1位通過はSengoku Gaming!「LJL 2020 Spring Split」プレイオフ ラウンド2 ハイライト
3月28日、29日に「LJL 2020 Spring Split」のプレイオフ ラウンド2が、無観客試合にて開催された。
このラウンド2での2マッチを経て、「LJL 2020 Spring Split」のベスト3が決定することになる。残る試合は、ラウンド3&ファイナルの2日間。「LJL」として初めて大阪での開催が予定されていたが、残念ながらレギュラーシーズンと同じヨシモト∞ホールで無観客試合となり、開催時期もゴールデンウィークに後ろ倒しとなっている。
今回は、そんな2試合のハイライトをお届けしよう。
レギュラーシーズンでの2試合の戦績としては、Week 3ではDFMがエレメンタルソウルをSGに渡しながらもスノーボールし勝利したが、Week 5ではエレメンタルソウルを手にしたSGがDFMのスノーボールを止めて逆転勝利している。
両チームの特徴として、ドラゴンの取得率に大きな差が開いている。DFMは低く、SGは高い。これがBo5という長期戦にどう響くか。
試合展開はここまでのデータ通り、SGが序盤からドラゴンを連続で取得していく。DFMの普段通りの戦略であれば、オブジェクトを餌にして得意な集団戦をしかけたり、逆サイドでアクションをしたりするのだが、そのどちらもSGは被害を最小限に捌いていく。
DFMの望む集団戦が起きないままじわじわとSGが有利を広げ、27分には視界を掌握してバロンを獲得する。この時、DFMは強力なスキルを使って撤退するSGを捕まえようと試みたが、1キルしか取れなかった。
SGはリコールして装備を更新した後、即座にクラウドソウルのかかったドラゴンに先にポジションを取る。DFMはスティールを狙うも、SGが確保しクラウドソウルのバフを得る。
この時、DFMの重要なスキルは直前のバロンでの集団戦によりほとんどがクールダウンになっており、使うことができなかった。
この集団戦でSGはDFMを全員キルしエースを獲得。バロンバフのついたミニオンを引き連れミッドレーンをインナータワーから一気に破壊しつくし、Game 1に勝利した。
DFMはGame 1のフィードバックからSGミッドレーンのゾーイをバン、これによりSGはトップレーンより優先してミッドレーンのピックを取る。その結果、Game 1ではSGがピックしたレネクトンをDFMがピック。これが試合に大きな影響を及ぼすこととなった。
試合開始からわずか2分30秒、トップレーンのレベル2同士の1v1でDFMレネクトンがファーストブラッド獲得。続けて、両チームのジャングラーも交えてSGのトップタワーよりも手前で戦闘が起こり、トップレーナーとジャングラーがデス。ミニオンをロストした分、SGのエイトロックスがつらい展開に追い込まれる。
一方、同時にボットレーンでも激しい2v2が行われ、SGヴァルスがDFMアフェリオスをキル。なんと試合開始4分で6キルが発生する激しい開幕となった。
この後SGはドラゴンを優先し獲得するも、DFMはカウンターでトップレーンを締め上げる。6分30秒時点でDFMレネクトンがレベル7なのに対し、経験値すら得ることも許されなかったSGエイトロックスはレベル4と絶望的な差が開いてしまった。
この有利を全体にうまく波及させていくDFM。26分に視界有利からフックスキルを当てて集団戦に勝利したDFMは、バロンとマウンテンソウルを立て続けに獲得。その有利から再び集団戦に勝利しネクサスを破壊した。
DFMはGame 2で序盤の優位をもたらしたレネクトンを最優先でピック、対するSGはレネクトンにレーンで勝つことよりも集団戦を優先したオーンをピック。しかし、DFMのEvi選手のレネクトンは終盤になっても勢いが落ちることはなかった。
試合内容としては、終盤まで激しい戦闘は存在しなかった。否、両チームともに丁寧に立ち回り、不利な場面でも一方的な敗北のないようトレードを続けた結果である。消極的な印象は一切なく、緊張感に満ちた試合だった。
試合時間33分に、DFMトランドルがフラッシュインスマイトでドラゴンスティールを成功させ、インファーナルソウルを得てもなお、36分まで両チームのゴールド差が2000よりも開く瞬間はなかった。
36分30秒、SGは逆転の一手となりうるスニークバロンを成功させたものの、駆けつけたDFMの猛攻をしのぎきれずに4人がデスしてしまう。
長い間ギリギリの均衡を保ってきた試合は、この後39分の再びの集団戦でDFMが一方的に5キルを取り、エースを獲得することで終結した。
