他のeスポーツとどう違う? 『オーバーウォッチ 2』の世界最高峰リーグ「オーバーウォッチリーグ」とは

2023.8.23 gappo3
どうもこんにちは、gappo3です。

オーバーウォッチ 2』(以下、OW2)のプロリーグである「Overwatch League(以下、OWL)」の公式日本語配信の解説を担当しています。今回はeSports Worldさんとのご縁によって『OW2』の記事を掲載することが叶いました。

gappo3 プロフィール


オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手掛けてきた。

第1回の記事ということで、まずはこの機会に「OWL2023」の導入・紹介となる記事を残しておきたいと思います。

『OW2』とは、世界でも有数の5vs5形式のアクションシューティングゲームであり、高いスピード感や幅広いアクション性、奥深い戦略性などが特徴のeスポーツタイトルです。


2016年に初代『OW』がリリースされ、2018年からは公式プロリーグである「OWL」が始まりました(プレシーズンは2017年開始)。2022年10月には2作目となる『OW2』が全世界でリリースされ、家庭用機などを併せると非常に高いアクティブユーザー数を誇る対戦ゲームとされています。

参考:5分でわかる『オーバーウォッチ 2』基本プレイ無料化され、再評価された5vs5チームシューター!

直近のeスポーツ大会としては、2023年7月5日から現在進行形で、公式プロリーグ「OWL Summer Stage」が開催されていますが、このリーグは世界各国の才能が集結して覇を競い合う国際的な競技舞台であり、2023年度の「OWL」の頂点を決める「OWL Grand Finals」への参加資格にも直結してくる重要な大会となっています。

しかし、「OWL」には複数のステージが存在するため、一見するとどのように大会が進行しているのかわかりづらいという難点もあります。そこで本記事では、「OWL2023」の概要や日程を、「OWL」初心者の方々にも分かりやすい形で紹介していこうと思います。

※ちなみに、『OW2』の有名な大会として「Overwatch World Cup」(OWWC)というものもありますが、「OWL」とは無関係の大会です。「OWL」はほぼ通年で開催されるリーグ戦であり、「OWWC」は年に一度だけ開催される世界規模のイベント大会となります。「OWWC」はコロナでしばらく休止していましたが、2023年に再開しました。

Overwatch Contenders



「OWL」を紹介する前に触れておかなければならないのが、この「Overwatch Contenders」(以下、OWC)です。「OWL」の下部トーナメントとして設定されていて、韓国・北アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・太平洋・タイ(新地域)の計6地域で開催されている国際大会です。日本は太平洋地域に分類されています。

この大会で優秀な成績を残したプレイヤーは、上位リーグである「OWL」にスカウトされることがあります。加えて東部地域(韓国・オーストラリア・太平洋)の上位チームだけは後述の「OWL Opens」への出場が可能となっています。

この「OWC」は「OWL」の下部トーナメントという位置づけではあるものの、上位層は実質的にはプロプレイヤー・プロチームばかりで、例えば、日本で最も有名なプロチームであるVARRELも、この「OWC」太平洋の上位チームに名を連ねています。

ここがポイント!
「OWC」枠として選出されるには各地域のオープントーナメント(Open Division)で上位に入る必要があるので、競争率はかなり激しいです。また、過去には多くのプロチームがこの大会に参戦していました。有名どころで言いますとGen.GやT1、EnVyUs、Cloud9などです。

ただし、「OWC」チームが「OWL」チームに昇格することは現実的にはほぼ不可能とされています。理由は後述します。


Overwatch League



「OWL」は2018年から毎年開催されている世界最大規模のeスポーツプロリーグです。

まず、「OWL」の地域は東部と西部に分かれていて、現在は東部6チーム・西部13チームで構成されています。全体のチーム数が19と中途半端なのは、2023年7月上旬に成都ハンターズが解散したためです。

