【大会レポート】日本のeスポーツシーンが変わった!——『VALORANT』の世界大会「VALORANT Champions Tour 2023 Masters Tokyo」は🇪🇺FNATICが優勝!
6月11日(日)から開幕した『VALORANT』の世界大会「VALORANT Champions Tour 2023 Masters Tokyo」(以下、Masters Tokyo)も6月25日(日)で無事閉幕。長きにわたる熾烈な戦いを勝ち抜いたのは🇪🇺FNATIC(🇪🇺FNC)。全体を通した勝敗だけで見てもストレート勝ち。落としたマップは6月21日(水)の🇺🇸Evil Geniuses(🇺🇸EG)戦の2マップ目(フラクチャー)のみと、総合的な試合結果を見ても圧勝といえる結果となった。
決勝戦は先述した🇺🇸EGとの再戦。🇺🇸EGも21日(水)までは無敗で駒を進めていたが、🇪🇺FNCに敗北しローワーブラケットへ。そこで🇸🇬Paper Rextに勝利したのち、再び🇺🇸EGへと再戦という形になったのだ。
お互いがお互いの対策を持って再戦することとなったグランドファイナルでは終始🇪🇺FNCが有利な戦いを見せつける。1マップ目のロータスでは13:8、2マップ目のスプリットでは13:11と接戦ではあったものの、ピックマップであるスプリットを落としてしまい、あとがない🇺🇸EG。
3マップ目は🇪🇺FNCがピックしたバインドということもあり、非常に苦しい戦いが求められる形に——。特にバインドというマップは、今回「Masters Tokyo」において🇺🇸EGがずっとバン(選択拒否)*していたマップということもあり、さらなる苦戦が強いられると予想されていた。
🇺🇸EGとしては今大会においてバインドは捨てマップとして扱っていたというのを想像するのはたやすいことだが、そんな🇺🇸EGがバインドで見せたエージェント構成は会場を大いに沸かせた。
奇策が刺さったのか3マップ目のバインドでは14:12とOT(オーバータイム)までもつれ込む試合になったものの、惜しくも🇺🇸EGは敗退という結果となった。試合後バインドをピックされたことに対し、potter(ぽったー)コーチやBoostio(ぶーすてぃお)選手は「やばいことやってみようぜ」という気持ちで挑んだとも話していた。
今回の世界大会は日本の幕張メッセで開催されたということもあり、気軽に現地取材をすることができたのは日本メディアとしてはうれしいポイントだった。試合内容よりも試合中の選手の表情やパフォーマンスが見えるのもオフライン観戦ならではなのではないだろうか。🇪🇺FNCはとにかくBoaster(ぼーすたー)選手のファンサービスが会場を盛り上げていた。
Boaster選手のファンサービスで日本のファンはくぎ付けとなり、まるで🇪🇺FNCのホームのような一体感が生まれていたのも事実だ。環境をがらりと変える力を持つBoaster選手のファンサービスは、ほかのチームメートにも大きなパワーになったことは言うまでもない。
一方で🇺🇸EGのチームを見て感じたのは、とにかくpotterコーチが選手に寄り添っているという点だ。「自分たちはほかのチームが必要としていない寄せ集めのメンバーだった」とpotterコーチ。今回のMasters Tokyoにかける思いは人一倍あったのではないだろうか。
『VALORANT』の競技シーンをまだよく知らないという読者のためにも、改めて競技シーンについておさらいしていこう。『VALORANT』には年間を通して世界王者を決める「VALORANT Champions Tour」という公式大会があり、その中でいくつか大きな試合が開催される。
「Masters Tokyo」もその中のひとつで、今回開催された「Masters Tokyo」は各地域で開催されていたリーグで勝ち抜いた12チームが戦う世界大会だ。
では、なぜそんな国際大会が日本で開催されているのに、日本のチームが出場していないのかというと、日本代表として出場していたZETA DIVISIONやDetonatioN FocusMeは、直前リーグで成績が振るわず「Masters Tokyo」へと進出できなかったからなのだ。
Mastersが日本で開催されることが決まったのは、昨年12月に開催された年末イベントRiot Games ONE。イベントの最後に突如発表され、会場が大いに沸いたのは記憶に新しい。
そんな日本開催が決まったのは、昨年の「Masters Reykjavík」でZETA DIVISIONが世界3位という歴史的快挙を成し遂げたことにほかならない。
