ついに日本一が決定!因縁の対決を制したZETA DIVISIONが目指す未来とは!【Laz選手× crow選手×SugarZ3ro選手インタビュー】
『VALORANT』の2022年シーズンがついに本格始動。「2022 VCT Stage1 - Challengers JAPAN Playoffs」が2022年3月24日(木)〜27日(日)に開催された。
プレイオフに進出したチームはZETA DIVISION、Reignite、Crazy Raccoon、NORTHEPTION、REJECT、FAV gaming、Crest Gaming、IGZISTの8チーム。決勝では因縁の対決ともいえるZETA DIVISIONとCrazy Raccoonの熱いバトルが繰り広げられ、ZETA DIVISION(以下、ZETA)が見事日本一の座に輝いた。
同時に、日本代表としてアイスランドはレイキャビクで開催されるMastersへの出場権も獲得。長きに渡る熱戦を戦い抜き、日本一となった心境と、世界に羽ばたく意気込みをLaz(らず)選手、crow(くろう)選手、SugarZ3ro(しゅがーぜろ)選手に語っていただいた。
意地と意地のぶつかり合い!
——まずは日本一おめでとうございます! 月並みではありますが、今のお気持ちをお聞かせください。
Laz選手(以下、Laz):ありがとうございます。新しいメンバーでの決勝を勝ち抜けてこうして結果を残せたことがとてもうれしいです。
crow選手(以下、crow):優勝できて本当にうれしいです。自分たちのやってきたことが、報われたという感じがして感無量です! 今日明日は肩の荷を下ろしてゆっくりできたらと思っています。
SugarZ3ro選手(以下、SugarZ3ro):去年はずっと負けを経験していて、あと一歩のところで世界に行けなかったこともありとても悔しい思いをしていた1年でした。今年は新しいメンバーで優勝できて本当にうれしいです。
——決勝は因縁の対決ともいえるCrazy Raccoon(以下、CR)との戦いでしたが、CRのリベンジをどのような対策で挑みましたか?
Laz:CR戦の対策としては、前日、前々日に配信での試合を見て「こういう戦術が効きそうだよね」という感じで話し合いながら、新しい戦術を練って挑みました。まあでも、当初考えていたことが思うようにできないことも大会ではよくあることなので、そういうときは臨機応変に動いていこうという話し合いもしていました。
crow:ひとつの大会で同じチームと3回も戦うことってほとんどないことなので、そういうことも視野に入れて戦略を練りました。やっぱり、相手も僕らの対策をしてくることはわかっていたので、「対策の対策」というか、「対策の対策の対策の対策」みたいな、相手の対策の裏を突くことを意識していました。人読みの部分も考えたりするのが大変でしたね。
SugarZ3ro:CRはとにかくMunchkin選手が強心臓で、「大会でそのムーブするのか?」ってくらいな大胆な戦い方をしてくるので、そこに気をつけて戦いました。
——確かにMunchkin選手は、ひとりで前に詰めてきたり、配信でも驚かされるような素早い判断が光っていましたもんね。あと、決勝はBO5という長丁場の試合でした。今までのBO3以上に体力面やメンタル面も気を配る戦いになったのかと思います。その辺はどのようにしてケアしていましたか?
Laz:とにかくしっかり休んで体力を付けてから挑みました。またルーザーズから上がってくるチームは、初戦でバチバチにやり合ってからの連戦なので、全体的にその日はじめての試合となる僕らよりコンディションが良くなっている傾向にあります。実際、今回の1マップ目でも0:7まで取られてしまうくらいの勢いがありましたからね。ただ、そういう波に飲み込まれず、ここからいかに挽回していくかを冷静に考えて挑みました。
——特にルーザーズのIGZIST戦では圧勝ともいえる勢いでしたもんね。あの勢いを保ったままのCRは本当に脅威に感じていました。
Laz:そうですね。どちらのチームが決勝に来たとしても、熱々の状態で挑まれるのはわかっていたので、僕らは僕らで試合直前に練習試合をしてウォーミングアップをしてモチベーションを高めていました。
crow:冷静になることを意識していました。今回のCR戦でも3:9の折り返しからのカムバックということもあり、メンバー全員がノリノリになっていた部分もありました。ただ、そういう気持ちからミスが生まれることもあるので「いったん落ち着こう」という話し合いを挟んで2マップ目以降も戦い抜きました。
あとは、1マップ目、2マップ目と連取して優勝まで王手がかかっていましたが、気を抜かないことを意識しました。そういう心構えが、勝てる勝てると前のめりにならず、落ち着いて戦えてた要因なのかなあと思っています。
——勝気な気持ちよりも、冷静さを優先した?