日本野球のセ・リーグとパ・リーグのようなものだと感じる方も多いと思いますが、基本的には各チームの活動拠点に基づいて地域分けされています。例えばDallas Fuelは元々アメリカがバックボーンのチームですが、現在は韓国に活動拠点を移しているため、東部地域に分類されています。

そして「OWL」の重要な点として、フランチャイズ制度の導入が挙げられます。北米4大スポーツ(野球、バスケ、アメフト、アイスホッケー)を参考にした形式であり、「OWL」においてはざっくりと以下のような特徴を持っています。

  • 非常に高額な参入金額(当初は2000万ドル、ピーク時は6000万ドルとも。現在はもっと安くなっているそうです)
  • 特定の地域を本拠地として設定され、本拠地を冠としたチーム名が設定される
  • リーグ参加の長期契約(降格なし)

こういった特徴があるため、先ほど紹介した「OWC」チームが「OWL」に直接参入することはほぼ不可能です。基本的には「OWL」チームがプレイヤー単位でスカウトする形式となっています。年によっては「OWC」のチームメンバーが丸ごと「OWL」チームに移籍することもありましたが、近年は稀です。

「OWL2023」のスケジュール

(OWL日本語公式配信より引用)

「OWL2023」全体の進行は、

Spring Stage → MSM → Summer Stage → Play-Ins → Playoffs(東部西部合流)

となっていて、最終的にはPlayoffsのグランドファイナルで2023年度の王者が決まります。ここからは Summer Stage、Play-Ins、Playoffs の内容を説明していきます。

ただし、東部と西部で大会進行が微妙に異なっている部分もあるので、東部でしか行われない大会は「東部限定」と表現します。また、Spring StageとMSMはすでに終了しているため、これらの大会の説明は省かせていただきます。

ここがポイント!
日本語配信(https://www.youtube.com/@OverwatchJP)が担当しているのは東部地域ですので、西部地域と比べると大会数と出場チームが少し多めです。お得ですね。


OWL Summer Stage Opens(東部限定)


(OWL日本語公式配信より引用)

「Spring Stage Knockouts」の下位2チーム、「OWC」韓国上位5チーム、「OWC」太平洋上位3チーム、「OWC」オーストラリア上位2チームで行われた「OWL」東部限定の開幕戦です。日本からはVARRELが参戦していました。

AグループとBグループに分かれ、各グループの1位のチームだけがKnockouts進出権獲得となります。Opens自体はすでに終了していて、Aグループ1位はSPG、Bグループ1位はRhodesという結果になりました。

ここがポイント!
Opensには「OWL」の冠が付いていますが、実質的には東部「OWC」チームのふるい落としです。ここを勝ち抜いたチームが「OWL」チームと戦うことができます。


OWL Summer Stage Qualifiers



ここからが「OWL」チームも登場してくるリーグ戦となります。実は東部と西部で意味合いの全く違うステージとなるので、それぞれ説明します。

東部地域

「OWL」チーム6つと、前期「Spring Stage Knockouts」の上位4位までの「OWC」チームで構成された、全10チームによる総当たりステージです。7月13日~8月6日にかけて開催されます。

重要な点として、「Summer Stage Qualifiers」に出場している全てのチームが、次ステージである「Knockouts」に進むことができます。「Qualifiers」での成績や順位は、あくまでも「Knockouts」における組分けやシード枠を決めるためのものです。この段階で敗退するチームは存在しません。

西部地域

13の「OWL」チームによって行われる予選大会。開催期間は7月13日~9月3日。ただし総当たりではなく8マッチの成績で順位が決まります。東部とは違い、「OWC」のチームは出場できません。「Summer Stage」と「Spring Stage」の各Qualifiersを総合して順位を決めます。

上位3チームはPlayoffsへ、4位-10位のチームはPlay-Insへ、下位3チームは敗退となります。

ここがポイント!
東部地域では敗退チームが出てこないフェーズなので、あくまで順位決めが主な要素です。またリーグの傾向として、東部地域は全体的な実力が拮抗気味とされているのに対し、西部地域は上位チームと下位チームの実力差がかなり激しいと言われています。


