テレビ東京は難解なゲームをどう見せるのか? 高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0」発表会レポート (2/2)

2019.4.5 岡安学

わかりにくい3タイトルの試合をテレビでどう伝えるか

「STAGE:0」で気になったのは、やはり競技種目だ。『LoL』が「全国高校eスポーツ選手権」とかぶってしまったことに関しては人気タイトルということで特に問題ないのだが、今回はテレビ東京の地上波で放映されるという点だ。

全国高校eスポーツ選手権」は、選手に密着したテレビ番組が制作されているとのことだが、基本的に大会の様子はインターネットの動画配信サービスによって行われている。動画配信の場合、興味のある人だけを対象にすることができるが、テレビ番組ではもっと大きなマスを対象にしなくてはならず、難しいものがある。

動画配信では100万回再生となると、かなり観られているという印象を持つが、テレビで100万人が観ているというのは、視聴率として考えると1%にも満たない数値だ。テレビと動画配信ではリーチされる人数に大きな差が生じている。その中でも、今回選ばれたタイトルは、いずれもプレイの様子を観ただけではなかなか内容を理解することが難しいものばかりだ。

特に『LoL』は、5対5の対戦の上、すべてのプレイヤーの動きを把握することは難しく、ゲーム内容もわかりづらい。使用できるキャラクター(ゲーム中ではチャンピオンと呼ばれる)も100体以上あり、それぞれの特徴を見極め、どう戦いに生かしていっているのかを判断するのは、ゲームを知っている人でもある程度のプレイを重ねていないと厳しいものがある。

今回のタイトル選定がよくないというわけではないが、この難解なゲームをeスポーツ初心者の視聴者にどのように伝え、理解させるのか、そのハードルは限りなく高いと言える。

『クラロワ』に関しても1画面で行われる単純さはあるものの、戦略の奥深さ、キャラクターの特性まで理解することは難しいだろう。『フォートナイト』はほかの2タイトルよりもわかりやすいとは言え、これもそれなりの説明は必要だ。

そこに飛び込んだテレビ東京の意気や良しといったところだが、今後、テレビ東京主催で大会を続けていくには視聴率も気にしなくてはならず、その難題をクリアできなかった場合に、大会運営から手を引くようなことにならないことを祈るばかりだ。

若年層へのeスポーツ普及の試金石に

どのゲームを選んだところで、ある程度の知識が必要となるのは十分わかっている。リアルスポーツでもルールがわからないとその面白さは半減してしまうものだ。

「STAGE:0」は、高校生の大会ということもあり、試合よりも高校生が一生懸命にひとつのことに集中する姿を映し出すことの方を重視しているかもしれない。それであれば若い力の挑戦を見届けたいところだ。

何にせよ、eスポーツの大会が増え、高校生など若年層に普及することは裾野を広げる意味では重要であることは間違いない。テレビ東京の踏ん張りがeスポーツの行く末を占う結果となる可能性もあるので、とにかく成功することを期待したい。

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■関連リンク
全国高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2019」
https://stage0.jp/

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