『スーパーストリートファイターII X』の5on5大会「カケルゴ2019」レポート、来場者は200人超!

2019.5.24 井ノ川結希(いのかわゆう)
『スーパーストリートファイターII X』のコミュニティイベント「カケルゴ(x5)」が、2019年5月4日(土)〜5日(日)に埼玉県新座市にあるゲームセンター「デイトナ志木」で行われた。

当イベントは1994年に稼働を開始したアーケードゲーム『スーパーストリートファイターII X』(以下、スパII X)の5on5(5対5)のチームバトルとなっている。

先述したように『スパII X』は25年前の1994年稼働のタイトル。それでも会場には多くの選手や観客が集まり、白熱した戦いが繰り広げられた。



カケルゴ(x5)とは

「カケルゴ(x5)」は毎年5月に行われる『スパII X』のコミュニティイベントで、5人1組になって優勝を目指すチーム戦形式の大会だ。25年前のタイトルでありながらも、地方や海外からも参加者が訪れるなど、『スパII X』好きのプレイヤーの交流の場としても非常に人気のあるイベントなのだ。


会場は、埼玉県新座市にあるゲームセンター「デイトナ志木」。ゲームセンターを貸切にしてほとんどの筐体が『スパII X』の対戦台になるという、まるでタイムマシンで25年前に戻ったかのような光景を楽しめるのも魅力のひとつだ。

▲試合で使う筐体以外も『スパII X』だらけ。ところせましとプレイヤーがひしめき合い、対戦台は野良試合でフル稼働していた

「カケルゴ(x5)」の魅力はそれだけではない。大会に参加するプレイヤー層が幅広いというのも魅力のひとつだ。25年前のタイトルということで、もちろん当時からプレイしているガチ勢もいれば、海外で活躍されている海外勢、ここ最近プレイを始めたというライト層に、ひとりではちょっと参加しづらそうな女性プレイヤーも数多く参加されている。

もちろんトーナメント方式の大会なので優勝を目指すという目的はあるものの、ある種お祭り騒ぎのように「みんなで『スパII X』を楽しもう!」という主催者のコンセプトが垣間見える。このイベントを通じて仲良くなったプレイヤー同士が1年ぶりに再開して、つもる話で盛り上がっていたり、SNSを通じてオンライン上で知り合ったプレイヤー同士が顔合わせで仲良くなったりと、対戦だけでなくプレイヤー同士のコミュニケーションの場としても、楽しめる空間がそこにはあった。

有志の協力のもと復活を果たした「デイトナ志木」

ここで会場となった「デイトナ志木」について少し説明しよう。デイトナ志木は老舗のゲームセンターとして多くのファンに愛されていたが、コンシューマー機によるオンライン対戦の充実や、スマートフォンアプリによるゲームの多様化によりゲームセンターは年々減少に。そしてデイトナ志木もその影響からか2015年1月に閉店してしまったのだ。


しかし、このゲームセンターを復活させるべく、板橋区のゲームセンター「ゲームニュートン」の代表で、格闘ゲームイベントなどを数多く主催する松田泰明氏が「デイトナ志木復活プロジェクト」を立ち上げ、再建に向けて動き始めた。

その結果多くのスポンサーが集まり、デイトナ志木は見事復活! 多くのゲームファンによって支えられ今のデイトナ志木があるのだ。

▲支援者を讃えるビッグフラッグが店内に掲げてある。有名企業やプロゲーマーなど数多くのファンに支えられていることがこのフラッグからもわかる

そんなデイトナ志木では、「カケルゴ(x5)」以外にもさまざまなタイトルの大会やフリープレイ対戦会などのイベントが数多く開催されている。興味のある人はデイトナ志木公式Twitterを確認してみよう。

デイトナ志木公式Twitter:https://twitter.com/Daytona_Shiki


同じキャラを使うプレイヤー同士が仲良くなれる前夜祭

「カケルゴ(x5)」は本戦の前日に前夜祭と呼ばれる大会が行われる。この前夜祭も「カケルゴ(x5)」の魅力のひとつで、使用キャラが同じ者同士でチームを組んでチーム戦を行うという特殊なルールなのだ。