当時の合同カンファレンスに参加していた日本メディアはeSports worldのみ。海外のメディアが英語で質問している中、不安な気持ちを抑えながらも質問していたのを今でも思い出す。そんなZETA DIVISIONの歴史的快挙で、あれよあれよと『VALORANT』の競技シーンは日本でも注目されるようになり、日本ではeスポーツタイトルの中でも群を抜いた盛り上がりを見せている。
「あのMastersが日本でも見られるのか!」ということで期待が高まっていたが、日本代表出場ならずという結果に……。「日本代表が出場しないなら、今回のMasters Tokyoって盛り上がらないんじゃないかな」そんな不安がよぎった人も少なからずいたのではないかもしれないが、そんな考えは杞憂にすぎなかった。
席に座ってステージには近づかないようにというルールではあったが、もう彼らの熱狂は止められない。むしろこれが本来あるべき姿なのではないかと錯覚してしまうほど、会場の熱量はピークに達していた。その熱狂は日本では決して感じることができなかった新しいeスポーツシーンともいえる。
一方で高額な料金を払った観客の視界を奪うことになっているのは明白で、正しくルールを守っている方がばかを見るという結果になってしまっているのも実情。曖昧なルールで観客を野放しにした運営側にも大きな課題を残した大会ともいえる。
eSports Worldというメディアが開設されて3年が経ち、eスポーツシーンに疎かった筆者も、取材を通じて多くのeスポーツシーンを見て来た。もちろん昨年開催された、さいたまスーパーアリーナでのオフライン大会も大きな盛り上がりを見せていたが、国際大会となるとここまで雰囲気が変わるものなんだというのを目の当たりにしたMasters Tokyoだった。
成人ならばお酒も楽しめるなんて、まさに夢のようなライブがそこにあった。もうひとつ欲をいえば日本代表が出場してほしかった。ただただそれに尽きる。再びこのような世界大会が日本で開催されるのはいつになるのか——。近い未来かもしれないし、遠い未来かもしれないが、次回はぜひこの熱狂の中、日本のチームを応援していきたい。
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決勝戦は先述した🇺🇸EGとの再戦。🇺🇸EGも21日(水)までは無敗で駒を進めていたが、🇪🇺FNCに敗北しローワーブラケットへ。そこで🇸🇬Paper Rextに勝利したのち、再び🇺🇸EGへと再戦という形になったのだ。
お互いの対策がぶつかり合う決勝戦
お互いがお互いの対策を持って再戦することとなったグランドファイナルでは終始🇪🇺FNCが有利な戦いを見せつける。1マップ目のロータスでは13:8、2マップ目のスプリットでは13:11と接戦ではあったものの、ピックマップであるスプリットを落としてしまい、あとがない🇺🇸EG。
3マップ目は🇪🇺FNCがピックしたバインドということもあり、非常に苦しい戦いが求められる形に——。特にバインドというマップは、今回「Masters Tokyo」において🇺🇸EGがずっとバン(選択拒否)*していたマップということもあり、さらなる苦戦が強いられると予想されていた。
🇺🇸EGとしては今大会においてバインドは捨てマップとして扱っていたというのを想像するのはたやすいことだが、そんな🇺🇸EGがバインドで見せたエージェント構成は会場を大いに沸かせた。
奇策が刺さったのか3マップ目のバインドでは14:12とOT(オーバータイム)までもつれ込む試合になったものの、惜しくも🇺🇸EGは敗退という結果となった。試合後バインドをピックされたことに対し、potter(ぽったー)コーチやBoostio(ぶーすてぃお)選手は「やばいことやってみようぜ」という気持ちで挑んだとも話していた。
試合外で感じたふたつのチームの特色
今回の世界大会は日本の幕張メッセで開催されたということもあり、気軽に現地取材をすることができたのは日本メディアとしてはうれしいポイントだった。試合内容よりも試合中の選手の表情やパフォーマンスが見えるのもオフライン観戦ならではなのではないだろうか。🇪🇺FNCはとにかくBoaster(ぼーすたー)選手のファンサービスが会場を盛り上げていた。
Boaster選手のファンサービスで日本のファンはくぎ付けとなり、まるで🇪🇺FNCのホームのような一体感が生まれていたのも事実だ。環境をがらりと変える力を持つBoaster選手のファンサービスは、ほかのチームメートにも大きなパワーになったことは言うまでもない。
