【Minty選手 × Pockyコーチインタビュー】FAV gamingが初国際大会で大快挙!「Predator League 2024」グループステージ全勝でプレイオフ進出へ!

2024.1.12 綾本ゆかり
2024年1月10日(水)〜14日(日)まで、Acerが主催するアジア・パシフィック地域の国際大会「The Asia Pacific Predator League 2024 Grand Finals」が、フィリピン・マニラにて開催されている。本大会では、『VALORANT』と『Dota 2』の2タイトルが採用されており、Day2には『VALORANT』のグループステージが行われた。

『VALORANT』のトーナメントには、全16チームが出場し、日本からは国内予選を勝ち抜いた🇯🇵FAV gaming(🇯🇵FAV)が出場。ホテル内の会場で無観客オフラインとして実施されたグループステージでは、4チームずつ4グループに分かれ、Bo1の総当たりで戦った。各グループの上位1チームがプレイオフに進出し、1日あたり1万人の来場が見込まれる「SM Mall of Asia Arena」(以下、MoAアリーナ)での有観客オフラインに出場する。

🇯🇵FAVはグループステージで、3勝0敗とすべての試合で勝利を収め、見事プレイオフ進出を決めた。試合翌日、🇯🇵FAVのリーダーMinty選手とPockyコーチに、現地会場にてインタビューを実施。グループステージを終えての感想や、初の有観客オフライン出場に向けての意気込みを聞いた。

▲上段左からPocky(ぽっきー)コーチ、Cynthia(しんしあ)アシスタントコーチ、bazz(ばず)選手、Hands(はんず)選手、Phantom(ふぁんとむ)選手、下段左からMinty(みんてぃー)選手、TenTen(てんてん)選手

■試合結果(カッコ内は使用マップ)
🇯🇵FAV vs 🇵🇭Oasis Gaming
13:10(サンセット)

🇯🇵FAV vs 🇰🇷Nuclear
13:10(ヘイヴン)

🇯🇵FAV vs 🇦🇺Antic Esports
13:7(ロータス)

国内予選後、さらに完成度を高めてきた新生🇯🇵FAV


——🇯🇵FAVは「Predator League」国内予選の前に、TenTen選手とHans選手が加入し、新たな体制になりました。現在のチームの雰囲気や強みについて教えてください。

Minty:僕とbazzとPhantomの3人がずっと既存メンバーとしてやってきたのですが、TenTenとHandsが加わって、チーム全体の雰囲気としては今までで一番、何でも言い合える仲になったと思います。

Pocky:TenTenはすごく明るくて、試合中の味方のミスにも柔らかく指摘したり、時には真面目に伝えたりできる選手。自分の考えや感覚をしっかりと持っていて、今大会でも見せたように自らキャリーしにいく動きもできる、デュエリストとしてすごく強いプレイヤーです。

Handsは、アカデミーチームにあたるYouth部門から昇格した選手です。まだYouthにも入ったばかりだったのですが、フィジカルがとても強く、クラッチ力もあるプレイヤーなので、あとは知識を入れるだけ、という感じですね。このふたりが入ってからいい結果を残せていて、チームメンバーの人間的な相性もすごくいいのかなと思っています。

▲TenTen選手

▲Hands選手

——10月の国内予選で優勝してから、このGrand Finalsの国際戦に向けて、どのようなことに取り組んでいましたか?

Pocky:国内予選の時点では、このメンバーになってからの期間が短く、まだチームとしての動きが煮詰まっていない状況でした。なので、動きがバラバラになってしまうという課題があり、それを修正していくことを意識していました。それに加え、完成度が高くないマップをとことん練習したり、自分たちに合う構成をいろいろ試したりしながら準備してきました。

——🇯🇵FAVが振り分けられたグループAの印象や、意識していたチームについて教えてください。

Minty:意識していたチームは、圧倒的に🇵🇭Oasis Gamingです。僕たちは東南アジア圏のチームとよくスクリムをしているのですが、その中でも🇵🇭Oasis Gamingは、フィジカルがものすごく強い印象があるチームです。なので、グループAの中では特に警戒していて、僕以外のメンバーもみんな「絶対に勝とう」と考えていたと思います。

——グループステージで対戦した3チームの事前情報はどれくらいありましたか?

