【「Worlds 2025」開幕直前!】 注目チーム・選手紹介: 「3つの国際戦」「フィアレスドラフト」「短縮日程」がもたらす影響は?

- 「Worlds 2025」に見える変化
- 「Worlds 2025」出場 全17チーム&注目選手紹介
- LCK第1シード GEN.G(GEN)
- LCK第2シード Hanwha Life Esports(HLE)
- LCK第3シード※ KT Rolster(KT)
- LCKプレーインステージ T1
- LPL第1シード Bilibili Gaming
- LPL第2シード Anyone’s Legend
- LPL第3シード※ Top Esports
- LPLプレーイン invictus Gaming(iG)
- LEC(EMEA)第1シード G2 esports
- LEC(EMEA)第2シード Movistar KOI(MKOI)
- LEC(EMEA)第3シード Fnatic
- LTA第1シード FlyQuest(FLY)
- LTA第2シード Vivo Keyd Stars(VKS)
- LTA第3シード 100 Thieves(100T)
- LCP第1シード CTBC Flying Oyster(CFO)
- LCP第2シード Team Secret Wheles(TSW)
- LCP第3シード PSG Talon(PSG)
- 終わりに
『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の世界大会「Worlds 2025」が、本日10月14日(火)より中国・北京で開幕を迎える。今年は中国開催のため時差が少なく、日本のファンも観戦しやすいのはうれしいところだ。
さて、本記事では今年の「Worlds」で変わった部分の紹介やそれによる影響、ここまでの世界大会の振り返りから見る地域間の実力差、そして出場チームのロスターや今シーズンの戦いぶりをまとめていこうと思う。
文末には筆者のPick’em予想(執筆時点のもの)を載せておく。例年一番上のグループには入れたり入れなかったりくらいの実力なので、参考程度にご笑覧いただければ幸いだ。
「Worlds 2025」の日程・大会ルールの詳細はこちら
・Worlds 2025 プレーインステージ・スイスステージ【2025年10月14日~25日】
https://esports-world.jp/tournament/51959
・Worlds 2025 ノックアウトステージ 【2025年10月28日~11月9日】
https://esports-world.jp/tournament/54768

今シーズンは予定外の通年フィアレスドラフト開催となり、当然その流れを汲んで「Worlds 2025」も全試合フィアレスドラフトが採用されることとなった。
「フィアレスドラフト」とは、Bo3やBo5の試合形式において、一度でも使用されたチャンピオンは再度使用できないドラフトルールである。つまり、2戦目なら10体BANされた状態からドラフトスタート、5戦目になると40体BANされた状態からスタートすることになる。
ライアットゲームズの狙いとしては、これにより同じチャンピオンばかりがピックされることを防ぎ、普段競技シーンであまり日の当たらないチャンピオンにもチャンスがめぐってくるようにすることだったはずだ。
しかし、現状のプロシーンを見ているといわゆるオフメタピックの研究より、メタチャンピオンを満遍なく使えるようになることのほうが重視されているように思える。
というのも、メタの主役になる、Bo3・Bo5のシリーズで複数回ピックされるようなOPチャンピオンに対してカウンターピックを開発する、というのが今までのオフメタチャンピオンの主な登場理由だった。
しかしフィアレスドラフトでは、1回ピックされる、もしくは自分たちがピックしてしまえば、2度とそのチャンピオンは登場しない。1シリーズに1回あるかないかのチャンスのために、新しいチャンピオンを準備するのは、ただでさえフィアレスドラフトで広いチャンピオンプールが求められる中で“時間対効果”が悪すぎるのだ。
また、このドラフト形式では、BAN数が膨大になる4、5ゲーム目などでは特定のロールでメタチャンピオンが枯渇してしまうこともあり、1人のプレーヤーに頼ったチームよりも、複数のロールでキャリーできるチーム作りが安定した成績を出すためには求められる。

つまり、いかに弱点が少なく、しかも広いチャンピオンプールを持っているか、そういった要素が求められる過酷なルールと言えるだろう。
それゆえ、一般的なドラフトルールよりも番狂わせが起きづらく、実際全試合フィアレスドラフトBo5で開催された今年の「MSI」ではPick’emで過去最多の全問正解者数を記録した。

ここまでをまとめると、弱点がないチームが強く、波乱が起きにくいのがフィアレスドラフトの特徴、というわけだが、「Worlds」のスイスステージはこれが完全に当てはまるわけではない。
というのも、スイスステージは2勝するまではBo1形式(1ゲーム先取)なので、フィアレスドラフトが関係ないのだ。2勝もしくは2敗して初めてフィアレスドラフトへとたどり着くので、そこまでの「Bo1フェーズ」とスイス抜けを決めるための「Bo3フェーズ」で、全くゲーム性が異なる2つのルールをこなす必要があるわけだ。

Bo1が強そうなKT、100Tなどにはうれしいルールとも言えるが、結局フィアレスドラフトのBo3で勝利しなければノックアウトステージにはたどり着けないので、Bo1における1つのチーム構成の完成度とBo3における穴のないバランス力の両面が必要なレギュレーションとなっている。
今年は開催時期がやや後ろにずれたこと、「プレーインステージ」がT1とiG間で行われる1試合しかないこともあって、例年より約2週間も開催期間が短い「Worlds」になっている。
「Worlds」といえば1つのパッチを長く使うことによる大会中のメタ変化が見どころになっていたが、この期間短縮によってその変化もやや緩やかになる。
この手の変化をうまくつかんで「Worlds」を勝ってきたT1にとっては、若干アドバンテージを失ったとも言える。逆に、メタ変化に弱いと言われてきた北米勢のFLY QUESTや、メタの読み間違いで再三優勝を逃してきたGEN.Gなどには追い風になりそうだ。
LCKとLPL。この2地域がトップ2なことに異論を唱える人はほとんどいないだろう。ただ、気になるのが韓国と中国の力関係だ。
今年は新設された「FirstStand」、春終わりに行われた「MSI」、さらに夏シーズン中に行われた「Esports World Cup」(※ライアット主催ではない招待制大会)とサンプル数が多いので、例年よりも類推しやすい。
結論からいうと、今年はかなりLCKが優位になっていそうだ。
ここまですべての国際大会をLCKのチームが勝利してきているし、LPLのチームでLCKに勝利できているのはAnyone’s Legend(AL)のみ。Bilibili Gaming(BLG)、Top Esports(TES)に関しては、その時のパフォーマンスが低かった、マッチ数が少なかったという注釈がつくものの、マッチ勝利どころかなんと1ゲームも取得できていない。
ただ、これはあくまでここまでの流れであって、「Worlds」はパッチの変更や地元中国開催による地の利など、さまざまな要素があるため、LPLチームも十分に逆転は可能だろう。
LEC、LCP、LTA地域に関しては、1位のチーム同士の実力はかなり拮抗しているように思う。どこも中・韓の下位シード相手なら十分波乱を起こせそうな実力に見えるので、スイスドローの引き次第ではここから2チーム以上がノックアウトステージ進出……なんてシナリオも決して非現実的ではない。
さて、ここからは5地域から出場する全17チームを個別に紹介していこうと思う。

今年は国際大会が多かった関係で、各国の大会レギュレーションが異なっており混乱を招きそうだったため、「FirstStand」前の大会を「冬季」、「MSI」前の大会を「春季」、「Worlds」前の大会を「夏季」として表記することとした。(例:LCKCup→冬季、LCK Round1-2→春季、LCK Round3-5→夏季)
また、KT Rolster(KT)、TESの2チームに関しては、「プレーインステージ」の結果によってシードが変更になるが、便宜上第3シード※と表記している。

トップ:Kiin
ジャングル:Canyon
ミッド:Chovy
ADC:Ruler
サポート:Duro
今年の国際戦の結果からもLCKのレベルは世界一といっても過言ではないだろう。そのLCKをレギュラーシーズン29勝1敗という圧倒的成績で走り切ったのがGENだ。
今年は世界最強のADC候補に常に名前が上がるRulerが中国から帰国。BFXから期待のオールドルーキーDuroを獲得しボットデュオを刷新した。
冬季こそHLEに敗れ2位に終わったものの、そこから「MSI」までは国内で無敗。「MSI」も「Esports World Cup」も制覇し、連戦の疲れも見せずに夏シーズンも連勝街道を邁進。
リーグ戦でT1に、プレーオフでKTに1回ずつ敗れたものの、夏季プレーオフも優勝、堂々の第1シードで「Worlds」に乗り込んできた。
押しも押されぬ世界最強のミッドChovy、ストロングサイドからウイークサイドまで何でもこなせるトップのKiinとキャリー陣も隙がなく、今年も間違いなく優勝候補筆頭だ。
不安要素があるとすれば、今年後半からいまいち調子の上がらなかったジャングルのCanyonと、重要な場面で度々やらかしてしまうドラフトミス。特に後者は今年の夏決勝でもやらかしており、克服した、とは言いがたい。
GENファンの胃を守るためにも、慎重なドラフトを心掛けてほしいところだ。

もう1つの不安要素になっているのが、夏以降ずっと低空飛行を続けているCanyonのパフォーマンスだ。
ジャングルが不調でも勝てているGENもすごいのだが、夏のレギュラーシーズンからプレーオフにかけてキル関与率がリーグ最下位レベル、ダメージで見ても中位から下位とゲームに参加できないシーンが目立った。
ゼドやナフィーリなどキャリー力の高いチャンピオンがメタにいるので、彼が復活すればGENの強さはさらに盤石のものとなっていくだろう。

