【現地レポート+インタビュー】北海道と大阪で同時開催された格闘ゲームのイベント「スタパーク」——ネモ「今こうしてプロゲーマーを続けられるのはゲーセン時代の大会があったから」

- 北海道の格闘ゲーマーがICTパークに集結
- ファンミーティングではSFリーガーの質問コーナーも
- 北海道と大阪のガチンコバトル!——地域対抗オンライン団体戦
- 対戦会であこがれのプロに挑戦! プロ同士の対戦に会場のボルテージは最高潮に!
- 歴戦の選手らが考えるオフラインイベントならではの魅力とは——出演者インタビュー
2025年3月1日(土)に、格闘ゲーム『ストリートファイター6』(スト6)を採用したイベント「スタパーク」が、北海道旭川市ICTパークと、大阪府泉佐野市eスタジアム泉佐野の共同で開催された。この記事では旭川市ICTパークでのイベントの様子とICTパーク側で出演した出演ゲストへのインタビューを中心にお届けする。
本イベントには公式大会「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024(SFL: Pro-JP 2024)」に出場しているプロ選手が出演。憧れの存在であるリーガーを一目見ようと、北海道の格闘ゲーマーがICTパークに集った。東京から遠征するファンも見られ、年齢層も10代から60代までと幅広い。先着順で埋まる席の最前列をゲットするためか、たくさんのファンが開場時間前に列を作った。また、観客にはイベントでの対戦を応援するために使用されるスティックバルーンが全員に配られた。

イベント冒頭で行われたのはファンミーティング。大阪府泉佐野市にて出演した、まめスパイダー氏をメインMCとして、SFリーガーであるどぐら選手、ACQUA選手、ひぐち選手、ネモ選手の4人に気になることを質問するコーナーだ。

ファンからは「宣材写真のポーズについての秘密」や「SFLの出場選手のオーダーの決め方」といったユーモアあふれる内容から「ザンギエフが舞の恰好をしていたらどう思いますか?」という無茶振りも。それに対してネモ選手は「それはやめてください(苦笑)。」と回答し、会場は笑いの渦につつまれた。


続いて会場にいるファンも参加できる5対5の団体戦が開催。北海道はネモ選手、大阪はどぐら選手が大将に、地域の実力をかけた熱いバトルが繰り広げられた。試合形式は2先で、勝利すれば1ポイント、大将のみ2ポイントが与えられるといったポイント制だ。
格闘ゲームを支え続けてきた古参格闘ゲーマーはもちろんのこと、北海道側は中学生という若きプレーヤーも出場。彼は『スト6』ならではのモダン操作を使用して、強さの指標であるMR(マスターレート)が2140というツワモノ。彼を副将においた陣形で対戦が行われた。

結果は大将戦までの激闘の末、5対1で北海道チームの勝利。各試合後にはゲストらから参加者にむけて試合のフィードバックも。特に副将を担当した参加者にひぐち選手は「ひとつひとつの動作がいい選択肢を採用しており、今後に期待できる。」という言葉が送られた。

対戦会であこがれのプロに挑戦!
地域対抗戦のあとはプロに挑戦する対戦会が行われた。くじびきで選出された参加者がオンラインではどぐら選手に、オフラインではACQUA選手、ひぐち選手、ネモ選手に1先勝負を挑んだ。各試合ともに画面の前で応援しているプロゲーマーのプレーに歓声が沸き、特に参加者側がラウンドを取得した際は歓声に加え会場で配られたスティックバルーンの音が響いた。

対戦会が終了したのちに、ICTパークではゲスト同士での対戦が行われた。試合形式は2先の総当たり式で合計3試合行われた。どの対戦でも普段画面で見ている細かい駆け引きや緻密かつ豪快なコンボが各選手の指から発せられ、そのひとつひとつに会場が沸いた。

