「障害者×eスポーツ」がもたらす新しい就労支援とは【ePARA代表 加藤大貴氏インタビュー】
2018年のeスポーツ元年を皮切りに、eスポーツはさまざまな世代が楽しめるコンテンツへと進化してきた。そんな中、eスポーツが年齢・性別・時間・場所・障害の有無を問わず参加できる点に着目した人物がいる。それが株式会社ePARA(以下、ePARA)代表、加藤大貴氏だ。
ePARAは障害者が自分らしく、やりがいをもって社会に参加するための支援を行う団体で、eスポーツイベント事業や就労支援事業、コーチング事業など、さまざまな事業を展開している。
今回はそんなePARA代表加藤氏に、障害者×eスポーツの実態についておうかがいしてみた。
——今回、ePARAにインタビューを行いたいと思ったきっかけは、ePARAが全盲プレイヤーのeスポーツチーム「Fortia」(フォルティア)を発足したというリリースを拝見したところにありました。どのようないきさつでePARAを設立したのでしょうか?
加藤大貴氏(以下、加藤):こういうインタビューを受ける機会は多々あるのですが、今回はeスポーツに特化されたメディア様ということで、フルバージョンでご説明しますね。
私は品川区にある社会福祉協議会に勤めておりまして、そこで成年後見人として活動をしておりました。成年後見人というのは、障害者や認知症の高齢者といった判断能力が不十分な方々を支援する人のことです。
その活動の中で、eスポーツを広報活動の一環として取り入れようと考えたのがきっかけでした。
最初はスウェーデンにある「シルバー・スナイパーズ」のような、高齢者eスポーツチームを立ち上げて、彼らと対戦する企画を考えていたのですが、中々人が集まらなかったんです。
想像を絶するほど、まったく興味を示してもらえず(笑)。
——あらら。それまたどうして? ここ最近は、高齢者のeスポーツプレイヤーというのも珍しくない気がしますが……。
加藤:まず撃ち合いが嫌というのが大多数でした。150人ほど声をかけさせてもらったのですが、なかなか首を縦に振ってくれる方が現れず、そうこうしているうちに月日だけが経ってしまい、仲間と「次どうしようか……」ということに。
そんな中、2019年5月17日(金)に群馬県で障害者のeスポーツ大会が行われるということで、どんなものかと見に行ってきました。
1,000人収容可能な規模の会場で、障害者のeスポーツ大会やるってすごいなと衝撃を受けまして、我々も高齢者ではなく、障害者を対象としたeスポーツ事業をやってみようかということになりました。
早くも帰りの電車の中で団体名を決めるくらい仲間と盛り上がっていて、「パラリンピック」の「パラ(並行)」とeスポーツを掛け合わせて「ePARA」という団体名にしたというのが設立までの流れです。
——実際ePARAを設立したあとは、どのような活動をしていたんですか?
加藤:乙武さんを呼んで大会を開催したら絶対成功すると思って、乙武さんにもお声かけして開催したのが、2019年11月24日(日)に開催された「ePARA 2019」になります。
その時参加されたスタッフがそのまま、ePARAの運営に携わっているという形ですね。
——なるほど。加藤さん自身は社会福祉協議会にお勤めする傍らePARAを運営しているという形なんですか?
加藤:社会福祉協議会の方は今年の3月に退社しまして、NPOの理事と兼務してePARAの活動を続けております。
——「ePARA 2019」のほかに、どのような大会を開催していましたか?
加藤:「ePARA 2019」の次に開催されたのが、「バリアフリーeスポーツ ePARA 企業交流戦」ですね。こちらは、チームメンバーに障害者手帳を持っている選手がひとり以上いることが参加条件の交流戦で、社内はもちろん、企業間のコミュニケーションの活性化を目的とした大会となっております。
——どのような障害を持った選手が参加されていましたか?
加藤:障害の種類は多種で、精神障害、発達障害、身体障害などさまざまな方に参加いただいております。
——まさに障害の垣根を越えた大会といえますね。加藤さんから見て、なぜ彼らが大会に参加しようと思ったのだと思いますか?