Pocky:まず🇵🇭Oasis Gamingは、もともと当たる可能性が高いチームだと考えていたので、事前に得意なマップやチームのスタイル、選手の特徴などをチェックしていました。対策も考えられていました。

🇰🇷Nuclearは大会動画があまりなく、男性チームと女性チームのどちらが来るのかも直前までわからなかったので、対策できていなかったです。🇦🇺Antic Esportsは、3カ月くらい前の動画がひとつあるくらいで、しかも対戦相手のピックが特殊で、ちょっと参考にしづらいものでした。なので、事前情報はほとんど🇵🇭Oasis Gamingしかなかったと言えますね。

ただ、🇦🇺Antic Esportsに関しては、グループステージ最後の試合で当たる相手だったので、当日のうちにアシスタントコーチを含めてみんなで動画を見て、対策を話し合って戦いました。

▲試合に向けて準備する🇯🇵FAVの練習ブースの様子

「気合いを入れ直した」全勝を果たした3試合の裏側


——グループステージ初戦は、意識していたという🇵🇭Oasis Gamingとの対戦でした。オフラインを初めて経験する選手もいたと思いますが、チームの雰囲気や手応えはいかがでしたか?

Minty:僕とbazzとPhantomは、韓国の招待大会で1回だけオフラインを経験したことがあるのですが、それ以外のメンバーは初めてのオフラインでした。なので、誰かひとりくらいは、緊張で何も考えられなくなったりするかなと思っていたんですけど、そういうことはなかったですね。

最初に円陣を組んで気合いを入れて、みんなでとにかく声を出そうと話していました。緊張していたのは、たぶんHandsくらいで、みんなパフォーマンスもすごく高かったと思います。

Pocky:Handsはまだ18歳で若いですし、Youthに入る前はチーム経験がないメンバーだったので、やはり緊張していたようです。Handsは🇰🇷Nuclear戦が終わった後に、何人かと一緒にコンビニに行って、外の空気を吸って気持ちを切り替えていました。その後の🇦🇺Antic Esports戦では、いいパフォーマンスを見せてくれましたね。

——🇵🇭Oasis Gamingとの試合は接戦でしたが、どんなところが勝利につながったと思いますか?

Minty:サンセットはまだどの地域の大会でもあまり出ていなくて、どんな構成が強いかも定まっていないマップです。僕たちはKAY/Oを入れているのですが、サンセットでKAY/Oを採用するチームは現状少ないので、相手にとってはその部分でペースを崩されたかなと思っています。

僕がKAY/Oをやったんですけど、事前にアビリティの定点をいろいろと教えられていたんです。ただ、練習は少ししかできていなくて、まさかサンセットをやるとは思わなかったので「大丈夫かな」と思う部分もありましたが、僕がKAY/Oの定点をちゃんと覚えていて生かせたことが、勝ちにつながったかなと思います。

▲Minty選手のゼロ/ポイントで、相手チーム4人の位置を把握するシーンも。🇯🇵FAVはこれを受けてAサイトの守りを固め、ラウンドを取り切った(https://www.youtube.com/live/pcMavAP8-ck?si=XCWmOaZtTcRCCy41&t=5065

——🇰🇷NuclearはGC(女性部門)チームとの対戦でしたが、予想以上に接戦になった印象もありました。実際に戦っていて、いかがでしたか?

Pocky:みんな自分たちが格上だと思っていましたし、ひとつ前の試合(🇦🇺Antic Esportsが🇰🇷Nuclearに13:2で圧勝した)を見て、大差で勝てるだろうと思っていました。ただ、これは韓国チームの特徴なのですが、すごくセットアップや決まりごとが綺麗で、それを実行するタイミングもうまいんです。

あとは、🇵🇭Oasis Gaming戦を終えて、気が抜けてしまっていた部分も大きかったです。相手のテンポに乗せられて、自分たちのフィジカルを発揮できず、接戦の展開になってしまいました。🇰🇷Nuclear戦が終わった後は、しっかりと気持ちを入れ直して、🇦🇺Antic Esports戦に向けてしっかり準備していきました。