DFMがリーチをかけたGame 4、SGはGame 2とGame 3で活躍したレネクトンをバンし、代わりにここまでバンし続けてきたエリスを解放する。DFMはこのエリスをピック、SGはオラフで対抗した。
展開は両チームの特徴が出た。キルを取りタワーを壊していくのはDFM。ドラゴンをひとつひとつ積み重ねていくSG。
試合時間26分、4000ゴールドの有利をDFMが持っている状態でSGはクラウドソウルを獲得する。試合時間32分、エルダードラゴンが出現すると同時に長い睨み合いが始まった。遠距離スキルで体力を削る、ミニオンの流れを操作してタワーを壊す、味方を信頼して前に出る、視界を奪う、罠を張り潜む。
睨み合って2分30秒が経過したその時、SGビクターのコンボがDFMエズリアルを体力1割以下にまで削る。
一斉に全員で前に出るSG。DFMシンドラはSGビクターをスタンさせたが、自身もビクターのスキルでスタン。SGヴァルスのウルトはフラッシュで回避できたが、そのスキルはシンドラの背後にいたDFMエリスに命中しスネアにより動きを封じる。
エリスは追撃をストップウォッチで回避、その間にゲージの溜まったDFMナーがフラッシュで前に出てウルトを使用しSGのオラフ、ビクター、エイトロックスの3人を巻き込む。
オラフとビクターはストップウォッチで時間を稼ぎ、エイトロックスは逆にフラッシュで前に出てスキルをDFMのタム・ケンチとエリスに命中させる。ストップウォッチの解除されたビクターはシンドラのスキルをフラッシュで回避、オラフはフラッシュとヴァルスのヒールを受けて下がる。前に出たエズリアルにSGスレッシュのフックが当たったが、タム・ケンチが救出する。
DFMが有利と見て前のめりになった瞬間、スレッシュがフックをナーに当て即座にウルトを展開。DFMナーがデッドして決定的な人数差が生まれた。
ついに試合時間35分30秒、SGは大逆転につながるエルダードラゴンを獲得した。その後DFMがエルダードラゴンで強化されたSGと戦わない判断をしたため、SGはバロンをリスクなく獲得する。
しかし、ここまで有利が取れていなかったSG。インヒビターをひとつも壊すことができないままエルダー、バロンの両バフが消滅する。この瞬間のゴールド差はごくわずかにSGが上回っていたもののほぼイーブン。
試合時間41分30秒、SGはエルダードラゴンの攻略を開始、DFMはナーだけにタワーを攻撃させて4人で妨害しようとする。DFMエリスはフラッシュインスマイトでスティールを狙うが一瞬早かった。SGがしっかりと抑えてエルダードラゴン獲得。続いてバロンも獲得したSGは両バフを伴いミッドレーンを押し込み、集団戦が発生しないほどのスピードでネクサスを破壊、勝利した。
大逆転によりBo5はフルセットにもつれ込んだため、配信ではSilver Scrapesが流された。
最後の試合、ドラフトはバンの順番がひとつ違っただけでGame 4と完全に同一であった。Game 4において逆転されるまではマクロで有利を取れていたDFM、オブジェクトをめぐる集団戦で上回ることのできたSG、どちらもドラフトでの修正ではなくプレイ内容での修正で勝利できると信じている、ということだろうか。
SGは今までどおりにドラゴンを優先する。DFMもここまでのフィードバックから、ジャングルオブジェクト、特にドラゴンへの意識が高まっている。しかし、それはつまり、DFMはSGの土俵で勝負するということである。
ドラゴンやヘラルドに寄るのは確かに早くなったDFMだが、試合時間30分、長時間の睨み合いに向いていないDFMのナーというチャンピオン、変身が一瞬間に合わずデッドしてしまう。そしてSGがオーシャンソウルを獲得する。
その後DFMはボットサイドのエイトロックスを3人で囲みキルしたが、その隙にSGはバロンを攻略開始、DFMはボットサイドの攻勢をインヒビタータワーまでで止めて集団戦に切り替えるも、間に合わずSGがバロンを獲得する。
この後エルダードラゴンで集団戦、オーシャンソウルを持つSGは睨み合いで徐々に体力の有利をとっていく。もはや集団戦での勝利ではなく、エルダードラゴンをスティールすることしか望みのなくなったDFM。しかしドラゴン周りのコントロールはどちらの土俵か──。
そして、エルダードラゴンを獲得したのはSG。ネクサスまで雪崩れ込みエースを獲得、勝利したのはSGとなった。
試合結果
× DFM 2 - 3 SG ○