加藤:彼らも思いは我々と変わらず、単純にゲームが好きだからという一点だと思っています。さまざまな障害を持ったプレイヤーが、ゲームをプレイするための工夫をしていて、そういった障害の壁を乗り越えるエピソードというのは、我々のメディアでも取り上げているので、ぜひそちらも併せてご覧いただけると幸いです。
すごく考えさせられるというか、感動するようなエピソードも多くて、脳性麻痺のプレイヤーに実施したインタビューは涙なくしては語れないものばかりでした。
子どもの頃は自分でコントローラも扱えないから、弟がゲームするのを見て楽しむことしかできなかった。今は、自分が作成している視線入力デバイスで最新版の『モンスターハンター』で遊んでいるなんてエピソードを聞いて、「すごい! 凄まじい世界だな!」と感動してしばらく言葉を失ってしまいました。
価値観を揺さぶられるというか、ゲームの可能性を目の当たりにすると、「この世界は本当に震えるな」と思いましたね。
——自分でコントローラを開発してしまうって、本当に凄まじい世界ですね!
加藤:本当に毎日が驚きの連続です!
ほかにも、視覚障害を持ったプレイヤーの場合は、サポーターを導入して、声による伝達で状況をプレイヤーに伝えることも試みています。ただ、オンラインだとどうしても遅延の問題もあり、対戦中の伝達はかえって混乱を招いてしまうこともあります。
そこで対戦中は音声サポートはなしにして、対戦の合間に相手のクセなどを伝えるようにしてみたりとか——さまざまなやり方を模索しています。
コロナ禍によって阻まれたオフライン環境
——ePARA設立から約2年ほど経った今、活動してきた肌感はどんな感じですか?
加藤:ここ最近は、コロナ禍の影響もあり、肌感を感じられないのがもやもやしますよね。やっぱり、みんなで集まって「わーーっ」と盛り上がりたいですよ(笑)。
「ePARA 2019」ではできていたことが、昨年はさっぱりできませんでしたからね。幸いにもeスポーツはオンラインでもコミュニケーションがとれるという点では逆に助けられた部分もありますけど、やはりイベントとしてはたくさんの人に集まってもらい、応援のもと大会を開催していきたいという思いは強いですね。
——オフラインといえば、先日バリアフリーeスポーツカフェ「Any%CAFE」がオープンしましたね。
加藤:はい。コロナ禍ということもあり、ずっとのばしのばしだったのですが、ようやく実現できてホッとしました。緊急事態宣言が開けた暁には、メンバー全員が集まって活動をしてきたいと思っています。
やっぱり、オフラインの場で皆が膝を突き合わせて活動できるという環境はステキなことだと思いますし、近いうちにそれが始められるんだと思うと本当にうれしいです。
ずっとここ最近はオンラインで活動してきたものですから、Any%CAFEのオープニングセレモニーでメンバーと対面した時は、「意外と背が高いんですね」とか「意外とガッチリしてるんですね」とか、そういう話ができたのも楽しかったです(笑)。
——あはは。それはオフラインならではですもんね。設備の特徴をおうかがいしてもよろしいですか?
加藤:バリアフリー対応のeスポーツカフェって意外とないんですよ。階段で地下に降りなければならなかったり、車椅子が入らないような小さなエレベーターを使わなければならなかったり……。
「Any%CAFE」は「JOYSOUND品川港南口店」さんの一室を利用しています。1階で入口も広いので、車椅子の方や身体の不自由な方も入りやすいのが特徴です。
これはまだ構想段階なのですが、障害者の方には何か特典をつけて、利用しやすくしたいとも思っています。また、ブラウン管もあるのでRTAのイベント会場としても使ってもらえたらうれしいですね。
——Any%(エニーパーセント)というフレーズは、RTAの競技シーンで使われることが多いと思うのですが、「Any%CAFE」の名前にどういう思いが詰まっているのでしょうか?
加藤:RTA(リアルタイムアタック)のAny%というと「なんでもあり」という意味となります。
その「なんでもあり」には、「壁抜けの裏技(グリッジ)も使用可能」という意味があって、「あっ、なんかバリアフリーっぽい」って思ったんです(笑)。
それで「これだ!」って思って、「Any%CAFE」という名前にしました。自分の中ではすごいいい名前つけたなあと自画自賛してるんですが、メンバーには最初あまり伝わってないみたいで、ぽかーんとしてました(笑)。
——あはは。まあでも「なんでもあり」というのは、ある意味さまざまな垣根を越えたeスポーツの根底なような気がして私は好きです(笑)。 ところで、ePARAとして活動を続けていく中で、SDGsとの親和性は高まりましたか?
