僕らが目指しているのは世界一。日本一は通過点でしかない【Absolute JUPITERリーダー Laz選手インタビュー】

2020.7.27 井ノ川結希(いのかわゆう)
『Counter-Strike: Global Offensive』(以下、『CS:GO』)では国内敵なしといわれていたeスポーツチーム「Absolute」が、『VALORANT』への移行を発表。さらにはeスポーツチームJUPITER」への加入。今、彼らの勢いは止まることを知らない。

先日行われた日本初の公認大会「RAGE VALORANT JAPAN Invitational」での活躍は記憶に新しい。

圧倒的なチームワーク、ゲームシステムの理解度で、他の追随を許さない実力差を見せつけた「Absolute JUPITER」。

そんな『VALORANT』に移行した彼らの心境は?
チームリーダーであるLaz選手に改めて聞いてみた。

なお、今回は新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて、オンラインでのインタビューを実施した。

Absolute JUPITERとは

『CS:GO』において4年間敵なしで活躍していた日本最強チーム。2020年5月には「JUPITER」に加入。「Absolute JUPITER」として、新たなるタイトル『VALORANT』へと活躍の場を移した。

▲左から、Reita(れいた)、Laz(らず)、takej(たけじぇい)、barce(ばーす)、crow(くろう)、JUNiOR(じゅにあ)


仲のいいメンバーで結成した『Absolute JUPITER』


——まずは「RAGE VALORANT JAPAN Invitational」優勝、そして、ソロでのレディアントおめでとうございます! 今『VALORANT』において、圧倒的な注目を浴びている「Absolute JUPITER」ですが、改めて今のメンバーになるまでのいきさつをお聞かせください。

Laz選手(以下、Laz):ありがとうございます。

「Absolute」は2015年に設立されたチームで、もともと『CS:GO』で活躍していたチームでした。僕が加入したのは設立して間もないのですが、現在のメンバーで活動するようになったのは、2年くらい前からですね。

——今のメンバーとはどうやって知り合ったのですか?

Laz:crowとはもともと仲がよくて、そのcrow経由でbarceやReitaと知り合った感じですね。

そのあとは、crowが試合中にtakejをスカウトして、今のメンバーがそろいました。コーチのJUNiORはそのあとに加入した形になります。

『CS:GO』では4年間無敗のチームでした。

——すごい! そんな『CS:GO』では敵なしだった「Absolute」が、「JUPITER」に移籍し、さらには競技シーンを『VALORANT』に移行したのは記憶に新しいですね。

Laz:そうですね。ちょうど今年の5月に「Absolute JUPITER」として活動することになり、『VALORANT』に移行することになりました。

——なぜ『VALORANT』に移行することになったのですか?

Laz:『CS:GO』は海外では絶大な人気を誇るFPSなのですが、日本ではあまり人気がなくて……。そうなるとスポーンサードしてくれる企業もなかなか見つからず、チームの存続が危ぶまれることになります。

そんな中、『CS:GO』と同じ5 vs 5のFPSタイトル『VALORANT』がリリースされることを知り、意を決して『VALORANT』へ移行することになりました。

日本初の公認大会で圧倒的な強さを見せつけた
「RAGE VALORANT JAPAN Invitational」


——なるほど。そうだったんですね。そんな中、日本最大級のeスポーツイベント「RAGE」が主催の『VALORANT』日本初の公認大会「RAGE VALORANT JAPAN Invitational」が開催されたわけですが、どういった意気込みで挑んだのでしょうか。


Laz:やはり『VALORANT』に移行したばかりでしたので、不安はありました。ただ、試合に勝てる自信はあったのですが、実際に勝つまではわからない部分ではあるので、「絶対に優勝してやる」っていう意気込みで取り組んでいました。

これから「Absolute JUPITER」がどうなっていくか決まる大会でもありますしね。

——それこそ、猛練習したり?

Laz:はい。がっつり練習しました。

——いやあ、その意気込み通り圧倒的な強さで優勝しましたよね! 試合中はもちろん、優勝した直後も、Twitterでは「Lazさん」や「JUPITER」というキーワードがトレンド入りするなど、世間の注目も大きかったと思います。こういう世間の反応も『CS:GO』とは違いましたか?