▲倒しても倒しても同じキャラを相手にしなければならない。キャラは同じでもプレイスタイルによって、対応もさまざまになるので、そういう視点で観戦するのも面白い

例えば使用キャラがリュウの場合はリュウチームに、使用キャラが春麗の場合は春麗チームに入ることになる。チームに人数制限はないので、同じキャラを使うプレイヤーが多ければ多いほどチームの戦力が上がるのだ。チームメンバーはみな同じキャラを使うため、そのキャラの攻略やテクニックなどを共有したり、相手チームのキャラの対策を教えてもらったりと自然とチームワークが取れるのもこの前夜祭の醍醐味だ。


全国各地のプレイヤーがデイトナ志木に集結!

2019年度の「カケルゴ(x5)」は事前エントリー34チーム、当日予選4チームの全38チームが参加。総勢190名と非常に多くのプレイヤーが集まった。今年はシカゴからはるばる参加したプレイヤーもいるなど、本イベントの人気を改めて思い知らされた。

ではここで、決勝のグランドファイナルのレポートをお届けしよう。決勝グランドファイナルに残ったのは、どうぶつおとしと、フジモンハンの2チーム。チーム構成は下記の通りだ。

■どうぶつおとし(プレイヤー名/キャラ名)
機械/ガイル
カワマタ/リュウ
カワシム/ダルシム
ヒデ/春麗
ちょーしゅー/ケン

■フジモンハン(プレイヤー名/キャラ名)
オペマイ/バルログ
四代目/Sサガット
タマシマ/バイソン
博士/ダルシム
cloiwan/本田

一試合目は機械/ガイル対、cloiwan/本田。キャラ的には機械選手の方が有利ではあるが、一発逆転を秘めつつ、飛び道具をうまくかわしてプレッシャーを与えていくcloiwan選手。しかし迫りくる本田の飛びを裏拳や大足払いとうまく対空を使い分けて追い返して機械選手がcloiwan選手を破った。

▲本田のジャンプ攻撃に合わせてガイル側も対空を選ばなければならない。その辺も冷静に判断する機械選手のテクニックが光る

機械/ガイルに挑むフジモンハンチーム。ふたりめのプレイヤーは博士/ダルシムだ。ダルシムと言えばガイルの天敵でもあり、これはキャラを被せて有利な展開を持っていくという作戦。やはりそこはダルシムといったところで、ガイルを近づけさせず得意な中間距離で冷静に対処。博士選手が一本取り返した。

▲ガイルの飛び道具を交わしつつカウンターで反撃ができるダルシムのしゃがみパンチ。これがガイルにとって非常にやっかいなのだ

対するどうぶつおとしチームが選んだ二人目はヒデ/春麗。春麗は天敵の少ないダルシムと互角に戦える数少ないキャラだ。ここはなんとしても博士選手のダルシムを倒しておきたいところだ。春麗側が気をつけたいのはダルシムのドリルキックからの投げを絡めた択なのだが、これをヒデ選手は冷静に対処。博士選手に一本取られてヒヤッとした場面もあったが、そこはやはり春麗。ヒデ選手に軍配が上がる。

▲ドリルキックはドリル頭突きを冷静に平手や百烈キックで反撃していく。相手の行動をよく見た反応で博士選手に有利な状況を作らせなかったのが勝因か

拮抗する戦いが続き、フジモンハンチームが選んだのはオペマイ/バルログ。トリッキーな動きで相手を翻弄するバルログは非常に強キャラでもあるが、春麗なら十分戦えるポテンシャルは持っている。しかしながら、オペマイ選手がバルセロナアタックでヒデ選手の反撃を誘って反撃というテクニックがさく裂してオペマイ選手の勝利。

▲起き上がりにバルセロナアタックを重ねられると、ガード方向がわからずそのまま倒されてしまうこともしばしば。ヒデ選手はリバーサルで反撃に出るが、オペマイ選手はそれを読んでいた

残り3人となったどうぶつおとしチームが選んだ4人目はちょーしゅー/ケン。キャラ的にはバルログが有利だが、ちょーしゅー選手の神業とも言える反応がさえわたり、強敵バルログを撃沈。これは大きな一本だ!

