【Riot Games ONE 2024】LEV C0M選手インタビュー——「Demon1はすごく成長している、ひとりの人間としても」1年ぶりに再開した“世界一”のコンビは結果を残せるか

2024.12.20 まいる
ライアットゲームズによる2024年最後の集大成ともいえる一大イベント「Riot Games ONE 2024」のオフラインイベントが12月14日(土)〜15日(日)に、Kアリーナ横浜で開催された。その中でもVALORANTの競技シーンにおいて、国内外の強豪4チームが対決する「PRO INVITATIONAL」が両日実施された。

▲左から🇯🇵DetonatioN FocusMe(DFM)、🇯🇵ZETA DIVISION(ZETA)、🇬🇧FNATIC(FNC)、🇦🇷Leviatán(LEV)

そんな出場チームの中から、今回は🇦🇷Leviatán(読み:れびあたん、略:LEV)をピックアップ。LEVは、アルゼンチンを拠点とし、VCT Americasに所属するプロチームだ。韓国・ソウルで行われた「VALORANT Champions 2024」では3位を獲得するなど、言わずと知れた超強豪チームである。

このオフシーズンで2023年世界王者であるDemon1選手、そして2023年のAscension EMEAでチームを優勝に導いたnataNk選手を獲得。文字通りスーパーチームと評される同チームは、次の2025年ではどのような活躍を見せてくれるのだろうか。

まずはDay2の🇬🇧FNATIC(FNC)戦後に行われた合同インタビューの様子をお届けしよう。

Leviatán 合同インタビュー


▲左上からitopataコーチ、tex(てっくす)、C0M(こむ)、Desmoアシスタントコーチ、Demon1(でーもんわん)、KiNgg(きんぐ)、nataNk(なたんく)

——本日の感想をお聞かせください。

itopataコーチ:昨日の結果を踏まえると、かなり課題が目立ちました。特に我々は、時差ボケもあってパフォーマンスをうまく出すことができませんでした。

今日の目標は僕たちらしいプレースタイルを取り戻すということでしたが、特にディフェンダーサイドではいい勝負ができたのではないかと思っています。その結果として、この数週間練習したことを発揮できて良かったと思っています。

▲Day1は時差ボケもあり、DFMに8-13、ZETAに7-13で敗北。思うようにパフォーマンスを発揮できなかったようだ。しかしDay2になると一転して底力を発揮し、一時は追い詰められたものの🇬🇧FNCに14-12で逆転勝利を決めた(https://www.youtube.com/live/ijtxGYD0lDQ?si=wDcoc4hEbZnWb9bO&t=28493

kiNgg:僕もコーチと同じ考えだよ。ここ数日間PCをまったくさわれなかったということもあって、昨日のマッチは多くの課題があった。ただそれを踏まえて、パフォーマンスも少しずつ温まってきていたし、1時間半くらいチームミーティングをして今日に向けてどんなことを変えるべきか話し合ったよ。

その結果、普段のスクリムで出せるようなパフォーマンスが出せて、昨日よりも遥かにいい試合ができたんじゃないかと思う。

tex:勝利できてとても誇らしいよ。昨日はコミュニケーションや時差ボケの問題もあって、基礎的なミスが多かったとはいえ、我々はプロとしてそんな言い訳にすがることはせず、より高いレベルを保たなければならない。1時間半のチームミーティングも、今日にとってはプラスになったし、なによりFNCに勝ててうれしい気持ちだ。

C0M:彼らと同じ内容だから、僕は手短にするよ(笑)。今日は勝ててうれしいし、日本の観客が素晴らしいことも感じた。このままの勢いで、キックオフに向けてチームで練習していきたいね。

nataNk:ここ横浜に来られてとてもうれしいし、とてもいいイベントだった。昨日がチームのお披露目となったけど、まだまだシャイなプレーが多かったと感じているよ。

だからこそ、昨日の長い会議もやってよかったと思っているし、その後もみんながひとつになって、互いを信頼し合いながら戦うことができたんじゃないかと思う。このままチームとして進化を続けて、次のシーズンに向けて準備をしていきたい。

Desmoコーチ:僕たちはこのイベントを、学ぶという思いで訪れました。そうやってさまざまなことを学びながらも、勝利を家に持ち帰ることができるということについては、純粋にうれしいと感じています。日本の観客のエネルギーの高さや、ここ横浜を体験できたことは素晴らしい経験になりました。

また今日のマッチについて、序盤はスローペースでなかなかパフォーマンスを発揮できませんでしたが、後半になるにつれしっかりと巻き返すことができたため、選手たちを誇らしく思っていますし、感謝もしています。

Demon1:勝ててうれしい。

(一同笑い)

▲無表情で発したひと言(比喩ではなく本当にひと言)に、Demon1以外のチーム全員が爆笑。まさにこれこそDemon1、王者の風格だ

Desmoコーチ:それだけ?

kiNgg:Demon1!(小声)