crow:ですね。もちろん勝気になって前に出ることが有利に働くことも大会ではよくあることなんですが、いつも通りの戦い方で勝てる方が理想でもあるので、あまり無茶しないようには意識しました。
SugarZ3ro:試合前にメンタルコーチングを受けていた部分も結果につながったかなと思いますね。メンタルコーチングのおかげで、「このマップ負けちゃいそうだな」みたいなネガティブな考え方をしないような意識配分ができたんじゃないかな。
——試合中は勝ちが続けば勝気に、負けが重なれば内気になっちゃいますもんね。
Laz:そうですね。例えば重要なラウンドを取ったり、クラッチをしたあとって、アドレナリンが出て鼓動がバクバクになることも少なくありません。そういうときはコーチが率先してタイムアウトを取ってくれて、チーム全体で深呼吸をして次のラウンドに挑むようにはしていました。
——決勝ではDay2で勝利を奪ったヘイヴンで1本取られてしまいましたが、その辺の敗因はなんだったのでしょうか?
Laz:やっぱり先に僕らが1本取ったマップだということもあって、CR側もしっかりと対策してきた感じはありました。前回自分たちが得意としていた戦い方をCRも使ってきたこともあって、それに対応できなかった部分が敗因のひとつでしたね。
あとはMunchkin選手のプレッシャーが強く、ぐいぐい押されていたのも敗因のひとつでした。プレッシャーに負けて逃げてしまったことで、A側をMunchkin選手ひとりでコントロールされて、徐々に僕らのエリアが狭まってしまう状況を作らされてしまった感は否めません。
——Munchkin選手って本当に強気な戦い方しますもんね!
Laz:ですね。逆にアイスボックスでは、Munchkin選手のジェットにやり合えるチェンバーをピックしていたこともあり、「ぶっ倒してやるぞ!」っていう意気込みで戦ってました(笑)。
——あはは。配信のインタビューでも逆境に強いって言ってましたもんね。そういった意味で、幾度となく決勝戦で戦いを繰り広げていたCRは絶対に負けられない気持ちも強くあると思います。ZETAから見てCRはどのようなチームだと感じますか?
Laz:そうですね。CRはMunchkin選手のソロプレイを軸に動いている傾向にあり、全体的にフィジカルもサポートもレベルが高いので、ほかのチームが勝つのはかなり難しいんじゃないかなと思っています。
——Munchkin選手のとんでもないキルは配信を見ていてもびっくりします。特に正確にモク抜きをするシーンなんかはキャスター陣も「どこ情報だよ!」って騒ぐくらい(笑)。ああいうキルをされた側ってどんな心境なんでしょうか。
crow:強心臓で撃ち合っている時は「うぉー。つえーなー!」って感じはしますけど、モク抜きは正直腹が立ちますね(笑)。
——今日も、スプリットのBメインで後ろからモク抜きされてましたもんね(笑)。
crow:はい。やられました俺!
SugarZ3roが直前でMunchkin選手にやられてたので、後ろにいるのも、こっちに来るのもわかっていました。「いつ飛び出してやろうかな」と機会をうかがっていたときに、一発ヘッドショットでモク抜きしてきて…………。ちょっと、腹立ちました(笑)。
——あはは。あれは腹が立っても仕方なしっ!
