「ファンの応援を背中で感じることができた」さいたまスーパーアリーナ」での大快挙!【NORTHEPTION Blackwiz選手インタビュー】

1年を通して世界一を決める『VALORANT』の公式大会「VALORANT Champions Tour」(以下、「VCT」)。国際大会への切符を手に入れる日本代表決定戦「Stage2 Challengers Japan Playoff Finals」が2022年6月25日(土)、26日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催された。


両日ともチケットは完売で会場に多くのファンが集まり、26日(日)に開催された決勝戦では、前回の国際大会で世界3位をものにしたZETA DIVISON(以下、ZETA)と、北海道を拠点とする期待の新星NORTHEPTION(以下、Nth)が激突。多くのファンが見守る中、日本一、そして国際大会への切符を手にしたのはNthに!

今回もZETAの優勝は盤石かと思われていた中、ジャイアントキリングを起こした。

▲左からbail(ばいる)コーチ、xnfri(ぜんふ)選手、JoXJo(じょじょ)選手、Meteor(めてお)選手、Derialy(でりありー)選手、Blackwiz(ぶらっくうぃず)選手

今回は、そんな初めてのオフライン、そして初めての大舞台での試合を戦い抜いたNthのリーダー、Blackwiz(ぶらっくうぃず)選手に独占インタビュー。初めて経験したオフラインでの試合について、また来月開催されるデンマークはコペンハーゲンでの国際大会についての意気込みを語っていただいた。

▲Blackwiz(ぶらっくうぃず)選手

普段からの練習が結果へとつながった!
リベンジマッチのZETA戦


——お久しぶりです。こうしてオフラインでインタビューするのははじめてですね。日本一、そして国際大会への出場権獲得おめでとうございます!


Blackwiz選手(以下、Blackwiz):お久しぶりです。ありがとうございます!

——昨日の試合ではZETAに負けてしまい、敗者復活戦からのリベンジとなった訳ですが、今回リベンジに当たって取り組んで来たことはありますか?

Blackwiz:ZETAだけを意識することなく、どのチームにも戦えるように普段から練習をしてきました。今回は、その結果が出せたんじゃないかなと思っています。

——なるほど。特にZETAだからという対策をしていたわけではなかったんですね。今回Blackwiz選手のプレイを見て感じたのは、ラークやディフェンダーサイドながらも前に出る強気なプレイが印象的でした。ああいう単独行動の際、どのように考えながら動いているのでしょうか?

※ラーク:単独行動を取りエリアを広げて情報を集めること。もちろん単独行動になるため正面から見つかった場合はキルされやすく、ハイリスクハイリターンな立ち回りである

Blackwiz:味方から、どこかのサイドに敵が多いという情報をもらえたら、反対サイドで取れるエリアを広げて味方にもっと多い情報を与えられるように意識しています。

味方からもらった情報のあとは個人の判断で動いていますね。

——そうなると、結構ドキドキしながらのプレイになるんじゃないですか?

Blackwiz:そうですね。僕はずっとメンタル削られながら戦ってました(笑)。

——4マップ目のアセントでは、スパイク設置後ひとりでBサイトを守り抜くシーンもありましたよね。JoXJo選手の合流を待ちながらもひとりで時間を稼いでいたシーンは印象的でした。

▲スパイク設置後味方が次々にキルされていく中、スパイク解除をさせまいとアビリティーを駆使して時間を稼ぐBlackwiz選手。アビリティの管理も難しいアストラというエージェントを使用しながらも、エコラウンド(装備武器が弱いラウンド)での撃ち合いも光るラウンドだ(https://www.youtube.com/watch?v=W92taElCJdE&t=18614s

Blackwiz:あのラウンドは、僕がキルされたら絶対負けてしまうので「JoXJoが来るまで絶対耐えるんだ!」って気持ちで、ずーっと我慢して我慢して——。1キル取った後JoXJoが来てくれたので「あぁ……間に合ったぁ……」って感じでした(笑)。

——いやぁ、あれは見ている方もヒヤヒヤでしたよ(笑)。ヒヤヒヤといえばヴァイパーでの立ち回りです。「ヴァイパーズピット」を展開したときは、展開した側のサイトを守りきらなければならないというプレッシャーがあると思います。その中でキルも取らなければならないというふたつの責任がある中、どのように判断して攻めたり守ったりしているのでしょうか?

