【Riot Games ONE 2024】FNC Boaster選手インタビュー——「crashiesはいい意味で普通」新体制FNCが挑む2025年シーズンの展望とは

2024.12.15 まいる
ライアットゲームズによる2024年最後の集大成ともいえる一大イベント「Riot Games ONE 2024」のオフラインイベントが12月14日(土)〜15日(日)に、Kアリーナ横浜で開催された。その中でも『VALORANT』の競技シーンにおいて、国内外の強豪4チームが対決する「PRO INVITATIONAL」が両日実施された。

▲左から🇯🇵DetonatioN FocusMe(DFM)、🇯🇵ZETA DIVISION(ZETA)、🇬🇧FNATIC(FNC)、🇦🇷Leviatán(LEV)

そんな出場チームの中から、今回は🇬🇧FNATIC(FNC)をピックアップ。世界一のイニシエーターとも名高い元NRGのcrashies(くらっしーず)選手がイベント直前に加入するなど、その新体制に注目が集まっている。この「PRO INVITATIONAL」で14日に実施された初戦では、🇯🇵ZETA DIVISIONを圧倒的な大差で下すなど、そのチームの安定感をこの地日本でも遺憾なく見せた。

昨シーズン、国際大会では思うように成績を残せなかったFNCが、来たる2025年に向けてどのような準備を進めているのか。まずは、Day1に実施された個別インタビューの様子をお届けしよう。

Boaster選手単独インタビュー


——本日の試合の感想をお聞かせください。

Boaster:今日はとてもいいプレーができたと思うよ。コミュニケーションも良かったし、僕以外もみんなうまかった。

ZETAのほうは緊張もあったし、想定外の事態もあったと思うけれど、彼らにとっていい面もたくさんあったと思うな。ただ僕たちの方がリアクションが一歩早かったから、こうやって勝つことができたのかなと考えているよ。

——新ロスターとなったZETAはどう思いますか?

Boaster:メンバーひとりひとりは、すごくいい選手だと思うよ。ただ、僕らが変わったメンバーはひとりなのに対し、ZETAは3人も変わったからね。

だから、今彼らに必要なのは時間だね。あとはどのチームもそうなんだけど、プレーしやすい環境がつくれるかどうかが大事かな。

——これから戦う2チームについて、なにか印象はありますか?

Boaster:Leviatán(LEV)とはあまり戦ったことがないんだけど、たくさん練習してきただろうし、とても強いチームだと思うよ。ただ彼らは2日前に着いたばかりだから、ちょっと時差ボケもあるんじゃないかと思ってる。

DetonatioN FocusMe(DFM)は前にも一緒に練習したことがあるし、彼らの試合も見たんだけど、すごくいい調子だね。というか、思った以上で驚いたよ。

だから両チームと戦うのがとても楽しみだよ。このイベントの目標は、人々を楽しませることだから——たとえば入場の時にダンスしたり、観客にステッカーを配ったり。そんな風に楽しみながら、ひとつひとつ楽しみながら、自分たちの持っているものを出せるように大事にプレーしたい。

▲登場時のダンスで会場を沸かせるBoaster。イベントの恒例だが、キレはどんどん上がっている

——日本に来てファンミーティングを実施していたと思いますが

Boaster:2回やったよ!

——2回もやったんですか!

Boaster:1回はZETAと合同で、もう1回はFNCだけでね。

——そこで出会ったファンはどうでしたか?

Boaster:すごくいい時間だったよ。みんなとてもリスペクトがあって、いい人たちばかりで——中には3年以上前から僕を応援してくれてて、なかなかファンミーティングには来れなかったけど、ようやく今年会えたって人もいて、とてもびっくりしたよ。だから……みんながハッピーだから、僕もハッピーだよ。

——今回見せたパールは、どういう理由のエージェント構成だったのでしょうか?

Boaster:今はまだ実験をしているところだね。たとえばパールでは、Chronicle(くろにくる)にヴァイパーを使ってもらったり、Alfajer(あるふぁいやー)にアイソを使ってもらったり——。

他にもいろいろアイデアはいろいろあるんだけど、このオフシーズンはリスクの大きいことをたくさんやるつもりだよ。これができれば、他はもっと楽にできるからね。

——練習はどのくらいやっていますか?