——今回のプレイオフでは前回の「Stage1 Main Event」とは異なるパッチ4.04での試合でした。特にエージェントの仕様変更がめまぐるしいパッチ4.04でしたが、使用エージェントにそれほど違いがなかったのはなぜでしょうか? 特にアストラはスターの数が減ったり、各アビリティのクールダウンが増加したりと大幅なナーフ(弱体化)が見られました。
SugarZ3ro:スターの数が減ったこともあり、アビリティの使い方は考え直しましたね。以前はわりと感覚で使っていた部分もありましたが、今回は絶対に刺さるような場所でしか使わないようにしたり、より最適解の行動を心がけました。
——同じスモーク役のエージェントとしては、ブリムストーンが大幅に強化されたこともあり、プレイオフではさまざまなチームがアストラの代わりにピックしていた試合もありました。SugarZ3ro選手的にはアストラ以外のエージェントを使用するという考えはなかったのでしょうか?
SugarZ3ro:そうですね。やっぱりアストラにしかできない動きがあって、そういった部分がアストラの強みでもあります。ほかのエージェントを選ぶよりは、ナーフされたアストラを使い続けた方が強いと判断してアストラを使い続けましたね。
——なるほど。アストラならではの強みを重視したピックだったんですね。crow選手がピックしているエージェントは、今回のパッチでの影響はなかったと思います。ただ、サポート役として全体を見る立場からすると、今回のパッチでの見方も変わったのではないでしょうか?
crow:ほぼすべてのマップでアストラが使われていたような環境が変化して、オーメンとかブリムストーンとかがピックされるようになってきました。当然、戦い方が変化したり、相手が寄ってくるタイミングも変化してきているので、そういう部分は慣れるのに苦労しました。
——Laz選手の使っているヴァイパーも毒素の消費量が増えたり、クールダウンが増加したりとナーフされましたが、その辺大きな影響はありましたか?
Laz:今回のパッチでナーフはされましたが、やはり強い部分は強いので前回に引き続きピックしていたところはありましたね。役割的にも僕が使った方がチーム全体が強くなるので、ピックしていたところはあります。ヴァイパー自体は嫌いじゃないですしね。
——Laz選手もSugarZ3ro選手と同様、ナーフを受けても問題ないという判断だったんですね。ただ、もう少し色んなマップでチェンバーを使いたかったのかなとも思っていました(笑)。
Laz:そうですね。ヴァイパーも使っていて楽しいのですが、基本的にバチバチ撃ち合うエージェントではないので、実際のところ僕の性格と相性は良くないのかなとは思います(笑)。
——4マップ目でチェンバーをピックしていたマップでは生き生きしているのを感じたのはそういう部分もあったんですね。
Laz:性格上、負けていると逆にぶち倒してやりたいっていう気持ちが強くなると、1〜3マップ目はヴァイパー、キルジョイと、あまり前に出て戦う立場ではないエージェントを使用していたこともあり、コメカミに血管が浮き出るくらいメラメラしていました。
なので、アイスボックスでチェンバーをピックしたときは「絶対倒してやるぞ!」って気持ちが強くなっちゃいましたね(笑)。
チェンバーはデュエリストとは違う戦い方ができる特殊なエージェントで、すごく自分に合っているエージェントなのでこれからも使っていきたいですね。
——本当にLaz選手っぽいエージェントだなあと思います。特にマッチポイントでのMunchkin選手との撃ち合いは、めちゃめちゃアツかったです!
Laz:ありがとうございます。勝負するのは好きなので、戦いに来てくれたらラッキーという気持ちで迎え撃ちましたね。
——crow選手は、相変わらずアビリティのタイミングやカバーの速さが光っていました。前回も少しお話を聞かせていただきましたが、改めて立ち回りで気をつけていることをお聞かせください。
crow:やっぱり状況に応じて考え方は異なるのと、割とアドリブで動かなければいけない立場ではあるので、瞬間瞬間で考えるようには意識しています。
ここ最近はメンバーそろってブートキャンプができているので、スクリムの後に「あの時はこうした方がよかった」とか「こうして欲しかった」というのを話し合って決めています。話し合いをしっかりすれば、「じゃあ次はこういう時はこうするね」って情報がしっかりと共有できるので、そういった部分も生かされたのではないかと思いますね。
——最後に、今回の試合で個人的に記憶に残った試合を教えてください。
Laz:僕はDay2のIGZIST戦。2マップ目のフラクチャーでの1on2クラッチが記憶に残っています。試合の序盤ではあるものの、あのラウンドで1本取れたことは大きかったですね。
crow:僕は今日のCR戦の4マップ目。アイスボックスでのスパイク設置をショックダーツと壁抜きで阻止したところですね。
——あれは、見ていてぞわっとするくらいビックリしました!