Minty:ヘイヴンへの苦手意識も少しありましたが、やはり気が抜けていた部分も影響していました。ただ、選手目線としては、相手のフィジカルがかなり強くて、🇦🇺Antic Esportsよりも強く感じたんですよ。試合の途中で「これはまずい」と思い、俺とbazzがVCで喝(かつ)を入れて、そこからはちゃんとまとまって、ギリギリではありましたが勝てました。

▲🇰🇷Nuclear戦で勝利を決めた瞬間、安堵の表情を浮かべる🇯🇵FAVの選手たち

——最後の🇦🇺Antic Esports戦は、そこまでの試合を観る限り、拮抗した戦いになる可能性があると思っていましたが、実際にはリードする展開での勝利となりました。

Pocky:やはり🇰🇷Nuclear戦での気の緩みをみんなが自覚したことが大きくて、🇦🇺Antic Esports戦に向けて、気合いの入れ方や声の出し方をかなり反省して、インターバル中に準備できたことがすごく良かったと思います。

🇵🇭Oasis Gamingのサンセットはお互いに初披露だったので、わからない部分もあるなかでの戦いだったので接戦になりましたが、🇦🇺Antic Esports戦はちゃんと準備できていたので、思い通りに試合を運ぶことができました。選手も裏方も、試合当日でもしっかり準備できるところは、うちのチームの強みだと思います。

——「ここで勝てばプレイオフ」というプレッシャーのかかる最終試合だったと思いますが、チームの雰囲気はどうでしたか?

Minty:🇰🇷Nuclear戦では、声が全然出ていなかったんですよ。🇵🇭Oasis Gaming戦の僕たちの声が100だったとしたら、20~30くらいしか出ていませんでした。これは本当に良くないと僕からみんなに伝えて、🇵🇭Oasis Gaming戦の時と同じく円陣を組んで、試合に挑みました。

そうしたら、1ラウンド目から🇵🇭Oasis Gaming戦と同じくらい、みんな声を出せていました。ロータスは今までのスクリムで悪い印象はあまりなかったので、相手がやってくることを考えながら、自分たちのやりたいことをやり通せたのがよかったと思います。

▲🇵🇭Oasis Gaming戦に勝利し、大きな拍手で迎えられるなか喜びを見せる🇯🇵FAV

——🇦🇺Antic Esports戦で、印象に残っているシーンはありますか?

Pocky:こちらがエコラウンドだったときに、Handsか誰かが拾ったファントムをTenTenに渡して、Cサイトの設置後にTenTenが4キルしたシーンですね。最後の2キルが、もうすごいキルの仕方で。敵が2人並んでいて、普通ならカバーを取られて負けてしまう場面なのに倒していて、あの時は思わずコーチ席で立ち上がりそうになりました。

Minty:あのシーンは僕も立ち上がっていましたね。

Pocky:大会でこれはやばいなと。あの場面からこっちに流れが来た感じもあって、すごく印象的でした。

▲エコラウンドをものにした、TenTen選手のクラッチシーン。配信では映っていたのは相手視点だが、この状況でTenTen選手が見事に撃ち勝った(https://www.youtube.com/live/pcMavAP8-ck?si=2ckhPWAKLnXd85ZU&t=26328

有観客オフラインでの🇮🇩BOOM Esportsとの対戦へ


——グループステージを戦って、着々と海外でのオフライン経験を積んでいると思いますが、そういった面ではいかがですか?

Minty:僕は全然緊張しなくなってきました。オフラインや国際戦で環境が変わっても、いつも通りのプレイができるようになってきたところが、自分の経験としてすごく大きいです。やはり普段とは違う環境にどれだけすぐ対応できるかが、オフライン大会では一番のカギなんだと、みんな実感しています。

Pocky:環境に関しては、例えばbazzは普段足を組んでプレイしているのですが、練習ブースでは足が組めたけれど、配信用の選手席では机が分厚くて足が組めないとか。そういうことが経験できたのは、良かったのかなと思います。

——セミファイナルでは有観客オフラインという、また新たな経験をされることになりますが、楽しみなことや不安なことはありますか?