Boaster:今はオン・オフ切り替えながらやってるよ。1カ月くらい練習できなかった時期もあったんだけど、実はイベントがひとつキャンセルになったりして、日本に来る前と来た後で何日かcrashies(くらっしーず)と練習できたりしたかな。明日はこの「実験」の一環として、crashiesもプレーするよ。

今年の「Red Bull Home Ground」ではうまくプレーできなかったから、今年はいい気分で次のシーズンを迎えられるように頑張りたいな。

▲昨シーズン、EMEAリーグでは好成績を収めたものの、その後の国際大会では思うように振るわず。その反省からなのか、メリハリを意識して練習を進めているようだ

——来年、こういったアグレッシブなプレーは見られそうですか?

Boaster:可能性はあるね。使えるなって思ったら使っていくつもりだよ。

——先日、crashies選手が加入するなど、FNCも新体制となりました。この新体制・新メンバーについてどう思いますか?

Boaster:すごく進化が早いチームだと思う。みんなポジティブで真面目で、とても仲良しだね。僕も一緒にいてとても楽だよ。チームにとっていい環境をつくることがとても大事だと思うし、もっとたくさんの戦略とかアイデアを出し合って、次のキックオフに間に合うようにしたいかな。

——特にcrashies選手についてはいかがですか?

Boaster:とてもいい選手だと思うよ。ナイスガイだし、経験もあるし——。それにいい意味で「普通」だね。普通っていうのはチームにとってすごくいいことだと思うよ。

あとは英語が母国語なのでコミュニケーションがとてもスムーズだね。試合の途中に、自分ではなく彼に任せることも増えると思う。たとえばハイストレスな展開の時に、彼なら間違った情報が伝わることも少ないだろうし。

——試合前の行っているストレッチ「FNATIC体操」の目的を教えてください。

Boaster:血流も良くなるし、頭のスイッチを入れることもできるし、準備運動のような意味もあるね。

ただ、あれはパフォーマンスだよ! だって面白いでしょ?

——観客も巻き込んでいましたね!

Boaster:そうだね、みんなやってた(笑)

▲会場では観客も巻き込んで「FNATIC体操」。みなさんも、『VALORANT』の試合前にやってみてはいかが?

——では最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

Boaster:みんな、ありがとう。みんなとたくさん会えるように、いいところを見せられるように頑張るつもりだよ!

僕は日本では無敗なんだよね。あまり連勝することを気にするタイプではないけど、勝ち続けたほうが楽しいし、このまま続けていきたいな。

——ありがとうございました!

▲「みんな大好き!」と日本語で伝えてくれた。年々日本語がうまくなっているような気がするのは気のせいだろうか?

FNATIC 合同インタビュー


最後に、同じくDay1に実施された合同インタビューの様子もお届けしよう。

▲左からBoaster(ぼーすたー)、kaajak(かやっく)選手

——本日はよろしくお願いします!

Boaster:たくさん人がいるね!

(一同笑い)

——まずはじめに、本日の試合の感想をお聞かせください。

Boaster:このオフシーズン初めてのビッグステージでワクワクしていたんだけど、とてもいいプレーができたし、すごく楽しかったよ。何故だか分からないけど、僕たち日本で強いんだよね(笑)。

kaajak:これだけの大人数の前でプレーするのは初めてだったんだけど、とてもいい気分で、いいプレーができてナイスだったね。

——kaajak選手に質問です。長年チームを支えてきたデュエリストのDerke(だーく)選手に代わって、この名門FNCに新しく加入することになったと思いますが、このことに対してなにかプレッシャーはありますか?

kaajak:今のところそういうプレッシャーは感じないかな。みんなとうまくやれているし、もちろん彼らからも学ぶところもあるけど、そうやって自分の穴を埋めながら、一緒にプレーできていると思うよ。

▲プレッシャーを感じないと語るkaajak選手。この「強さ」こそが、トップリーグで活躍できる所以(ゆえん)なのだろう

——日本に来るのはいつ以来ですか?

Boaster:Red Bull Home Groundだね。

——去年(2023年)のですか?

Boaster:そうだね。

——1年ぶりに日本に来てみて、なにか楽しみましたか?