SGのドラゴン取得率の高さは、優先度付けの結果のトレードによるものだけではなく、その精緻なコントロールによるものでもあった。
Game 4とGame 5は、もしも「DFMらしさ」を発揮して逆サイドで有利を取る動きを続けていれば、同じ結果としてエレメンタルソウルやバロンを奪われていても戦場のコントロールを保持できていたかもしれない。
すべては、両チームがその時の全力でその時の考えうる最善を尽くした結果であり、SGはDFMに勝利した。日本最高峰の大接戦であった。
こちらはレギュラーシーズン3位のV3と6位タイからタイブレークを勝利してここまで来たCGAの対決。勝てばDFMとラウンド3で当たることになり、負ければそこで敗退となる。
レギュラーシーズンでの戦績は2戦ともV3が勝利しているが、Bo5では3回勝たなくてはならない。結果をここまでの成績から単純に予測することができないのは、MATCH 1で明らかである。
V3は終盤に強い構成。ただしニダリーがジャングルを制圧するポテンシャルを持ち、序盤からスノーボールする展開もある上に、睨み合いで強い遠距離攻撃スキルもある。CGAは序盤向けの構成だが、集団戦に強力なウルトをもつチャンピオンがそろっている。
試合開始と同時に、V3はジャングルを掌握せんとCGAのジャングルに全員で侵入する。しかしCGAのメンバーに囲まれてしまいファーストブラッドを渡してしまう。序盤の有利を取ったのはCGAとなった。
この立ち上がりから、先にCGAがオーシャンソウルにリーチをかける。V3はオーシャンソウルとバロンの揺さぶりをかけられるのを嫌ってか、オーシャンドレイクが出現する前にバロンの攻略を開始。しかしCGAに囲まれた形の集団戦になってしまい、CGAカリスタがクアドラキルを達成する集団戦の勝利を得る。
オーシャンソウルを獲得したCGAは、その有利をもとにバロンを獲得、バロンバフのついたミニオンとともに圧力をかけ、ネクサス前の集団戦でV3メンバー全員を倒してゲームに勝利した。
互いにバンに微調整をかけ、Game 1のトップレーンチャンピオンをバンした。すると互いに使用可能になったアフェリオスとヴァルスをファーストピックする対応を見せる。このような、ある種のコミュニケーションを見ることができるのがBo5観戦の楽しみのひとつである。
今度はGame 1とは逆にCGAがV3のジャングルに侵入。その情報を得ていたV3は待ち伏せし、CGAのジャーヴァンIVを倒してファーストブラッドを獲得する。
しかし、ジャーヴァンIVは復活後すばやくトップレーンに向かい、V3のモルデカイザーを倒すことで簡単には優位を渡さない。
試合時間16分、CGAのミス・フォーチュンが捕まったが、CGAブラウムがギリギリで守ることに成功し、準備のできていなかった状況にもかかわらず一方的に4キルを獲得、ミッドのタワーを2本壊す戦果に繋げる。
この有利からCGAはオブジェクト獲得を進め集団戦でも勝利を重ねていくが、V3のジェイスは他4人が倒された状況でも、高威力のスキルを当てることでCGAのバロン獲得を妨害し中断させることに成功する。続けてCGAのインファーナルソウルの獲得を防ぐスティールをV3エコーが行い、CGAは思うように勝ちきれない展開。
しかし試合時間30分、ついにCGAが集団戦の勝利からバロンを獲得する。ミッドとボットに分かれて行動するCGAに対し、V3は逆転をかけてミッドに全員集まって攻勢をかけたのだが、CGAのマオカイとヴァルスはこれをいなしきりV3が逆に敗走する。
CGAはこの隙を見逃さずにミッドとボットを攻め立て、V3に立ち直る時間を与えずネクサスを破壊し勝利した。
CGAはバンを変えなかったが、V3はセジュアニを解放してジャーヴァンIVをバンする。するとCGAはセジュアニをピックし、対するV3はレク=サイをピック。ドラフトの結果を見ると今回はV3が序盤に強く、CGAは終盤に強い構成となっている。
試合時間7分、ドラゴン周辺でV3がCGAセジュアニを捕まえてキルすると、ここから序盤に強いV3がゲームを支配していく。CGAも慎重に立ち回り耐えるものの、オブジェクトをどんどんV3に奪われていく。
CGAは4体目のドラゴンを抑えてV3がマウンテンソウルを得ることは防げたが、27分に集団戦でV3が勝利してミッドレーンをインヒビタータワーからすべて破壊。バロン、エレメンタルソウルの強力なバフを使うことなくV3が勝利した。
ゲームとしては、序盤からV3のエリスがガンクを成功させスノーボールの起点を作る。CGAはドラゴンを2つ獲得しV3の加速を食い止める。構成に強力なエンゲージスキルがないV3は、有利は取れているものの攻めきれない。
