【Apex Legends】「ALGS Year 4 Championship」直前のシーズン23 ミッドシーズンパッチではローバとミラージュが大幅強化!——開発者が新パッチの意図を語る

2024年12月某日、『Apex Legends』の開発陣へメディアの合同インタビューが行われた。今回はPrincipal Game DesignerのBilal Arshad氏、Lead Legend DesignerのDevan McGuire氏、Lead BR Designer のEric Canavese氏、Weapons Designer のCasey O'Brien氏に参加いただき、シーズン23のミッドシーズンパッチについて聞くことができた。

本パッチは札幌で開催される「ALGS Year4 Championship」で使用されるパッチでもある。いったいどんな変更がされるのか、競技シーンを意識してアップデートをしているのか、気になる内容をうかがった。

シーズン23 ミッドシーズンパッチ概要

【レジェンド】
「Season of Support」の次のフェーズ
・これまで直接的な変更がなかったサポートレジェンドのうち、ローバとミラージュに新たな魅力的なパワーが加わります。

・新たに生まれたメタの強さを観察し、コミュニティから寄せられるフラストレーションの声を受けて、ライフライン、ニューキャッスル、そしてゴールドノックダウンシールドのバランス調整を前倒しで実施しました。

・これらの調整により、サポートメタそのものやプレーヤーたちがApexをプレーしながら考え方を調整している新しい方向性を損なうことなく、いくつかのフラストレーションを軽減することを目指しています。また、ミラージュとローバの強化によって、新たな展開が生まれ、彼ら自身の特徴を生かして注目を集める存在になることを期待しています。

ローバには全体的に複数の変更が加えられます
・彼女の戦術アビリティはデフォルトで2回使用可能となり、ブレスレットの投擲と回収時間が延長されます。これにより、ローバはより多才で、巧みに立ち回ることができるようになり、ブレスレットを使ったプレーの幅と選択肢が広がります。

・彼女のアルティメットにも調整が加えられています。ブラックマーケットは着地直後から利用可能となり、設置や使用がこれまでよりも迅速になり、さらに遠隔で回収できるようになりました。加えて、小型の回復アイテムや味方のバナーをブラックマーケットから無料で取得できるようになります。

・隠れたボーナスとして、ローバの「盗み」の能力がエクスプローシブホールドやヴォルト(保管庫)周りで強化されました。エクスプローシブホールドは再びアクセス可能になり、ヴォルトの盗みによってブラックマーケットが破壊されることはなくなります(ただしアラームは鳴ります)。さらに、ローバ自身がインタラクトでヴォルトの鍵を開けられるようになりました。

・ローバのアップグレードも大幅に刷新され、基本的にふたつの選択肢が用意されます。ひとつ目はチームの補給を強化する方向で、ブラックマーケットを利用してチームの戦利品を増やし、バックパックのアップグレードでそれらを保管できるようにするものです。ふたつ目は彼女の役割をスカーミッシャー寄りに進化させる方向で、ブレスレットのアクションを強化して戦闘能力や逃走オプションをさらに高めるものです。

ミラージュの変更はシンプルですが、見過ごせない重要なポイントです
・彼のパッシブに大幅な変更が加えられ、あらゆる回復アイテムを使用中にクローク(透明化)できるようになります。さらに、味方を復活させた後、クローク状態でミラージュは大幅な移動速度の増加を得られるため、以前よりも簡単に逃走や再配置が可能になります。

・また、レベル2のアップグレードにも調整を加えました。ミラージュは、「欺いた敵をスキャンできる能力」を得るか、「すべてのクラス専用コンソール、ビン、ビーコン、補給パッケージのスキャン機能にアクセスできる能力」を得るかを選択することになります。この選択により、メタでの汎用性が「万能型」へとシフトする可能性があります。

【武器】
チャージライフル
・マガジン対応に変更(6/7/8/9発)。
・射程ダメージの最大効果範囲が200m(以前は300m)に短縮。
・弾丸のサイズが大きくなり、重力の影響が減少。これにより、射撃の安定性が向上し、命中しやすくなりました。
・反動が軽減。
・セレクトファイアを装備することで、自動スナイパーモードに切り替え可能に。このモードでは連射速度が向上しますが、ダメージは通常の60%に減少します。