最後にイベントを終えた出演者の皆さんにインタビューをする機会をいただいたので、その様子をお届けしよう。
——イベントおつかれさまでした。イベント全体についての感想をお願いします。
ACQUA:『スト6』で単純にeスポーツが盛り上がってるっていうのもありますが、全国的に地方でのイベントがすごく増えたなって思いました。
僕は広島のチームに所属しているので、中部とか四国とかで結構イベントがあるんですよ。今回のイベントも地元に負けず劣らずでとても良かったです。
ひぐち:ファンの方々が試合を見るだけじゃなくて、プレーする機会があったり、遠く離れた大阪の会場とコミュニケーションが取れたりと盛りだくさんなイベントでした。ほかのところでもこういうふうにやってほしいなって。あと会場のファンのみなさんがとても温かく迎えてくれたっていうのはすごくうれしかったです。
僕も地方に住んでいるのでこういった都心部から離れた地域のイベントは大好きです。またこういう機会でeスポーツの盛り上げに貢献できたらなと思いました。
ネモ:イベント全体として、やっぱり地方創生につながるいい活動だなと思いました。あまり北海道に来ることもなかったので、そういった面でもすごく楽しかったですね。
あと北海道と大阪というふたつの地域からそれぞれ参加するイベントで、各地域のファンが応援してくれるっていうのはすごく盛り上がりました。
今回はふたつの地域でやりましたが、もっともっといろんな地域含めて拡大していったらもっと面白くなるんだろうなと思います。
——今回イベント会場となったICTパークについての感想をお願いします。
ACQUA:元映画館っていうのもあって、イベントをするところに向いていると思いました。以前eスポーツ関連の会社に務めていた時も、映画館借りてイベントを開催したんですが、大きいスクリーンがあって、客席もちゃんとあって、座りやすい椅子もあって——。イベント会場としては最適なんじゃないかな。

ひぐち:僕もACQUAさんと同じ印象ですね。映画館の場所でイベントやるっていうのは初めてだったんですけど、ファンのみなさんが座って見られる部分はeスポーツイベントとのシナジーがあると思いました。
ネモ:とてもいい会場でした。あとはKOKUGEKIって名前がこく兄(こくにい、REJECT所属格闘ゲーム部門プロデューサー兼ストリーマー)さんに似てるなって(笑)。
——来場したファンのみなさんとオンラインオフライン両方で対戦するイベントでした。それぞれの形式での試合の感想をお願いします。
ACQUA:参加者の中でも初心者から上級者まですごい実力の幅はあったんですけど、とにかくレベルが高かったなと思いました。
オフラインでの対戦って隣り合ってできて、ファンも喜んでくれる気がするので、オフの対戦をもっとしたいなとも思いました。
ひぐち:今回のようなオンライン通じた別会場との対抗戦はすごくよかったです。
北海道サイドと大阪府サイドで分かれたからこそ、応援の熱がものすごく入っていたと思います。オフでいる人たちで対戦するのも盛り上がりますが、今回の対抗戦のような構図は、参加者全員が分かりやすくていいと思うし、会場を「つなぐ」ことの一番大きなメリットだと思いました。今後もこのような形式のイベントに参加したいと思いました。
ネモ:北海道対大阪府の対抗戦コーナーでは、やっぱり分かりやすく応援するファンがいてよかったです。プロに挑戦するみたいな企画は「もう参加者頑張れ! プロに勝て!」みたいな雰囲気があって(笑)。
ACUQA:我々も賞金首みたいになって(笑)。誰が先に負けるのか、みたいな。
ひぐち:それはそれで面白かった(笑)。

——SFLをはじめとする競技シーンと、今回のカジュアルな対戦会の違いについて教えてください。また、競技シーンとカジュアル大会でのそれぞれの楽しさについても教えてください。
ACQUA:そのふたつではまったく心もちが変わりますね。競技シーンでは競技者としてプレーをして、カジュアル大会ではファンサービスもありますが、いちプレーヤーとして自分も楽しみながらやっています。まったく別の目線でゲームをプレーしています。
ひぐち:競技シーンでは1回の勝敗で選手としての実績も関わってきて、ほかのことへの余裕がない状況にもなってしまいます。その反面、今回のようなみんなでワイワイやるイベントでは、普段あまりファンと話せない分、交流していきたいと思っています。
僕自身も話すのが好きなので、ファンとの交流を楽しんでいます。それを重視してイベントに参加して、その結果みなさんが楽しんでくれればいいなと思います。
ネモ:やっぱりSNSで「ネモさん強かった」っていうのを言ってほしいのでガチでやってます(笑)。
SNSで「大したことなかった」と言われちゃうときもあるので、そういうところもケアしつつ、どの対戦でもガチでいきます。
——2025年シーズンをどのような年にしたいか教えてください。ネモさんは結婚もあって心境の変化等もあると思います。
ネモ:ひさしぶりに「ストリートファイター」シリーズ以外のゲームもやろうと思っています。『餓狼伝説 City of the Wolves』であったり、『2XKO』であったり——。新規タイトルも挑戦していきたいと思いつつも、やっぱり『スト6』を中心に活躍したいと思っています。マルチゲーマーである自分のよさを生かして、今年は複数タイトルをやってみたいと思います。

