新生ZETA DIVISIONが魅せた新しい世界線【ZETA DIVISION Laz選手× crow選手×XQQコーチインタビュー】

VALORANT』の2022年シーズンがついに本格始動。「2022 VCT Stage1 - Challengers JAPAN Week1 Main Event Day2」が2022年2月27日(日)に開幕した。先日行われたDay1では見事REJECTIGZISTがプレイオフ進出が決定。Day2ではZETA DIVISION(以下、ZETA)、CrazyRaccoon(以下、CR)の2チームがプレイオフ進出の切符を手にした。


今回は、Day2を1位通過したZETAのLaz(らず)選手、crow(くろう)選手、XQQ(えっくすきゅーきゅー)コーチにインタビュー。試合直後の心境を語っていただいた。

▲Laz選手。世界が認める⽇本のナンバーワンプレイヤー。とてつもない練習量に裏付けられた精密なAIMが数々の⼤会でスーパープレイを⽣み出し、⽇本のVALORANTシーンを引っ張るトップランナー。甘いマスクでファンへ癒しも届ける配信が人気。たまにお茶目な部分も(出典:ZETA公式

チーム解散で悲しむよりも、前向きな気持ちで楽しめた新生ZETA DIVISION


——まずはプレイオフ1位通過おめでとうございます!

Laz選手(以下、Laz):ありがとうございます。新しいメンバーで勝てて良かったです。練習ではポテンシャルの高さに確信を持っていましたが、こうして大会でしっかりと結果を残せたことで、より自信にもなりました。

crow選手(以下、crow):プレイオフ進出できたのはもちろん、1位抜けできたことで安心しました。決勝のCR戦で負けていたとしても、2位通過でプレイオフ進出はできますが、なにより負けなしで進出したことに価値があると思っています。

一度、敗北してしまうとプレイオフまでの期間中、引きずってしまうことがあると思うんで。

——Absolute時代から戦いを共にしたメンバーの中で、Laz選手とcrow選手が唯一チームに残り、新しいメンバー構成での再出発となったわけですが、心境の変化はありましたか?

Laz:Absoluteでのメンバーとは本当に長い付き合いだったので、メンバーが変わったことでゲーム内はもちろん、ゲーム外でも変化を感じています。試合中でも「この状況だったら、もっと騒いでたやつがいたなあ」とか(笑)。ふと、昔のメンバーを思い出すこともありますね。

メンバー変更が決まった時点で、Absoluteというひとつの時代が終わったというのは心の中で受け入れてはいたので、新しい気持ちでやっています。

▲『VALORANT』の競技シーンから彼らを知ったファンでも、Absolute JUPITERというチーム名から知ったファンでも、彼らの強さは誰もが認める。国内最強クラスのメンバーが事実上の解散となり、ZETA DIVISIONという改名の後、程なくして新メンバーになった

crow:Absolute時代のメンバーとバラバラになっちゃいましたが、お互い心機一転できているんじゃないかと思います。新しい環境、新しいチームメンバーで戦うというのは、本当に久しぶりなことでもあるので、これからの活動が楽しみでもありますね。

あとは前のメンバーたちには負けたくないな(笑)。

新たな可能性を見せつけたNORTHEPTION戦


——では、ここからは各試合について振り返っていきたいと思います。まずは1試合目のNORTHEPTION(NTH)戦についておうかがいします。1マップ目は危なげなく勝ちをもぎとりましたが、2マップ目のバインドではかなり苦しめられている印象でした。新しいメンバー構成になったNTHはいかがでしたか?

Laz:NTHはチームメンバー自体がフルリニューアルということ、またエージェント構成もほかにない珍しい構成でうまく攻略していたので、対応に遅れてしまったのが敗因だったと思います。

crow:配信初戦という緊張もあってか、メンバー全体がなんかかみ合ってない部分もあったりして、大会の波に飲まれてしまった感はありますね。

▲crow選手。⼈数不利を覆す驚異的な⽴ち回りで、幾度となくチームを救ってきた、常勝チームの⽴役者。試合終盤に魅せる冷静沈着な⽴ち回りが持ち味で、crowさえ⽣存していれば試合はどうなるかわからない。好きな食べ物はハンバーグ(出典:ZETA公式

——なるほど。3マップ目のフラクチャーではダブルデュエリストという珍しい構成が印象に残っています。この辺は何か秘策があったのでしょうか?

