個人的に「どんな生活をしているんだろう」ってものすごく気になってしまうのですが……。
Yossy:僕は一般的な企業に勤めているので、本業の傍らサイトを運営しているという感じですね。基本的に運営はひとりでやっています。
——えええっ。あれだけのサイトをお勤めしながらひとりで?
Yossy:はい。基本はワンオペで運営しています。知り合いのゲーマーが記事を寄稿してくれたり、手伝ってくれることもあります。
——しかしあそこまで大規模になると、当然運営に時間もコストもかかると思いますが、Negitaku.orgには特に大きな広告もないですし、企業さんからスポンサードされているようにも見えませんでした。なぜ収益化やスポンサードを受けず個人サイトとして運営しているのでしょうか。
Yossy:広告は入れていた時代もありますが、実はGoogle AdSense(Googleの広告)のアカウントがBANさてしまいまして……。
——えっ、それはどうして?
Yossy:先ほどお話ししたログイン機能がある頃、登録ユーザーのプロフィールにGoogleの規約に引っかかる画像が使われていたのが原因でした。僕がそれに気づかずに運営していたところ、アカウントごとBANされてしまいました(苦笑)。
10年くらいした最近になってBANが解除されて広告を載せることができるようになったのですが「ここまできたら広告なくてもいいや」って思って、そのままになっています(笑)。
——そんな経緯があったとは!ということはサイト自体の収入はない?
Yossy:Amazonのアフィリエイトのリンクは貼っていますが、大きな金額になるわけでもないですしね。ただ「収益がないってどうなの?」って考えることもあります。
——私も個人サイトを運営していたので収益がないことに疑問を感じていました。やっぱり運営するにはコストもかかるし、そのコストを埋めるためにも収入はなくてはならないと考えているので、Yossyさん的にどのような考えをお持ちなのかというのがずっと気になっていました。
Yossy:サイトの価値に対する対価がもらえるならめちゃめちゃ欲しいのが正直なところです(笑)。ただお金を頂くとなると、対価に見合った記事を書かなければならなりません。当然、求められる物も増えてくるとなると責任感も増えてきます。
また、原点に戻ると「eスポーツが好きで、情報をみんなに知ってもらいたい」という気持ちで立ち上げたのであって、「お金が欲しいとか人気者になりたい」という理由でサイトを立ち上げたわけではないので、お金やアクセス数には気にせず、自分が好きなことを紹介する個人ニュースサイトという体裁を貫いています。
まあ毎年自問自答している課題ではあるんですけどね(笑)。
歴史がなかったことになるのは悲しい〜eスポーツ元年は毎年やってくる〜
——そんなeスポーツ黎明期からeスポーツに携わっていたYossyさんですが、Yossyさんにとってのeスポーツ元年はいつ頃になるのでしょうか?
Yossy:eスポーツという言葉自体は、僕の中ではサイトを立ち上げた2002年頃からあった言葉なので、特に「元年はいつだ」っていう感覚はありませんね。ただeスポーツという言葉自体が大きくなってきているのは日々感じています。
——なるほど。日本のメディアの多くは2018年をeスポーツ元年と定義していますが、その点についてはどう思われますか?
Yossy:確かに2018年にはプロライセンス制度ができたり、賞金問題が解決したり、流行語大賞にノミネートされたりとeスポーツという言葉が世間に知れ渡ったタイミングでもありますし、2018年が日本のeスポーツ元年というのはいい区切りなのではないかと思っています。
でもeスポーツ元年という言葉は、自分が調べたところ2006年頃には雑誌で使われていた言葉なんです。
——すごい!eスポーツ元年自体が迷走してますね(笑)。
Yossy:そうですね。個人的には、eスポーツ元年を定義したことでそれまでの歴史がなかったものと思われてしまうのは悲しいです。日本のeスポーツシーンがここまで成長したのは、間違いなくeスポーツが広く認知される前から活動されていた選手や大会運営の方々のおかげですし、そういった頑張りが無になってしまうのは避けたい認識です。
最近では、毎年eスポーツが成長していることの証として「eスポーツ元年は毎年やってくる」って思っている部分はありますね(笑)。
——あはは。確かに記事を書いている人が「eスポーツってこんなに盛り上がってる。今年がeスポーツ元年だ!」って思えば、その年がその人にとってのeスポーツ元年ということですもんね。
Yossy:今年はZETA DIVISONが『VALORANT』で世界3位になったり、Fnaticが『Apex Legends』で世界4位になったりとか、日本のプレイヤーが世界で活躍するのが当たり前な時代になってきています。2023年はもっとすごいことが起こるんじゃないかと思っているので、来年もまたとんでもないeスポーツ元年になるんじゃないかと期待しています。
——最後にNegitaku.orgとして、Yossyさんとして、今後の展望をお聞かせください。
Yossy:ここで大きな発表があったらいいんですけどなにもなくて……(笑)。
Negitaku.orgというサイト自体未来を見据えて作った訳ではありませんが、せっかく20周年を迎えられたので、次は30周年、次は40周年と続けられるところまで続けたいと思います。1年でも多く続けて、より多くの方にeスポーツの魅力を届けられるようがんばりたいと思います。
——ありがとうございます!