Laz:そうですね。本当にたくさんの方に応援していただきました。『CS:GO』での活躍を知らなかった人たちの応援も多かったので、チームとしての認知度はかなり上がったと思います。

やっぱり、ゲームタイトルの力が全然違うんだなあと実感しました。

強さの秘訣は徹底的に話し合うこと


——ゲームタイトルの力もあるかと思いますが、なんといってもあの圧倒的な強さは『VALORANT』をあまり知らない視聴者にも伝わったと思います! なによりチームワークがすごかったです。あのようなチームワークはどのように作られていったのですか?

Laz:『CS:GO』の頃から変わっていないのですが、最初に作戦について話し合うことを重視しています。新しい作戦を練ったり、今ある作戦を詰めていったり、そういったことに時間を作っています。

そのあとは、実際にその作戦を試合で使ってみて、試合後は反省会をして「どこが悪かったのか」とか「どうやったら良くなるのか」というのを振り返ります。

基本的にはこのサイクルをずっと繰り返していますね。

——普段の練習で気をつけていることはありますか?

Laz:とにかくチームワークですね。ミスなく連携がとれているか、戦略がしっかり相手チームに刺さっているかとか、そういった部分を重要視しています。というか、そこしか見ていないというレベルですね。

——テクニック的な部分は意識していない?

Laz:個人技については、もともとみんな最強クラスなので、チーム練習の際はあまり意識してないです(笑)。

▲Laz選手の精密機械のようなAIM

——確かに、メンバー全員が最強クラスのAIM力といっても過言ではないですもんね(笑)。ちなみに、チーム単位での練習はどれくらいの頻度でやっているんですか?

Laz:日曜日だけお休みで、それ以外の6日間はフルでやっていますね。『VALORANT』では時間帯によっては試合相手がいなかったりもするので、夕方の18時くらいから夜中の0時くらいまでやっています。

——チームメンバー全員がゲーム上のランクが高すぎてマッチングしないということ?

Laz:チームメンバーで「コンペティティブモード」はやってないですね。「カスタムマッチ」で中国や韓国のトップチームと練習試合しています。

——日本のチームとは練習していないんですか?

Laz:そうですね。中国や韓国のトップチームは世界的にもめちゃめちゃレベルが高いので。

——やっぱり日本のチームとは全然違う?

Laz:はい。中国はとにかく個人技めちゃめちゃ高い。AIM力が高く、撃ち合いが強い選手が多いです。一方で、韓国はチームワークがずば抜けていて、すべてが計算されているような立ち回りをしてくるので、それぞれどのように戦えば勝てるようになるのかというのを考えながら試合しています。

韓国の戦略は世界レベルだと思っています。

——日本だとそういったチームはいないんですか?

Laz:本音をいえば、日本のチームには「負けるところがない」というところですね。それだったら、自分たちよりも強いチームと対戦して、レベルを上げていきたいです。

——日本に敵なし!

「一個人のせいにしない」
アマチュアチームへのアドバイス


——『VALORANT』をプレイしているアマチュアのチームも「Absolute JUPITER」のようなチームに憧れを抱いていると思います。そういったチームに対してなにかアドバイスはありますか?

Laz:結構難しい問題ですね。というのも「これさえやればいい」というのはないのですから……。強いていうならば「一個人のせいにしない」というところですかね。

例えば撃ち合いに負けたメンバーがいたとして、撃ち合いに負けたことを追求するのではなく、そういった場面をチーム全体でカバーできなかったのはなぜなのかを考えることが大切です。

そういった場面を個人のAIM力とかではなく、チームの連携でカバーするにはどうすればいいのかを考えてプレイしてみるといいと思います。

——なるほど。個人個人の対戦ではないですもんね。

Laz:そうですね。ただ、実際ひとりのプレイヤーが調子よかったりすると、その人だけで試合に勝てたりすることもあるのも事実です。

だとしてもチームワークで勝ちを目指すというのを意識すると、チーム全体が成長しやすいと思います。

——アドバイスといえば、Laz選手を含め、「Absolute JUPITER」のメンバーは、それぞれ動画配信で、マップの攻略や各エージェントの使い方など、テクニックを惜しげもなく公開していますね。そのことによって手の内を読まれてしまうという不安はないんですか?