C0M:Demon1!(小声)

▲C0M「3ワードしか言ってないよ(笑)」

——nataNk選手におうかがいします。2022年~2024年にかけて、さまざまな地域やチームで活動してきたかと思います。今現在は、どのようなモチベーションで選手活動を続けているのでしょうか。

nataNk:選手として活動することは、僕の夢だったんだ。今はこれで生活をしているからこそ、モチベーションという面では、今日よりも明日の自分がより良くなっていく、日々学びを得ていくというところを意識して、選手を続けているよ。

——LEVのユニフォームについて、例えばDemon1選手には「悪魔」、kiNgg選手には「王冠」といった、背中にモチーフが入っているかと思います。tex選手には「雷」、そしてnataNk選手には「炎」のモチーフがありますが、これには何か意味があるのでしょうか。

▲フェニックスの炎、オペレーターキルの雷——どれも粋なデザインだ。ちなみに話に出なかったC0M選手の背中には、弓矢のマークが記されている

tex:もともとオペレーター(スナイパーライフル)をよく使っていて、Twitterにもクリップを載せているんだけど、この「素早いキル」というところで「雷」のアイコンにしているよ。

nataNk:🇫🇷Gentle Matesに所属していたころから、フェニックスをよく使っていたということで選んだんだ。ただそれ以外にも、エネルギッシュで熱意に溢れている——。いつでも「ウォームアップ」ができているという姿勢を見せるという意味もあるね。


——C0M選手におうかがいします。クラッチシチュエーションでの勝率が非常に高いと感じるのですが、そのような場面において意識していることは何かありますか?

C0M:クラッチをする前の段階で、チームがいい環境を作ってくれているというところを感謝しないといけないね。そして僕はソーヴァ使いだから、そういった状況でもアビリティーが残っていることが多いんだ。その上で僕は、普段相手が想像だにしないようなプレーをすることを心がけているから、相手の考えの外から攻撃をすることができる。

そして、たくさんの大きなステージで場数を踏んできたという自信こそが、一番クラッチに繋がっているんじゃないかと感じているよ。

——Demon1選手におうかがいします。新たにLEVに加入して何か変わったこと、あるいは今後の目標はありますか?

Demon1:変化という意味では、特にないかな。今はただ自分自身のプレーに集中しているだけだ。

次のシーズンの目標は、Championsで優勝することだね。

▲2023年のChampionsで優勝を果たしたものの、続く2024年シーズンは不調続き。当時所属していた🇺🇸NRGではベンチ入りを宣告されるなど、苦悩の日々が続いていた。なお翻訳の都合で記事内には書かれていないが、彼の言葉にはFワードが混ざっていた

——先日パッチ9.11がリリースされました。ネオンのナーフやピンの変更などが行われましたが、これについてどう感じていますか?

itopataコーチ:全体的に健全な変更だと思います。今までの環境はネオンが独占的なデュエリストになりすぎていたので、これからさまざまなデュエリストの選択肢が広がるという点において、いい変化になると考えています。

Desmoコーチ:ヴァイスの強化によって、センチネルの選択肢が広がるという点でも楽しみにしています。

——最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

itopataコーチ:皆さんは最高だと思います。また東京で国際大会が開かれることを楽しみにしています。

kiNgg:本当に感謝という言葉しかないね。みんなが僕たちへの愛を示してくれてとてもうれしいし、またここに戻ってきてプレーができることを楽しみにしているよ。

tex:チームメイトや他の選手から「日本の観客は世界で一番いい」と聞いていたんだけど、まさにその通りだと感じたよ。みんな愛に溢れていて、そして温かくて、特にファンミーティングの時もリスペクトを欠かさないというところが印象的だったね。間違いなく、世界で一番好きなファンだ。またここに戻ってきて会えるのを楽しみにしているよ。

C0M:2023年のMasters Tokyoで感じたことと、まったく同じことを今回味わうことができたよ。「心温まる」という言葉が適切だと思うくらい、日本のファンはチームの成功を常に祈ってくれていて、とてもうれしい。

▲ユニフォームを投げるC0M選手。チーム全体でのファンサービスも忘れない

▲ひらひらと舞う青色のユニフォームは、アリーナ席へ向けて着弾。運良くキャッチできれば、そのまま持って帰ることができる。これこそオフラインならではのサプライズだ!

nataNk:日本に来るのは初めてだったけど、とても楽しかったし、またステージに上がれることを楽しみにしているよ。最後にひとつ、日本は今までに行ったことのある国で、一番綺麗な国だ。

Desmoコーチ:今まで日本のファンについては、いいことしか聞いたことがありませんでしたが、それを今回体験することができてとても良かったです。皆さんリスペクトに溢れていて、エネルギッシュで、温かく感じます。またこの日本で、国際大会が開かれることを楽しみにしています。

Demon1:日本でプレーするのはいつだって興奮する。この先また、この地に戻ってこれることを祈っているよ。

——ありがとうございました!