———
今回、Yossyさんと実際対談してみて、尋常ではない熱意を感じることができた。あまたのサイトが生まれ消えていく中、20年も続けているというのは並大抵の努力ではない。彼が心の奥底からeスポーツが好きなんだという思いが伝わってきた。
多くのeスポーツチームや選手、ファンや各メディアといった多方面から愛されているNegitaku.org。温かく選手を見守るYossyさんは、ある意味日本のeスポーツシーンの父なのではないだろうか。
今後もまた30周年、40周年と歴史を重ねていき、いつかギネスに認定されるようなとんでもないサイトになってくれることを願うとともに、いちファンとしてNegitaku.orgを応援し続けたい。なお、つい先日Negitaku.orgはぶじに20周年を迎え、多くのファンが集まる記念パーティが開催された。
https://t.co/IqFGDWN0oI 20周年
— Negitaku.org esports (@negitaku) August 24, 2022
8月24日(水)にサイト開設から20周年となりました。
今後も「忘れた頃に検索してみたらまだあった」と思われるくらい続けていきたいと考えているので、これからもよろしくお願いします。https://t.co/FBltriw8br
記念パーティーアーカイブhttps://t.co/zRl76E7Z6K pic.twitter.com/RJcGNOJd2u
記念パーティの様子はYouTubeで視聴することができるので、歴史的瞬間をぜひその目で確かめてほしい。
【番外編】Yossyさんにおける『VALORANT』は? また今注目のeスポーツシーンは?
——『VALORANT』が初めてリリースされた時はどのように感じていましたか?
Yossy:もともとRiot Gamesは『リーグ・オブ・レジェンド』でも公式大会や世界大会で盛り上がっていましたし、同じRiot GamesからリリースされるFPSということもあってものすごく期待はしていました。ただ、まさか視聴者何十万人という規模にまで人気が出るとは思ってもいませんでした。
——確かに、さいたまスーパーアリーナで開催された「2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage2 – Playoff Finals」はすごかったですもんね。今までeスポーツシーンを追いかけてきたYossyさんだからこそ感じた違いというのはありましたか?
Yossy:見た目はもう全然違いますよね(笑)。昔の大会会場には基本的に男性ばかりで、女性のファンはほとんどいませんでした。露出したがらない選手も多く、「写真撮っていいですか?」ってお願いしても「ちょっと、嫌です。映りたくないです」って断られることも多かったですしね(笑)。
——あはは。シャイでかわいらしい部分はありますけど(笑)。
Yossy:そうですね。それが逆に今では選手の方から「撮ってください」って声を掛けていただくこともあります。選手が露出をすれば「かっこいい」とか「かわいい」といった感じで、女性ファンも会場に足を運ぶようになってきて、eスポーツシーンが大きく盛り上がりを見せたのではないかと感じています。
「いつか、海外の大会みたいになれたらいいよね」と、海外の競技シーンを夢見て日本のeスポーツシーンの方々も活動されてきたかと思いますが、写真でしか見たことのなかった世界が目の前にあり、それを自分で撮影できたことは感慨深いものがありますね。今までの積み重ねがあったからこそ実現できたのではないかと感じています。
——5vs5シューティングの走りでもある『CS:GO』は、世界的には大人気タイトルですが日本でそこまでヒットしませんでした。同じジャンルの『VALORANT』がここまで日本でヒットした理由はなんだと感じていますか?
Yossy:決定的なのは『VALORANT』は日本の法人があって日本向けにローカライズされたサービスがあるという点ですね。入りやすさが全然違います。広告もたくさん出ていますし、インフルエンサーにプレイしてもらって知名度を高めたりと、ゲーマーやそれ以外の人たちにも『VALORANT』を知ってもらうような活動をしっかりされている点も理由のひとつだと考えています。
あとはキャラクターですかね。『CS:GO』は陸軍の軍服のようなミリタリーなデザインなので、完全に男の世界といった雰囲気なのに対し、『VALORANT』はキャラクターが個性的で、イラストを描いたりコスプレをしているファンの方が多いです。ゲームをプレイしない人でも楽しめるタイトルなのも人気の要因だと思います。
もうひとつは、国際大会が日本語配信されているところですかね。
——今現在Yossyさんが個人的に注目しているタイトルなどはありますか?
