【インタビュー】ふ〜ど「エドがもっと調整されていたら多分自分はここに立てていなかった」——両国国技館で開催される世界大会「CAPCOM CUP 11」最後の切符を手に入れたのはふ〜ど選手!

ストリートファイター6』の公式大会「CAPCOM Pro Tour 2024 ワールドウォリアー 日本大会」の地域決勝大会が2025年1月19日(日)に、esports Style UENOにて開催された。

本大会は『ストリートファイター6』の世界大会「CAPCOM CUP 11」の出場権を獲得できる大会のひとつ。会場ではパブリックビューイングが行われ、多くのファンが見守る中、8人の選手が熾烈な戦いを繰り広げた。

CAPCOM Pro Tour 2024 ワールドウォリアー 日本大会とは

『ストリートファイター6』にて、世界中のプレーヤーが年間チャンピオンを目指し、各地域で激戦を繰り広げる大会「CAPCOM Pro Tour 2024」。その大会群のひとつつである「ワールドウォリアー」は、世界各地域のトーナメントオーガナイザーによって数カ月にわたり複数回開催される。

「CAPCOM Pro Tour 2024 ワールドウォリアー 日本大会」は、順位に応じてポイントが獲得できる5回の通常大会と、ポイント順位上位選手8名による決勝大会の全6回で構成され、上位入賞選手は優勝賞金100万ドルの世界決勝大会「CAPCOM CUP 11」の出場権を獲得できる。

なお、「CAPCOM Pro Tour 2024 ワールドウォリアー 日本大会」は「Super Region(スーパーリージョン)」に該当し、成績上位者2名が「CAPCOM CUP 11」への出場権を手にすることができる。

すでにポイント順位1位である翔選手が出場権を獲得していて、本大会に優勝した選手が最後のひと枠を手に入れるといった仕組みだ。最終戦はふ〜ど vs ももちという同世代同キャラ対決。ルーザーズから勝ち上がってきたももち選手がリセットを決めてふ〜ど選手を追い詰めたものの、最後はふ〜ど選手がしっかりと勝利をつかみ「CAPCOM CUP 11」最後の出場権を手に入れた。

▲ダブルエリミネーションによるトーナメント表。グランドファイナルであるふ〜ど選手vsももち選手は、奇しくも同キャラ対決であり、ウィナーズブラケットの初戦でもあった

そんな本大会を戦い抜いたふ〜ど選手が合同インタビューに応じてくれたのでその様子をお届けしよう。

「CAPCOM CUP 11」のおかげでモチベーションが保てそう


──「CAPCOM Pro Tour 2024 ワールドウォリアー 日本大会」での優勝と「CAPCOM CUP 11」への出場、おめでとうございます。本日の感想をお聞かせください。

▲ウィナーズブラケットから負けなしで決勝戦まで上りつめたふ〜ど選手

ふ~ど:ありがとうございます。正直、自信はありませんでした。決勝だけ見れば「勝ってもおかしくないかな」とは思うんですけど、「CAPCOM CUP 11」に出場する自信は全然なかったですね。でも、今日の組み合わせとかを考えると勝ってもおかしくはないなとは思ってました。

──2戦目のおらりん戦では3:0で圧勝する場面もありました。逆にきつかったと思った場面はありましたか?

ふ~ど:正直ルーザーズに落ちたらやばい、という気持ちでやっていましたね。ももち選手とか絶対きついし、どうやってもいい勝負なので、勝てただけでうれしかったです。

▲おらりん選手はODD PLAN所属の期待の新星。初戦では若さ溢れる強気なプレーでひぐち選手に勝利するも、2戦目のふ〜ど選手には熟練された駆け引きで出鼻をくじかれる場面も。ふ〜ど選手が終始おらりん選手の得意な間合い外から攻めを食い止めていたのが印象的だ(https://www.youtube.com/live/2HevZiGEqSM?si=yHx0vthGh0w1ZBXx&t=8337)ストリートファイター6 ©CAPCOM

──試合後のインタビューでは🇰🇷Lesher(れしゃー)選手と練習されていたと聞きましたが、今日の試合でその練習が生きた部分はありましたか?

ふ~ど:エドでキャラクター対策すると、実はリスクのある行動って結構あるんですよ。たとえばヒモ(サイコフリッカー)に対して自分が取った「ジャストパリィ」とか有効なんですけど、それをどれくらいやってくるのかがすごく気になったポイントで。

▲エドの主軸ともなる「サイコフリッカー」(通称ヒモ)に対してふ〜ど選手は積極的に「ジャストパリィ」からの反撃をうかがっていた。引き寄せ効果のあるOD版やホールド版も、連続パリィをすることで投げ間合いまで引き寄せられずに済むので、その後の駆け引きのストレスが軽減される。同キャラであるももち選手がこれをどれくらい使ってくるのかを対戦中に分析していたとのこと(ストリートファイター6 ©CAPCOM)

あと、中キックの差し返しとかが全然なかったというのがまず思ったことでした。ないということは、こっちは結構さわれるということで、相手の振ってくる技に対してはこっちはダメージが取れると思えたことはすごく大きかったです。

▲ふ〜ど選手は中間間合いでの中キックのけん制からの連携を多用していた。中キックの空振りに対する反応が薄かったももち選手の立ち回りを見て積極的に使っていたとも見える(ストリートファイター6 ©CAPCOM)

──今日esports Style UENOという会場で対戦してみて、お客さんの空気感はいかがでしたか?

ふ~ど:自分にはちょっとアドバンテージがあって、去年DetonatioN FocusMe(DFM)に参加していたんですけど、この会場がDFMの拠点なんです。それこそファンミーティングとかもここでやっていたので、ホームを1回経験しているところが良かったんじゃないかと思っています。

▲対戦スペースと観客席は非常に近いため、選手もお客さんのリアクションは肌で感じることができる

──ヘッドホン越しに観客の応援は聞こえましたか?