試合時間29分、V3のエリスがCGAのマオカイを攻撃するがギリギリで倒しきれず、逆にV3がエリスをキルすることに成功。逆転のチャンスとバロン攻略を急ぐCGAの5人に、V3のエリス以外の4人が仕掛ける。この4人対5人の集団戦で人数で不利だったV3が勝利し、バロン獲得につなげた。
この時間までに開いたゴールド差、セナ&タム・ケンチの強さもあったが、CGAはこの時バロンを急ぐあまり装備を整える時間がなく、所持ゴールドをステータスに変換できていなかったのが大きい敗因と考えられる。
このバロンバフでミッドのインヒビターを破壊したV3は、CGAの抵抗で遅れていたドラゴンを倒してオーシャンソウルを獲得した。
この後V3が2体目のバロンを獲得、CGAは最後の賭けにエルダードラゴンを狙ったが、駆けつけたV3に壊滅させられてしまう。V3はそのままCGAのネクサスまで破壊して勝利。
CGAの2連勝からV3も2連勝を返して連日のフルセット、この日もSilver Scrapesが流れることとなった。
Game 4で苦汁をなめたCGAはセナを再びバンすることを選択、対するV3はGame 3から最初の3体のバンを変更していない。V3はここまで見せてこなかったガングプランクとランブルをピック、CGAが自信を持ってピックしているヴァルスの機動力がない弱点を突いたドラフト。先に2戦取られてから2戦取り返したV3のほうが勢いがあり精神的にも優位であるか。
試合時間6分、CGAはフラッシュがクールダウンになっているV3のランブルに対して仕掛ける。しかしV3はそれを読んでカウンターの準備ができており、2キル対1キルのV3有利なトレードとなる。
7分にドラゴン前での集団戦でもV3が1キル獲得、スノーボールを開始する。リフトヘラルドはCGAが獲得しV3のレク=サイをキルすることに成功するも、召喚してタワープレートを破壊するタイミングでV3がカウンター、2キル獲得。
試合時間20分の時点ですべてのアウタータワーを破壊し、3000ゴールドの有利をもつV3。22分、ミッドを押していたCGAに対しV3が仕掛ける。V3ガングプランクのウルトを見て一度は引いたCGAだったが、見える範囲にいないV3のランブルとレク=サイに注意を払えなかった。背後から入ってきたレク=サイに追い立てられてCGAの4人が一塊になった瞬間、ノーチラスのウルトで4人が打ち上げられ、さらにはランブルのウルトが回避不可能な形で決まってしまう。
この集団戦でV3は、全員が体力を保った状態でCGAを全滅させてエース。悠々とバロンを獲得した。この後、マウンテンソウルのかかっていないドラゴンをめぐる集団戦、CGAは下がることができなかった。
V3は4キルを獲得し、ミッドのインヒビタータワーからネクサスまで破壊。Bo5の最終戦は試合時間25分足らずでV3が勝利した。
試合結果
○ V3 3 - 2 CGA ×
V3のリバーススイープ(Bo5で相手にリーチをかけられてから逆転すること)という劇的な展開であった。
CGAの最高の試合はGame 1であり、Game 2は勝利したものの要所要所で精彩を欠き、Game 3以降はどのゲームも序盤の失敗からV3にスノーボールを許してしまう。抵抗のチャンスも棒に振るプレイが目立ち、Game 5では最早そのチャンスすら得られなかった。
対して、V3は試合が進むにつれ集中力とチームワークが高まっていき、CGAの失策を毎回しっかりと咎めていくことでリバーススイープを完成させた。
昨今の新型コロナウイルスの流行による影響から日程が変更され、ラウンド3は5月3日、FINALSは5月4日に、どちらも無観客で行われることが決定している。
1カ月以上の期間があり、その間にパッチが3回アップデートされ、試合はパッチ10.8の環境になると見込まれる。
観戦を楽しむファンのひとりとしては残念でならないが、現地で活動する選手たちや運営スタッフの方々の危険を思えば必要な処置であり、むしろよくぞ決断していただけたと称賛したい。
このラウンド2での2マッチを経て、「LJL 2020 Spring Split」のベスト3が決定することになる。残る試合は、ラウンド3&ファイナルの2日間。「LJL」として初めて大阪での開催が予定されていたが、残念ながらレギュラーシーズンと同じヨシモト∞ホールで無観客試合となり、開催時期もゴールデンウィークに後ろ倒しとなっている。
今回は、そんな2試合のハイライトをお届けしよう。