Yossy:『VALORANT』はもちろんなのですが、個人的に注目しているのはさまざまなタイトルで増えてきているアカデミーチームの展開です。『CS:GO』では、次世代のプレーヤーを育成する必要があるという認識から開催されている「CS:GO WePlay Academy League」という大会があります。大会の演出も世界大会に負けないレベルですし、このリーグで活躍した選手がトッププロをなぎ倒すような事例が出てきています。
G2 EsportsのCS:GO部門に所属する17歳のm0NESYという選手なのですが、あまりにもすごすぎるのでぜひプレー動画を見て欲しいですね。
日本でも『VALORANT』や『リーグ・オブ・レジェンド』でアカデミーリーグやチーム設立の取り組みが始まっていて注目しています。
こういうアカデミーのシーンを見ておくと、出身の選手がプロシーンに登場した際に「甲子園で活躍していた○○選手が、ジャイアンツに入ってスタメンになったぞ」みたいな気持ちで見ることができるので面白いですよ。
——『VALORANT』が初めてリリースされた時はどのように感じていましたか?
Yossy:もともとRiot Gamesは『リーグ・オブ・レジェンド』でも公式大会や世界大会で盛り上がっていましたし、同じRiot GamesからリリースされるFPSということもあってものすごく期待はしていました。ただ、まさか視聴者何十万人という規模にまで人気が出るとは思ってもいませんでした。
——確かに、さいたまスーパーアリーナで開催された「2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage2 – Playoff Finals」はすごかったですもんね。今までeスポーツシーンを追いかけてきたYossyさんだからこそ感じた違いというのはありましたか?
Yossy:見た目はもう全然違いますよね(笑)。昔の大会会場には基本的に男性ばかりで、女性のファンはほとんどいませんでした。露出したがらない選手も多く、「写真撮っていいですか?」ってお願いしても「ちょっと、嫌です。映りたくないです」って断られることも多かったですしね(笑)。
——あはは。シャイでかわいらしい部分はありますけど(笑)。
Yossy:そうですね。それが逆に今では選手の方から「撮ってください」って声を掛けていただくこともあります。選手が露出をすれば「かっこいい」とか「かわいい」といった感じで、女性ファンも会場に足を運ぶようになってきて、eスポーツシーンが大きく盛り上がりを見せたのではないかと感じています。
「いつか、海外の大会みたいになれたらいいよね」と、海外の競技シーンを夢見て日本のeスポーツシーンの方々も活動されてきたかと思いますが、写真でしか見たことのなかった世界が目の前にあり、それを自分で撮影できたことは感慨深いものがありますね。今までの積み重ねがあったからこそ実現できたのではないかと感じています。
——5vs5シューティングの走りでもある『CS:GO』は、世界的には大人気タイトルですが日本でそこまでヒットしませんでした。同じジャンルの『VALORANT』がここまで日本でヒットした理由はなんだと感じていますか?
Yossy:決定的なのは『VALORANT』は日本の法人があって日本向けにローカライズされたサービスがあるという点ですね。入りやすさが全然違います。広告もたくさん出ていますし、インフルエンサーにプレイしてもらって知名度を高めたりと、ゲーマーやそれ以外の人たちにも『VALORANT』を知ってもらうような活動をしっかりされている点も理由のひとつだと考えています。
あとはキャラクターですかね。『CS:GO』は陸軍の軍服のようなミリタリーなデザインなので、完全に男の世界といった雰囲気なのに対し、『VALORANT』はキャラクターが個性的で、イラストを描いたりコスプレをしているファンの方が多いです。ゲームをプレイしない人でも楽しめるタイトルなのも人気の要因だと思います。
もうひとつは、国際大会が日本語配信されているところですかね。
——今現在Yossyさんが個人的に注目しているタイトルなどはありますか?
Yossy:『VALORANT』はもちろんなのですが、個人的に注目しているのはさまざまなタイトルで増えてきているアカデミーチームの展開です。『CS:GO』では、次世代のプレーヤーを育成する必要があるという認識から開催されている「CS:GO WePlay Academy League」という大会があります。大会の演出も世界大会に負けないレベルですし、このリーグで活躍した選手がトッププロをなぎ倒すような事例が出てきています。
G2 EsportsのCS:GO部門に所属する17歳のm0NESYという選手なのですが、あまりにもすごすぎるのでぜひプレー動画を見て欲しいですね。
日本でも『VALORANT』や『リーグ・オブ・レジェンド』でアカデミーリーグやチーム設立の取り組みが始まっていて注目しています。
こういうアカデミーのシーンを見ておくと、出身の選手がプロシーンに登場した際に「甲子園で活躍していた○○選手が、ジャイアンツに入ってスタメンになったぞ」みたいな気持ちで見ることができるので面白いですよ。
関連リンク:
Negitaku.org:
https://www.negitaku.org/
YossyさんTwitter:
https://twitter.com/YossyFPS
【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。
Twitter:@sdora_tweet
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。
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