——ひぐちさんはいかがですか。配信では自分の良さを残しつつ、ネモさんのような相手を見る力を鍛えたいと発言していました。
ひぐち:2年前に『スト6』がリリースされて今が全盛期ぐらいの盛り上がりをしているので、ありがたいことに今年も『スト6』で活動していけそうだと思っています。SFLを優勝したら世界大会の「カプコンカップ」に出られるとか、またサウジアラビアで開催される「eSports World Cup」とかもあるので、より結果が大事になってくると考えています。
今年は東京都内に引っ越して、オフ対戦の場所に顔を出して自分で考える力を鍛えたいです。オフ対戦は、みんながどういうふうに考えてプレーしているのかを聞くだけでも、少しずつ鍛えられると思っています。
もちろん、オンラインでも対戦はできますが、オフライン特有のちょっとした雑談がないのでそれも含めて(オフラインを通じて)実力をつけていきたいです。
——ACQUAさんはいかがですか。リーグだけでなく個人戦にもより力を入れたり、個人のメディア系を充実させたり、企画を考案して動かしていきたいと配信で発言するシーンもありました。
ACQUA:やっぱりそれらがメインですね。2024年はチームリーダーを担当してリーグ中心に活動をしたので、今年はチームメンバーにある程度任せつつ、リーグ以外のことも重点的にやりたいと思っています。
3月末に広島TEAMiXAで若手大会を開催しますが、それも僕から若手大会をしたいと言って実現することができました。選手活動は引き続き行いつつ、それ以外の面でもいろいろなことをやっていきたいと思います。
——最後に読者に向けてひと言お願いします。
ネモ:オフラインイベントに来ると同じ趣味を通した知り合いができたりします。それがすごく楽しくて(笑)。僕らも今、ゲームセンターの大会から発展して、その時ゲーセンで友だちと遊ぶのが楽しかったから、今こうしてプロゲーマーを続けらているのだと思います。
オンラインで配信見て楽しむのもすごくありだと思いますが、オフラインで知り合いと、その時のイベントでできた友人と一緒にこのチーム応援するとかもどんどんできてくると思います。ぜひ、一回もオフラインの場に来たことない人は足を運んでみてください。
ひぐち:オフラインのイベントに参加できると仲間できるなど、とかなかなかオンラインでは味わえない空気感とかも味わうことができるので、ぜひ来てほしいと思います。
地方に住んでいてイベントに参加するハードルが高い人もいると思います。だけど、今回のようにプロゲーマーが近くに来てくれるパターンが結構増えてきていると思うので、それをチャンスだと思ってぜひ来ていただけるとうれしいです。
それと同時に、イベントに行きたいけれどいろいろな理由で来られないファンもいると思います。そのようなときはぜひオンラインで引き続き応援してもらえるとすごくうれしいです。また、配信のコメントとかで気持ちを伝えてもらえるとすごく励みになります。
ACQUA:自分の好きなものや、好きな人が集まってくる空間ってとても素敵なものだと思います。オンラインだとオフラインに比べて味わいにくいところもあるので、オフラインイベントに行ったことない人はぜひ一度足を運んでもらいたいです。もしかしたら、いいことが起きるかもしれません。
また、今現在『スト6』のプロゲーマーたちは『スト6』が盛り上がってるからこそイベントがたくさんあって、超会いやすいと思います。今後どうなるかは分かりませんが、ゲームが盛り下がったら会いにくくなるかもしれないし、逆にもっと盛り上がっても会いにくくなる可能性もありますよね。今なら超チャンスだと思います。
——ありがとうございました
また、本イベントは配信がなかったからか、普段は見られないようなプロゲーマーの一面が見え隠れし、そのひとつひとつに会場が和んでいた。さらに、北海道での数少ないeスポーツイベントで、普段は動画や配信で参考にしているプロ選手らとふれ合える貴重さは言うまでもなく、その思い出はファンの心に残ったであろう。
本イベントが開催されたのは『ストリートファイター6』を盛り上げたプロ選手やストリーマー、そしてファンの功績であり、ネモ選手はこの盛り上がりを「格闘ゲームバブル」と表現した。このバブルをはじけさせないためにも、日本全国でイベントが開催され続けることを私は願う。
撮影:やくーし
編集:いのかわゆう
ICTパークとは
ICTパークは、旭川市にて一般社団法人大雪カムイミンタラDMOが運営するICT拠点である。若者の新たな可能性を引き出し、思い描いたことを形にできる「ICTの聖地」を目標として、旧旭川国民劇場に2021年2月7日(日)に誕生した。本イベントは、ICTパーク内にあるかつての映画館を最大限利用した180名まで収容可能な劇場型イベントホールKOKUGEKIを利用して開催された。