Laz:ないといえば嘘になってしまいますが、それよりも日本全体のレベルが上がっていってほしいという気持ちが強いので、動画投稿をやっています。

本当のところは、手の内はギリギリまで隠しておきたいのですけどね(笑)。

日本初の高額賞金付きのオープン大会
「RAGE VALORANT JAPAN TOURNAMENT Powered by GALLERIA」への意気込みは!


——そして、いよいよ2020年8月1日(土)からは、日本初の高額賞金付きオープン大会「RAGE VALORANT JAPAN TOURNAMENT Powered by GALLERIA」が開催されるわけですが意気込みをお聞かせください。

Laz:もちろん優勝目指してがんばりたいと思っています。また、絶対に落としたくない大会でもあるので、チーム一丸となって頑張っていきたいと思います!

——注目しているチームはありますか?

Laz:そうですね。「RAGE VALORANT JAPAN Invitational」の決勝戦で相手だった、「Lag Gaming」ですね。あとは、最近海外の大会で韓国1位のチームにかなり接戦した「DetonatioN Gaming」は警戒していますね。

——確かに、「RAGE VALORANT JAPAN Invitational」で「Lag Gaming」との戦いはアツかったですもんね。

Laz:あの試合は、僕らが苦戦したというよりかは、「Lag Gaming」が強かったという印象でした。ほかのチームとはレベルが全然違いました。

現在試合に向けて、メンバー全員でブートキャンプ真っ最中です。今回もまた、みなさんの期待に応えられるような戦いをしていきたいと思っておりますので、応援のほどよろしくお願いします!

——最後に、「Absolute JUPITER」として今後の展望をお聞かせください。

Laz:『CS:GO』の頃はどうしても環境面で、世界にたつための土台を作ることができませんでした。今回『VALORANT』では、世界に立てるチームになっていきたいと思っています。

——ありがとうございました!

———

こうしてLaz選手に話をうかがう機会ができて思ったことは、彼らが目指しているものは、我々が想像しているものよりも遙か先だということ。

それは彼らが日本のどのチームよりも5 VS 5のチーム戦をストイックにプレイしてきたからこその自信であり、プライドであり、熱意でもあるのだ。

彼らが『VALORANT』に取り組む姿勢は伊達じゃない。ここにきて、「JUPITER」オーナー西原氏が言う「強さだけじゃ足りない。いまeスポーツ選手に必要なのは格好よさ」という言葉の本当の意味がわかったような気がした。

そう、彼らはすでに最強なのだから。

【ちょっと番外編】

——ぶっちゃけ『CS:GO』とくらべて『VALORANT』ってどうですか? 例えば投げモノが固定の『CS:GO』に対し、『VALORANT』はアビリティという個性がありますよね。

Laz:自由度が増えたというよりは、大変なことが増えたって感じですね(笑)。

『CS:GO』では、スモーク、フラッシュ、グレネード、モロトフと各プレイヤーが所持できたので、ひとりでできることがものすごく多いんです。

一方、『VALORANT』はエージェントによって使えるアビリティーが異なるので自ずと約割りが決まってしまうというところが大変ですね。

基本的に『VALORANT』では、先頭に行く人、先頭のサポートをする人、後ろでひとり戦う人、スナイパーをする人、指揮官をする人という風に分けられるのですが、エージェントのアビリティが決まっているので、途中でほかの約割りをやりづらい点が大変です。

——今一押しのエージェントっていますか?

Laz:ここ最近オーメンが面白いですね。あとは最近のアップデートで強化されているヴァイパーも面白いので、ぜひ使ってみてください(笑)。


「ポイズンクラウド」と「トキシックスクリーン」を同時に発動しても、ひとつ分の燃料しか消費しなくなったのはかなりやばいんじゃないかなあ。

——えーっ、アルティメットの「ヴァイパーズピット」の強化もやばくないですか?

Laz:んー。あれはあまり驚異じゃないかもですね。そもそもアルティメット使っているヴァイパーの居場所って大体わかるんで(笑)。

——ほんとですかー! 私今さっきあれでやられてきたばっかりなので、ぜひ次回の攻略動画で教えてください!



JUPITER公式:https://jupitergaming.jp/
JUPITERTwitter:https://twitter.com/JUPITER_GG

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