MATCH 1:DetonatioN FocusMe vs Sengoku Gaming
レギュラーシーズン1位のDetonatioN FocusMeと2位のSengoku Gamingの対決となる。勝てばFINALS進出が決まるが、負けたとしても即座に敗退とはならずにMATCH 3で試合することになる。レギュラーシーズンでの2試合の戦績としては、Week 3ではDFMがエレメンタルソウルをSGに渡しながらもスノーボールし勝利したが、Week 5ではエレメンタルソウルを手にしたSGがDFMのスノーボールを止めて逆転勝利している。
両チームの特徴として、ドラゴンの取得率に大きな差が開いている。DFMは低く、SGは高い。これがBo5という長期戦にどう響くか。
Game 1
DFMはナー、オーン、ラカンという集団戦で相手の行動を阻害する強力なスキルをそろえたオールイン構成をとった。しかし、対応したSGのラストピック、モルガナがDFMの思惑通りにはさせなかった。試合展開はここまでのデータ通り、SGが序盤からドラゴンを連続で取得していく。DFMの普段通りの戦略であれば、オブジェクトを餌にして得意な集団戦をしかけたり、逆サイドでアクションをしたりするのだが、そのどちらもSGは被害を最小限に捌いていく。
DFMの望む集団戦が起きないままじわじわとSGが有利を広げ、27分には視界を掌握してバロンを獲得する。この時、DFMは強力なスキルを使って撤退するSGを捕まえようと試みたが、1キルしか取れなかった。
SGはリコールして装備を更新した後、即座にクラウドソウルのかかったドラゴンに先にポジションを取る。DFMはスティールを狙うも、SGが確保しクラウドソウルのバフを得る。
この時、DFMの重要なスキルは直前のバロンでの集団戦によりほとんどがクールダウンになっており、使うことができなかった。
この集団戦でSGはDFMを全員キルしエースを獲得。バロンバフのついたミニオンを引き連れミッドレーンをインナータワーから一気に破壊しつくし、Game 1に勝利した。
Game 2
DFMはGame 1のフィードバックからSGミッドレーンのゾーイをバン、これによりSGはトップレーンより優先してミッドレーンのピックを取る。その結果、Game 1ではSGがピックしたレネクトンをDFMがピック。これが試合に大きな影響を及ぼすこととなった。
試合開始からわずか2分30秒、トップレーンのレベル2同士の1v1でDFMレネクトンがファーストブラッド獲得。続けて、両チームのジャングラーも交えてSGのトップタワーよりも手前で戦闘が起こり、トップレーナーとジャングラーがデス。ミニオンをロストした分、SGのエイトロックスがつらい展開に追い込まれる。
一方、同時にボットレーンでも激しい2v2が行われ、SGヴァルスがDFMアフェリオスをキル。なんと試合開始4分で6キルが発生する激しい開幕となった。
この後SGはドラゴンを優先し獲得するも、DFMはカウンターでトップレーンを締め上げる。6分30秒時点でDFMレネクトンがレベル7なのに対し、経験値すら得ることも許されなかったSGエイトロックスはレベル4と絶望的な差が開いてしまった。
この有利を全体にうまく波及させていくDFM。26分に視界有利からフックスキルを当てて集団戦に勝利したDFMは、バロンとマウンテンソウルを立て続けに獲得。その有利から再び集団戦に勝利しネクサスを破壊した。
Game 3
DFMはGame 2で序盤の優位をもたらしたレネクトンを最優先でピック、対するSGはレネクトンにレーンで勝つことよりも集団戦を優先したオーンをピック。しかし、DFMのEvi選手のレネクトンは終盤になっても勢いが落ちることはなかった。
試合内容としては、終盤まで激しい戦闘は存在しなかった。否、両チームともに丁寧に立ち回り、不利な場面でも一方的な敗北のないようトレードを続けた結果である。消極的な印象は一切なく、緊張感に満ちた試合だった。
試合時間33分に、DFMトランドルがフラッシュインスマイトでドラゴンスティールを成功させ、インファーナルソウルを得てもなお、36分まで両チームのゴールド差が2000よりも開く瞬間はなかった。
36分30秒、SGは逆転の一手となりうるスニークバロンを成功させたものの、駆けつけたDFMの猛攻をしのぎきれずに4人がデスしてしまう。
長い間ギリギリの均衡を保ってきた試合は、この後39分の再びの集団戦でDFMが一方的に5キルを取り、エースを獲得することで終結した。
Game 4