トップ:Zeus
ジャングル:Peanut
ミッド:Zeka
ADC:Viper
サポート:Delight
HLEは浮き沈みの激しい1年を送った。
トップはT1とトレードするような形でZeusが加入。Zeus、Zeka、Viperとフィジカルの強い3キャリーにサポーティブなジャングラーPeanut、エンゲージの得意なDelightと隙のないロスターで冬季優勝。そのまま「FirstStand」でも圧勝し、今年はHLEのグランドスラムが見られるか? と期待させるシーズンスタートを切った。
しかし、春季プレーオフでT1に敗れ「MSI」出場を逃すと、「Esports World Cup」でも冴えないパフォーマンスでベスト8止まり。
不調の原因はスマイト勝負に全く勝てないPeanutと集団戦で存在感を発揮できないZekaの2人で、Viperがなんとか勝ちを拾うものの夏季シーズンも苦しいゲーム内容が続いた。しかし、プレーオフが近づくにつれて2人の調子は徐々に回復。プレーオフ本番ではT1、KTを立て続けにスイープして完全復活を印象づけた。
決勝こそGENに敗れたものの、上り調子なのは間違いなく、GENの優勝を止める筆頭候補の一角と言えるだろう。
また、チームの潤滑油となっているベテランジャングルのPeanutは今年限りでの引退を表明している。常に第一線で活躍してきたプレーヤーだが、「Worlds」では2017年の準優勝が最高成績。LCK制覇、FirstStand制覇、MSI制覇は達成しているので、生涯グランドスラムをかけたこの「Worlds」が彼にとって最後の大会となる。
2015年から続く彼のキャリアの最後の忘れ物を回収できるか。

浮沈のあった1年を通して常にチームをキャリーし続けた正真正銘のエースプレーヤー。コミュニティでは、「チームが不調で低パフォーマンスでも、Viperがなんとかしてチームを勝たせてしまうため、他メンバーが成長しない」などと冗談を言われるほどだった。
それを裏付けるデータとして、夏プレーオフでは平均DPMは934.5、ダメージシェア率は33.8%と異次元の数値を叩き出している。
チャンピオンプールも広く、ヴァルスやジンのユーティリティ系からカイ=サ、スモルダーのようなレイトキャリーまで何を使ってもチームを勝利に導ける。
彼を止められるADCがいるのか、LPL勢やLEC勢のADCたちとの対面が待ち遠しい。

トップ:ParfecT
ジャングル:Cuzz
ミッド:Bdd
ADC:deokdam
サポート:Peter
前述の通り、フィアレスドラフトにおいては弱点が少ないチームほど強い。しかしKTは「Worlds」出場チームとは思えないほど弱点だらけのチームである。
トップのParfecT、サポートのPeterは経験不足から来る不安定さがあり、deokdamは活躍できるチャンピオンプールに限りがある。
通常のドラフトルールならある程度無視できる、しかしフィアレスでは致命傷になりかねない穴を抱えたKTだが、それを補って余りあるのがミッドのBddとジャングルのCuzzの黄金コンビの破壊力だ。
優勝候補GENをロワーブラケットに叩き落した夏のプレーオフはこの2人の独壇場で、圧巻のパフォーマンスだった。しかしその後は、HLEに3-0、GENに3-0でリベンジされ、いいところなく敗れ第3シードへ。
一度調子を崩すと立ち直るまでが長いチームでもあるので、この休み期間でリセットができているかどうか。

チームの安定した勝利──という点ならば、ParfecTかdeokdamの名を挙げたいところだが、KTを語る上で注目プレーヤーをBdd以外にすることは難しいだろう。
こういったワンマンキャリーチームはフィアレスドラフトではチャンピオン数が足りなくなり勝ち進めないものだが、Bddの場合はゾーイやシンドラ、リサンドラといったメタ外のチャンピオンでもきっちり仕事をこなせるのがすごいところ。
“Bdd劇場北京公演”ではどんな演目が見られるのだろうか。新たなるポケットピックに期待しよう。

トップ:Doran
ジャングル:Oner
ミッド:Faker
ADC:Gumayusi
サポート:Keria
「Worlds」3連覇のかかるT1はまさかのプレーインスタート。LCK全体のレベルの高さを裏付ける一方で、T1自身もメタ・フィアレスへの対応に苦しんだ1年でもあった。
Zeusとのややスキャンダラスな別れを経て、新たなトップにDoranが加入。本人の不調、プレッシャー、メタへの対応などさまざまな要因はあったと思うが、冬季はあまり機能せず、「FirstStand」への出場を逃した。
サポートのKeria、そして『LoL』界を代表するスターであるFakerも夏までに復調したものの、シーズン中はスランプに陥り、Gumayusiもフィアレスドラフトに翻弄された。
そんな中で1年を通して安定したパフォーマンスを発揮したのがジャングルのOner。彼がチームを支えていなければ「MSI」準優勝や「Esports World Cup」3位の結果は残せなかっただろう。
Fakerは今回で10度目の「Worlds」出場。過去5回の優勝だけでなく、出場した9回すべてでベスト4以上を達成している。
この輝かしい実績を支えているのが、選手たちをバックアップするチームとしての組織力だ。同じパッチを長く使う国際大会でのT1は、メタ読みの正確さと対応力が際立ってみえる。それだけに、今回の大会期間短縮による影響がどう出るのかも気になるところだ。

少ないゴールド、ファームで最大限結果を出す、いわゆる「コスパの良い」プレーヤーとして知られているGumayusiだが、フィアレスドラフト、特にBo5においてはチャンピオンプールが枯れてどこかでハードキャリー系をピックせざるを得ない場面がやってくる。
特に夏季プレーオフではメタがややレイト方向に傾いたこともあって、彼がカイ=サ、ゼリをピックできないという事実が、チームにドラフト面での負担を生んでいたことは目を背けがたい事実だ。
T1にとっての正念場はBo1、Bo3中心のスイスラウンドより、Bo5で行われるiGとの「プレーインステージ」かもしれない。

トップ:Bin
ジャングル:Beichuan
ジャングル:Shad0w
ミッド:Knight
ADC:Elk
サポート:ON
「Worlds 2024」の準優勝チームBLGは、今年も中国第1シードとして「Worlds」に挑む。
ロスターもほぼ維持し、LPL優勝。これだけ見ると順風満帆の1年だったかのように見えるが、BLGは去年からジャングル探しの長い旅を続けている。
2024年はシーズン当初はXUN1人の起用だったが、夏からWeiを併用。このWeiのパフォーマンスがよく夏季優勝を達成するが、「Worlds」の大会期間中はWeiがチームにフィットせず、今度はXUNをスターターにカムバックさせる。これが起爆剤となりBLGは息を吹き返し、結果として決勝までたどり着くことができた。
そして年が明けて2025年。BLGがジャングルに選んだのはWeiの方だった。国内で成績のよかったWeiを残した判断は悪くなかったと思うが、冬、春と思ったような成績が挙げられず「MSI」に向けて若手のBeichuanを獲得。「MSI」出場権を得るものの、「MSI」、「Esports World Cup」と国際戦で不甲斐ない結果に終わってしまう。
そこで白羽の矢が立ったのが、今年3人目のジャングルであるShad0w。イタリア生まれの中国系でLECでも活躍していたという異色の経歴を持つ彼を、夏季は併用。
プレーオフ決勝では1戦目を落としたあと、2戦目以降はすべてShad0wが出場し、史上稀にみる大激戦の決勝を制してリーグ優勝を成し遂げた。
ADCのElk、サポートのONに関しては、国際戦でのパフォーマンスはさておき国内では非常に安定しており、LPL屈指のキャリー力を持つトップBin、ミッドKnightを擁する他ロールは隙のないロスターだけに、BeichuanなのかShad0wなのか、かつて選手として「Worlds 2024」を制したEesyhoonコーチも頭を悩ませていることだろう。

Bin、knight、Elkの体制になった2024年以降、3度の国際戦に登場し、2回準優勝、1回ベスト4。中国最高のロスターを揃えても優勝にあと1歩届いていない理由のひとつが、ボットレーンにあると感じている。
Elk-ONのデュオはLPLを見るたびに「素晴らしいプレーヤーだな」と感心させられるのだが、国際戦に来ると国内ほどの輝きを放てていないことが多い印象だ。
今年はサポートが重要なメタで、ONのパフォーマンスの低さが今年の「MSI」や「Esports World Cup」での敗因にもなっていたので、春のリベンジを地元中国で果たしてほしい。

トップ:Flandre
ジャングル:Tarzan
ミッド:Shanks
ADC:Hope
サポート:Kael
今シーズン国際戦で最も好成績を残しているLPLチームがALだ。「MSI」ではGEN、T1に敗れ3位。「Esports World Cup」では準優勝。しかし国際戦連戦の疲れもあってか夏季は不安定なパフォーマンスに終始。何とかプレーオフでは立て直しに成功し、第2シードに収まった。
LPL代表の中で唯一、1年通してロスターを固定できたチームで、ジャングルのTarzanが中心となってゲームメイクし、最終的にHopeが育つのを待つ、という戦術が基本になっている。
Shanksを育てるセカンドプランも強力で、Flandreは基本フロント役を務めるいわゆる“下半身型”のチーム。ジャングルのTarzanとサポートのKaelが韓国人コンビということもあって、LPLチームの中ではセットアップ重視で最小限の戦闘で勝つことを目指す傾向にあり、それが国際大会でLCKチームに対抗できている秘訣なのかもしれない。

Tarzanにばかり注目が集まるが、ここはあえてサポートのKaelを推したい。
2004年生まれの21歳で、ロール内では大会最年少ながら、レル、アリスターといったエンゲージ系、バード、ルルといったメイジ系と、どれも卒なくこなすことができる万能型サポートプレーヤーだ。
プロデビューイヤーの2022年はあと一歩のところで「Worlds」出場が叶わなかったが、3年越しに夢をかなえた。

トップ:369
ジャングル:Kanavi
ミッド:Creme
ADC:JackeyLove
サポート:Hang
ジャングルにJDGamingからKanavi、サポートにWeibo GamingからCrispと実績のあるプレーヤーを補強し、冬季優勝。最高の滑り出しをした今年のTESだったが、国際大会「FirstStand」ではLTA代表のTeamLiquid以外から1ゲームも取れないという無残な結果に終わってしまった。
春季のプレーオフも結果が出ず「MSI」出場を逃すと、Weibo Gamingとトレードするような形でサポートのHangを獲得。不調のCrispを外して「Worlds」出場権がかかる夏季シーズンに挑んだ。
チームのエース、ADCのJackyLoveは攻撃的なプレースタイルで知られ、それゆえか年上のサポートと組んだ方が相性が良いとされていただけに、この若手起用は意外だった。が、これが功を奏し、冬の調子を取り戻したTESは「Worlds」への切符を手にしたのだった。
安定感がウリのトップ369は今シーズンかなりキャリーするシーンが増え、ややプールの狭かったミッドCremeもシーズンを追うごとに手札が多くなるなど、ロスターのテコ入れ以外のチーム全体の成長も見られた1年だった。