▲Dep選手のジェットにTENN選手のレイズというダブルデュエリスト体制の構成を見せたフラクチャー戦。キャスター陣や視聴者を驚かせた

Laz:フラクチャーはこの構成で挑もうという作戦があり、自信もあったのであえてこの構成を選びました。

——Laz選手は新エージェントのチェンバーをお披露目していましたが、使ってみてどうでしたか?

Laz:めちゃくちゃ自分に合うエージェントだなあと思っています。使っていて楽しいですしね。

▲センチネルのようなデュエリストのようなジェットとサイファーを組み合わせたような戦い方が楽しめるチェンバー。Laz選手の綺麗なエイムが際立つ!

——crow選手はサポート役のスペシャリストだと感じています。視点こそ映りにくいものの、ミニマップを見れば、味方への気遣いがわかるような立ち回りをしているように見えます。時には味方の盾になったり、時には味方を先導する足がかりになったり——。普段から心がけていることはありますか?

▲とにかく少人数戦の強さが目立つcrow選手。誰よりも長く生き残り、最後の砦となって戦い抜く様は、デュエリストよりも輝かしい場面すらある

crow:相手の構成を見て、自分たちがどういう攻め方をしたらいいのかを考えたり、相手が嫌がるような攻め方を意識して自分ができることを考えてたりしています。

アビリティの合わせ自体はそこまで難しいとは思っていません。アビリティさえ放てれば味方のデュエリストが勝手に倒してくれるんで(笑)。

——あはは。でも、やっぱりデュエリストの味方が前に出やすいアビリティの撃ち方はcrow選手ならではかなとも思っています。

crow:ありがとうございます。うまく説明できないんですが、相手が嫌だろうなと思うような場所だったり、タイミングだったりで放つようには意識しています。

——その辺は経験値が物を言うとこですね。自分の中でわかっている自分だけのタイミングみたいな。

crow:そうですね。「今だな!」というのは自分の中にはありますね。

記憶に残る名試合が飛び交うCR戦


——続けて決勝のCR戦についておうかがいします。1マップ目はCRが得意とするアイスボックスをZETA側がピックしていたことに驚きました。

XQQコーチ:まだまだ大会も続くので詳しい作戦は話せないのですが、簡単にいってしまえば「CRも100%だったけど、僕らも100%だったから」というのが答えかな(笑)。

▲XQQコーチ。Overwatchのプロプレイヤーとして活動後、当時日本ではあまり馴染みのなかった専任コーチへと転身、日本eスポーツシーンにおけるコーチのパイオニアであり第一人者。何事に対しても真摯な振る舞いや歯に衣を着せない物言いから多くのファンを集めている(出典:ZETA公式

——なるほど。そこは強気な判断だったんですね。実際にメンバー構成の変わったCRと戦ってみてどうでしたか?

Laz:CRもメンバー構成が変わったということもあり、結構苦戦しました。特にMunchkin(まんちきん)選手がジェットを使用するようなり、かなり動き回られてマップをコントロールされてしまったこともあって、戦いづらかったです。

crow:やっぱりMunchkin選手のアグレッシブな動きに苦しめられましたね。ほかのメンバーも戦術に長けたメンバーがそろっているので、アビリティの合わせ方や、丁寧な連携がうまかったですね。

▲ディフェンダーサイドでありながらじわじわと前に出ては1キルを奪っていくMunchkin選手。ヘイヴン戦では度々crow選手が餌食になってしまうことも

——神の子の異名を持つDep選手がREJECTから、ZETAへと移籍しましたが、同じチームで戦ってみていかがでしたか?

