【VALORANT】Bo5は僕たちにとってプラスでしかない——FENNEL CLZ選手 mltdwnコーチインタビュー

『VALORANT』の公式大会のひとつで、インターナショナルリーグ進出を目指す日本チームが熾烈な戦いを繰り広げている「VALORANT Challengers Japan」の2023 Split 1もいよいよ大詰め。

2月19日（日）からはPlayoffがスタート。ずっとオンラインで開催されていたSplit 1だが、3月18日（土）から開催されるPlayoffのセミファイナル、グランドファイナルはオフライン（インテックス大阪 5号館）で開催される。


今回はローワー側から這い上がり、見事セミファイナル出場の切符を手にしたFENNEL（FL）のCLZ（くるず）選手、mltdwn（めるとだうん）コーチに合同インタビューを実施。試合の振り返りやセミファイナル・グランドファイナルに向けた意気込みをおうかがいした。

この試合を乗り切ったのは大きな財産

——Sengoku Gaming（SG）戦おつかれさまでした。試合を終えた率直な感想をお聞かせください。

CLZ選手（以下、CLZ）：SG戦は簡単に勝てる試合ではありませんでした。強いデュエリストがいる圧というのを感じた試合でしたが、勝ててうれしかったです。

mltdwnコーチ（以下、mltdwn）：うれしい気持ちしかないです。

——勝因はなんだったと感じていますか？

CLZ：勝てた要因は完全に僕以外のチームメイトのおかげです。みんな精神的に大人で、雰囲気が暗い状態でも気持ちを持ち上げてくれるような選手ばかりだったので、そういった部分が勝利につながったのではと思います。

mltdwn：CLZは「僕以外」とは言っていますが、僕は5人全員が本当にいい精神状態で大会に臨めたのかなと思っています。3マップ目が終わった後、少しCLZと話す時間があったんですけど、そこからCLZも自分を取り戻してうまくやってくれたので、本当に全員のおかげだったかなと思います。

——5マップ目のパールなんかはSGのオペレーターの圧というのが強かったと思いますが、それに対してどういう風に予測して立ち向かっていたのでしょうか。

CLZ：5マップ目のパールまでは自分のオペレーターに自信がなくて落ち込んでいたのですが、パールでは強気で行くというところだけを意識して戦っていました。

相手がどこにいるかというのは完全にわかっていなかったのですが、例え相手がsomething選手であっても反応速度で勝てると思っていたので、嗅覚で倒しに行こうという気持ちで戦っていました。


——試合が進むにつれてCLZ選手のパフォーマンスが上がっていくのを感じていたのですが、インターバル中に心境が変わったことがあったのでしょうか。

CLZ：今日は今までの選手人生で一番落ち込んでいて、1〜3マップ目は立ち直れないレベルで、しゃべれなくなるくらい落ち込んでいました。インターバル中にコーチから「気持ちを切り替えて！」とも言われていたのですが「どうやって切り替えるんだ……」って悩んでいたのも事実です。

ただ5マップ目開始前にディルくん（Xdll選手）の「勝っても負けても最後だから！」という言葉で立ち直れました。

——FLの新ロスターはさまざまなチームから移籍された選手が多いですが、短い期間の中でどのような活動をして絆を深めていったのでしょうか。

CLZ：特に意識はしていないのですが、オフライン環境でみんなで毎日毎日顔を合わせながら練習していました。「オンラインで1年やるより、オフラインで1カ月やった方が仲良くなるよね」という接し方をしていました。

mltdwn：（メンバー同士）仲はいいんですけど、まだ信じ切れる間柄ではないのかなとも思っていました。ただ、今回のオフライン大会出場で夢のひとつが叶ったことで、チームとしての信頼関係を築けていけるのかなと感じています。

——特にコーチとしてさまざまな特色のある選手が入ってきたことで、どのようにまとめようと心がけていましたか？

mltdwn：めちゃめちゃ難しくて……（苦笑）。

僕自身コーチとしてのキャリアが浅くて、まだまだ成長していかないといけないなぁと感じています。今は手探りでいろいろ試してはいるんですけど、選手がいやな気持ちにならないようにっていうのをずっと考えて接するようにはしています。ただ中々うまくいきませんね（笑）。

——今回の試合の中で、こういう作戦はうまくいったというポイントはありますか？

mltdwn：戦術に関してはJohnta（じょんた）ヘッドコーチと、Euler（おいらー）コーチが担ってくれていて、僕はどちらかというとスカウティングメインなので詳しい内容について話すことはできないのですが、アセントの攻めに関してはコーチ陣の対策通りに動けていたと感じています。

——今回のPlayOffはBo5のルールでしたが、Bo3と比べて良かった点や辛かった点があったら教えてください。

CLZ：Bo5は単純に試合時間が長くなるので疲れは溜まりますが、僕たちのようなスロースターターなチームにとってはプラスかなと思っています。実際にやってみて心の余裕が出る試合形式だなと感じました。

——特に体力面で辛いところはなかった？

CLZ：正直体力面ではちょっと辛いですね。長丁場なので集中が途切れてしまう選手もいるのかなとは思います。僕は後半から上がってくるタイプなのでその辺は大丈夫でしたけど。

——オフラインのセミファイナルまで少し時間が空きますが、どのように過ごしますか？

CLZ：しっかり休めるところは休んで、その後はしっかり練習していきたいですね。ただ僕たち課題が大会の時にしか現れない焦りみたいな部分が多くて、自分の中では解決策がでていないのでその辺はコーチに任せます！

mltdwn：メンタル面の課題はずっと付き合っていかなければならない問題だと思っていて、すぐに解決できるものではないですが、今回の試合で乗り切ったことはかなり大きな財産になったのではないでしょうか。

この後はオフライン大会に向けた戦術や戦術も考えてあるので、次はもっといい姿が見せられるのではないかと感じています。

——次の相手はSZとの再戦が決まっていますが、SZにどういった印象を持っていますか？

mltdwn：スクリムの段階では「連携がうまいチーム」という印象でしたが、実際に戦ってみると個人技も強いチームで、パールでは今のメタに近い構成を先に試していたこともあり、コーチ陣がかなり優秀だと思っています。

前回のSZ戦は僕たち全体のムードが落ち込んでいる状態ではあったので、今の実力がSZにどれだけ通用するのか楽しみではあります。個人技に関しては劣らずむしろ勝っていると僕は信じています。あとは僕たちで戦術面をフォローしてあげて、彼らにプレーしやすい環境を作ってあげることだけかな。

——最後にセミファイナルに向けて意気込みをお聞かせください。

CLZ：PlayOffでは危ない試合も多く、僕たちのうまくない部分がたくさん出ちゃったので、そこを修正して絶対にSZ、CRにリベンジして1位を勝ち取りに行きます。応援よろしくお願いします！

mltdwn：どちらの相手もリベンジマッチになりますが、オフライン大会ということもあり緊張も増えると思います。その中で、成果が出せるように全力でサポートしていきたいと思っています。応援よろしくお願いします。

——ありがとうございました！

NORTHEPTIONやSCARZ、ZETA DIVISIONにCREST GAMING ZSTと、とにかくさまざまなチームの選手が集結した新生FENNEL。短い期間でここまでの完成度を見せてくれたのはファンにとってもうれしいポイントなのではないだろうか。

ローワーサイドから這い上がってきたダークホース的な存在でもあるFENNELが、オフラインで大暴れしてくれるのを期待するとともに彼らの成長を見守っていきたい。


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