ICTパークは、旭川市にて一般社団法人大雪カムイミンタラDMOが運営するICT拠点である。若者の新たな可能性を引き出し、思い描いたことを形にできる「ICTの聖地」を目標として、旧旭川国民劇場に2021年2月7日(日)に誕生した。本イベントは、ICTパーク内にあるかつての映画館を最大限利用した180名まで収容可能な劇場型イベントホールKOKUGEKIを利用して開催された。

▲JR旭川駅から徒歩7分の場所にあるICTパーク。キーボードをモチーフにした看板が出迎えてくれる
北海道の格闘ゲーマーがICTパークに集結
本イベントには公式大会「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024(SFL: Pro-JP 2024)」に出場しているプロ選手が出演。憧れの存在であるリーガーを一目見ようと、北海道の格闘ゲーマーがICTパークに集った。東京から遠征するファンも見られ、年齢層も10代から60代までと幅広い。先着順で埋まる席の最前列をゲットするためか、たくさんのファンが開場時間前に列を作った。また、観客にはイベントでの対戦を応援するために使用されるスティックバルーンが全員に配られた。

▲開場前に1階から3階まである吹き抜けの階段がすべて埋まるほどの長蛇の列を作る観客たち。これだけでも本イベントの熱量が伝わってくる
ファンミーティングではSFリーガーの質問コーナーも
イベント冒頭で行われたのはファンミーティング。大阪府泉佐野市にて出演した、まめスパイダー氏をメインMCとして、SFリーガーであるどぐら選手、ACQUA選手、ひぐち選手、ネモ選手の4人に気になることを質問するコーナーだ。

▲スタパークのイベントゲストの5人。左から大阪府泉佐野市にある「eスタジアム泉佐野」に出演しているどぐら選手やまめスパイダー氏、旭川市「ICTパーク」に出演しているネモ選手、ひぐち選手、ACQUA選手
選手たちがお互いどのような印象を持っているかなど、数々のテーマについてゲストが笑いを交えながらトークは進み、後半は時間の許す限りファンからの質問にSFリーガーらが回答するシーンも。ファンからは「宣材写真のポーズについての秘密」や「SFLの出場選手のオーダーの決め方」といったユーモアあふれる内容から「ザンギエフが舞の恰好をしていたらどう思いますか?」という無茶振りも。それに対してネモ選手は「それはやめてください(苦笑)。」と回答し、会場は笑いの渦につつまれた。

▲ファンからの質問に答えるネモ選手。プロ選手に直接質問できるのはオフラインイベントならではの貴重な体験だ

▲ICTパークとeスタジアム泉佐野をモニターでつなぐ斬新な形式のファンミーティング。離れたふたつの会場が一体となって楽しめるのも本イベントの魅力
北海道と大阪のガチンコバトル!——地域対抗オンライン団体戦
続いて会場にいるファンも参加できる5対5の団体戦が開催。北海道はネモ選手、大阪はどぐら選手が大将に、地域の実力をかけた熱いバトルが繰り広げられた。試合形式は2先で、勝利すれば1ポイント、大将のみ2ポイントが与えられるといったポイント制だ。
格闘ゲームを支え続けてきた古参格闘ゲーマーはもちろんのこと、北海道側は中学生という若きプレーヤーも出場。彼は『スト6』ならではのモダン操作を使用して、強さの指標であるMR(マスターレート)が2140というツワモノ。彼を副将においた陣形で対戦が行われた。

