【VALORANT】法的な問題は? ——国際大会「Masters TOKYO」のレイアウトが急きょ変更!追加チケットの方が優良席?

VALORANT』の国際大会「Masters TOKYO」が、千葉県幕張メッセやTIPSTAR DOME CHIBAで開催される。国際大会が日本で開催されるということもあり、開催が決定した昨年のオフラインイベント「Riot Games ONE」では号外が配られるなど、大きな注目を浴びていた。


チケットは4月8日(土)より先着発売。チケットが発売になるや否や争奪戦は行われ、チケットは速攻で完売。まだどんなチームが出場するか未確定な状態での完売は、『VALORANT』ファンの期待の表れなのではないだろうか。

しかしながら「Masters TOKYO」の出場権をかけた「VCT Pacificリーグ」で日本代表のZETA DIVISIONDetonatioN FocusMeは出場の切符を逃し、日本代表が出場しないリーグとなってしまった。

それでもなお「Masters TOKYO」への期待は高まっていてチケットの追加販売が決定。座席レイアウトも変更され、より多くの観客が来場できることになるようだ。



ところがそのレイアウト変更に批判の声も多く、「なんであとから追加された方がいい席なの?」とか「あの争奪戦はなんだったんだ……」と納得のいかないファンも少なくない。突然の座席レイアウト変更は、昨年開催されたロックバンド「L'Arc-en-Ciel」結成30周年の記念ライブでもあり、当時はSNSなどで大きな話題となっていた。

参考:
ラルク30周年ライブ「座席レイアウト」予告なく変更、批判の声…法的に問題ない?

そこでeSports Worldでは、eスポーツ法務に力を入れている森&パートナーズ法律事務所の森さんに、こういった件が法律的に違反していないのかお話をうかがいしてみた。

違法性はないが、お客様への配慮は大切


——今回、追加チケットの販売でファンからは賛否の声が上がっています。この件に関して専門家からのご意見をお聞かせください。

森氏(以下、森):会場の急なレイアウト変更とのことで、Twitterでは多くの批判の声があることを確認いたしました。お気持ちの部分を申し上げれば、「より選手に近いステージってなんだよ……」って思ってしまう気持ちはよくわかります。

しかし、今回レイアウトが変更されたことによって、実際に他の座席にどれほどの影響が出たかにもよるので、断定的なことは言えませんが、基本的には、法律的に問題となる可能性は低いように思われます。

記事中にある「L'Arc-en-Ciel」結成30周年の記念ライブと比較してみましょう。こちらの記念ライブでは会場のレイアウトが変更されるにあたり、既存の座席のレイアウトも変更されております。これは、消費者契約法の観点からも、いわゆる優良誤認として問題視されておりました。

一方で、今回の「Masters TOKYO」のレイアウト変更は、あくまで既存の座席はそのままで、座席の追加によりレイアウトが変更されていますように見受けられます。一度購入したチケットの座席が変わっているわけではないので、契約上問題となる可能性は低いように思われます。さらに、レイアウト変更前の座席が、レイアウト変更後の座席と比較して「著しく優良であると示す」ものとまでは言えないように思われますので、消費者契約法上も問題となる可能性は低いかもしれません。

——確かに既存の座席に大きな変更はなさそうですね。しかし、より選手を近くで見たいと思って最前列のチケットを購入した人はどうでしょう。今回追加されたチケットは、より選手に近い座席のようにも見えますが、そういった理由でチケットを払い戻ししたいという要望は通りますか?

森:難しい問題ですね。考えられる解決策としては「より選手に近い座席がご用意できたので、差額をお支払いいただければ優先的に座席を変更いたします」といった配慮があってもいいかもしれませんね。

——今後、このような誤解が起こらないようにするための解決策はありますか?

森:イベントで座席が追加されることは、安全面の見直しや、追加のファンを導入したいなどの理由で十分起こりうることです。ただ、座席の追加が有り得るということであれば、お客様の納得感のためにも、購入時の注意書きや契約条件等に「座席のレイアウトは、合理的な範囲で変更・追加される可能性があります」といったような文言を記載し、その旨を周知しておくことも大切だと思います。

今回の件が契約違反ではなかったとしても、よりお客様に納得いただける形にすることが重要なのではと考えています。

【森 慎一郎 プロフィール】


代表弁護士(日本及びNY州法)。2009年の弁護士登録以降、国際法務、IT、eスポーツ等を主要分野として、主に企業クライアントに対してリーガルサービスを提供する。2006年東京大学法学部卒業、2008年 東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了、2009年弁護士登録(第一東京弁護士会)、2009年 桃尾・松尾・難波法律事務所勤務(2019年パートナー就任)、2015年アメリカ合衆国コロンビア大学ロースクール卒業、2015-2016年Wilmer Cutler Pickering Hale and Dorr LLP(ロンドンオフィス)、アソシエイト、2016年ニューヨーク州弁護士登録。

森&パートナーズ法律事務所:
https://mps-legal.com/

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急きょレイアウト変更によりチケットが追加された「Masters TOKYO」。争奪戦で買いそびれてしまったファンにとってはうれしい情報ではあるものの、やはりあの熾烈な戦いでゲットしたチケットよりも、選手に近い席なのはなんなんだ……というユーザーの声も無碍にはできない。

eスポーツ大会は画面内で行われている試合が重要ではあるが、やはり目の前で生の選手が見られるというのも、ファンにとってはうれしいポイント。ましてや、海外の選手が日本の会場で試合をするなんていう機会はそうそうないので、より座席のレイアウトはセンシティブな問題なのではないだろうか。

また今回追加の座席情報や、レイアウトがどのように変更されたのか、またチケット代はいくらなのかといったアナウンスはユーザーに誤解を与えないためにも、情報解禁と同時に明確にしておくことが大切だと感じた。

チケットを購入した既存のユーザーと、新規ユーザーの両方が気持ちよく観戦できる環境作りを望みたい。なお、追加のチケットは日本時間6月3日(土)午前10時より販売される。

チケット販売サイト:
https://www.axs.com/series/17754/2023-masters-tokyo-yyyyyyyy-powered-by-axs-tickets?skin=riotgames

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