加藤:コロナ禍とはいえ、eスポーツを通じて高まっていますね。
我々はeスポーツ事業も行っていますが、メインはあくまで障害者の就労支援ですので、eスポーツを通じてリモートでも働ける人が増えてきたというのはうれしいですね。例えば、eスポーツに関する記事だったり、動画制作だったり、ランディングページの制作だったり。そういった業務を障害者の方々にやっていただいて、就労まで結びつけられるようになっているので、SDGsとの親和性は高まっていると思っています。
——なるほど。今、障害者雇用促進法に基づいた障害者の雇用というのをハローワークでも積極的に取り組んでいますが、企業側が個々の障害に対しての理解が深まらず、なかなか雇用に結びつかないケースって多いんじゃないかと感じています。ePARAの活動の中で、障害者の方々のできることと、できないことがしっかりと「見える化」できていることが就労支援にもつながっているのではないかと感じました。
加藤:まさにおっしゃるとおりで、障害者の方がeスポーツイベントの運営に携わることで、「これは責任を持ってやり遂げられた」とか、「これは途中で体調が悪くなったけど、アラートを自ら鳴らすことでスムーズな引き継ぎができた」とか、そういう細かい状況を我々が共有できるというのは、大きなアドバンテージだと考えています。
そういった個々の強みや弱みといった特性を企業側にも事細かく伝えることができるのは、ハローワークや通常の就労支援では得られにくい強みだと感じています。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
加藤:eスポーツ元年を皮切りに、eスポーツという言葉がバズワードになるくらい認知度は高まっていると思っています。ゲームに抵抗があった親御さんの印象も大きく変わったのではないでしょうか。
ePARAとしては、eスポーツの可能性を追求し、障害者の方々に向けた就労支援を続けていけたらなと思っております。
——ありがとうございました!
eスポーツという活動を軸に障害者の就労支援をサポートしていくePARA。メンバー全員が明るく、活動に笑顔が絶えないのは加藤さんの人柄による賜物だと感じる。
eスポーツを通じて 障害の有無・年齢・性別・距離・言語というさまざまな壁を乗り越えるという思いが詰まった「Any%CAFE」は9月から本格的にオープンされるとのこと。
「Any%CAFE」を通じて、さまざまなプレイヤーがつながり、新たなコミュニティが活性化していくことを願いたい。
ePARA公式サイト:https://epara.jp/
ePARA公式Twitter:https://twitter.com/epara_official
Any%CAFE公式サイト:https://any-percent-cafe.studio.site/
加藤大貴氏Twitter:https://twitter.com/koken_3
ePARAは障害者が自分らしく、やりがいをもって社会に参加するための支援を行う団体で、eスポーツイベント事業や就労支援事業、コーチング事業など、さまざまな事業を展開している。
今回はそんなePARA代表加藤氏に、障害者×eスポーツの実態についておうかがいしてみた。
加藤大貴(かとう だいき)
バリアフリーeスポーツ「ePARA」代表・NPO市民後見支援協会理事。eスポーツダイエット挑戦中。「自分らしく生きていける世界をつくる。」元国家公務員(裁判所書記官)。好物は餃子とレモンハイボール。
バリアフリーeスポーツ「ePARA」代表・NPO市民後見支援協会理事。eスポーツダイエット挑戦中。「自分らしく生きていける世界をつくる。」元国家公務員(裁判所書記官)。好物は餃子とレモンハイボール。
成年後見制度における広報活動の一環としてはじまったePARA
——今回、ePARAにインタビューを行いたいと思ったきっかけは、ePARAが全盲プレイヤーのeスポーツチーム「Fortia」(フォルティア)を発足したというリリースを拝見したところにありました。どのようないきさつでePARAを設立したのでしょうか?
加藤大貴氏(以下、加藤):こういうインタビューを受ける機会は多々あるのですが、今回はeスポーツに特化されたメディア様ということで、フルバージョンでご説明しますね。
私は品川区にある社会福祉協議会に勤めておりまして、そこで成年後見人として活動をしておりました。成年後見人というのは、障害者や認知症の高齢者といった判断能力が不十分な方々を支援する人のことです。
その活動の中で、eスポーツを広報活動の一環として取り入れようと考えたのがきっかけでした。
最初はスウェーデンにある「シルバー・スナイパーズ」のような、高齢者eスポーツチームを立ち上げて、彼らと対戦する企画を考えていたのですが、中々人が集まらなかったんです。
想像を絶するほど、まったく興味を示してもらえず(笑)。
——あらら。それまたどうして? ここ最近は、高齢者のeスポーツプレイヤーというのも珍しくない気がしますが……。
加藤:まず撃ち合いが嫌というのが大多数でした。150人ほど声をかけさせてもらったのですが、なかなか首を縦に振ってくれる方が現れず、そうこうしているうちに月日だけが経ってしまい、仲間と「次どうしようか……」ということに。
そんな中、2019年5月17日(金)に群馬県で障害者のeスポーツ大会が行われるということで、どんなものかと見に行ってきました。
1,000人収容可能な規模の会場で、障害者のeスポーツ大会やるってすごいなと衝撃を受けまして、我々も高齢者ではなく、障害者を対象としたeスポーツ事業をやってみようかということになりました。
早くも帰りの電車の中で団体名を決めるくらい仲間と盛り上がっていて、「パラリンピック」の「パラ(並行)」とeスポーツを掛け合わせて「ePARA」という団体名にしたというのが設立までの流れです。
震えるほどの感動がeスポーツにはある!