DFMがリーチをかけたGame 4、SGはGame 2とGame 3で活躍したレネクトンをバンし、代わりにここまでバンし続けてきたエリスを解放する。DFMはこのエリスをピック、SGはオラフで対抗した。
展開は両チームの特徴が出た。キルを取りタワーを壊していくのはDFM。ドラゴンをひとつひとつ積み重ねていくSG。
試合時間26分、4000ゴールドの有利をDFMが持っている状態でSGはクラウドソウルを獲得する。試合時間32分、エルダードラゴンが出現すると同時に長い睨み合いが始まった。遠距離スキルで体力を削る、ミニオンの流れを操作してタワーを壊す、味方を信頼して前に出る、視界を奪う、罠を張り潜む。
睨み合って2分30秒が経過したその時、SGビクターのコンボがDFMエズリアルを体力1割以下にまで削る。
一斉に全員で前に出るSG。DFMシンドラはSGビクターをスタンさせたが、自身もビクターのスキルでスタン。SGヴァルスのウルトはフラッシュで回避できたが、そのスキルはシンドラの背後にいたDFMエリスに命中しスネアにより動きを封じる。
エリスは追撃をストップウォッチで回避、その間にゲージの溜まったDFMナーがフラッシュで前に出てウルトを使用しSGのオラフ、ビクター、エイトロックスの3人を巻き込む。
オラフとビクターはストップウォッチで時間を稼ぎ、エイトロックスは逆にフラッシュで前に出てスキルをDFMのタム・ケンチとエリスに命中させる。ストップウォッチの解除されたビクターはシンドラのスキルをフラッシュで回避、オラフはフラッシュとヴァルスのヒールを受けて下がる。前に出たエズリアルにSGスレッシュのフックが当たったが、タム・ケンチが救出する。
DFMが有利と見て前のめりになった瞬間、スレッシュがフックをナーに当て即座にウルトを展開。DFMナーがデッドして決定的な人数差が生まれた。
ついに試合時間35分30秒、SGは大逆転につながるエルダードラゴンを獲得した。その後DFMがエルダードラゴンで強化されたSGと戦わない判断をしたため、SGはバロンをリスクなく獲得する。
しかし、ここまで有利が取れていなかったSG。インヒビターをひとつも壊すことができないままエルダー、バロンの両バフが消滅する。この瞬間のゴールド差はごくわずかにSGが上回っていたもののほぼイーブン。
試合時間41分30秒、SGはエルダードラゴンの攻略を開始、DFMはナーだけにタワーを攻撃させて4人で妨害しようとする。DFMエリスはフラッシュインスマイトでスティールを狙うが一瞬早かった。SGがしっかりと抑えてエルダードラゴン獲得。続いてバロンも獲得したSGは両バフを伴いミッドレーンを押し込み、集団戦が発生しないほどのスピードでネクサスを破壊、勝利した。
大逆転によりBo5はフルセットにもつれ込んだため、配信ではSilver Scrapesが流された。
Game 5
最後の試合、ドラフトはバンの順番がひとつ違っただけでGame 4と完全に同一であった。Game 4において逆転されるまではマクロで有利を取れていたDFM、オブジェクトをめぐる集団戦で上回ることのできたSG、どちらもドラフトでの修正ではなくプレイ内容での修正で勝利できると信じている、ということだろうか。
SGは今までどおりにドラゴンを優先する。DFMもここまでのフィードバックから、ジャングルオブジェクト、特にドラゴンへの意識が高まっている。しかし、それはつまり、DFMはSGの土俵で勝負するということである。
ドラゴンやヘラルドに寄るのは確かに早くなったDFMだが、試合時間30分、長時間の睨み合いに向いていないDFMのナーというチャンピオン、変身が一瞬間に合わずデッドしてしまう。そしてSGがオーシャンソウルを獲得する。
その後DFMはボットサイドのエイトロックスを3人で囲みキルしたが、その隙にSGはバロンを攻略開始、DFMはボットサイドの攻勢をインヒビタータワーまでで止めて集団戦に切り替えるも、間に合わずSGがバロンを獲得する。
この後エルダードラゴンで集団戦、オーシャンソウルを持つSGは睨み合いで徐々に体力の有利をとっていく。もはや集団戦での勝利ではなく、エルダードラゴンをスティールすることしか望みのなくなったDFM。しかしドラゴン周りのコントロールはどちらの土俵か──。
そして、エルダードラゴンを獲得したのはSG。ネクサスまで雪崩れ込みエースを獲得、勝利したのはSGとなった。
試合結果
× DFM 2 - 3 SG ○
DFM vs SG 総評
SGのドラゴン取得率の高さは、優先度付けの結果のトレードによるものだけではなく、その精緻なコントロールによるものでもあった。