369と言えばウィークサイドが上手い印象だったが、レネクトンやエイトロックスといった得意チャンピオンがピック可能なメタということもあって今季はキャリーとしての存在感も増している。
彼にキャリーを任せることができるようになれば、Creme、JackeyLoveと合わせて3枚のキャリーがどこからでもゲームメイクできるという『LoL』において理想的なロスターが完成する。プレーオフでの好調を維持できるかが、チームの上位進出のための重要なファクターになりそうだ。

トップ:TheShy
ジャングル:Wei
ミッド:Rookie
ADC:GALA
サポート:Meiko
2018年「Worlds」制覇、2019年ベスト4とかつては輝かしい成績を残していたiGだが、あれ以来世界戦への登場はかなわず。今季ついに「Worlds」出場まであと1歩、LPL第4シードとして「プレーインステージ」でのT1との対決までこぎつけた。
世界を制したTheShy、Rookieのトップ-ミッドコンビも2021年以来4年ぶりの再結成。TheShyは当時と比べるとオーンやサイオンといったタンクも使いこなし、年齢相応に丸くなった印象がある。
RNG(Royal Never Give UP)時代に「MSI」を2度制したADC GALA、EDG所属時の2015年から「Worlds」出場を果たしている大ベテランサポートのMeikoと、中国競技シーンのオールスターのようなロスターになっている。
BLG同様にジャングルのプレーヤー選出に最後まで苦労していたが、夏シーズンからはそのBLGからWeiが加入。
Regional FinalsでJDGとの激戦を制して、最後の切符をつかんだ。

プレーオフで勝ち切れなかった要因のひとつは、GALAの不調だったように思う。
トップレーンのピックによる影響があるとはいえ、GALAのダメージシェア率は夏レギュラーシーズンでは29.1%だったのに対して、プレーオフでは26.5%とかなり数値を落としてしまった。
しかし「Worlds」最後の1枠をかけたJDG戦では、カリスタやカイ=サで目の覚めるようなパフォーマンスを見せ大復活。この調子で彼が息を吹き返せば、トップのTheShyの過激なピックと合わせて、相手の対処をより難しくすることができるだろう。

トップ:BrokenBlade
ジャングル:SkewMond
ミッド:Caps
ADC:Hans Sama
サポート:Labrov
ヨーロッパの絶対王者、G2の2025年は苦難と成長の1年となった。
BrokenBlade、Caps、Hans Samaのキャリー陣は残留したものの、当時LEC最高のサポートと評価されていたMikyx、自分たちがルーキー時代から育て上げたYikeを放出。新たにLabrovとSkewMondを加入させ、チームのリビルドを計ることとなったが、冬、春ともに優勝を逃し、第2シードで出場した「MSI」でも惨敗と成果を上げられなかった。
しかし「Esports World Cup」で4位に入って勢いをつけ、夏シーズンに入るとSkewMondが持ち前の爆発力に加えて安定感を身につけ、一躍チームの主役に。レギュラーシーズンのスタッツでKDA20.2、KP78.2%と大暴れした。
Labrovもプレーオフでは勝利を決定づけるプレーを何度も決める大活躍。これで最後のピースが埋まり、王者の座に返り咲くことに成功したのだった。

苦しい時期を乗り越え、第1シードとして「Worlds」の舞台に立つG2だが、唯一残った不安要素がトップのBrokenBladeだ。
最近レク=サイやクレッドといったオフメタピックに熱心で、メタチャンピオンで言うとランブルは1年間で1回しかプレーしておらず、オーロラに至っては0回と極端な偏りを見せている。
これが彼なりの答えなのか、あるいはメタピック同士で争うのを恐れているのか、KiinやBin、Zeusといった世界最強クラスのトップレーナーとのマッチアップ時どんなチャンピオンを選択するのか、今から楽しみでならない。

トップ:Myrwn
ジャングル:Elyoya
ミッド:jojopyun
ADC:Supa
サポート:Alvaro
春季優勝チームであったMKOIは、夏季ではG2に逆転を許して準優勝。第2シードとして「Worlds」へ出場する。
Tier1デビューから5年連続「Worlds」出場中の、「Worlds請負人」ことジャングルElyoya、デビュー2年目にしてLECナンバーワンサポートとの呼び声高いAlvaroを中心に、少数戦・集団戦でリードを取っていくスタイルのチームだ。
今季北米から加入したミッドのjojopyunはレーン戦が課題だったものの、それも改善しつつあり、ヴァルスやニーコといった飛び道具ピックも出せるトップのMyrwn、ハードキャリーできるADCのSupaと、これといった弱点がなく戦力がまとまっている。
BLGのShad0wはかつてMKOIの前身であるMAD Lionsに所属しており、彼の後任として頭角を現したのがElyoya。2人の先輩後輩対決も見てみたい。

G2とのプレーオフではどのゲームも接戦で差がない内容だったものの、結果としては1勝6敗と大きく負け越す結果となった。
その要因がMKOIのボットレーンで、Alvaroは冬・春ほどのパフォーマンスを発揮できず、サポートの不調に引っ張られる形でSupaもチームをキャリーしきることができなかった。
序盤のテンポを取るのがElyoyaの仕事だとすれば、中盤以降でエンゲージでチームをけん引してきたのがAlvaroだった。彼の復調は、スイスステージ抜けには必須条件と言えるだろう。

トップ:Oscarinin
ジャングル:Razork
ミッド:Poby
ADC:Upset
サポート:Mikyx
FNCはレギュラーシーズンこそ好成績を残すものの、プレーオフで勝ち切れず冬・春と国際大会出場を果たせなかった。
原因となっていたのはヨーロッパを代表するミッドHumanoidだ。フィアレスドラフトへの対応に苦しむ彼を思い切ってカット、代わりにかつてT1の2部チームに在籍していた19歳のPobyを抜擢すると、これがチームにフィットし、最後の最後で世界戦への切符をつかみ取った。
とはいえ、夏から若手のミッドを入れるというのは劇薬で、ボットデュオのUpset&Mikyxは安定しているものの、トップのOscarininのウィークサイドの対応力や、ジャングルRazorkのアクションとそれに合わせる味方とのコミュニケーションエラーが散見されるなど、現状課題は多い。
フィジカル面でいえばLCK、LPLチームに対抗しうるものを持っているので、この1カ月弱の期間でのチームを伸びしろ次第では台風の目になりうるチームだ。

ダメージディーラーが得意な若手トップレーナーだが、今季はウィークサイドを担当したときのパフォーマンスにかなり難がある。
新型のスワップ(最序盤からトップレーンに1人でADCが入っていく戦術)も開発されており、ますます苦手なシチュエーションが増えることが予想される。サイオンやカ・サンテといった「耐え」のピックの精度を上げ、チームのエースUpsetにバトンを渡すトス役を担えるか。

トップ:Bwipo
トップ:Gakgos
ジャングル:Inspired
ミッド:Quad
ADC:Massu
サポート:Busio
北米史上最高のチーム──そう言っても過言ではないくらいの完成度のチームが、北京へと乗り込んでくる。
FLYは冬季こそ優勝を逃したものの、春・夏の連覇を果たし、地域内では敵なしの強さを見せている。昨年 「Worlds」ベスト8を成し遂げたロスターをそのまま今年も継続。2年連続で年間最高選手に選ばれたジャングルのInspired、エンゲージが得意なサポートBusioを基盤に、トップのBwipo、ミッドのQuad、ADCのMassuとどこからでもキャリーできる万能型のチームになっている。
不安要素があるとすれば、LTAリージョン内の試合はスローテンポになることが多く、テンポの速いLPL地域との対戦に特に相性が悪そうな点。実際に「MSI」ではAL、BLGに敗れてトーナメントを終えている。
メタへの順応がスムーズに行えれば、去年を越える成績をも望めるだろう。

弱冠20歳、Tier1デビュー2年目ながら、北米地域を代表するプレーヤーに成長した若き天才。
キャリー力や集団戦での生存能力は高いものの、ややレーン戦に不安があり、前述の世界とのメタの違いも考慮すると序盤にボットから崩される可能性をはらんでいる。
「LTA Championship」ではそのあたりを見据えてか、序盤寄せのADCを多く試していたので、ピックの助けも借りて、彼とBusioのデュオが序盤戦を乗り切れるかが重要になってきそうだ。

トップ:Boal
ジャングル:Disamis
ミッド:Mieru
ADC:Morttheus
サポート:Trymbi
「LTA Championship」では下馬評を覆して100Tを撃破し、決勝ではFLYに敗れたものの堂々の第2シードを勝ち取った南米の雄、VKS。
ブラジルのプロリーグCBLOL初代王者のまさに古豪というべきチームで、その後は一時参戦していない時期も挟んだが、今年11年ぶりに国内優勝を果たした。
今季はなんとEU地域からLEC優勝経験もあるTrymbiをサポートに迎え入れ、ジャングルのDisamisとの強力な連携を1年かけて築き上げてきた。
最後のピースとして、夏季からミッドに元HLEのMieruを獲得。ラテン地域やトルコで活躍したのちブラジルシーンへ移ってきたジャーニーマンで、キャリーからユーティリティまでなんでもこなせる自在型プレーヤーだ。彼の加入により、ADCのMorttheus一辺倒だったキャリーが分散できるようになり、一気にチームとしての完成度が増した。
ちなみに、キャリータイプのトップ、BoalはかつてはBankaiというサモナーネームでプレーしていたが、これは日本の漫画『Bleach』から取ったものとのこと。