——実際ePARAを設立したあとは、どのような活動をしていたんですか?
加藤:乙武さんを呼んで大会を開催したら絶対成功すると思って、乙武さんにもお声かけして開催したのが、2019年11月24日(日)に開催された「ePARA 2019」になります。
その時参加されたスタッフがそのまま、ePARAの運営に携わっているという形ですね。
——なるほど。加藤さん自身は社会福祉協議会にお勤めする傍らePARAを運営しているという形なんですか?
加藤:社会福祉協議会の方は今年の3月に退社しまして、NPOの理事と兼務してePARAの活動を続けております。
——「ePARA 2019」のほかに、どのような大会を開催していましたか?
加藤:「ePARA 2019」の次に開催されたのが、「バリアフリーeスポーツ ePARA 企業交流戦」ですね。こちらは、チームメンバーに障害者手帳を持っている選手がひとり以上いることが参加条件の交流戦で、社内はもちろん、企業間のコミュニケーションの活性化を目的とした大会となっております。
——どのような障害を持った選手が参加されていましたか?
加藤:障害の種類は多種で、精神障害、発達障害、身体障害などさまざまな方に参加いただいております。
——まさに障害の垣根を越えた大会といえますね。加藤さんから見て、なぜ彼らが大会に参加しようと思ったのだと思いますか?
加藤:彼らも思いは我々と変わらず、単純にゲームが好きだからという一点だと思っています。さまざまな障害を持ったプレイヤーが、ゲームをプレイするための工夫をしていて、そういった障害の壁を乗り越えるエピソードというのは、我々のメディアでも取り上げているので、ぜひそちらも併せてご覧いただけると幸いです。
すごく考えさせられるというか、感動するようなエピソードも多くて、脳性麻痺のプレイヤーに実施したインタビューは涙なくしては語れないものばかりでした。
子どもの頃は自分でコントローラも扱えないから、弟がゲームするのを見て楽しむことしかできなかった。今は、自分が作成している視線入力デバイスで最新版の『モンスターハンター』で遊んでいるなんてエピソードを聞いて、「すごい! 凄まじい世界だな!」と感動してしばらく言葉を失ってしまいました。
価値観を揺さぶられるというか、ゲームの可能性を目の当たりにすると、「この世界は本当に震えるな」と思いましたね。
——自分でコントローラを開発してしまうって、本当に凄まじい世界ですね!
加藤:本当に毎日が驚きの連続です!
ほかにも、視覚障害を持ったプレイヤーの場合は、サポーターを導入して、声による伝達で状況をプレイヤーに伝えることも試みています。ただ、オンラインだとどうしても遅延の問題もあり、対戦中の伝達はかえって混乱を招いてしまうこともあります。
そこで対戦中は音声サポートはなしにして、対戦の合間に相手のクセなどを伝えるようにしてみたりとか——さまざまなやり方を模索しています。
コロナ禍によって阻まれたオフライン環境
今年からはオフライン環境も充実させたい
——ePARA設立から約2年ほど経った今、活動してきた肌感はどんな感じですか?
加藤:ここ最近は、コロナ禍の影響もあり、肌感を感じられないのがもやもやしますよね。やっぱり、みんなで集まって「わーーっ」と盛り上がりたいですよ(笑)。
「ePARA 2019」ではできていたことが、昨年はさっぱりできませんでしたからね。幸いにもeスポーツはオンラインでもコミュニケーションがとれるという点では逆に助けられた部分もありますけど、やはりイベントとしてはたくさんの人に集まってもらい、応援のもと大会を開催していきたいという思いは強いですね。
——オフラインといえば、先日バリアフリーeスポーツカフェ「Any%CAFE」がオープンしましたね。
加藤:はい。コロナ禍ということもあり、ずっとのばしのばしだったのですが、ようやく実現できてホッとしました。緊急事態宣言が開けた暁には、メンバー全員が集まって活動をしてきたいと思っています。
やっぱり、オフラインの場で皆が膝を突き合わせて活動できるという環境はステキなことだと思いますし、近いうちにそれが始められるんだと思うと本当にうれしいです。
ずっとここ最近はオンラインで活動してきたものですから、Any%CAFEのオープニングセレモニーでメンバーと対面した時は、「意外と背が高いんですね」とか「意外とガッチリしてるんですね」とか、そういう話ができたのも楽しかったです(笑)。
——あはは。それはオフラインならではですもんね。設備の特徴をおうかがいしてもよろしいですか?