ふ~ど:全然聞こえなかったです。ただ、一番最初(試合前)にみんなが笑っているところがあって——。何なのかなと思ったら多分(試合前の映像を)飛ばしちゃったからですよね。アールさんの「行ってみましょ~」ってかけ声が全然聞こえなくて笑い声だけが聞こえて——。ちなみに、あれはももちです(笑)。

▲試合が始まる前にボルテージを上げようとしてたアールさん。まさかの映像スキップに「まじか……」と心の声が漏れるシーンも(笑)(https://www.youtube.com/live/2HevZiGEqSM?si=VbTdrbM3cqBFuotA&t=11970)ストリートファイター6 ©CAPCOM

──「CAPCOM CUP 11」でも観客がたくさんいらっしゃると思うんですがファンへの要望はありますか?

ふ~ど:全然ないですけど、お金を払ってきてくださるので、その分の元はとってほしい。そんな内容を見せられればいいな、というくらいです(笑)。

あとは声を出すのはいいことだと思いますね。やっぱりカロリーを消費するって楽しいことだと思うので。最近ストリーマーイベントの「師弟杯」とか、自分はその場にはいませんでしたが、みんなすごかったって言ってますし——。

海外の人が来て「日本ってすごく盛り上がってるんだ、熱量があるんだ」って思ってくれた方が、今後のイベントもすごく良くなると思うので、シラッとするよりは盛り上げるようにお願いしたいと思います。

──ちなみに「CAPCOM CUP 11」までかなり時間が空くと思います。どんなふうに過ごされますか?

ふ~ど:「CAPCOM CUP 11」に出なかったら休んじゃいそうだなって思うんですよ。そこで弱くなってしまいそうなので、「CAPCOM CUP 11」があるから今後も練習するし、来年度も活躍できるのかなと思っています。

「CAPCOM CUP 11」のためというよりも、『ストリートファイター6』を高いモチベーションで続けられる形になったのがすごくうれしいですね。

──その「CAPCOM CUP 11」が両国国技館という『ストリートファイター2』時代からの聖地なわけですが思い入れはありますか?

ふ~ど:国技館はWWEとかDDTとかのプロレスを見に行ったことがあって「ここで勝てるんだな」という気持ちはありますね。それに、今日もちゃんこ鍋でも食べに行こうかなって思ってます(笑)。

──地元開催だとお客さんも日本人が多いですよね。ホームという感覚はありますか?

ふ~ど:その辺はないですね。もう長い間海外で戦ってきて、死ぬほどアウェイなこともあったので。むしろ(日本を)盛り上げられたらいいな、というくらいで。

それよりも、やっぱり練習とかが日本でできるのはすごくアドバンテージがあるので、日本のファンの方には、いいプレーヤーが来るのを楽しんでくれたらいいなと思います。

──先日、追加キャラクターの不知火舞が発表され、今後もアップデートされる予定ですが、これからの『ストリートファイター6』のアップデートで求めることはありますか?

ふ~ど:ないんですよ。自分ってプロといっても遊んでいる側だなと思っていて。メーカーさんが作ってくれたものを楽しむスタンスは今でも変わりません。

ただ、第1回と第2回の「ワールドウォリアー」でポイントを取れなかった理由として、DJに調整が入ってエドにキャラ変更したという部分がきつかったとは思います。そこからやっと勝てるようになったと思ったら、最後(2024年12月)にまたエドがめちゃくちゃ調整が入った——。それでも強キャラだとは思うんですけど、アップデートで勝ち負けが左右されちゃうのは……と思いながらやっています。

それでも今回結果が出せたので、そこは跳ねのけられたかなと思います。もっと調整が入っていたら多分自分はここに立てていないと思っているので、怖いなとは思います。

——今回の「ワールドウォリアー」は5回+1回という大会形式になりましたが、特にコロナ以前は海外遠征も多くてまったく違う戦い方になりました。ふ~ど選手自信にとって今年の「ワールドウォリアー」のシステムはどうでしたか?

ふ~ど:昔は「CAPCOM CUP」に出ないとプロと言えるのか、というものもあって、みんな海外を回って目指していたんですけど、いまって配信とかの人気もすごく大事な時代になってきました。国内で5回の大会があるというのはそれだけで、見てくれる人とかも増えていいと思いますね。

1回の大きな大会よりは、何回も大会をやって、ストリーマーの方も参加したり、自分も毎回配信して参加しているんですけど、みんながウィンウィンでいい形だなと思います。

——ありがとうございました!

———

今回、パブリックビューイングという形で観戦チケットが販売されていたものの、実際目の前でプロ選手が対戦しているのを観戦できるので、生観戦に近い臨場感が楽しめた本大会。選手との距離感も近く、実況や解説席もオープンになっていることから臨場感ある観戦が楽しめたのではないだろうか。

▲そうそうたるプロ選手が会場に集結。この距離感で見られるだけでなく、選手のコメントも生で聞こえるのはファンにはうれしいポイント

なお、今回出場権を隠した「CAPCOM CUP 11」は3月5日(水)〜9日(日)に両国国技館で開催される。現在、観戦チケットも販売中なので、ぜひ世界最強が決まる瞬間を生で観戦してほしい。

CAPCOM CUP 11公式:
https://sf.esports.capcom.com/capcomcup/cc11/jp/

CAPCOM CUP 11出場者:

https://sf.esports.capcom.com/cpt/jp/players/

配信アーカイブ

撮影:いのかわゆう
編集:いのかわゆう


【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。

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