▲参加したファンはステージに上がりバトルを繰り広げる。ネモ選手のアドバイスを受けながらチーム一丸となって対戦できるまたとない機会だ
結果は大将戦までの激闘の末、5対1で北海道チームの勝利。各試合後にはゲストらから参加者にむけて試合のフィードバックも。特に副将を担当した参加者にひぐち選手は「ひとつひとつの動作がいい選択肢を採用しており、今後に期待できる。」という言葉が送られた。

▲地域対抗戦に挑んだ参加者。今回は抽選により選ばれたので、だれでも参加できるチャンスがあったのだ
対戦会であこがれのプロに挑戦!
プロ同士の対戦に会場のボルテージは最高潮に!
地域対抗戦のあとはプロに挑戦する対戦会が行われた。くじびきで選出された参加者がオンラインではどぐら選手に、オフラインではACQUA選手、ひぐち選手、ネモ選手に1先勝負を挑んだ。各試合ともに画面の前で応援しているプロゲーマーのプレーに歓声が沸き、特に参加者側がラウンドを取得した際は歓声に加え会場で配られたスティックバルーンの音が響いた。

▲普段は画面の向こうにいる憧れのプロ選手たちと直接対戦。さすがプロといったテクニックに会場も湧き上がる。対戦後は、しっかりとアドバイスがもらえると言うのもうれしいポイントだ
対戦会が終了したのちに、ICTパークではゲスト同士での対戦が行われた。試合形式は2先の総当たり式で合計3試合行われた。どの対戦でも普段画面で見ている細かい駆け引きや緻密かつ豪快なコンボが各選手の指から発せられ、そのひとつひとつに会場が沸いた。

▲真剣な眼差しでモニターを見つめるひぐち選手とACQUA選手。リーガーの指さばきに会場は釘付けに
歴戦の選手らが考えるオフラインイベントならではの魅力とは——出演者インタビュー
最後にイベントを終えた出演者の皆さんにインタビューをする機会をいただいたので、その様子をお届けしよう。
——イベントおつかれさまでした。イベント全体についての感想をお願いします。
ACQUA:『スト6』で単純にeスポーツが盛り上がってるっていうのもありますが、全国的に地方でのイベントがすごく増えたなって思いました。
僕は広島のチームに所属しているので、中部とか四国とかで結構イベントがあるんですよ。今回のイベントも地元に負けず劣らずでとても良かったです。
ひぐち:ファンの方々が試合を見るだけじゃなくて、プレーする機会があったり、遠く離れた大阪の会場とコミュニケーションが取れたりと盛りだくさんなイベントでした。ほかのところでもこういうふうにやってほしいなって。あと会場のファンのみなさんがとても温かく迎えてくれたっていうのはすごくうれしかったです。
僕も地方に住んでいるのでこういった都心部から離れた地域のイベントは大好きです。またこういう機会でeスポーツの盛り上げに貢献できたらなと思いました。
ネモ:イベント全体として、やっぱり地方創生につながるいい活動だなと思いました。あまり北海道に来ることもなかったので、そういった面でもすごく楽しかったですね。
あと北海道と大阪というふたつの地域からそれぞれ参加するイベントで、各地域のファンが応援してくれるっていうのはすごく盛り上がりました。
今回はふたつの地域でやりましたが、もっともっといろんな地域含めて拡大していったらもっと面白くなるんだろうなと思います。
——今回イベント会場となったICTパークについての感想をお願いします。
ACQUA:元映画館っていうのもあって、イベントをするところに向いていると思いました。以前eスポーツ関連の会社に務めていた時も、映画館借りてイベントを開催したんですが、大きいスクリーンがあって、客席もちゃんとあって、座りやすい椅子もあって——。イベント会場としては最適なんじゃないかな。