Game 4とGame 5は、もしも「DFMらしさ」を発揮して逆サイドで有利を取る動きを続けていれば、同じ結果としてエレメンタルソウルやバロンを奪われていても戦場のコントロールを保持できていたかもしれない。
すべては、両チームがその時の全力でその時の考えうる最善を尽くした結果であり、SGはDFMに勝利した。日本最高峰の大接戦であった。
MATCH 2:V3 Esports vs Crest Gaming Act
こちらはレギュラーシーズン3位のV3と6位タイからタイブレークを勝利してここまで来たCGAの対決。勝てばDFMとラウンド3で当たることになり、負ければそこで敗退となる。
レギュラーシーズンでの戦績は2戦ともV3が勝利しているが、Bo5では3回勝たなくてはならない。結果をここまでの成績から単純に予測することができないのは、MATCH 1で明らかである。
Game 1
V3は終盤に強い構成。ただしニダリーがジャングルを制圧するポテンシャルを持ち、序盤からスノーボールする展開もある上に、睨み合いで強い遠距離攻撃スキルもある。CGAは序盤向けの構成だが、集団戦に強力なウルトをもつチャンピオンがそろっている。
試合開始と同時に、V3はジャングルを掌握せんとCGAのジャングルに全員で侵入する。しかしCGAのメンバーに囲まれてしまいファーストブラッドを渡してしまう。序盤の有利を取ったのはCGAとなった。
この立ち上がりから、先にCGAがオーシャンソウルにリーチをかける。V3はオーシャンソウルとバロンの揺さぶりをかけられるのを嫌ってか、オーシャンドレイクが出現する前にバロンの攻略を開始。しかしCGAに囲まれた形の集団戦になってしまい、CGAカリスタがクアドラキルを達成する集団戦の勝利を得る。
オーシャンソウルを獲得したCGAは、その有利をもとにバロンを獲得、バロンバフのついたミニオンとともに圧力をかけ、ネクサス前の集団戦でV3メンバー全員を倒してゲームに勝利した。
Game 2
互いにバンに微調整をかけ、Game 1のトップレーンチャンピオンをバンした。すると互いに使用可能になったアフェリオスとヴァルスをファーストピックする対応を見せる。このような、ある種のコミュニケーションを見ることができるのがBo5観戦の楽しみのひとつである。
今度はGame 1とは逆にCGAがV3のジャングルに侵入。その情報を得ていたV3は待ち伏せし、CGAのジャーヴァンIVを倒してファーストブラッドを獲得する。
しかし、ジャーヴァンIVは復活後すばやくトップレーンに向かい、V3のモルデカイザーを倒すことで簡単には優位を渡さない。
試合時間16分、CGAのミス・フォーチュンが捕まったが、CGAブラウムがギリギリで守ることに成功し、準備のできていなかった状況にもかかわらず一方的に4キルを獲得、ミッドのタワーを2本壊す戦果に繋げる。
この有利からCGAはオブジェクト獲得を進め集団戦でも勝利を重ねていくが、V3のジェイスは他4人が倒された状況でも、高威力のスキルを当てることでCGAのバロン獲得を妨害し中断させることに成功する。続けてCGAのインファーナルソウルの獲得を防ぐスティールをV3エコーが行い、CGAは思うように勝ちきれない展開。
しかし試合時間30分、ついにCGAが集団戦の勝利からバロンを獲得する。ミッドとボットに分かれて行動するCGAに対し、V3は逆転をかけてミッドに全員集まって攻勢をかけたのだが、CGAのマオカイとヴァルスはこれをいなしきりV3が逆に敗走する。
CGAはこの隙を見逃さずにミッドとボットを攻め立て、V3に立ち直る時間を与えずネクサスを破壊し勝利した。
Game 3
CGAはバンを変えなかったが、V3はセジュアニを解放してジャーヴァンIVをバンする。するとCGAはセジュアニをピックし、対するV3はレク=サイをピック。ドラフトの結果を見ると今回はV3が序盤に強く、CGAは終盤に強い構成となっている。
試合時間7分、ドラゴン周辺でV3がCGAセジュアニを捕まえてキルすると、ここから序盤に強いV3がゲームを支配していく。CGAも慎重に立ち回り耐えるものの、オブジェクトをどんどんV3に奪われていく。
CGAは4体目のドラゴンを抑えてV3がマウンテンソウルを得ることは防げたが、27分に集団戦でV3が勝利してミッドレーンをインヒビタータワーからすべて破壊。バロン、エレメンタルソウルの強力なバフを使うことなくV3が勝利した。
Game 4