Boaster:日本にいつも戻ってくるのはすごくうれしいことで、最近はもうオフシーズンの恒例行事になっているよ(笑)。

ショッピングもしたいし、これからたくさん行きたいところもあるんだけど、この前は「ジュンコさん」とゲーミングレストランに行って、クラッカーにチーズが巻いてあるような何かを食べたよ。超美味しかった。実は去年もLazさん達と行ったんだけど、お店の中に『VALORANT』を知っている人がいたりして、すごく良くしてもらったよ。

▲おそらく秋葉原にある焼き鳥屋「とり善」のことだろう。選手やeスポーツ関係者が多数訪れるなど、この業界では有名なお店だ

kaajak:僕は日本に来るのは初めてなんだけど、何もかも美味しくて楽しくてとてもびっくりしたよ! スカイツリーにも行ってとても景色が綺麗で楽しかったし、食事もバーベキューで。

Boaster:毎日食べてるよね(笑)。

kaajak:それはすごく美味しくて、とても楽しんでいるよ。

——メンバーも入れ替わるなど、新体制となったかと思います。昨年のインタビューではBoaster選手が「League of Legendsでマスターまで上げていた」との話を聞きましたが、今年のオフシーズンはそのようなリフレッシュをしているのでしょうか。それとも、なにか調整を進めているのでしょうか。

Boaster:去年のような間違いはしないよ(笑)。

(一同笑い)

Boaster:昨シーズンは自分たちの思うようなプレーができなかったり、Leoが一時的に離脱したりすることもあったので、メンバーを入れ替えたりしてチームを全体的に強化したいと思っているんだ。だから僕はLoLはやらないし、『VALORANT』一筋のつもりだよ。ちょっとだけポケモンはするけど(笑)。

▲昨年とは違い、このオフシーズンは『リーグ・オブ・レジェンド』ではなく『VALORANT』(とポケモン)に時間を注いでいるようだ

昨シーズン開幕前は、たくさんのマップを仕上げないとという焦りがあったんだけど、今はそういうこともなくとても落ち着いているよ。来年の1月までには、このメンバーで5マップくらいはプレーできるようにしておきたいと思っていて、そこからまた必要なことがあれば、どんどん変化を加えていくつもりだよ。

——来年のチームとしての目標や展望を教えてください。

Boaster:とてもハードなシーズンになりそうだね。ただ大変だと思っていても、いつもなんやかんやトップには残れるだけの力を出せてはいるから、今年も同じような展開になればいいかな。自分自身も白髪と笑いジワが増えるくらい大変な思いをしているけど、チームの一員として準備を整えて、これから活躍できることを願っているよ。

kaajak:僕も同じだけど、世界のトップに自分たちが君臨できるようなシーズンにしたいと思っているよ。チームの成長のスピードはすごく早くて、スクリムをしている中でもどんどん自分たちが進化していっているのが実感できて、すごくいい状態だと思う。すごくいい環境、いいメンバーでプレーできているからこそ、いいシーズンにしていきたいね。

——最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

Boaster:日本に来て、この歓声の中プレーできてとても楽しいよ。会場の雰囲気もすごく良くて、僕たちに対して「フー!」と言ってくれるし、女の子とだけでなく男の子も「ワーっ!!」と声をあげてくれて、とても面白いんだよね。みんな、いつも温かい応援ありがとう。

———

はじめのZETA戦において、FNCは相手を完膚なきまでに圧倒し、13-2という大差で試合を終えた。翌日のLEV戦では、はじめ大差で圧倒するかと思われたものの、調子の戻ったLEVからの激しい追い上げを受け、12-14の僅差で敗北。その後のDFM戦では一時1-6にまで追い込まれるも、怒涛の追い上げで前半を同点で折り返し。そのままDFMを攻め落とし、13-10で勝利した。

結果2勝1敗という形で勝ち越したFNC、新体制ながらもチームの意地を見せつけた。ただ一方で、病気療養中のLeo選手の復帰時期が「未定」と発表されるなど、まだまだチームの行く先は不透明であることも事実。

そんな中でも、このことを気にさせないようなアグレッシブかつ丁寧なプレーが、この地日本でも見ることができた。もう今年も2週間ほどでキックオフも目前に迫るなか、FNCが躍進できるよう、この日本からエールを送りたい。

Riot Games ONE:
Day1:
Day2:https://www.youtube.com/watch?v=ijtxGYD0lDQ


撮影:まいる
編集:いのかわゆう


【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
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