Minty:楽しみなことはもう単純に、観客ありの会場の雰囲気を味わえることですね。不安なことは、おそらくゲーム内の音が聞こえにくいと思うので、そういう環境のなかで、どこまでいつも通りにできるかという部分です。

Pocky:海外チームはそういう環境にも慣れているチームが多いと思うので、音が聞こえにくい環境を利用して、いつもなら走らないところを走ったりしてくるかもしれません。そういう状況に、みんながどれだけ対応できるか気になりますね。

——セミファイナルでは🇮🇩BOOM Esportsとの対戦が決まっていますが、🇮🇩BOOM Esportsの印象について教えてください。

Pocky:昔から安定して強いイメージのあるチームです。実は🇹🇭Team NKTが上がってくると予想していたのですが、思ったより🇮🇩BOOM Esportsが圧勝していて。この調子で来られると怖いな、というのが正直な印象です。メンバーもほとんど変わっていないと思うので、歴が長いメンバーはオフライン慣れもしているだろうし、経験差で倒されてしまうのが怖いですね。

Minty:🇮🇩BOOM Esportsとは、前はよくスクリムをしていました。個々のフィジカルも強いですが、チームとしての動きもしてきますし、「ここ行けるな」という感覚で攻めて来る選手もいます。そういうプレイで流れを持っていかれないようにしたいですね。

——勝ち進めば、🇵🇭Team Secretと決勝で対戦する可能性もありますね。

Minty:🇵🇭Team Secretとは何度もスクリムしていて、勝てないわけでもないので、決勝のBo3で戦ってみたいですね。スクリムでは、お互いにいろんなことを試しながら練習しているものなので、スクリムではない本番の試合を、オフラインの場で戦ってみたいです。

——それでは最後に、プレイオフに向けた意気込みと、応援してくださっているファンへのメッセージをお願いします。

Minty:セミファイナルの🇮🇩BOOM Esports戦に向けてみんなで話し合って、絶対に勝ちに行くので、応援よろしくお願いします。SNSでもたくさんの応援メッセージをいただいていて、返信できていなくてもすべて目を通していますし、本当に感謝しています。これからも応援よろしくお願いいたします。

Pocky:🇮🇩BOOM Esports戦に向けて、しっかりとチーム全体で準備して、またさらに気合いを入れて、勝っていきたいです。ファンの皆さん、いつも応援ありがとうございます。この大会が終わっても、またすぐ日本で大会があるので、このまま勝ち続けられるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします。

——Minty選手、Pockyコーチ、ありがとうございました!

———

🇯🇵FAVがセミファイナルで対戦するインドネシアの🇮🇩BOOM Esportsは、「Predator League」インドネシア予選を1位で通過。直近では、「VCT Ascension Pacific」にてセミファイナルまで進出し、ベスト4入りした実績を持つチームだ。

セミファイナル(Bo1)は13日、グランドファイナル(Bo3)は14日に開催。大会の日本語配信は、YouTube(Acer Japan)とTwitch(Predator Japan)にて行われる。1万人の観客を前に、アジアの強豪チームと戦う🇯🇵FAVの挑戦をぜひ応援しよう!

▲セミファイナルの対戦カード

■関連リンク
FAV gaming:
https://twitter.com/fav_gaming

bazz選手:
https://twitter.com/bazz900

Phantom選手:
https://twitter.com/Tomvlrt

Minty選手:
https://twitter.com/MintyVL

TenTen選手:
https://twitter.com/tentenvlrt

Hands選手:
https://twitter.com/Handswei

「Predator League 2024」日本語配信URL:
YouTube:https://www.youtube.com/c/AcerJapanChannel
Twitch:https://www.twitch.tv/predator_japan


編集:いのかわゆう
撮影:綾本ゆかり


【綾本ゆかりプロフィール】
ソーシャルゲームをつくっていた会社員時代を経て、現在はフリーライターとして活動。PUBGで観戦の楽しさを知ったことをきっかけに、eスポーツの世界へ。ゲームやプレイヤーの魅力を伝えるべく、2017年11月頃からレポートやインタビューなど取材記事を中心に執筆しています。
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