CGAはここに来てバンからセナを外す。V3は迷いなくセナ&タム・ケンチを完成させる。CGAはセナ&タム・ケンチのカウンターと評価されているヴァルスとトランドルをピックした。ゲームとしては、序盤からV3のエリスがガンクを成功させスノーボールの起点を作る。CGAはドラゴンを2つ獲得しV3の加速を食い止める。構成に強力なエンゲージスキルがないV3は、有利は取れているものの攻めきれない。
試合時間29分、V3のエリスがCGAのマオカイを攻撃するがギリギリで倒しきれず、逆にV3がエリスをキルすることに成功。逆転のチャンスとバロン攻略を急ぐCGAの5人に、V3のエリス以外の4人が仕掛ける。この4人対5人の集団戦で人数で不利だったV3が勝利し、バロン獲得につなげた。
この時間までに開いたゴールド差、セナ&タム・ケンチの強さもあったが、CGAはこの時バロンを急ぐあまり装備を整える時間がなく、所持ゴールドをステータスに変換できていなかったのが大きい敗因と考えられる。
このバロンバフでミッドのインヒビターを破壊したV3は、CGAの抵抗で遅れていたドラゴンを倒してオーシャンソウルを獲得した。
この後V3が2体目のバロンを獲得、CGAは最後の賭けにエルダードラゴンを狙ったが、駆けつけたV3に壊滅させられてしまう。V3はそのままCGAのネクサスまで破壊して勝利。
CGAの2連勝からV3も2連勝を返して連日のフルセット、この日もSilver Scrapesが流れることとなった。
Game 5
Game 4で苦汁をなめたCGAはセナを再びバンすることを選択、対するV3はGame 3から最初の3体のバンを変更していない。V3はここまで見せてこなかったガングプランクとランブルをピック、CGAが自信を持ってピックしているヴァルスの機動力がない弱点を突いたドラフト。先に2戦取られてから2戦取り返したV3のほうが勢いがあり精神的にも優位であるか。
試合時間6分、CGAはフラッシュがクールダウンになっているV3のランブルに対して仕掛ける。しかしV3はそれを読んでカウンターの準備ができており、2キル対1キルのV3有利なトレードとなる。
7分にドラゴン前での集団戦でもV3が1キル獲得、スノーボールを開始する。リフトヘラルドはCGAが獲得しV3のレク=サイをキルすることに成功するも、召喚してタワープレートを破壊するタイミングでV3がカウンター、2キル獲得。
試合時間20分の時点ですべてのアウタータワーを破壊し、3000ゴールドの有利をもつV3。22分、ミッドを押していたCGAに対しV3が仕掛ける。V3ガングプランクのウルトを見て一度は引いたCGAだったが、見える範囲にいないV3のランブルとレク=サイに注意を払えなかった。背後から入ってきたレク=サイに追い立てられてCGAの4人が一塊になった瞬間、ノーチラスのウルトで4人が打ち上げられ、さらにはランブルのウルトが回避不可能な形で決まってしまう。
この集団戦でV3は、全員が体力を保った状態でCGAを全滅させてエース。悠々とバロンを獲得した。この後、マウンテンソウルのかかっていないドラゴンをめぐる集団戦、CGAは下がることができなかった。
V3は4キルを獲得し、ミッドのインヒビタータワーからネクサスまで破壊。Bo5の最終戦は試合時間25分足らずでV3が勝利した。
試合結果
○ V3 3 - 2 CGA ×
V3 vs CGA 総評
V3のリバーススイープ(Bo5で相手にリーチをかけられてから逆転すること)という劇的な展開であった。
CGAの最高の試合はGame 1であり、Game 2は勝利したものの要所要所で精彩を欠き、Game 3以降はどのゲームも序盤の失敗からV3にスノーボールを許してしまう。抵抗のチャンスも棒に振るプレイが目立ち、Game 5では最早そのチャンスすら得られなかった。
対して、V3は試合が進むにつれ集中力とチームワークが高まっていき、CGAの失策を毎回しっかりと咎めていくことでリバーススイープを完成させた。
ラウンド3に向けて
昨今の新型コロナウイルスの流行による影響から日程が変更され、ラウンド3は5月3日、FINALSは5月4日に、どちらも無観客で行われることが決定している。
1カ月以上の期間があり、その間にパッチが3回アップデートされ、試合はパッチ10.8の環境になると見込まれる。
観戦を楽しむファンのひとりとしては残念でならないが、現地で活動する選手たちや運営スタッフの方々の危険を思えば必要な処置であり、むしろよくぞ決断していただけたと称賛したい。
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