OWL Summer Stage Knockouts(東部限定)



Summer Stage Opens上位2チームと、東部Qualifiers10チームの計12チームで行われるダブルエリミネーション方式のトーナメントです。開催期間は8月26日~9月10日。

OpensとQualifiersの成績によってグループAとグループBに分けられ、各グループの1位チームがPlayoffsに進出できます。

ただし、「OWC」チームはカナダへの入国手続きができないため、Knockoutsでどれだけ活躍してもPlayoffsやPlay-Insへの進出はできません。あくまで「OWC」チームにとっては実績作りや上位リーグへのアピールの場ということになります。

このKnockoutsの目玉ポイントは、OWC vs OWLという図式です。「OWL」チームの強さの再確認の場でもあり、「OWC」チームによる下克上の場でもあります。

基本的には上位とされている「OWL」ですが、下位「OWL」チームと上位「OWC」チームだとしばしばその立場が逆転することもあります。

ここがポイント!
前期Spring StageではAグループもBグループも下位「OWL」チームが0勝で最速敗退してしまうほど、競争の激しいステージでした。ただしSummer Stage Knockoutsで最下位だとしても、「OWL」チームであれば次ステージのPlay-Insには参戦できます。


OWL Play-Ins



Playoffsへの進出をかけた重要なトーナメント。全体の開催期間は9月9~17日。ダブルエリミネーション方式なのは共通ですが、Qualifiersと同じく東部と西部で仕組みが少し違うので、それぞれ紹介していきます。

東部地域

Knockoutsで3位以下となった4つのOWLチームで行われるトーナメント。開催期間は9月15~9月17日。1位チームのみがPlayoffsへの進出が可能です。前述した通り、「OWC」チームはこのトーナメントに出場できません。このステージで東部「OWL」チームは一気に敗退していきます。

西部地域

Qualifiers総合順位が4~10位の7つの「OWL」チームで行われるトーナメント。1位と2位のチームがPlayoffsへの進出権を獲得できます。東部と比べると順位争いがかなり険しい印象です。

ここがポイント!
Spring Stageの総決算「MSM」は東部2チーム・西部4チームの計6チームで行われましたが、2023年度総決算にあたるPlayoffsは計8チームで行われます。Play-Insにて追加分の数枠を争う形になっています。


OWL Playoffs & Grand FInals



「OWL2023」の総まとめとなる『OW2』最大の大会。ロゴにも表示されている通り、カナダのトロントにあるMattamy Athletic Centre(メープルリーフガーデンズ)にて行われます。ここでようやく東部と西部が合流し、オフライン会場にて雌雄を決します。Playoffs開催期間が9月28~30日、Grand Finalsが10月1日となります。

Playoffs

グループ1とグループ2に分かれてのダブルエリミネーション方式のトーナメント。各グループの上位2チームがGrand Finalsに進出できます。それ以外のチームはここで敗退となります。

Grand Finals

計4チームで行われるダブルエリミネーション方式のトーナメント。ここでようやく「OWL2023」のチャンピオンが決定します。

ここがポイント!
オフライン会場で開催される公式大会は「MSM」(前期総決算)と、Playoffs(2023年度総決算)だけなので、オフライン慣れしているかどうかがかなり重要です。
オンラインではデスク周りの環境や機材を整えやすいですが、オフラインではそうはいきません。悪環境でも普段通りのパフォーマンスを発揮できるようなチームが強いので、下馬評も覆りやすいです。


最後に


以上が「OWL2023」の全体的な流れとなります。ただし、「OWL」は年度ごとに形式や名称が少し変わるので、注意は必要です。

2024年度の「OWL」がどのような形式で進んでいくのかは現時点ではほとんど予測できませんので、あくまで「OWL2023」の大会概要として参考いただければと思います。


OWL公式日本語配信:https://www.youtube.com/@OverwatchJP
OWL公式英語配信:https://www.youtube.com/@overwatchleague
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