▲高速で飛んでくるバルログのスカイハイクロー。これを反撃するのはなかなか難しいのだが、ちょーしゅー選手はしっかりと昇竜拳で反撃。これが勝利への一撃となった。神がかった反撃に会場のボルテージは一気にアップ!

フジモンハンも残りふたりとなったところで登場したのが四代目/Sサガット。Sサガットは『スパⅡ X』の前作『スーパーストリートファイターⅡ』で登場したキャラで、隠しコマンドを入力することで使用が可能になるキャラ。通常のサガットとは異なり、飛び道具のスキがほとんどなく、各攻撃の判定も強くなっているなど、こちらもかなりの強キャラだ。同じ飛び道具を持つケン相手にも臆することなくタイガーショットを連発した四代目選手があっさりと勝利を収める。

▲とにかくタイガーショットが異常に速い。垂直ジャンプで避けたところでまた新しいタイガーショットが目の前まで飛んでくるのでなかなか反撃に出られないのだ

厳しい状況を強いられるどうぶつおとし。続けて登場したのはカワシム/ダルシム。ダルシムはドリル攻撃で空中の軌道を瞬時に変えられるため、サガットの飛び道具をかいくぐって攻めに行きやすい点はあるものの、前の戦いで十分暖まっている四代目選手が連勝。

▲反撃のチャンスはあったものの、急降下で攻めてくるダルシムのドリル頭突きも難なく反撃する四代目選手。こうなってしまうとダルシムは手も足も出ない状態だ

いよいよあとがなくなったどうぶつおとし。最後は大将カワマタ/リュウの登場。カワマタ選手はサガットのタイガーショットを昇竜拳でかわすなどして反撃のチャンスをうかがっていくが、四代目選手の勢いは止められない。怒濤のタイガーショット連発でカワマタ選手を圧倒。フジモンハンチームが優勝となった。

▲サガットは上下のタイガーショットを使い分けることも重要なポイント。相手が竜巻を使ってくるタイミングで上タイガーショットを撃てるのはさすがだ

「皆さんの期待に応えられてよかった」と四代目選手。また、別の『スパⅡ X』の団体戦も自分の力で優勝したいとさらなる高みを目指す

こうして「カケルゴ(x5)」もアツイ『スパⅡ X』ファンに見守られながら無事閉幕。大会が終わったあとも、野良試合を楽しむプレイヤーもいるなど『スパⅡ X』の人気には驚かされた。

「気軽に楽しめる『スパII X』を開きたかった」
主催者Mつんさんにインタビュー

最後に、イベントの合間を縫って、主催者であり出場選手でもあるMつん(まっつん)さんにインタビューをすることができたのでその内容をお届けしよう。

――「カケルゴ(x5)」を開催したきっかけとは?

Mつん氏(以下、Mつん):『スパII X』の5on5(5対5)のチームバトルは2005年の頃から毎年やっていて、もともとは今年3月に行われた「ストフェス」の主催者でもあるジャイさんが主催していました。

しかし、仕事などでジャイさんの環境が変わり大会を担当することが難しくなったということもあり、ほかの人間が大会を引き継いで来たのがひとつのきっかけですね。

僕が運営側になったのは2015年の5on5の大会で、その時に『スパII X』の「X(エックス)」と、5on5の「5」を組み合わせて「カケルゴ(x5)」という名前にしました。

――『スパII X』は25年前のタイトルと随分古いタイトルになりますが、大会を開くほどの人気があるのはなぜだと思いますか?