crow:あの場所に設置されたらやばかったんで成功してうれしかったです。あれはコーチのJUNiORに教えてもらって練習した技だったので、JUNiORに感謝ですね(笑)。
SugarZ3ro:僕はDay2のCR戦。2マップ目のヘイヴンで1on2からの、1on1でMeiyくんと勝負したラウンド16です。
——あのグラビティウェルのタイミングはバッチリでした。心理戦がエグかったです(笑)。
SugarZ3ro:Meiyくんはあの時、僕を倒せばエースという状態だったんです。元チームメイトでもあるので「絶対に撃ち合いに来る」と確信していました。なので、あえてスパイク解除音を聞いてもアビリティは発動せずにじらした動きが完璧にハマってめちゃくちゃうれしかったです!
——ありがとうございます! 最後に、昨年の『VALORANT』の競技シーンではまだまだ世界の壁は厚いと感じました。日本が世界に勝つために必要なことはなんなのか、またMastersに向けての意気込みをひとことお願いします。
Laz:『VALORANT』は、ほかの5対5の爆破ゲームと同様、ヨーロッパ圏が群を抜いて強いです。そういった地域と渡り合えるようになるには、しっかりとお給料が出て、フルタイムで活動できるチームが増えることが重要だと思っています。
チームが増えてくれば『VALORANT』の競技シーンも大きくなりレベルも上がる。そして選手が増えれば、新しい才能も生まれ、日本でも世界にも通用する環境が整うのではないかと感じています。
今まさに、そういった環境ができつつあり、日本や韓国、中国といったアジア圏全体のレベルが上がってきています。ただ、まだまだヨーロッパ圏のレベルにまでは到達していないのが現状なので、Mastersのような世界大会を通して、さまざまな戦い方を経験できればと思います。
また今回は世界大会がはじめてのメンバーもいます。世界大会は国内大会とは違う雰囲気で、特別なプレッシャーもあると思いますが、今のチームが世界でどれだけ通用するのかワクワクしています。
やはりまずは1勝したいと思っています。
crow:アイスランドでのMastersもまもなくはじまります。いち早く現地に向かい、さまざまなチームとスクリムをしてレベルアップをしていきたいです。新しいメンバーでどれだけ強くなれるのか、今から楽しみです。
今年こそ世界で勝利を掴みたいので、応援よろしくお願いします!
SugarZ3ro:僕は初めての世界大会で、アジア以外でのチームと戦うのもはじめてなのでとても楽しみです。また、世界大会だからといってビビらないように、メンタル最強で挑みたいと思っています!
まずは1勝を目標にがんばります!
——ありがとうございました!
———
長きにわたる「2022 VCT Stage1 - Challengers JAPAN」はZETA DIVISIONが優勝をもぎとりぶじに閉幕となった。大きなメンバー変更で、さまざまな選手がさまざまなチームで活躍する中での優勝というのは、それぞれの人間ドラマが大きく動いたような、大切な瞬間だったのではないかとZETA公式Twitterを見て感じた。
リリースから2年が経過しようとしている『VALORANT』。日本の競技シーンは間違いなくハイレベルになってきているのではないだろうか。2年前、Laz選手がインタビューで「日本全体のレベルが上がってほしい」と願っていたことがしっかりと形になっているのを感じる。
次はいよいよ国際大会のMasters! 2021年での惜敗をバネに、日本の強さを世界に知らしめることができるのだろうか。世界での彼らの活躍が今から待ち遠しい!