セレクトファイア ホップアップがゲームに追加されます
・対応武器:チャージライフルおよびプラウラー。

マスティフの弱体化

・「ダブルポンプ」のバグを修正。
・爆発パターンのスケーリングを拡大し、ショットパターンが広がるように変更。
・エイム時(ADS)の締まり具合を緩和し、狙いを定めたときでも集弾性が低下するよう調整。

アクセラレータ武器
・ネメシス、スカウト、CARはデフォルトで「アルティメットアクセラレータ」ホップアップを装備。
・ダメージを与えることでEVOシールドとアルティメットのチャージが増加。
・ノックダウンを取ると、1つでもアクセラレータ武器を装備している場合、一定量のアルティメットチャージを獲得可能。

ピースキーパー
・弾速が向上し、長距離での命中精度が改善。
・チョーク速度が向上し、長距離射撃でのチャージ性能が強化。

RE-45

・ダメージが13(以前は12)に増加し、近接戦闘(CQC)での性能が向上。これにより「ネタ武器」的な印象を払拭。

【イベント】
・「Rift Relics」では、EPG-1と、強化版の「Stacked Legends Upgrades Boost Kit」が登場します。これらの遺物は、これまでのゲームにはなかった完全にユニークなコンボを導入し、一歩先を行く新たな体験を提供します。

開発者インタビュー


——今回のアップデートではセレクトファイアを実装し、チャージライフルとプラウラーに付けられるようになったと思います。チャージライフルを以前の仕様に戻したかったのか、ユーザーからの要望でプラウラーのフルオート連射をよみがえらせたのか、どういった意図があってセレクトファイアを実装したのでしょうか?

Casey O'Brien:開発の段階でどういった武器を注目させたいかと考えたときに、チャージライフルに注目しました。チャージライフルは仕様がかなり難しい武器だったので、さまざまな方々に楽しんでいただけるようにセレクトファイアを戻しました。

武器のアップデートについて話し合っていく中で、プラウラーもコミュニティの中で非常に人気の高い武器だったので、セレクトファイアをチャージライフルと同じようにつけられるようにしました。

▲プラウラーは今でこそ5連バーストの武器だが、昔は5連バーストとフルオートを使い分けることができた。今のダメージでフルオートができるようになればかなり強いSMGになりそうだ

——ローバやミラージュに別のクラスのような能力が得られるようになるバフが入ると思います。こういった能力は他のサポートキャラとのバランスを鑑みて実装されるのか、ローバとミラージュの能力を鑑みて実装されるのか、バフの理由を教えてください。

Devan McGuire:まず、ジブラルタルなどのシンプルなキャラのアップデートを最初に行い、より仕様が複雑なキャラであるローバやミラージュは後半のアップデートにとっておきました。

▲代表的なのがライフラインのリワーク。戦術アビリティが味方を追従するようになったり、滑空できるようになったりと大幅な変更が入って環境キャラに

ローバに関しては元々ほかのレジェンドとは違う特有のアビリティを持っていて、ひとつは遠くからアイテムを取れるアルティメットアビリティ、もうひとつはスカーミッシャーのようにマップを移動する戦術アビリティです。

このふたつの能力を特化させて、より面白いローバらしいプレーをできるようにし、メディカルキットを拾ってチームをサポートすることからよりタクティカルに戦うところまでを幅広くできるレジェンドにしたかったです。

▲戦術アビリティが2回使えるようになるので、今までよりも機動力の高いレジェンドになることだろう。ただし、パスファインダーやヴァルキリーのように味方も移動させられないのが難点

ミラージュに関してはチームプレーを重視した設計にしていて、ほかのクラスの能力を持てるようにすることでチームとして色んなプレーができるようにしました。その能力に追加して、回復アイテムを使用中に透明化できる能力などをアップデートしました。

▲ミラージュは透明化して蘇生できるという強みがあるが、デコイを出してかく乱するプレーはどちらかと言えばソロプレーの印象が強い。回復アイテムを使っているのがばれにくく、チームにあわせた能力を選べるなら競技シーンなどでも十分に活躍できそうだ

——EPG-1は今後、ランクマッチに実装されるでしょうか。

▲EPG-1はエネルギー弾のようなものを飛ばす銃。着弾時に爆発するため、敵の足元を狙って爆風ダメージを与えられる

Bilal Arshad:現在はランクマッチに導入する予定はないですが、イベントをプレーしたユーザーの声を聞いて検討するかもしれません。

——EPG-1はレジェンドの動きに革新的な動きをもたらす武器になると思いますが、個人技量に頼らないための配慮や調整はされるでしょうか。また、ジブラルタルの自爆ダメージのような、これまでの武器とは違う特性が実装される予定はありますか?