メイジサポートが得意で、レーン戦で有利を作り相手のジャングルに入っていくというヨーロッパらしいプレースタイルを南米シーンに持ち込み、見事チーム優勝の立役者の1人となった。
しかし、前のめりでリスクも高い戦術なので、視界コントロールのうまいLCK・LPL地域のチームと当たった時にどれだけ通用するか。
またBoal、Disamis、Morttheusのブラジル人プレーヤーたちはいずれも初世界戦なので、過去「Worlds」出場3回のベテランとして、慣れない環境やメタへの対応をどれだけ教導できるか、ゲーム内外での活躍も期待される。

トップ:Dhokla
トップ:Sniper
ジャングル:River
ミッド:Quid
ADC:FBI
サポート:Eyla
去年に引き続き第3シードでの「Worlds」出場となった100Tだが、来年は北米地域から撤退することが発表されており、チームとして有終の美を飾りたいところ。
コアとなるジャングル、ミッドラインであるRiver、Quid、サポートのEylaはそのままに、やや不安定だったボットにNRGからFBIを獲得。
夏季には若手のSniperを補助する目的もあってか、ベテランDhoklaをコーチから昇格。フィアレスドラフトに対応するための経験値面は整ったロスターとなっている。
とはいえ、Quidのオーロラをはじめとした各レーンの得意ピックのパフォーマンスは素晴らしいものの、2番手、3番手のピックになった時のクオリティの「ばらつき」は気になるところ。「Worlds」本戦までの準備期間でどれだけ引き出しを増やせるかが、スイスステージ突破の鍵になってくるだろう。
余談だが、Dhokla、FBI、Eylaの3人は2010年代にオセアニア地域でプレーしていたという共通点を持っている。
先日、LCPに参加していた唯一のオセアニアチーム、Chiefs Esports Clubの降格が決定してしまったばかり。
オセアニア魂の宿る100Tが「Worlds」で敵を取ってくれる展開にも期待したい。

かつては「Baby」というサモナーネームで活動しており、日本のLJL2部チーム、BowQen Blackbucksでプロキャリアをスタートさせ、V3 esportsにも所属していたベテランプレーヤー。
「Worlds」出場も4回目にして一度もグループ・スイスステージ突破は経験していないものの、世界の強豪相手でも物怖じしない姿が印象的なプレーヤーなので、今年もいつも通りの攻めっ気を見せて、スノーボールを狙っていってほしい。

トップ:Driver
トップ:Rest
ジャングル:JunJia
ミッド:HongQ
ADC:Doggo
サポート:Kaiwing
LCP地域は開幕前の下馬評では、去年に引き続きPSG Talon(PSG)とCFOのライバル対決と目されていたが、蓋を開けてみればCFOの圧勝という結果に終わった。
同地区のライバル・PSGから移籍してきたジャングルJunJiaと若き天才ミッドHongQのラインがとにかく強力で、この「背骨」を軸にどのレーンからでもキャリーできる手札の多さが特徴だ。
また、LCP地域の特色としてファイトが多くなりすぎてゲーム時間が延びやすく、ゲームエンドを苦手とするチームが多い中、平均試合時間もTeam Secret Whales(TSW)やPSGと比べて2分以上短く、きっちりゲームを終わらせるマクロも持ち合わせている。
ジャングルのJunJiaだけでなく、FAKから移籍のKaiwing、LPLから4年ぶりにLCP地域に復帰したDoggoと移籍組が期待通りの活躍を見せ、去年からのロスターであるRest、Driverの両トップの併用も1年通してうまく機能した。
「FirstStand」、「MSI」、「Worlds」と今年開催された3つの国際大会すべてに出場できた唯一のチームで、「MSI」では準優勝となったT1をあと一歩まで追い詰めるなどインパクトを残した。
夏のプレーオフの内容もかなり良かったので、スイスステージ突破やベスト4以上の結果も望めるかもしれない。

個人的に今大会で最も注目している18歳の若手プレーヤー。
デビューイヤーの去年からその才能の片鱗を見せていたが、今季はシーズンを追うごとにど安定感が増した。数値面で見ても15分での平均CSリードが冬季では+1と平均的だったのだが、春季には+4、夏季には+7.6とどんどん改善していき、ついにはリーグ首位のスタッツへと成長した。
もうチームの大黒柱といっても過言ではないプレーヤーになった彼が、ChovyやKnight、Fakerといった世界最高峰のミッドと対面するのが今から楽しみだ。

トップ:Hiro02
トップ:Pun
ジャングル:Hizto
ミッド:Dire
ADC:Eddie
サポート:Taki
ベトナム勢といえばGAM Esports(GAM)を思い浮かべる読者の方も多いだろうが、今季はTSWがLCPのプレーオフを勝ち抜き、ベトナム勢唯一の「Worlds」出場チームの栄誉を得ることになった。
VCSのTeam SecretとTeam Whelesが合併する形で誕生したチームだが、ロスターはほぼTeam Secretのものを引き継ぐ形になっている。
このチームの特徴はとにかく「若さ」だ。中でも2部チームから昇格したジャングルのHiztoは、9月に18歳になったばかりでポジション内で見ると大会最年少。ミッドのDireも同様に2部上がりで、こちらも18歳と非常にフレッシュなロスターになっている。
粗削りながら勢いのあるスタイルが魅力で、Hizto、Takiを中心にとにかく積極的に少数戦を仕掛けてスノーボールを狙っていく展開を得意としている。
トップのHiro02、ADCのEddieはともにキャリーに役割を担えるプレーヤー。フロントを強化したいときには夏季から加入したPunを起用するというオプションもあり、若手チームながら手札は豊富だ。

今年Tier1デビューのルーキーゆえに仕方ない部分はあるにせよ、LCP地域内でもレーニングで苦戦する部分が見られ、上位チームのミッドながら15分時点でのCSリード率は40%と負け越している。
ミッドレーンの安定が得意の少数戦での優位に直結するので、世界の強豪たちに対して18歳の彼がどれくらい立ち向かえるかに期待だ。

トップ:Azhi
ジャングル:Karsa
ミッド:Maple
ADC:Betty
サポート:Woody
LCP地域の名選手Mapleの引退、Junjiaの放出、長年続いたParis Saint-Germain(パリ-サンジェルマン)とのパートナーシップ解消と、新しいチームとしてスタートしたTalonだったが、冬季2位、春季3位と国際大会にはあと一歩届かず。
この状況を打破すべくチームが採った作戦は、まさかのMapleの現役復帰だった。
PSGとのパートナーシップも復活し、「Worlds」出場が叶った2024年の体制に近づけて挑んだ夏季シーズンだったが、未勝利に終わってしまう大苦戦。しかしプレーオフに入ってからは、ジャングルのKarsaとMapleのラインがうまく機能するようになり、春季に「MSI」出場権を奪ったGAMへのリベンジを果たし「Worlds」進出へとこぎつけた。
Maple復帰でジャングル-ミッドのラインは地域屈指の強さになったものの、サイドレーンを担当するAzhi、Bettyが本来の輝きを取り戻せていないのが、第3シードに留まってしまった理由のひとつ。
Woodyもタンクサポートがメインで、レーンの主導権を取れるニーコなどのピックが少なく、ややメタへの対応が後手に回っている印象がある。

PSGのもう1つの弱点として、Mapleにキャリーを渡せないドラフトになったシーンでの脆さが挙げられる。それだけが原因ではないだろうが、シリーズ3戦目以降の勝率は0%とフィアレスの影響を大きく受けているチームの1つだ。
サイドレーンの奮起にも期待したいが、Karsaがプレーオフで見せていたキヤナやナフィーリなどのキャリーポテンシャルのあるピックでスノーボールするパターンが作れると、スイスステージ抜けの可能性がぐっと上がるだろう。
いかがだっただろうか。
「Worlds」期間中は歴代優勝スキンや「Worlds」記念スキンに加え、各チームをモチーフにしたエモート販売など『LoL』がeスポーツ一色になる。
この記事や実際の試合を見て、読者の方が新たな推しチームや選手を見つけるきっかけになってくれればうれしい限りだ。
おまけ 筆者のPick’em

LoL Esports:https://lolesports.com/ja-JP/
LoL Esports JapanのX:https://x.com/lolesports_jp
LoL Esports JapanのYouTube:https://www.youtube.com/@LoLeSportsJP
さて、本記事では今年の「Worlds」で変わった部分の紹介やそれによる影響、ここまでの世界大会の振り返りから見る地域間の実力差、そして出場チームのロスターや今シーズンの戦いぶりをまとめていこうと思う。
文末には筆者のPick’em予想(執筆時点のもの)を載せておく。例年一番上のグループには入れたり入れなかったりくらいの実力なので、参考程度にご笑覧いただければ幸いだ。
「Worlds 2025」の日程・大会ルールの詳細はこちら
・Worlds 2025 プレーインステージ・スイスステージ【2025年10月14日~25日】
https://esports-world.jp/tournament/51959
・Worlds 2025 ノックアウトステージ 【2025年10月28日~11月9日】
https://esports-world.jp/tournament/54768
「Worlds 2025」に見える変化
(1)「フィアレスドラフト」導入後初の「Worlds」

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Hp554z2LseU
今シーズンは予定外の通年フィアレスドラフト開催となり、当然その流れを汲んで「Worlds 2025」も全試合フィアレスドラフトが採用されることとなった。
「フィアレスドラフト」とは、Bo3やBo5の試合形式において、一度でも使用されたチャンピオンは再度使用できないドラフトルールである。つまり、2戦目なら10体BANされた状態からドラフトスタート、5戦目になると40体BANされた状態からスタートすることになる。
ライアットゲームズの狙いとしては、これにより同じチャンピオンばかりがピックされることを防ぎ、普段競技シーンであまり日の当たらないチャンピオンにもチャンスがめぐってくるようにすることだったはずだ。
しかし、現状のプロシーンを見ているといわゆるオフメタピックの研究より、メタチャンピオンを満遍なく使えるようになることのほうが重視されているように思える。
というのも、メタの主役になる、Bo3・Bo5のシリーズで複数回ピックされるようなOPチャンピオンに対してカウンターピックを開発する、というのが今までのオフメタチャンピオンの主な登場理由だった。
しかしフィアレスドラフトでは、1回ピックされる、もしくは自分たちがピックしてしまえば、2度とそのチャンピオンは登場しない。1シリーズに1回あるかないかのチャンスのために、新しいチャンピオンを準備するのは、ただでさえフィアレスドラフトで広いチャンピオンプールが求められる中で“時間対効果”が悪すぎるのだ。
また、このドラフト形式では、BAN数が膨大になる4、5ゲーム目などでは特定のロールでメタチャンピオンが枯渇してしまうこともあり、1人のプレーヤーに頼ったチームよりも、複数のロールでキャリーできるチーム作りが安定した成績を出すためには求められる。