▲イベントを楽しむACQUA選手。オンラインを通じた対戦もネット回線速度が快適で、大阪の会場にいるファンをモニター越しで見られる貴重な体験だったと本イベントの魅力を語っていた
ひぐち:僕もACQUAさんと同じ印象ですね。映画館の場所でイベントやるっていうのは初めてだったんですけど、ファンのみなさんが座って見られる部分はeスポーツイベントとのシナジーがあると思いました。
ネモ:とてもいい会場でした。あとはKOKUGEKIって名前がこく兄(こくにい、REJECT所属格闘ゲーム部門プロデューサー兼ストリーマー)さんに似てるなって(笑)。
——来場したファンのみなさんとオンラインオフライン両方で対戦するイベントでした。それぞれの形式での試合の感想をお願いします。
ACQUA:参加者の中でも初心者から上級者まですごい実力の幅はあったんですけど、とにかくレベルが高かったなと思いました。
オフラインでの対戦って隣り合ってできて、ファンも喜んでくれる気がするので、オフの対戦をもっとしたいなとも思いました。
ひぐち:今回のようなオンライン通じた別会場との対抗戦はすごくよかったです。
北海道サイドと大阪府サイドで分かれたからこそ、応援の熱がものすごく入っていたと思います。オフでいる人たちで対戦するのも盛り上がりますが、今回の対抗戦のような構図は、参加者全員が分かりやすくていいと思うし、会場を「つなぐ」ことの一番大きなメリットだと思いました。今後もこのような形式のイベントに参加したいと思いました。
ネモ:北海道対大阪府の対抗戦コーナーでは、やっぱり分かりやすく応援するファンがいてよかったです。プロに挑戦するみたいな企画は「もう参加者頑張れ! プロに勝て!」みたいな雰囲気があって(笑)。
ACUQA:我々も賞金首みたいになって(笑)。誰が先に負けるのか、みたいな。
ひぐち:それはそれで面白かった(笑)。

▲イベントにて笑いながら質問に答えるひぐち選手
——SFLをはじめとする競技シーンと、今回のカジュアルな対戦会の違いについて教えてください。また、競技シーンとカジュアル大会でのそれぞれの楽しさについても教えてください。
ACQUA:そのふたつではまったく心もちが変わりますね。競技シーンでは競技者としてプレーをして、カジュアル大会ではファンサービスもありますが、いちプレーヤーとして自分も楽しみながらやっています。まったく別の目線でゲームをプレーしています。
ひぐち:競技シーンでは1回の勝敗で選手としての実績も関わってきて、ほかのことへの余裕がない状況にもなってしまいます。その反面、今回のようなみんなでワイワイやるイベントでは、普段あまりファンと話せない分、交流していきたいと思っています。
僕自身も話すのが好きなので、ファンとの交流を楽しんでいます。それを重視してイベントに参加して、その結果みなさんが楽しんでくれればいいなと思います。
ネモ:やっぱりSNSで「ネモさん強かった」っていうのを言ってほしいのでガチでやってます(笑)。
SNSで「大したことなかった」と言われちゃうときもあるので、そういうところもケアしつつ、どの対戦でもガチでいきます。
——2025年シーズンをどのような年にしたいか教えてください。ネモさんは結婚もあって心境の変化等もあると思います。
ネモ:ひさしぶりに「ストリートファイター」シリーズ以外のゲームもやろうと思っています。『餓狼伝説 City of the Wolves』であったり、『2XKO』であったり——。新規タイトルも挑戦していきたいと思いつつも、やっぱり『スト6』を中心に活躍したいと思っています。マルチゲーマーである自分のよさを生かして、今年は複数タイトルをやってみたいと思います。