また、配信直後のスペシャルインタビューも必見! 選手の生の声が聞ける配信となっているので、まだ見ていない人は要チェックだ。
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https://twitter.com/lazvell
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プレイオフに進出したチームはZETA DIVISION、Reignite、Crazy Raccoon、NORTHEPTION、REJECT、FAV gaming、Crest Gaming、IGZISTの8チーム。決勝では因縁の対決ともいえるZETA DIVISIONとCrazy Raccoonの熱いバトルが繰り広げられ、ZETA DIVISION(以下、ZETA)が見事日本一の座に輝いた。
同時に、日本代表としてアイスランドはレイキャビクで開催されるMastersへの出場権も獲得。長きに渡る熱戦を戦い抜き、日本一となった心境と、世界に羽ばたく意気込みをLaz(らず)選手、crow(くろう)選手、SugarZ3ro(しゅがーぜろ)選手に語っていただいた。
意地と意地のぶつかり合い!
因縁の対決を経て、新メンバーでのはじめての日本一!
——まずは日本一おめでとうございます! 月並みではありますが、今のお気持ちをお聞かせください。
Laz選手(以下、Laz):ありがとうございます。新しいメンバーでの決勝を勝ち抜けてこうして結果を残せたことがとてもうれしいです。
crow選手(以下、crow):優勝できて本当にうれしいです。自分たちのやってきたことが、報われたという感じがして感無量です! 今日明日は肩の荷を下ろしてゆっくりできたらと思っています。
SugarZ3ro選手(以下、SugarZ3ro):去年はずっと負けを経験していて、あと一歩のところで世界に行けなかったこともありとても悔しい思いをしていた1年でした。今年は新しいメンバーで優勝できて本当にうれしいです。
——決勝は因縁の対決ともいえるCrazy Raccoon(以下、CR)との戦いでしたが、CRのリベンジをどのような対策で挑みましたか?
Laz:CR戦の対策としては、前日、前々日に配信での試合を見て「こういう戦術が効きそうだよね」という感じで話し合いながら、新しい戦術を練って挑みました。まあでも、当初考えていたことが思うようにできないことも大会ではよくあることなので、そういうときは臨機応変に動いていこうという話し合いもしていました。
crow:ひとつの大会で同じチームと3回も戦うことってほとんどないことなので、そういうことも視野に入れて戦略を練りました。やっぱり、相手も僕らの対策をしてくることはわかっていたので、「対策の対策」というか、「対策の対策の対策の対策」みたいな、相手の対策の裏を突くことを意識していました。人読みの部分も考えたりするのが大変でしたね。
SugarZ3ro:CRはとにかくMunchkin選手が強心臓で、「大会でそのムーブするのか?」ってくらいな大胆な戦い方をしてくるので、そこに気をつけて戦いました。
——確かにMunchkin選手は、ひとりで前に詰めてきたり、配信でも驚かされるような素早い判断が光っていましたもんね。あと、決勝はBO5という長丁場の試合でした。今までのBO3以上に体力面やメンタル面も気を配る戦いになったのかと思います。その辺はどのようにしてケアしていましたか?
Laz:とにかくしっかり休んで体力を付けてから挑みました。またルーザーズから上がってくるチームは、初戦でバチバチにやり合ってからの連戦なので、全体的にその日はじめての試合となる僕らよりコンディションが良くなっている傾向にあります。実際、今回の1マップ目でも0:7まで取られてしまうくらいの勢いがありましたからね。ただ、そういう波に飲み込まれず、ここからいかに挽回していくかを冷静に考えて挑みました。
——特にルーザーズのIGZIST戦では圧勝ともいえる勢いでしたもんね。あの勢いを保ったままのCRは本当に脅威に感じていました。
Laz:そうですね。どちらのチームが決勝に来たとしても、熱々の状態で挑まれるのはわかっていたので、僕らは僕らで試合直前に練習試合をしてウォーミングアップをしてモチベーションを高めていました。
crow:冷静になることを意識していました。今回のCR戦でも3:9の折り返しからのカムバックということもあり、メンバー全員がノリノリになっていた部分もありました。ただ、そういう気持ちからミスが生まれることもあるので「いったん落ち着こう」という話し合いを挟んで2マップ目以降も戦い抜きました。
あとは、1マップ目、2マップ目と連取して優勝まで王手がかかっていましたが、気を抜かないことを意識しました。そういう心構えが、勝てる勝てると前のめりにならず、落ち着いて戦えてた要因なのかなあと思っています。
——勝気な気持ちよりも、冷静さを優先した?