「LCK Playoff」でのワンシーン。Dplus KIAはどうしても司令塔のBeryLにエンゲージチャンピオンをピックさせたいが、メタチャンピオンのなかで残っているのはマオカイだけ。そのマオカイも相手にサイラスがいては取りづらいということで仕方なくラムスをピック。結果、ラムスが機能することなくDplus KIAは敗れ、「Worlds」進出の夢が断たれた
つまり、いかに弱点が少なく、しかも広いチャンピオンプールを持っているか、そういった要素が求められる過酷なルールと言えるだろう。
それゆえ、一般的なドラフトルールよりも番狂わせが起きづらく、実際全試合フィアレスドラフトBo5で開催された今年の「MSI」ではPick’emで過去最多の全問正解者数を記録した。
(2)ややいびつなルールの「スイスステージ」

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Hp554z2LseU
ここまでをまとめると、弱点がないチームが強く、波乱が起きにくいのがフィアレスドラフトの特徴、というわけだが、「Worlds」のスイスステージはこれが完全に当てはまるわけではない。
というのも、スイスステージは2勝するまではBo1形式(1ゲーム先取)なので、フィアレスドラフトが関係ないのだ。2勝もしくは2敗して初めてフィアレスドラフトへとたどり着くので、そこまでの「Bo1フェーズ」とスイス抜けを決めるための「Bo3フェーズ」で、全くゲーム性が異なる2つのルールをこなす必要があるわけだ。

「Worlds 2025」スイスステージは、2勝/2敗するまではBo1となる。出典:https://www.youtube.com/watch?v=Hp554z2LseU
Bo1が強そうなKT、100Tなどにはうれしいルールとも言えるが、結局フィアレスドラフトのBo3で勝利しなければノックアウトステージにはたどり着けないので、Bo1における1つのチーム構成の完成度とBo3における穴のないバランス力の両面が必要なレギュレーションとなっている。
(3)1日だけの「プレーインステージ」、メインイベントも1週間短いスケジュール
今年は開催時期がやや後ろにずれたこと、「プレーインステージ」がT1とiG間で行われる1試合しかないこともあって、例年より約2週間も開催期間が短い「Worlds」になっている。
「Worlds」といえば1つのパッチを長く使うことによる大会中のメタ変化が見どころになっていたが、この期間短縮によってその変化もやや緩やかになる。
この手の変化をうまくつかんで「Worlds」を勝ってきたT1にとっては、若干アドバンテージを失ったとも言える。逆に、メタ変化に弱いと言われてきた北米勢のFLY QUESTや、メタの読み間違いで再三優勝を逃してきたGEN.Gなどには追い風になりそうだ。
(4)2025年から変化した「3つの国際大会」から見る、地域間の実力差
LCKとLPL。この2地域がトップ2なことに異論を唱える人はほとんどいないだろう。ただ、気になるのが韓国と中国の力関係だ。
今年は新設された「FirstStand」、春終わりに行われた「MSI」、さらに夏シーズン中に行われた「Esports World Cup」(※ライアット主催ではない招待制大会)とサンプル数が多いので、例年よりも類推しやすい。
結論からいうと、今年はかなりLCKが優位になっていそうだ。
ここまですべての国際大会をLCKのチームが勝利してきているし、LPLのチームでLCKに勝利できているのはAnyone’s Legend(AL)のみ。Bilibili Gaming(BLG)、Top Esports(TES)に関しては、その時のパフォーマンスが低かった、マッチ数が少なかったという注釈がつくものの、マッチ勝利どころかなんと1ゲームも取得できていない。
ただ、これはあくまでここまでの流れであって、「Worlds」はパッチの変更や地元中国開催による地の利など、さまざまな要素があるため、LPLチームも十分に逆転は可能だろう。
LEC、LCP、LTA地域に関しては、1位のチーム同士の実力はかなり拮抗しているように思う。どこも中・韓の下位シード相手なら十分波乱を起こせそうな実力に見えるので、スイスドローの引き次第ではここから2チーム以上がノックアウトステージ進出……なんてシナリオも決して非現実的ではない。
「Worlds 2025」出場 全17チーム&注目選手紹介
さて、ここからは5地域から出場する全17チームを個別に紹介していこうと思う。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=Hp554z2LseU
今年は国際大会が多かった関係で、各国の大会レギュレーションが異なっており混乱を招きそうだったため、「FirstStand」前の大会を「冬季」、「MSI」前の大会を「春季」、「Worlds」前の大会を「夏季」として表記することとした。(例:LCKCup→冬季、LCK Round1-2→春季、LCK Round3-5→夏季)
また、KT Rolster(KT)、TESの2チームに関しては、「プレーインステージ」の結果によってシードが変更になるが、便宜上第3シード※と表記している。
LCK第1シード GEN.G(GEN)

出典:https://x.com/GenG/status/1974817657477312748/photo/1
トップ:Kiin
ジャングル:Canyon
ミッド:Chovy
ADC:Ruler
サポート:Duro
今年の国際戦の結果からもLCKのレベルは世界一といっても過言ではないだろう。そのLCKをレギュラーシーズン29勝1敗という圧倒的成績で走り切ったのがGENだ。
今年は世界最強のADC候補に常に名前が上がるRulerが中国から帰国。BFXから期待のオールドルーキーDuroを獲得しボットデュオを刷新した。
冬季こそHLEに敗れ2位に終わったものの、そこから「MSI」までは国内で無敗。「MSI」も「Esports World Cup」も制覇し、連戦の疲れも見せずに夏シーズンも連勝街道を邁進。
リーグ戦でT1に、プレーオフでKTに1回ずつ敗れたものの、夏季プレーオフも優勝、堂々の第1シードで「Worlds」に乗り込んできた。
押しも押されぬ世界最強のミッドChovy、ストロングサイドからウイークサイドまで何でもこなせるトップのKiinとキャリー陣も隙がなく、今年も間違いなく優勝候補筆頭だ。
不安要素があるとすれば、今年後半からいまいち調子の上がらなかったジャングルのCanyonと、重要な場面で度々やらかしてしまうドラフトミス。特に後者は今年の夏決勝でもやらかしており、克服した、とは言いがたい。
GENファンの胃を守るためにも、慎重なドラフトを心掛けてほしいところだ。
注目プレーヤー ジャングル:Canyon

出典:https://x.com/GenG/status/1976258844729676117/photo/1
もう1つの不安要素になっているのが、夏以降ずっと低空飛行を続けているCanyonのパフォーマンスだ。
ジャングルが不調でも勝てているGENもすごいのだが、夏のレギュラーシーズンからプレーオフにかけてキル関与率がリーグ最下位レベル、ダメージで見ても中位から下位とゲームに参加できないシーンが目立った。
ゼドやナフィーリなどキャリー力の高いチャンピオンがメタにいるので、彼が復活すればGENの強さはさらに盤石のものとなっていくだろう。
LCK第2シード Hanwha Life Esports(HLE)

出典:https://x.com/HLEofficial/status/1972231000362254489/photo/1
トップ:Zeus
ジャングル:Peanut
ミッド:Zeka
ADC:Viper
サポート:Delight
HLEは浮き沈みの激しい1年を送った。
トップはT1とトレードするような形でZeusが加入。Zeus、Zeka、Viperとフィジカルの強い3キャリーにサポーティブなジャングラーPeanut、エンゲージの得意なDelightと隙のないロスターで冬季優勝。そのまま「FirstStand」でも圧勝し、今年はHLEのグランドスラムが見られるか? と期待させるシーズンスタートを切った。
しかし、春季プレーオフでT1に敗れ「MSI」出場を逃すと、「Esports World Cup」でも冴えないパフォーマンスでベスト8止まり。
不調の原因はスマイト勝負に全く勝てないPeanutと集団戦で存在感を発揮できないZekaの2人で、Viperがなんとか勝ちを拾うものの夏季シーズンも苦しいゲーム内容が続いた。しかし、プレーオフが近づくにつれて2人の調子は徐々に回復。プレーオフ本番ではT1、KTを立て続けにスイープして完全復活を印象づけた。
決勝こそGENに敗れたものの、上り調子なのは間違いなく、GENの優勝を止める筆頭候補の一角と言えるだろう。
また、チームの潤滑油となっているベテランジャングルのPeanutは今年限りでの引退を表明している。常に第一線で活躍してきたプレーヤーだが、「Worlds」では2017年の準優勝が最高成績。LCK制覇、FirstStand制覇、MSI制覇は達成しているので、生涯グランドスラムをかけたこの「Worlds」が彼にとって最後の大会となる。
2015年から続く彼のキャリアの最後の忘れ物を回収できるか。
注目プレーヤー ADC:Viper

出典:https://x.com/HLEofficial/status/1929146306376708543/photo/1
浮沈のあった1年を通して常にチームをキャリーし続けた正真正銘のエースプレーヤー。コミュニティでは、「チームが不調で低パフォーマンスでも、Viperがなんとかしてチームを勝たせてしまうため、他メンバーが成長しない」などと冗談を言われるほどだった。
それを裏付けるデータとして、夏プレーオフでは平均DPMは934.5、ダメージシェア率は33.8%と異次元の数値を叩き出している。
チャンピオンプールも広く、ヴァルスやジンのユーティリティ系からカイ=サ、スモルダーのようなレイトキャリーまで何を使ってもチームを勝利に導ける。
彼を止められるADCがいるのか、LPL勢やLEC勢のADCたちとの対面が待ち遠しい。
LCK第3シード※ KT Rolster(KT)