加藤:バリアフリー対応のeスポーツカフェって意外とないんですよ。階段で地下に降りなければならなかったり、車椅子が入らないような小さなエレベーターを使わなければならなかったり……。
「Any%CAFE」は「JOYSOUND品川港南口店」さんの一室を利用しています。1階で入口も広いので、車椅子の方や身体の不自由な方も入りやすいのが特徴です。
これはまだ構想段階なのですが、障害者の方には何か特典をつけて、利用しやすくしたいとも思っています。また、ブラウン管もあるのでRTAのイベント会場としても使ってもらえたらうれしいですね。
——Any%(エニーパーセント)というフレーズは、RTAの競技シーンで使われることが多いと思うのですが、「Any%CAFE」の名前にどういう思いが詰まっているのでしょうか?
加藤:RTA(リアルタイムアタック)のAny%というと「なんでもあり」という意味となります。
その「なんでもあり」には、「壁抜けの裏技(グリッジ)も使用可能」という意味があって、「あっ、なんかバリアフリーっぽい」って思ったんです(笑)。
それで「これだ!」って思って、「Any%CAFE」という名前にしました。自分の中ではすごいいい名前つけたなあと自画自賛してるんですが、メンバーには最初あまり伝わってないみたいで、ぽかーんとしてました(笑)。
——あはは。まあでも「なんでもあり」というのは、ある意味さまざまな垣根を越えたeスポーツの根底なような気がして私は好きです(笑)。 ところで、ePARAとして活動を続けていく中で、SDGsとの親和性は高まりましたか?
加藤:コロナ禍とはいえ、eスポーツを通じて高まっていますね。
我々はeスポーツ事業も行っていますが、メインはあくまで障害者の就労支援ですので、eスポーツを通じてリモートでも働ける人が増えてきたというのはうれしいですね。例えば、eスポーツに関する記事だったり、動画制作だったり、ランディングページの制作だったり。そういった業務を障害者の方々にやっていただいて、就労まで結びつけられるようになっているので、SDGsとの親和性は高まっていると思っています。
——なるほど。今、障害者雇用促進法に基づいた障害者の雇用というのをハローワークでも積極的に取り組んでいますが、企業側が個々の障害に対しての理解が深まらず、なかなか雇用に結びつかないケースって多いんじゃないかと感じています。ePARAの活動の中で、障害者の方々のできることと、できないことがしっかりと「見える化」できていることが就労支援にもつながっているのではないかと感じました。
加藤:まさにおっしゃるとおりで、障害者の方がeスポーツイベントの運営に携わることで、「これは責任を持ってやり遂げられた」とか、「これは途中で体調が悪くなったけど、アラートを自ら鳴らすことでスムーズな引き継ぎができた」とか、そういう細かい状況を我々が共有できるというのは、大きなアドバンテージだと考えています。
そういった個々の強みや弱みといった特性を企業側にも事細かく伝えることができるのは、ハローワークや通常の就労支援では得られにくい強みだと感じています。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
加藤:eスポーツ元年を皮切りに、eスポーツという言葉がバズワードになるくらい認知度は高まっていると思っています。ゲームに抵抗があった親御さんの印象も大きく変わったのではないでしょうか。
ePARAとしては、eスポーツの可能性を追求し、障害者の方々に向けた就労支援を続けていけたらなと思っております。
——ありがとうございました!
———
eスポーツという活動を軸に障害者の就労支援をサポートしていくePARA。メンバー全員が明るく、活動に笑顔が絶えないのは加藤さんの人柄による賜物だと感じる。
eスポーツを通じて 障害の有無・年齢・性別・距離・言語というさまざまな壁を乗り越えるという思いが詰まった「Any%CAFE」は9月から本格的にオープンされるとのこと。
「Any%CAFE」を通じて、さまざまなプレイヤーがつながり、新たなコミュニティが活性化していくことを願いたい。
ePARA公式サイト:https://epara.jp/
ePARA公式Twitter:https://twitter.com/epara_official
Any%CAFE公式サイト:https://any-percent-cafe.studio.site/
加藤大貴氏Twitter:https://twitter.com/koken_3
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