▲イベントにて観客からの質問に答えるネモ選手
——ひぐちさんはいかがですか。配信では自分の良さを残しつつ、ネモさんのような相手を見る力を鍛えたいと発言していました。
ひぐち:2年前に『スト6』がリリースされて今が全盛期ぐらいの盛り上がりをしているので、ありがたいことに今年も『スト6』で活動していけそうだと思っています。SFLを優勝したら世界大会の「カプコンカップ」に出られるとか、またサウジアラビアで開催される「eSports World Cup」とかもあるので、より結果が大事になってくると考えています。
今年は東京都内に引っ越して、オフ対戦の場所に顔を出して自分で考える力を鍛えたいです。オフ対戦は、みんながどういうふうに考えてプレーしているのかを聞くだけでも、少しずつ鍛えられると思っています。
もちろん、オンラインでも対戦はできますが、オフライン特有のちょっとした雑談がないのでそれも含めて(オフラインを通じて)実力をつけていきたいです。
——ACQUAさんはいかがですか。リーグだけでなく個人戦にもより力を入れたり、個人のメディア系を充実させたり、企画を考案して動かしていきたいと配信で発言するシーンもありました。
ACQUA:やっぱりそれらがメインですね。2024年はチームリーダーを担当してリーグ中心に活動をしたので、今年はチームメンバーにある程度任せつつ、リーグ以外のことも重点的にやりたいと思っています。
3月末に広島TEAMiXAで若手大会を開催しますが、それも僕から若手大会をしたいと言って実現することができました。選手活動は引き続き行いつつ、それ以外の面でもいろいろなことをやっていきたいと思います。
——最後に読者に向けてひと言お願いします。
ネモ:オフラインイベントに来ると同じ趣味を通した知り合いができたりします。それがすごく楽しくて(笑)。僕らも今、ゲームセンターの大会から発展して、その時ゲーセンで友だちと遊ぶのが楽しかったから、今こうしてプロゲーマーを続けらているのだと思います。
オンラインで配信見て楽しむのもすごくありだと思いますが、オフラインで知り合いと、その時のイベントでできた友人と一緒にこのチーム応援するとかもどんどんできてくると思います。ぜひ、一回もオフラインの場に来たことない人は足を運んでみてください。
ひぐち:オフラインのイベントに参加できると仲間できるなど、とかなかなかオンラインでは味わえない空気感とかも味わうことができるので、ぜひ来てほしいと思います。
地方に住んでいてイベントに参加するハードルが高い人もいると思います。だけど、今回のようにプロゲーマーが近くに来てくれるパターンが結構増えてきていると思うので、それをチャンスだと思ってぜひ来ていただけるとうれしいです。
それと同時に、イベントに行きたいけれどいろいろな理由で来られないファンもいると思います。そのようなときはぜひオンラインで引き続き応援してもらえるとすごくうれしいです。また、配信のコメントとかで気持ちを伝えてもらえるとすごく励みになります。
ACQUA:自分の好きなものや、好きな人が集まってくる空間ってとても素敵なものだと思います。オンラインだとオフラインに比べて味わいにくいところもあるので、オフラインイベントに行ったことない人はぜひ一度足を運んでもらいたいです。もしかしたら、いいことが起きるかもしれません。
また、今現在『スト6』のプロゲーマーたちは『スト6』が盛り上がってるからこそイベントがたくさんあって、超会いやすいと思います。今後どうなるかは分かりませんが、ゲームが盛り下がったら会いにくくなるかもしれないし、逆にもっと盛り上がっても会いにくくなる可能性もありますよね。今なら超チャンスだと思います。
——ありがとうございました
———
数多くの格闘ゲームファンが集い、プレーに熱狂した「スタパーク」。筆者はふたつの都市をつなぐ新しいイベント形態に驚くとともに、約1,200キロメートルも離れたゲストやファンとまるで同じ場所にいるような感覚と、その温かさを感じた。また、本イベントは配信がなかったからか、普段は見られないようなプロゲーマーの一面が見え隠れし、そのひとつひとつに会場が和んでいた。さらに、北海道での数少ないeスポーツイベントで、普段は動画や配信で参考にしているプロ選手らとふれ合える貴重さは言うまでもなく、その思い出はファンの心に残ったであろう。
本イベントが開催されたのは『ストリートファイター6』を盛り上げたプロ選手やストリーマー、そしてファンの功績であり、ネモ選手はこの盛り上がりを「格闘ゲームバブル」と表現した。このバブルをはじけさせないためにも、日本全国でイベントが開催され続けることを私は願う。
撮影:やくーし
編集:いのかわゆう
【やくーし プロフィール】

あらゆるゲームジャンルを愛する道産子。PCゲーム遍歴は『Minecraft』、『Apex legends』と続き、現在は『VALORANT』にハマっている。たまにコスプレをすることも。イベントで海外選手と友だちになってから英語力の大切さを痛感し、たくさんの人とつながるために日々勉強中。
X:@potstudio0206

あらゆるゲームジャンルを愛する道産子。PCゲーム遍歴は『Minecraft』、『Apex legends』と続き、現在は『VALORANT』にハマっている。たまにコスプレをすることも。イベントで海外選手と友だちになってから英語力の大切さを痛感し、たくさんの人とつながるために日々勉強中。
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