crow:ですね。もちろん勝気になって前に出ることが有利に働くことも大会ではよくあることなんですが、いつも通りの戦い方で勝てる方が理想でもあるので、あまり無茶しないようには意識しました。
SugarZ3ro:試合前にメンタルコーチングを受けていた部分も結果につながったかなと思いますね。メンタルコーチングのおかげで、「このマップ負けちゃいそうだな」みたいなネガティブな考え方をしないような意識配分ができたんじゃないかな。
——試合中は勝ちが続けば勝気に、負けが重なれば内気になっちゃいますもんね。
Laz:そうですね。例えば重要なラウンドを取ったり、クラッチをしたあとって、アドレナリンが出て鼓動がバクバクになることも少なくありません。そういうときはコーチが率先してタイムアウトを取ってくれて、チーム全体で深呼吸をして次のラウンドに挑むようにはしていました。
——決勝ではDay2で勝利を奪ったヘイヴンで1本取られてしまいましたが、その辺の敗因はなんだったのでしょうか?
Laz:やっぱり先に僕らが1本取ったマップだということもあって、CR側もしっかりと対策してきた感じはありました。前回自分たちが得意としていた戦い方をCRも使ってきたこともあって、それに対応できなかった部分が敗因のひとつでしたね。
あとはMunchkin選手のプレッシャーが強く、ぐいぐい押されていたのも敗因のひとつでした。プレッシャーに負けて逃げてしまったことで、A側をMunchkin選手ひとりでコントロールされて、徐々に僕らのエリアが狭まってしまう状況を作らされてしまった感は否めません。
——Munchkin選手って本当に強気な戦い方しますもんね!
Laz:ですね。逆にアイスボックスでは、Munchkin選手のジェットにやり合えるチェンバーをピックしていたこともあり、「ぶっ倒してやるぞ!」っていう意気込みで戦ってました(笑)。
——あはは。配信のインタビューでも逆境に強いって言ってましたもんね。そういった意味で、幾度となく決勝戦で戦いを繰り広げていたCRは絶対に負けられない気持ちも強くあると思います。ZETAから見てCRはどのようなチームだと感じますか?
Laz:そうですね。CRはMunchkin選手のソロプレイを軸に動いている傾向にあり、全体的にフィジカルもサポートもレベルが高いので、ほかのチームが勝つのはかなり難しいんじゃないかなと思っています。
——Munchkin選手のとんでもないキルは配信を見ていてもびっくりします。特に正確にモク抜きをするシーンなんかはキャスター陣も「どこ情報だよ!」って騒ぐくらい(笑)。ああいうキルをされた側ってどんな心境なんでしょうか。
crow:強心臓で撃ち合っている時は「うぉー。つえーなー!」って感じはしますけど、モク抜きは正直腹が立ちますね(笑)。
——今日も、スプリットのBメインで後ろからモク抜きされてましたもんね(笑)。
crow:はい。やられました俺!
SugarZ3roが直前でMunchkin選手にやられてたので、後ろにいるのも、こっちに来るのもわかっていました。「いつ飛び出してやろうかな」と機会をうかがっていたときに、一発ヘッドショットでモク抜きしてきて…………。ちょっと、腹立ちました(笑)。
——あはは。あれは腹が立っても仕方なしっ!
新パッチの環境でも大きな変更がなかったZETAの秘策は?