出典:https://www.facebook.com/ktesports/photos
トップ:ParfecT
ジャングル:Cuzz
ミッド:Bdd
ADC:deokdam
サポート:Peter
前述の通り、フィアレスドラフトにおいては弱点が少ないチームほど強い。しかしKTは「Worlds」出場チームとは思えないほど弱点だらけのチームである。
トップのParfecT、サポートのPeterは経験不足から来る不安定さがあり、deokdamは活躍できるチャンピオンプールに限りがある。
通常のドラフトルールならある程度無視できる、しかしフィアレスでは致命傷になりかねない穴を抱えたKTだが、それを補って余りあるのがミッドのBddとジャングルのCuzzの黄金コンビの破壊力だ。
優勝候補GENをロワーブラケットに叩き落した夏のプレーオフはこの2人の独壇場で、圧巻のパフォーマンスだった。しかしその後は、HLEに3-0、GENに3-0でリベンジされ、いいところなく敗れ第3シードへ。
一度調子を崩すと立ち直るまでが長いチームでもあるので、この休み期間でリセットができているかどうか。
注目プレーヤー ミッド:Bdd

出典:https://www.facebook.com/ktesports/photos
チームの安定した勝利──という点ならば、ParfecTかdeokdamの名を挙げたいところだが、KTを語る上で注目プレーヤーをBdd以外にすることは難しいだろう。
こういったワンマンキャリーチームはフィアレスドラフトではチャンピオン数が足りなくなり勝ち進めないものだが、Bddの場合はゾーイやシンドラ、リサンドラといったメタ外のチャンピオンでもきっちり仕事をこなせるのがすごいところ。
“Bdd劇場北京公演”ではどんな演目が見られるのだろうか。新たなるポケットピックに期待しよう。
LCKプレーインステージ T1

出典:https://x.com/T1LoL/status/1968639112153600053/photo/1
トップ:Doran
ジャングル:Oner
ミッド:Faker
ADC:Gumayusi
サポート:Keria
「Worlds」3連覇のかかるT1はまさかのプレーインスタート。LCK全体のレベルの高さを裏付ける一方で、T1自身もメタ・フィアレスへの対応に苦しんだ1年でもあった。
Zeusとのややスキャンダラスな別れを経て、新たなトップにDoranが加入。本人の不調、プレッシャー、メタへの対応などさまざまな要因はあったと思うが、冬季はあまり機能せず、「FirstStand」への出場を逃した。
サポートのKeria、そして『LoL』界を代表するスターであるFakerも夏までに復調したものの、シーズン中はスランプに陥り、Gumayusiもフィアレスドラフトに翻弄された。
そんな中で1年を通して安定したパフォーマンスを発揮したのがジャングルのOner。彼がチームを支えていなければ「MSI」準優勝や「Esports World Cup」3位の結果は残せなかっただろう。
Fakerは今回で10度目の「Worlds」出場。過去5回の優勝だけでなく、出場した9回すべてでベスト4以上を達成している。
この輝かしい実績を支えているのが、選手たちをバックアップするチームとしての組織力だ。同じパッチを長く使う国際大会でのT1は、メタ読みの正確さと対応力が際立ってみえる。それだけに、今回の大会期間短縮による影響がどう出るのかも気になるところだ。
注目プレーヤー ADC:Gumayusi

出典:https://x.com/T1LoL/status/1964705224653729994/photo/1
少ないゴールド、ファームで最大限結果を出す、いわゆる「コスパの良い」プレーヤーとして知られているGumayusiだが、フィアレスドラフト、特にBo5においてはチャンピオンプールが枯れてどこかでハードキャリー系をピックせざるを得ない場面がやってくる。
特に夏季プレーオフではメタがややレイト方向に傾いたこともあって、彼がカイ=サ、ゼリをピックできないという事実が、チームにドラフト面での負担を生んでいたことは目を背けがたい事実だ。
T1にとっての正念場はBo1、Bo3中心のスイスラウンドより、Bo5で行われるiGとの「プレーインステージ」かもしれない。
LPL第1シード Bilibili Gaming

出典:https://x.com/BilibiliGaming/status/1967643084814160090/photo/1
トップ:Bin
ジャングル:Beichuan
ジャングル:Shad0w
ミッド:Knight
ADC:Elk
サポート:ON
「Worlds 2024」の準優勝チームBLGは、今年も中国第1シードとして「Worlds」に挑む。
ロスターもほぼ維持し、LPL優勝。これだけ見ると順風満帆の1年だったかのように見えるが、BLGは去年からジャングル探しの長い旅を続けている。
2024年はシーズン当初はXUN1人の起用だったが、夏からWeiを併用。このWeiのパフォーマンスがよく夏季優勝を達成するが、「Worlds」の大会期間中はWeiがチームにフィットせず、今度はXUNをスターターにカムバックさせる。これが起爆剤となりBLGは息を吹き返し、結果として決勝までたどり着くことができた。
そして年が明けて2025年。BLGがジャングルに選んだのはWeiの方だった。国内で成績のよかったWeiを残した判断は悪くなかったと思うが、冬、春と思ったような成績が挙げられず「MSI」に向けて若手のBeichuanを獲得。「MSI」出場権を得るものの、「MSI」、「Esports World Cup」と国際戦で不甲斐ない結果に終わってしまう。
そこで白羽の矢が立ったのが、今年3人目のジャングルであるShad0w。イタリア生まれの中国系でLECでも活躍していたという異色の経歴を持つ彼を、夏季は併用。
プレーオフ決勝では1戦目を落としたあと、2戦目以降はすべてShad0wが出場し、史上稀にみる大激戦の決勝を制してリーグ優勝を成し遂げた。
ADCのElk、サポートのONに関しては、国際戦でのパフォーマンスはさておき国内では非常に安定しており、LPL屈指のキャリー力を持つトップBin、ミッドKnightを擁する他ロールは隙のないロスターだけに、BeichuanなのかShad0wなのか、かつて選手として「Worlds 2024」を制したEesyhoonコーチも頭を悩ませていることだろう。
注目プレーヤー サポート:ON

出典:https://x.com/BilibiliGaming/status/1875135390857998404/photo/3
Bin、knight、Elkの体制になった2024年以降、3度の国際戦に登場し、2回準優勝、1回ベスト4。中国最高のロスターを揃えても優勝にあと1歩届いていない理由のひとつが、ボットレーンにあると感じている。
Elk-ONのデュオはLPLを見るたびに「素晴らしいプレーヤーだな」と感心させられるのだが、国際戦に来ると国内ほどの輝きを放てていないことが多い印象だ。
今年はサポートが重要なメタで、ONのパフォーマンスの低さが今年の「MSI」や「Esports World Cup」での敗因にもなっていたので、春のリベンジを地元中国で果たしてほしい。
LPL第2シード Anyone’s Legend

出典:https://x.com/AnyonesLegend/status/1948430098085888048/photo/1
トップ:Flandre
ジャングル:Tarzan
ミッド:Shanks
ADC:Hope
サポート:Kael
今シーズン国際戦で最も好成績を残しているLPLチームがALだ。「MSI」ではGEN、T1に敗れ3位。「Esports World Cup」では準優勝。しかし国際戦連戦の疲れもあってか夏季は不安定なパフォーマンスに終始。何とかプレーオフでは立て直しに成功し、第2シードに収まった。
LPL代表の中で唯一、1年通してロスターを固定できたチームで、ジャングルのTarzanが中心となってゲームメイクし、最終的にHopeが育つのを待つ、という戦術が基本になっている。
Shanksを育てるセカンドプランも強力で、Flandreは基本フロント役を務めるいわゆる“下半身型”のチーム。ジャングルのTarzanとサポートのKaelが韓国人コンビということもあって、LPLチームの中ではセットアップ重視で最小限の戦闘で勝つことを目指す傾向にあり、それが国際大会でLCKチームに対抗できている秘訣なのかもしれない。
注目プレーヤー サポート:Kael

出典:https://x.com/AnyonesLegend/status/1889210921765294516/photo/1
Tarzanにばかり注目が集まるが、ここはあえてサポートのKaelを推したい。
2004年生まれの21歳で、ロール内では大会最年少ながら、レル、アリスターといったエンゲージ系、バード、ルルといったメイジ系と、どれも卒なくこなすことができる万能型サポートプレーヤーだ。
プロデビューイヤーの2022年はあと一歩のところで「Worlds」出場が叶わなかったが、3年越しに夢をかなえた。
LPL第3シード※ Top Esports

出典:https://x.com/TOP_Esports_/status/1895826857167372613/photo/1
トップ:369
ジャングル:Kanavi
ミッド:Creme
ADC:JackeyLove
サポート:Hang
ジャングルにJDGamingからKanavi、サポートにWeibo GamingからCrispと実績のあるプレーヤーを補強し、冬季優勝。最高の滑り出しをした今年のTESだったが、国際大会「FirstStand」ではLTA代表のTeamLiquid以外から1ゲームも取れないという無残な結果に終わってしまった。
春季のプレーオフも結果が出ず「MSI」出場を逃すと、Weibo Gamingとトレードするような形でサポートのHangを獲得。不調のCrispを外して「Worlds」出場権がかかる夏季シーズンに挑んだ。
チームのエース、ADCのJackyLoveは攻撃的なプレースタイルで知られ、それゆえか年上のサポートと組んだ方が相性が良いとされていただけに、この若手起用は意外だった。が、これが功を奏し、冬の調子を取り戻したTESは「Worlds」への切符を手にしたのだった。
安定感がウリのトップ369は今シーズンかなりキャリーするシーンが増え、ややプールの狭かったミッドCremeもシーズンを追うごとに手札が多くなるなど、ロスターのテコ入れ以外のチーム全体の成長も見られた1年だった。
注目プレーヤー トップ:369