C0M選手 個別インタビュー



続いて、C0M選手への個別インタビューだ。スケジュールの都合でかなり忙しない取材だったが、快く応じてくれた。今回はその様子を余すところなくお届けしよう。

——本日はお疲れさまでした! 現在、体調の方はいかがですか?

C0M:元気だよ!

——日本に来てどうですか?

C0M:ああ、とても楽しんでいるよ。日本は大好きな国だからね。

——新たなチームメイトはいかがでしょうか。

C0M:とても満足しているね。去年と比べれば変わったけど、今は新しいチームメイトとも仲良くやっているよ。

——特に、以前に「🇺🇸Evil Geniuses(EG)」で共に世界一を獲得したDemon1選手が加入したばかりですが、この再会についてはどう感じますか?

C0M:すごくうれしい。マックス(Demon1選手の本名)は、EGの時からすごく成長していると思うよ。選手としてだけではなく、ひとりの人間としてもね。彼はすごい選手だよ。

——C0M選手自身のチームでの立ち位置を教えてください。

C0M:メンバーを元気づけてあげるような立場かな。雰囲気を上げるというか。

——確かに、チームのムードメーカーという雰囲気を感じます。

C0M:ありがとう、うれしいよ(笑)。

——よくイニシエーターを使っているかと思いますが、C0M選手が考えるチームをサポートする秘訣を教えてください。

C0M:やっぱり大事なのは、チームを目指しているところにまで導くことだね。チーム全体が固まって、そろったプレーをするというのを心がけて、サポートをしているつもりだよ。

▲この試合の勝敗を決したといっても過言ではない後半3ラウンド目。「リコンボルト」と「フラッシュ/ドライブ」を同時に入れることで、フラッシュを避けられないようにする合せ技。この場で2キルを獲得し、エコラウンドにも関わらずラウンドを獲得することとなる(https://www.youtube.com/live/ijtxGYD0lDQ?si=2ynuSJ_VzR6sb3ya&t=27002

——C0M選手といえば、お父さん(PAPA C0M)が何かと有名ですが。

C0M:そうだね。

——C0M選手の活動に対して、お父さんは昔から協力してくれたのでしょうか?

C0M:昔はフィフティ・フィフティだったね。だって、まだ子どもなのにゲームでやっていくなんてリスキーでしょ? だけど今は、試合を見るのも大好きになってくれて、僕のことをすごく応援してくれているよ。

▲ちょっとした有名人であるC0M選手のお父さん(PAPA C0M)。自身も『VALORANT』をプレーしており「レイズではJawgemoの次くらいに強い」と語っていた


——ちなみに、2023年に世界一になったときはどうでしたか?

C0M:家族中が泣いていたね(笑)。

——お土産はなにか渡す予定ですか?

C0M:まだしばらくオフの間は日本にいる予定だから、これから買うつもりだよ。

——今のところ、考えているものはありますか?

C0M:目についたものにしようかと思ってるね。

——次の2025年シーズン、なにか目標はありますか?

C0M:もちろん、Championsで勝つことだよ(笑)。

——では最後に、応援している日本のファンへメッセージをお願います。

C0M:もう最高だよ。会う人も話す人もみんなすごく優しいし、こんな素敵なファンの前に立つのは初めてかもしれない。日本に来てまだ4日くらいなんだけど、忘れられない旅行になりそうだよ。

——ありがとうございました!

▲「なにかポーズを」という無茶振りに、快く応えてくれたC0M選手。ソーヴァ使いだけに、弓のポーズだ

———

今年の10月、LEVにDemon1が加入したという衝撃のニュースが飛び込んできたのは、まだ記憶に新しい。昨シーズンは突如ベンチ入りを宣告されるなど、チームとしても、選手個人としても「低迷した」と言わざるを得なかったDemon1。この度LEVに加入したことにより、その負の流れを断ち切ることができるのだろうか。

このLEVというチームは、メンバーが多少変わった今でも強いと断言できる。もちろん個人個人が甲乙つけがたいほどに素晴らしい選手だという前提は置いておいて、やはりC0Mの存在がかなり大きいと感じている。

イニシエーターという存在はチームの要。想像を絶するほど高度な駆け引きが要求されるプロの試合において、イニシエーターのうまさは情報戦の有利不利に直結する。スコアに表れにくいというのが難点だが、このお膳立てで他のメンバーがのびのびとプレーできる。筆者個人としては、2023年の世界一は彼のおかげだといっても過言ではないと思っている。

そんなLEVは、Demon1、nataNkの加入でどこまで進化できるのか。この横浜での彼らもかなり強かったが、まだまだこんなものじゃ済まないだろう。まずは1月から開幕する「VCT Americas Kickoff」が舞台だ。彼らが暴れまわる姿を刮目せよ。


撮影:まいる
編集:いのかわゆう


【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
eSports World の
Discord をフォローしよう
SALE 大会 チーム 他にも...? 他にも

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

コラム VIEW ALL