——今回のプレイオフでは前回の「Stage1 Main Event」とは異なるパッチ4.04での試合でした。特にエージェントの仕様変更がめまぐるしいパッチ4.04でしたが、使用エージェントにそれほど違いがなかったのはなぜでしょうか? 特にアストラはスターの数が減ったり、各アビリティのクールダウンが増加したりと大幅なナーフ(弱体化)が見られました。
SugarZ3ro:スターの数が減ったこともあり、アビリティの使い方は考え直しましたね。以前はわりと感覚で使っていた部分もありましたが、今回は絶対に刺さるような場所でしか使わないようにしたり、より最適解の行動を心がけました。
——同じスモーク役のエージェントとしては、ブリムストーンが大幅に強化されたこともあり、プレイオフではさまざまなチームがアストラの代わりにピックしていた試合もありました。SugarZ3ro選手的にはアストラ以外のエージェントを使用するという考えはなかったのでしょうか?
SugarZ3ro:そうですね。やっぱりアストラにしかできない動きがあって、そういった部分がアストラの強みでもあります。ほかのエージェントを選ぶよりは、ナーフされたアストラを使い続けた方が強いと判断してアストラを使い続けましたね。
——なるほど。アストラならではの強みを重視したピックだったんですね。crow選手がピックしているエージェントは、今回のパッチでの影響はなかったと思います。ただ、サポート役として全体を見る立場からすると、今回のパッチでの見方も変わったのではないでしょうか?
crow:ほぼすべてのマップでアストラが使われていたような環境が変化して、オーメンとかブリムストーンとかがピックされるようになってきました。当然、戦い方が変化したり、相手が寄ってくるタイミングも変化してきているので、そういう部分は慣れるのに苦労しました。
——Laz選手の使っているヴァイパーも毒素の消費量が増えたり、クールダウンが増加したりとナーフされましたが、その辺大きな影響はありましたか?
Laz:今回のパッチでナーフはされましたが、やはり強い部分は強いので前回に引き続きピックしていたところはありましたね。役割的にも僕が使った方がチーム全体が強くなるので、ピックしていたところはあります。ヴァイパー自体は嫌いじゃないですしね。
——Laz選手もSugarZ3ro選手と同様、ナーフを受けても問題ないという判断だったんですね。ただ、もう少し色んなマップでチェンバーを使いたかったのかなとも思っていました(笑)。
Laz:そうですね。ヴァイパーも使っていて楽しいのですが、基本的にバチバチ撃ち合うエージェントではないので、実際のところ僕の性格と相性は良くないのかなとは思います(笑)。
——4マップ目でチェンバーをピックしていたマップでは生き生きしているのを感じたのはそういう部分もあったんですね。
Laz:性格上、負けていると逆にぶち倒してやりたいっていう気持ちが強くなると、1〜3マップ目はヴァイパー、キルジョイと、あまり前に出て戦う立場ではないエージェントを使用していたこともあり、コメカミに血管が浮き出るくらいメラメラしていました。
なので、アイスボックスでチェンバーをピックしたときは「絶対倒してやるぞ!」って気持ちが強くなっちゃいましたね(笑)。
チェンバーはデュエリストとは違う戦い方ができる特殊なエージェントで、すごく自分に合っているエージェントなのでこれからも使っていきたいですね。
——本当にLaz選手っぽいエージェントだなあと思います。特にマッチポイントでのMunchkin選手との撃ち合いは、めちゃめちゃアツかったです!
Laz:ありがとうございます。勝負するのは好きなので、戦いに来てくれたらラッキーという気持ちで迎え撃ちましたね。
——crow選手は、相変わらずアビリティのタイミングやカバーの速さが光っていました。前回も少しお話を聞かせていただきましたが、改めて立ち回りで気をつけていることをお聞かせください。
crow:やっぱり状況に応じて考え方は異なるのと、割とアドリブで動かなければいけない立場ではあるので、瞬間瞬間で考えるようには意識しています。
ここ最近はメンバーそろってブートキャンプができているので、スクリムの後に「あの時はこうした方がよかった」とか「こうして欲しかった」というのを話し合って決めています。話し合いをしっかりすれば、「じゃあ次はこういう時はこうするね」って情報がしっかりと共有できるので、そういった部分も生かされたのではないかと思いますね。
——最後に、今回の試合で個人的に記憶に残った試合を教えてください。
Laz:僕はDay2のIGZIST戦。2マップ目のフラクチャーでの1on2クラッチが記憶に残っています。試合の序盤ではあるものの、あのラウンドで1本取れたことは大きかったですね。
crow:僕は今日のCR戦の4マップ目。アイスボックスでのスパイク設置をショックダーツと壁抜きで阻止したところですね。
——あれは、見ていてぞわっとするくらいビックリしました!