▲Blackwiz選手の得意エージェントであるヴァイパーのアルティメットスキル「ヴァイパーズピット」は、自身の周囲に毒霧を発生させる。自身が毒霧の中にいる間は毒が晴れることはないため、毒の中に居続けることも重要となる。逆にキルされてしまうと毒霧が晴れて敵に進攻のチャンスを与えてしまうため、非常に重要なポジションとなる(https://youtu.be/W92taElCJdE?t=7241

Blackwiz:僕がヴァイパーを使っていることはチームからも信頼されていてので、自分がヴァイパーを使っている以上、ここで負けるわけにはいかないという気持ちで戦っています。基本は強気ですね。

あと、敵にヴァイパーを使われた時「ヴァイパーズピット」内を通りたくないという気持ちが多いので、「絶対に通さないぞ!」っていう固い意志を持って守っています。

——とにかく強気が大切という感じですね!

ホワイトノイズによる情報共有の難しさを感じた初めてのオフライン


——今回、はじめてのオフライン大会ということでしたが、どのような点で環境の違いを感じましたか? 例えばホワイトノイズによるプレイスタイルの変化とか——。

Blackwiz:実はホワイトノイズによる環境の違いってものすごくあって、いつもやっているゲーム音が100だとすると、20とか10くらいしかゲーム音が聞こえなくなるんです。VCも足音も聞こえないしで大変でした……。

▲試合前にAK RacingのゲーミングチェアでリラックスするZETAのLaz選手。ホワイトノイズの流れるヘッドフォンをしているせいか、実況の呼びかけやバルーンの音に気づかないシーンも(https://youtu.be/W92taElCJdE?t=3876

——なるほど。だから観客では足音が聞こえるシーンでも、敵に気づかずやられてしまうシーンなんかもあったんですね。

Blackwiz:そうですね。端から見たら「こいつなにしとんねん」っていうようなシーンっていくつかあったと思うんですけど、僕らはいつもとやっている環境が違いすぎて、別物のゲームをプレイしているような気分でした。

——そこまでの違いがあったんですね。となると普段の練習もゲーム音を下げてプレイするというオフライン大会に備えた練習方法も必要になりそうですか?

Blackwiz:普段の練習は特に考えてはいませんが、今回のようにオフラインでの経験を生かして、オフラインではもっとアグレッシブに戦ってもいいのかなとは感じましたね。

——実際に大勢のファンの前でプレイしてみていかがでしたか?

Blackwiz:いつも配信を見てコメントをしてくれるファンの皆さんからも力をいただいていますが、自分たちがいいプレイをした時に、ファンの皆さんがバルーンを叩いてくれるのは、そういう応援を肌で感じられる感覚でした。

いつももらっているコメントや応援を背中で感じることができるのは、とても気持ちのいい環境でしたね!

——Blackwiz選手の表情が試合を重ねるごとに、どんどん凜々しくなっていくというか、勝負師の顔になっていくというか——。ものすごくオーラが出てきているようにも感じていました。どの辺で勝利が迫ってくるプレッシャーを感じましたか?

Blackwiz:僕のコンディションがチームの中で一番悪くて、メンタル的にも「ここで負けたらどうしよう……、自分のせいで負けたらどうしよう……」っていうのがものすごくありました。

試合自体はものすごく楽しかったんですが、実際本当に楽しめていたのかがわからなってきていました。ずっと「足を引っ張らないように」ってめちゃめちゃ意識していたので、そういった意味で表情が固くなってしまったのかも(笑)。

——なるほど。勝負師の顔に見えたというのは実は固くなっていただけだったとは!(笑)そういえば、大会の前にはREJECTのゲーミングベースで練習されていたというのをTwitterで拝見しました。


Blackwiz:東京に到着した時、ネットカフェで練習するか、練習できないまま大会に出場するかという選択を迫られていた中、REJECTの甲山オーナーのご厚意でゲーミングベースを貸していただけました。

練習時間が取れたという部分でももちろん大きな支えになりましたが、REJECTもプレイオフまで残っていて、本当は自分たちが行きかった「さいたまスーパーアリーナ」の地に行く敵チームに「がんばってくれ」っていいながら、練習場所を提供してくれた甲山オーナーの懐の広さや、REJECTの皆さんの温かい応援という練習以上のエールをもらえたことが、ものすごく力になりました。

——REJECTの温かさを感じることができる一面ですね。最後に、ファンに向けてのひとこと、コペンハーゲンで開催されるMastersへの意気込み、そして大輪オーナーにむけてひとことお願いします!