Eric Canavese:ムーブメントを重視したユーザーに関しては使っているレジェンドを変更する可能性があると思います。また、EPG-1は多少のセルフダメージがある武器になっています。

そして、一番楽しみなのはイベントを通してEPG-1をユーザーの皆さんに使っていただき、我々開発チームも考えられなかったような使い方やレジェンドとの組み合わせが生まれてくるのを期待しています。また、このイベントを通して皆さんに今まで使ってこなかったレジェンドを使っていただき、EPG-1との組み合わせを試してほしいと思っています。

▲自分の足元に撃つと自爆ダメージを受けてしまうが、爆風で移動することが可能。しゃがみながら撃つことで高速で移動できる。ワットソンと組み合わせればシールドを気にせず移動でき、オクタンと組み合わせてより機動力を高めて移動できそうだ

——ローバの調整でシールドセルや注射器といった小型の回復アイテムが無限に取れるというアップデートが入っています。これは競技シーンのいわゆる“中ムーブ”を想定して強化したものなのか、一般ユーザー向けに調整したものなのか、教えてください。

Devan McGuire:今回のアップデートでは、競技シーンやライトなユーザーに向けて強化したわけではなく、ゲーム全体として設計しております。考え方として、まずサポートとして強化するために小型の回復アイテムを無限に取れるようにしました。

さらに、サポートキャラは小型の回復アイテムからボーナスを得られるのでサポートとシナジーがあり、面白い仕様になっていると思います。

▲現在は弾を無限に取れるようになっているが、回復アイテムも取れるようになったら大幅な強化のように見える。特に、中ムーブで物資が足りなくなりがちな競技シーンでは大活躍しそう

——『Apex Legends』の年間王者を決める世界大会「ALGS」で実際に使われるパッチになると思いますが、パッチ実装から「ALGS」までの期間は意識して開発しているのでしょうか。それともシーズンのアップデートのタイミングはもともと決まっていたのか教えてください。

Devan McGuire:今まで「ALGS」のタイミングにあわせてアップデートができなかったことがひとつ課題だったので、今後はタイミングをより意識して対応していきたいと思います。

今回のように大きな変更が入るときは、「ALGSのため」というよりは「ALGSも意識して」、しっかり前にアップデートを実装することによってプロの方が分析、調整して大会に挑めるようにタイミングを意識しました。

——ミラージュのスキャン能力は、ブラッドハウンドのような明確に敵を視認できるものなのでしょうか。

Devan McGuire:現在は誰かがダマされたというのが分かるよう仕様になっていますが、今回のアップデートではブラッドハウンドのようにハイライトされて敵が何をしているのか分かる仕様になっています。

▲何秒間ハイライトされるのかは分からないが、ブラッドハウンドのようにハイライトされるのであれば非常に強そう。索敵に加えて、ほかのクラスのような能力も持てるのであれば、競技シーンでも見られる可能性も

まとめ


「ALGS」も意識して開発された今回のアップデート。強いといわれているライフラインやニューキャッスルが弱体化されているものの、メインとなるのはローバやミラージュのアップデートだ。

強いといわれているキャラをすぐに弱体化するのではなく、ほかのキャラクターも強くすることで、サポートキャラを練習していた人たちが今回の大会では損をしないようなアップデートになっていると感じた。

今回のアップデートでは特にローバの強化が特徴的。今までは回復アイテムの入手個数に制限があったのに対し、小型の回復アイテムは無限に回収できるようになった。競技シーンの中ムーブが非常にやりやすくなったと感じる能力だ。

このアップデートにより今のメタとまた違った構成が大会で見られるかもしれない。札幌で開催される「ALGS」でどんな構成が見られるのか、今から非常に楽しみだ。


■関連リンク
公式サイト:
https://www.ea.com/ja-jp/games/apex-legends/compete


編集:いのかわゆう


【フリーダム山中プロフィール】

2022年より活動を始めた新人ライター。RPGやアクション、シューティングなど、さまざまなジャンルのゲームを愛している。最近では『VALORANT』や『Apex Legends』、『リーグ・オブ・レジェンド』などの競技シーンを視聴しており、暇さえあれば日本の大会だけでなく、海外の大会も見るほど競技シーンが好き。
eSports World の
Discord をフォローしよう
SALE 大会 チーム 他にも...? 他にも

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

インタビュー VIEW ALL