crow:あの場所に設置されたらやばかったんで成功してうれしかったです。あれはコーチのJUNiORに教えてもらって練習した技だったので、JUNiORに感謝ですね(笑)。
SugarZ3ro:僕はDay2のCR戦。2マップ目のヘイヴンで1on2からの、1on1でMeiyくんと勝負したラウンド16です。
——あのグラビティウェルのタイミングはバッチリでした。心理戦がエグかったです(笑)。
SugarZ3ro:Meiyくんはあの時、僕を倒せばエースという状態だったんです。元チームメイトでもあるので「絶対に撃ち合いに来る」と確信していました。なので、あえてスパイク解除音を聞いてもアビリティは発動せずにじらした動きが完璧にハマってめちゃくちゃうれしかったです!
——ありがとうございます! 最後に、昨年の『VALORANT』の競技シーンではまだまだ世界の壁は厚いと感じました。日本が世界に勝つために必要なことはなんなのか、またMastersに向けての意気込みをひとことお願いします。
Laz:『VALORANT』は、ほかの5対5の爆破ゲームと同様、ヨーロッパ圏が群を抜いて強いです。そういった地域と渡り合えるようになるには、しっかりとお給料が出て、フルタイムで活動できるチームが増えることが重要だと思っています。
チームが増えてくれば『VALORANT』の競技シーンも大きくなりレベルも上がる。そして選手が増えれば、新しい才能も生まれ、日本でも世界にも通用する環境が整うのではないかと感じています。
今まさに、そういった環境ができつつあり、日本や韓国、中国といったアジア圏全体のレベルが上がってきています。ただ、まだまだヨーロッパ圏のレベルにまでは到達していないのが現状なので、Mastersのような世界大会を通して、さまざまな戦い方を経験できればと思います。
また今回は世界大会がはじめてのメンバーもいます。世界大会は国内大会とは違う雰囲気で、特別なプレッシャーもあると思いますが、今のチームが世界でどれだけ通用するのかワクワクしています。
やはりまずは1勝したいと思っています。
crow:アイスランドでのMastersもまもなくはじまります。いち早く現地に向かい、さまざまなチームとスクリムをしてレベルアップをしていきたいです。新しいメンバーでどれだけ強くなれるのか、今から楽しみです。
今年こそ世界で勝利を掴みたいので、応援よろしくお願いします!
SugarZ3ro:僕は初めての世界大会で、アジア以外でのチームと戦うのもはじめてなのでとても楽しみです。また、世界大会だからといってビビらないように、メンタル最強で挑みたいと思っています!
まずは1勝を目標にがんばります!
——ありがとうございました!
———
長きにわたる「2022 VCT Stage1 - Challengers JAPAN」はZETA DIVISIONが優勝をもぎとりぶじに閉幕となった。大きなメンバー変更で、さまざまな選手がさまざまなチームで活躍する中での優勝というのは、それぞれの人間ドラマが大きく動いたような、大切な瞬間だったのではないかとZETA公式Twitterを見て感じた。
WE
— ZETA DIVISION (@zetadivision) March 27, 2022
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THE
CHAMPION!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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リリースから2年が経過しようとしている『VALORANT』。日本の競技シーンは間違いなくハイレベルになってきているのではないだろうか。2年前、Laz選手がインタビューで「日本全体のレベルが上がってほしい」と願っていたことがしっかりと形になっているのを感じる。
次はいよいよ国際大会のMasters! 2021年での惜敗をバネに、日本の強さを世界に知らしめることができるのだろうか。世界での彼らの活躍が今から待ち遠しい!
また、配信直後のスペシャルインタビューも必見! 選手の生の声が聞ける配信となっているので、まだ見ていない人は要チェックだ。
Laz選手Twitter:
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