Laz:もう、めちゃくちゃ強いですよ(笑)。チームワークでも丁寧な役割を担ってくれますし、放っておいてもやりたい放題やってくれるんで、メンバーとしてはやりやすいですね。

crow:Dep選手だけでなく、全メンバーに対し圧倒的信頼をおいてサポートしているので、メンバーそれぞれが頼もしいですね。

▲息を呑むラウンド23。Dep選手の位置がMunchkin選手にバレている中、最高のタイミングでフラッシュをいれるcrow選手。そこからDep選手の流れるような2キルで一気に戦況を動かした一場面だ

——メンバー全体の雰囲気の良さは試合からも伝わってきました。ちなみに、Laz選手、crow選手が心に残ったラウンドはありますか?

Laz:僕の場合心に残ったラウンドは全部反省しなきゃいけない悪いラウンドばかりなんですが、ひとつ挙げるならば、CR戦2マップ目のラウンド22ですね。

アタッカー側でBサイトに入り、3on2の状況でスパイク設置までできたという、かなり有利な盤面でしたが、タレットの置き場所や、味方への報告ミスがあって負けてしまったラウンドです。

▲3on2という人数差もある中、コミュニケーションエラーにより死角が発生。その死角からMeiy選手に狙われてしまい、大事な1本を逃してしまったラウンド

結局、射線管理ができていなかった部分からMeiy選手にスルスルっと入られて全員倒されてしまったので、そこは反省してます……。すみません、なんか暗くなっちゃって(笑)。

——いえいえ、大丈夫です! では、crow選手には明るいラウンドをぜひ!

crow:僕はCR戦2マップ目のラウンド12。ディフェンダー側の最終ラウンドですね。このラウンドは全員が完璧な立ち回りで動けたのではないかと思っています。Laz選手のアルティメットスキルの判断も良かったですし、その後の報告で敵が僕の守っているBサイトに来ているのもわかっていましたしね。

▲Aサイトに向かうCRをいち早く察知したLaz選手がキルジョイのアルティメットスキルで侵入を阻止。続けて、Bサイトに向かってきたCRを、今度はcrow選手がブリーチのアルティメットスキルで追い返す。たまらずCサイトに向かったCRだったが、今度はDep選手のオペレーターの餌食に。アビリティを駆使して盤面を動かした『VALORANT』らしい一試合だ

最終的にCRが向かう先がCになるのもメンバー全員がわかっていたので、すべてが噛み合った印象深いラウンドでしたね。

——ありがとうございます。最後にひとことお願いします!

Laz:どこのチームよりも一番練習しているんじゃないかと思うくらい練習しています。また、ファンの皆さんの期待に応えられるよう頑張りますので、新生ZETAの応援をよろしくお願いします!
———

日本における『VALORANT』の競技シーンは、各チームのメンバー構成ががらりと変わったり、新しい戦術が編み出されていたりと、今までよりもアツい戦いが繰り広げられている。

そして一番の注目は、やはりAbsolute JUPITERの事実上の解散ではないだろうか。そして、神の子と呼ばれたDep選手のZETA移籍をはじめとする、名だたる選手の移籍でも話題がとびかった。

新しいメンバーに対し「信頼できるチームメンバー」とLaz選手。リーダーからそう思われていることは、新規メンバーの選手らにとっても信頼できるチームと感じたのではないだろうか。

また、crow選手のサポートも新メンバーの頼りになったのではと筆者は思う。デュエリストが輝いている間も味方をサポートし、しっかりとカバーでキルを取る。彼は味方に対し「圧倒的な信頼」という表現をしていたが、ほかのメンバーもcrow選手に「圧倒的な信頼」を置いているのではないだろうか。

ぜひ次回の試合ではミニマップで彼の活躍を見届けてほしい。そこには普段見られない新しい駆け引きが楽しめるはずだ。

なにより、皆が新しい環境にとても前向きで、楽しんでいる姿を見ると、次なるシーンが楽しみでたまらない。


Laz選手Twitter:
https://twitter.com/lazvell

crow選手Twitter:
https://twitter.com/no960fps

XQQコーチTwitter:
https://twitter.com/IAMXQ

配信アーカイブ
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