最後に、 @OfficialBoaster からのメッセージです🧡#ALWAYSFNATIC pic.twitter.com/RB5ouEwmDl
— FNATIC JAPAN (@FNATIC_JP) June 25, 2023
一方で🇺🇸EGのチームを見て感じたのは、とにかくpotterコーチが選手に寄り添っているという点だ。「自分たちはほかのチームが必要としていない寄せ集めのメンバーだった」とpotterコーチ。今回のMasters Tokyoにかける思いは人一倍あったのではないだろうか。
日本のeスポーツシーンを大きく変えたMasters Tokyo
『VALORANT』の競技シーンをまだよく知らないという読者のためにも、改めて競技シーンについておさらいしていこう。『VALORANT』には年間を通して世界王者を決める「VALORANT Champions Tour」という公式大会があり、その中でいくつか大きな試合が開催される。
「Masters Tokyo」もその中のひとつで、今回開催された「Masters Tokyo」は各地域で開催されていたリーグで勝ち抜いた12チームが戦う世界大会だ。
では、なぜそんな国際大会が日本で開催されているのに、日本のチームが出場していないのかというと、日本代表として出場していたZETA DIVISIONやDetonatioN FocusMeは、直前リーグで成績が振るわず「Masters Tokyo」へと進出できなかったからなのだ。
Mastersが日本で開催されることが決まったのは、昨年12月に開催された年末イベントRiot Games ONE。イベントの最後に突如発表され、会場が大いに沸いたのは記憶に新しい。
そんな日本開催が決まったのは、昨年の「Masters Reykjavík」でZETA DIVISIONが世界3位という歴史的快挙を成し遂げたことにほかならない。
当時の合同カンファレンスに参加していた日本メディアはeSports worldのみ。海外のメディアが英語で質問している中、不安な気持ちを抑えながらも質問していたのを今でも思い出す。そんなZETA DIVISIONの歴史的快挙で、あれよあれよと『VALORANT』の競技シーンは日本でも注目されるようになり、日本ではeスポーツタイトルの中でも群を抜いた盛り上がりを見せている。
「あのMastersが日本でも見られるのか!」ということで期待が高まっていたが、日本代表出場ならずという結果に……。「日本代表が出場しないなら、今回のMasters Tokyoって盛り上がらないんじゃないかな」そんな不安がよぎった人も少なからずいたのではないかもしれないが、そんな考えは杞憂にすぎなかった。
席に座ってステージには近づかないようにというルールではあったが、もう彼らの熱狂は止められない。むしろこれが本来あるべき姿なのではないかと錯覚してしまうほど、会場の熱量はピークに達していた。その熱狂は日本では決して感じることができなかった新しいeスポーツシーンともいえる。
一方で高額な料金を払った観客の視界を奪うことになっているのは明白で、正しくルールを守っている方がばかを見るという結果になってしまっているのも実情。曖昧なルールで観客を野放しにした運営側にも大きな課題を残した大会ともいえる。
eSports Worldというメディアが開設されて3年が経ち、eスポーツシーンに疎かった筆者も、取材を通じて多くのeスポーツシーンを見て来た。もちろん昨年開催された、さいたまスーパーアリーナでのオフライン大会も大きな盛り上がりを見せていたが、国際大会となるとここまで雰囲気が変わるものなんだというのを目の当たりにしたMasters Tokyoだった。
成人ならばお酒も楽しめるなんて、まさに夢のようなライブがそこにあった。もうひとつ欲をいえば日本代表が出場してほしかった。ただただそれに尽きる。再びこのような世界大会が日本で開催されるのはいつになるのか——。近い未来かもしれないし、遠い未来かもしれないが、次回はぜひこの熱狂の中、日本のチームを応援していきたい。
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【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。
Twitter:@sdora_tweet
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