Mつん:単純明快なシステムで、負けた原因が自分にあるというのが明確にわかるところだと思います。実際に大会の出場人数は毎年増えてきていて、海外からはるばるやってくる選手や、『ストリートファイターV』や『ストリートファイター IV』を経て『スパII X』をプレイし始める若い子もいたりと、新規のプレイヤーも増えてきています。

もちろん『スパII X』が古いタイトルということもありますが、ここまで大会が続いているタイトルもないと思うので、ギネス申請したいくらいです(笑)。

――Mつんさんはカケルゴ(x5)をはじめ『スパII X』の大会を多数主催しているとのことですが、大会を開催するにあたっての悩みや苦労などはありますか?

Mつん:各大会で大体何人くらい集まるのかというのが早めにわからないと、筐体を何台用意しなければならないとか、トーナメントは何ブロックにすればいいのかとか、大会の時間配分とかが決められないのが難しいところですね。

なので、出場する選手のみんなにはなるべく早くにエントリーしてほしいとは頼んでいるのですが、まあいつもギリギリにならないとエントリーしない人とかいて苦労します(笑)。

――やっぱり理想は日程が決まったらすぐにエントリーしてほしい?

Mつん:日程が決まったらというか、日程が決まる前にエントリーして欲しいですね。どうせやるのわかってるんだから(笑)。

というのは冗談ですけど、やっぱりなるべく早くにエントリーしてもらえると助かります。まあでも、最近は運営側も参加者も大会自体に慣れてきたのもあって、みんな協力的なので大分楽になりました。

▲参加者のなかには差し入れを持ってきてくれる人も。こうやって運営側と参加者が一体となって大会を支え合っているのは、コミュニティが確立している証しとも言える

――Mつんさんといえば、今年4月にテキサスで行われた「Spring Series 2019」に出場するなど、選手としても活躍なさっていますが、昨今日本で盛り上がりを見せているeスポーツに対してどのような考えをお持ちですか?

Mつん:日本のeスポーツはなにを持ってeスポーツとしているのか、定義がはっきりしていないこともあり、eスポーツについて懐疑的な部分を持っているプレイヤーも少なくないと思います。

普通のゲーム大会とeスポーツの大会の違いはなんなのか、その辺をしっかりしないと、eスポーツを否定している中高年の方々を納得させるのは難しいとは思いますね。実際プロで活躍しているプレイヤーは画面の外でも肉体的なトレーニングをしたり、ゲームの内容について研究したりしている。そういう部分を見てもらうことも大切なんじゃないかなと。

▲2019年4月14日テキサスで行われた「Spring Series 2019」。Mつん氏はケンで4位の成績を収めるなどプレイヤーとしての実力も折り紙つき


――最後に主催者としてプレイヤーに向けてひとことお願いします!

Mつん:今回は北は北海道、南は沖縄と全国各地はもちろん、海外からの遠征組も来てくれて大変充実した大会になりました。

参加してくれたプレイヤーはみんな「カケルゴ(x5)」の魅力を十分に知ってくれているからこそ参加しているんだと思います。なので、今度はそのプレイヤーの皆さんが地元のゲームセンターやコミュニティで新規のプレイヤーを見かけたら、暖かく迎え入れて仲間を増やしてもらえればと思います。

あとは、ゲームセンターはどんどん縮小化しています。こういう場をなくさないためにも、仕事帰りに10分、15分でもいいのでゲームセンターで遊んでほしいです。

▲『スパII X』では関東最強とも言えるケンの使い手として知られるMつん氏。その芸術的な立ち回りは海外勢からも評価が高い。またシューティングも凄腕なのも有名だ

――ありがとうございました!


「カケルゴ(x5)」のレポートはここまで。私自身も『スパII X』をがっつりプレイしていた時期もあったので、今回の大会を取材できたことをうれしく思う。また仲間の後押しで久しぶりに大会に出られたことも貴重な体験だったと思う。まだまだ現役、人気の衰えない『スパII X』をこれからも見守っていきたい。

■関連リンク
MつんさんのTwitter:https://twitter.com/mattun_ken
カケルゴ公式:http://ssf2x.net/category/x5/
カケルゴ前夜祭アーカイブ:https://www.twitch.tv/videos/420132252
カケルゴ本戦アーカイブ
その1:https://www.twitch.tv/videos/420577328
その2:https://www.twitch.tv/videos/420691549

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