出典:https://x.com/TOP_Esports_/status/1862432065725116728/photo/1
369と言えばウィークサイドが上手い印象だったが、レネクトンやエイトロックスといった得意チャンピオンがピック可能なメタということもあって今季はキャリーとしての存在感も増している。
彼にキャリーを任せることができるようになれば、Creme、JackeyLoveと合わせて3枚のキャリーがどこからでもゲームメイクできるという『LoL』において理想的なロスターが完成する。プレーオフでの好調を維持できるかが、チームの上位進出のための重要なファクターになりそうだ。
LPLプレーイン invictus Gaming(iG)

出典:https://x.com/invgaming/status/1958960190151155793/photo/1
トップ:TheShy
ジャングル:Wei
ミッド:Rookie
ADC:GALA
サポート:Meiko
2018年「Worlds」制覇、2019年ベスト4とかつては輝かしい成績を残していたiGだが、あれ以来世界戦への登場はかなわず。今季ついに「Worlds」出場まであと1歩、LPL第4シードとして「プレーインステージ」でのT1との対決までこぎつけた。
世界を制したTheShy、Rookieのトップ-ミッドコンビも2021年以来4年ぶりの再結成。TheShyは当時と比べるとオーンやサイオンといったタンクも使いこなし、年齢相応に丸くなった印象がある。
RNG(Royal Never Give UP)時代に「MSI」を2度制したADC GALA、EDG所属時の2015年から「Worlds」出場を果たしている大ベテランサポートのMeikoと、中国競技シーンのオールスターのようなロスターになっている。
BLG同様にジャングルのプレーヤー選出に最後まで苦労していたが、夏シーズンからはそのBLGからWeiが加入。
Regional FinalsでJDGとの激戦を制して、最後の切符をつかんだ。
注目プレーヤー ADC:GALA

出典:https://www.weibo.com/igaming?tabtype=album&uid=2099708877&index=10
プレーオフで勝ち切れなかった要因のひとつは、GALAの不調だったように思う。
トップレーンのピックによる影響があるとはいえ、GALAのダメージシェア率は夏レギュラーシーズンでは29.1%だったのに対して、プレーオフでは26.5%とかなり数値を落としてしまった。
しかし「Worlds」最後の1枠をかけたJDG戦では、カリスタやカイ=サで目の覚めるようなパフォーマンスを見せ大復活。この調子で彼が息を吹き返せば、トップのTheShyの過激なピックと合わせて、相手の対処をより難しくすることができるだろう。
LEC(EMEA)第1シード G2 esports

出典:https://x.com/G2League/status/1972619080483078401/photo/1
トップ:BrokenBlade
ジャングル:SkewMond
ミッド:Caps
ADC:Hans Sama
サポート:Labrov
ヨーロッパの絶対王者、G2の2025年は苦難と成長の1年となった。
BrokenBlade、Caps、Hans Samaのキャリー陣は残留したものの、当時LEC最高のサポートと評価されていたMikyx、自分たちがルーキー時代から育て上げたYikeを放出。新たにLabrovとSkewMondを加入させ、チームのリビルドを計ることとなったが、冬、春ともに優勝を逃し、第2シードで出場した「MSI」でも惨敗と成果を上げられなかった。
しかし「Esports World Cup」で4位に入って勢いをつけ、夏シーズンに入るとSkewMondが持ち前の爆発力に加えて安定感を身につけ、一躍チームの主役に。レギュラーシーズンのスタッツでKDA20.2、KP78.2%と大暴れした。
Labrovもプレーオフでは勝利を決定づけるプレーを何度も決める大活躍。これで最後のピースが埋まり、王者の座に返り咲くことに成功したのだった。
注目プレーヤー トップ:BrokenBlade

出典:https://x.com/G2esports/status/1917262642365780064/photo/1
苦しい時期を乗り越え、第1シードとして「Worlds」の舞台に立つG2だが、唯一残った不安要素がトップのBrokenBladeだ。
最近レク=サイやクレッドといったオフメタピックに熱心で、メタチャンピオンで言うとランブルは1年間で1回しかプレーしておらず、オーロラに至っては0回と極端な偏りを見せている。
これが彼なりの答えなのか、あるいはメタピック同士で争うのを恐れているのか、KiinやBin、Zeusといった世界最強クラスのトップレーナーとのマッチアップ時どんなチャンピオンを選択するのか、今から楽しみでならない。
LEC(EMEA)第2シード Movistar KOI(MKOI)

出典:https://x.com/MovistarKOILoL/status/1972355701164126607/photo/1
トップ:Myrwn
ジャングル:Elyoya
ミッド:jojopyun
ADC:Supa
サポート:Alvaro
春季優勝チームであったMKOIは、夏季ではG2に逆転を許して準優勝。第2シードとして「Worlds」へ出場する。
Tier1デビューから5年連続「Worlds」出場中の、「Worlds請負人」ことジャングルElyoya、デビュー2年目にしてLECナンバーワンサポートとの呼び声高いAlvaroを中心に、少数戦・集団戦でリードを取っていくスタイルのチームだ。
今季北米から加入したミッドのjojopyunはレーン戦が課題だったものの、それも改善しつつあり、ヴァルスやニーコといった飛び道具ピックも出せるトップのMyrwn、ハードキャリーできるADCのSupaと、これといった弱点がなく戦力がまとまっている。
BLGのShad0wはかつてMKOIの前身であるMAD Lionsに所属しており、彼の後任として頭角を現したのがElyoya。2人の先輩後輩対決も見てみたい。
注目プレーヤー サポート:Alvaro

出典:https://x.com/MovistarKOILoL/status/1970497709477187821/photo/1
G2とのプレーオフではどのゲームも接戦で差がない内容だったものの、結果としては1勝6敗と大きく負け越す結果となった。
その要因がMKOIのボットレーンで、Alvaroは冬・春ほどのパフォーマンスを発揮できず、サポートの不調に引っ張られる形でSupaもチームをキャリーしきることができなかった。
序盤のテンポを取るのがElyoyaの仕事だとすれば、中盤以降でエンゲージでチームをけん引してきたのがAlvaroだった。彼の復調は、スイスステージ抜けには必須条件と言えるだろう。
LEC(EMEA)第3シード Fnatic

出典:https://x.com/FNATIC/status/1971656250858656071/photo/1
トップ:Oscarinin
ジャングル:Razork
ミッド:Poby
ADC:Upset
サポート:Mikyx
FNCはレギュラーシーズンこそ好成績を残すものの、プレーオフで勝ち切れず冬・春と国際大会出場を果たせなかった。
原因となっていたのはヨーロッパを代表するミッドHumanoidだ。フィアレスドラフトへの対応に苦しむ彼を思い切ってカット、代わりにかつてT1の2部チームに在籍していた19歳のPobyを抜擢すると、これがチームにフィットし、最後の最後で世界戦への切符をつかみ取った。
とはいえ、夏から若手のミッドを入れるというのは劇薬で、ボットデュオのUpset&Mikyxは安定しているものの、トップのOscarininのウィークサイドの対応力や、ジャングルRazorkのアクションとそれに合わせる味方とのコミュニケーションエラーが散見されるなど、現状課題は多い。
フィジカル面でいえばLCK、LPLチームに対抗しうるものを持っているので、この1カ月弱の期間でのチームを伸びしろ次第では台風の目になりうるチームだ。
注目プレーヤー トップ:Oscarinin

出典:https://x.com/FNATIC/status/1971610618269724683/photo/2
ダメージディーラーが得意な若手トップレーナーだが、今季はウィークサイドを担当したときのパフォーマンスにかなり難がある。
新型のスワップ(最序盤からトップレーンに1人でADCが入っていく戦術)も開発されており、ますます苦手なシチュエーションが増えることが予想される。サイオンやカ・サンテといった「耐え」のピックの精度を上げ、チームのエースUpsetにバトンを渡すトス役を担えるか。
LTA第1シード FlyQuest(FLY)

出典:https://x.com/FlyQuest/status/1972442760163852762/photo/1
トップ:Bwipo
トップ:Gakgos
ジャングル:Inspired
ミッド:Quad
ADC:Massu
サポート:Busio
北米史上最高のチーム──そう言っても過言ではないくらいの完成度のチームが、北京へと乗り込んでくる。
FLYは冬季こそ優勝を逃したものの、春・夏の連覇を果たし、地域内では敵なしの強さを見せている。昨年 「Worlds」ベスト8を成し遂げたロスターをそのまま今年も継続。2年連続で年間最高選手に選ばれたジャングルのInspired、エンゲージが得意なサポートBusioを基盤に、トップのBwipo、ミッドのQuad、ADCのMassuとどこからでもキャリーできる万能型のチームになっている。
不安要素があるとすれば、LTAリージョン内の試合はスローテンポになることが多く、テンポの速いLPL地域との対戦に特に相性が悪そうな点。実際に「MSI」ではAL、BLGに敗れてトーナメントを終えている。
メタへの順応がスムーズに行えれば、去年を越える成績をも望めるだろう。
注目プレーヤー ADC:Massu

出典:https://x.com/FlyQuest/status/1957156312292499606/photo/1
弱冠20歳、Tier1デビュー2年目ながら、北米地域を代表するプレーヤーに成長した若き天才。
キャリー力や集団戦での生存能力は高いものの、ややレーン戦に不安があり、前述の世界とのメタの違いも考慮すると序盤にボットから崩される可能性をはらんでいる。
「LTA Championship」ではそのあたりを見据えてか、序盤寄せのADCを多く試していたので、ピックの助けも借りて、彼とBusioのデュオが序盤戦を乗り切れるかが重要になってきそうだ。
LTA第2シード Vivo Keyd Stars(VKS)