Blackwiz:ファンの皆さん、いつも応援ありがとうございます。ファンの皆さんのおかげでここまで来られたので感謝しています。これからも国際大会でもがんばるので応援よろしくお願いします!

またZETAが前回世界3位という偉業を成し遂げ、日本の『VALORANT』シーンに勇気を与えてくれました。僕らもそれに続いてZETA以上の快挙を果たせたらと思っています。

そして大輪オーナー。Stage1のインタビューで「僕がオーナーを世界に連れて行くんだ!」ってでかい口叩いて、「結局ステージ1で世界行けなかったやーん!」って思っていたかも知れないけど、Stage2というこんなにも早いタイミングでオーナーを世界に連れて行けることができました。僕が所属しているうちにオーナーを世界に連れて行けることができて本当にうれしいです!

——ありがとうございました! ちなみに昨日のDay1では眼鏡をかけていて、今日のDay2では眼鏡を外していましたね。あれは何か原因があったのでしょうか?

Blackwiz:ぶっちゃけた話を言うと、昨日お母さんと妹を招待したんですが、妹から「お兄ちゃん眼鏡似合ってない」って言われて、「はぁ、じゃあ外すしかないか……」ってなって外しました(笑)。

視力は0.3くらいはあるんで、見えるは見えるんですけど……。

——今日のコンディションが悪かった理由ってまさか……(笑)。北海道と比べて東京の気温ってどのように感じましたか?

Blackwiz:会場内は涼しくて大丈夫でしたが、外は比べものにならないくらい暑いですね。北海道は長袖でも肌寒いくらいなんで……(笑)。

——ありがとうございました!

———

NORTHEPTIONは『VALORANT』部門が再編成される前から、ダークホース的な立ち位置で注目されていた。そして、SugarZ3ro選手、TENNN選手はZETAへ、Astell選手とMeiy選手、Seoldam選手はCrazy Raccoonへと移籍となり、新メンバーで再結成されたのが今のNORTHEPTIONだ。

「NORTHEPTIONを踏み台にして、いいチームに入れよ」という大輪オーナーの気持ちをいい意味で裏切った今回の快挙。

会場で「大輪さん、これで世界に行けますね!」と声をかけると「うれしい♪」とお茶目な姿も見せてくれた大輪オーナー。そんなオーナーだからこそ、ここまで温かく強いチームができたのではないだろうか。


そして忘れてはならないのが、韓国人選手の通訳を担うJUINさんだ。ゲームにも詳しくプレイヤー目戦の通訳ができるため、選手にとってもよりよいコミュニケーションが取れるのは彼女のおかげだと言っても過言ではない。

▲左からJUIN(じゅいん)さん、Meteor(めてお)選手、JoXJo(じょじょ)選手

また、気になったのはホワイトノイズ問題。対戦チームの声が聞こえないようにといった配慮から来るものだとは思うが、ここまでプレイに支障がでてしまうのであれば、何か違った対策ができないのかとも感じた。まだまだコロナの影響は大きく、オンラインとオフラインが混合した試合は続くと思うと、デスクの高さや幅などといった環境のレギュレーションも統一できれば、よりよいパフォーマンスで選手たちが活躍できるのではないだろうか。

そして来月はいよいよ、国際大会「Stage2 Masters」がデンマークはコペンハーゲンで開催される。過去のBlackwiz選手のインタビューや大輪オーナーへのインタビューもぜひ読んでみてほしい。

よりいっそう彼らへの期待が高まるはずだ。

「僕たちがオーナーを世界に連れて行くんだ!」期待の新星NORTHEPTION【 BlackWiz選手インタビュー】:
https://esports-world.jp/interview/18425

「とにかく声を掛け合うことが勝利へとつながった」【NORTHEPTION BlackWiz選手インタビュー】:
https://esports-world.jp/interview/19948

僕を世界に連れていって!【NORTHEPTIONオーナー 大輪和広氏インタビュー】:
https://esports-world.jp/interview/17378

BlackWiz選手Twitter:
https://twitter.com/BlackWiz_csgo

配信アーカイブ
Twitch:
https://twitch.tv/valorant_jpn

YouTube:
https://youtube.com/c/VALORANTjp

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【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。

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