出典:https://x.com/VivoKeyd/status/1975682489151635796/photo/1
トップ:Boal
ジャングル:Disamis
ミッド:Mieru
ADC:Morttheus
サポート:Trymbi
「LTA Championship」では下馬評を覆して100Tを撃破し、決勝ではFLYに敗れたものの堂々の第2シードを勝ち取った南米の雄、VKS。
ブラジルのプロリーグCBLOL初代王者のまさに古豪というべきチームで、その後は一時参戦していない時期も挟んだが、今年11年ぶりに国内優勝を果たした。
今季はなんとEU地域からLEC優勝経験もあるTrymbiをサポートに迎え入れ、ジャングルのDisamisとの強力な連携を1年かけて築き上げてきた。
最後のピースとして、夏季からミッドに元HLEのMieruを獲得。ラテン地域やトルコで活躍したのちブラジルシーンへ移ってきたジャーニーマンで、キャリーからユーティリティまでなんでもこなせる自在型プレーヤーだ。彼の加入により、ADCのMorttheus一辺倒だったキャリーが分散できるようになり、一気にチームとしての完成度が増した。
ちなみに、キャリータイプのトップ、BoalはかつてはBankaiというサモナーネームでプレーしていたが、これは日本の漫画『Bleach』から取ったものとのこと。
注目プレーヤー サポート:Trymbi

出典:https://x.com/VivoKeyd/status/1972081902418120948/photo/1
メイジサポートが得意で、レーン戦で有利を作り相手のジャングルに入っていくというヨーロッパらしいプレースタイルを南米シーンに持ち込み、見事チーム優勝の立役者の1人となった。
しかし、前のめりでリスクも高い戦術なので、視界コントロールのうまいLCK・LPL地域のチームと当たった時にどれだけ通用するか。
またBoal、Disamis、Morttheusのブラジル人プレーヤーたちはいずれも初世界戦なので、過去「Worlds」出場3回のベテランとして、慣れない環境やメタへの対応をどれだけ教導できるか、ゲーム内外での活躍も期待される。
LTA第3シード 100 Thieves(100T)

出典:https://x.com/100T_LoL/status/1969908276675621071/photo/1
トップ:Dhokla
トップ:Sniper
ジャングル:River
ミッド:Quid
ADC:FBI
サポート:Eyla
去年に引き続き第3シードでの「Worlds」出場となった100Tだが、来年は北米地域から撤退することが発表されており、チームとして有終の美を飾りたいところ。
コアとなるジャングル、ミッドラインであるRiver、Quid、サポートのEylaはそのままに、やや不安定だったボットにNRGからFBIを獲得。
夏季には若手のSniperを補助する目的もあってか、ベテランDhoklaをコーチから昇格。フィアレスドラフトに対応するための経験値面は整ったロスターとなっている。
とはいえ、Quidのオーロラをはじめとした各レーンの得意ピックのパフォーマンスは素晴らしいものの、2番手、3番手のピックになった時のクオリティの「ばらつき」は気になるところ。「Worlds」本戦までの準備期間でどれだけ引き出しを増やせるかが、スイスステージ突破の鍵になってくるだろう。
余談だが、Dhokla、FBI、Eylaの3人は2010年代にオセアニア地域でプレーしていたという共通点を持っている。
先日、LCPに参加していた唯一のオセアニアチーム、Chiefs Esports Clubの降格が決定してしまったばかり。
オセアニア魂の宿る100Tが「Worlds」で敵を取ってくれる展開にも期待したい。
注目プレーヤー ジャングル:River

出典:https://x.com/100T_LoL/status/1951714680059437295/photo/1
かつては「Baby」というサモナーネームで活動しており、日本のLJL2部チーム、BowQen Blackbucksでプロキャリアをスタートさせ、V3 esportsにも所属していたベテランプレーヤー。
「Worlds」出場も4回目にして一度もグループ・スイスステージ突破は経験していないものの、世界の強豪相手でも物怖じしない姿が印象的なプレーヤーなので、今年もいつも通りの攻めっ気を見せて、スノーボールを狙っていってほしい。
LCP第1シード CTBC Flying Oyster(CFO)

出典:https://x.com/CTBC_cfo/status/1969748059795169310/photo/1
トップ:Driver
トップ:Rest
ジャングル:JunJia
ミッド:HongQ
ADC:Doggo
サポート:Kaiwing
LCP地域は開幕前の下馬評では、去年に引き続きPSG Talon(PSG)とCFOのライバル対決と目されていたが、蓋を開けてみればCFOの圧勝という結果に終わった。
同地区のライバル・PSGから移籍してきたジャングルJunJiaと若き天才ミッドHongQのラインがとにかく強力で、この「背骨」を軸にどのレーンからでもキャリーできる手札の多さが特徴だ。
また、LCP地域の特色としてファイトが多くなりすぎてゲーム時間が延びやすく、ゲームエンドを苦手とするチームが多い中、平均試合時間もTeam Secret Whales(TSW)やPSGと比べて2分以上短く、きっちりゲームを終わらせるマクロも持ち合わせている。
ジャングルのJunJiaだけでなく、FAKから移籍のKaiwing、LPLから4年ぶりにLCP地域に復帰したDoggoと移籍組が期待通りの活躍を見せ、去年からのロスターであるRest、Driverの両トップの併用も1年通してうまく機能した。
「FirstStand」、「MSI」、「Worlds」と今年開催された3つの国際大会すべてに出場できた唯一のチームで、「MSI」では準優勝となったT1をあと一歩まで追い詰めるなどインパクトを残した。
夏のプレーオフの内容もかなり良かったので、スイスステージ突破やベスト4以上の結果も望めるかもしれない。
注目プレーヤー ミッド:HongQ

出典:https://x.com/CTBC_cfo/status/1940228937197539458/photo/1
個人的に今大会で最も注目している18歳の若手プレーヤー。
デビューイヤーの去年からその才能の片鱗を見せていたが、今季はシーズンを追うごとにど安定感が増した。数値面で見ても15分での平均CSリードが冬季では+1と平均的だったのだが、春季には+4、夏季には+7.6とどんどん改善していき、ついにはリーグ首位のスタッツへと成長した。
もうチームの大黒柱といっても過言ではないプレーヤーになった彼が、ChovyやKnight、Fakerといった世界最高峰のミッドと対面するのが今から楽しみだ。
LCP第2シード Team Secret Wheles(TSW)

出典:https://www.facebook.com/TeamSecretWhales/photos
トップ:Hiro02
トップ:Pun
ジャングル:Hizto
ミッド:Dire
ADC:Eddie
サポート:Taki
ベトナム勢といえばGAM Esports(GAM)を思い浮かべる読者の方も多いだろうが、今季はTSWがLCPのプレーオフを勝ち抜き、ベトナム勢唯一の「Worlds」出場チームの栄誉を得ることになった。
VCSのTeam SecretとTeam Whelesが合併する形で誕生したチームだが、ロスターはほぼTeam Secretのものを引き継ぐ形になっている。
このチームの特徴はとにかく「若さ」だ。中でも2部チームから昇格したジャングルのHiztoは、9月に18歳になったばかりでポジション内で見ると大会最年少。ミッドのDireも同様に2部上がりで、こちらも18歳と非常にフレッシュなロスターになっている。
粗削りながら勢いのあるスタイルが魅力で、Hizto、Takiを中心にとにかく積極的に少数戦を仕掛けてスノーボールを狙っていく展開を得意としている。
トップのHiro02、ADCのEddieはともにキャリーに役割を担えるプレーヤー。フロントを強化したいときには夏季から加入したPunを起用するというオプションもあり、若手チームながら手札は豊富だ。
注目プレーヤー ミッド:Dire

出典:https://www.facebook.com/TeamSecretWhales/photos
今年Tier1デビューのルーキーゆえに仕方ない部分はあるにせよ、LCP地域内でもレーニングで苦戦する部分が見られ、上位チームのミッドながら15分時点でのCSリード率は40%と負け越している。
ミッドレーンの安定が得意の少数戦での優位に直結するので、世界の強豪たちに対して18歳の彼がどれくらい立ち向かえるかに期待だ。
LCP第3シード PSG Talon(PSG)

出典:https://x.com/psgtalonlol/status/1964331397168189777/photo/1
トップ:Azhi
ジャングル:Karsa
ミッド:Maple
ADC:Betty
サポート:Woody
LCP地域の名選手Mapleの引退、Junjiaの放出、長年続いたParis Saint-Germain(パリ-サンジェルマン)とのパートナーシップ解消と、新しいチームとしてスタートしたTalonだったが、冬季2位、春季3位と国際大会にはあと一歩届かず。
この状況を打破すべくチームが採った作戦は、まさかのMapleの現役復帰だった。
PSGとのパートナーシップも復活し、「Worlds」出場が叶った2024年の体制に近づけて挑んだ夏季シーズンだったが、未勝利に終わってしまう大苦戦。しかしプレーオフに入ってからは、ジャングルのKarsaとMapleのラインがうまく機能するようになり、春季に「MSI」出場権を奪ったGAMへのリベンジを果たし「Worlds」進出へとこぎつけた。
Maple復帰でジャングル-ミッドのラインは地域屈指の強さになったものの、サイドレーンを担当するAzhi、Bettyが本来の輝きを取り戻せていないのが、第3シードに留まってしまった理由のひとつ。
Woodyもタンクサポートがメインで、レーンの主導権を取れるニーコなどのピックが少なく、ややメタへの対応が後手に回っている印象がある。
注目プレーヤー ジャングル:Karsa

出典:https://x.com/psgtalonlol/status/1952323683722432526/photo/4
PSGのもう1つの弱点として、Mapleにキャリーを渡せないドラフトになったシーンでの脆さが挙げられる。それだけが原因ではないだろうが、シリーズ3戦目以降の勝率は0%とフィアレスの影響を大きく受けているチームの1つだ。
サイドレーンの奮起にも期待したいが、Karsaがプレーオフで見せていたキヤナやナフィーリなどのキャリーポテンシャルのあるピックでスノーボールするパターンが作れると、スイスステージ抜けの可能性がぐっと上がるだろう。
終わりに
いかがだっただろうか。
「Worlds」期間中は歴代優勝スキンや「Worlds」記念スキンに加え、各チームをモチーフにしたエモート販売など『LoL』がeスポーツ一色になる。
この記事や実際の試合を見て、読者の方が新たな推しチームや選手を見つけるきっかけになってくれればうれしい限りだ。
おまけ 筆者のPick’em

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