【インタビュー】11歳の金メダリストは何を見ていたのか?——『ぷよぷよ』アジア王者・ゆうき選手が歩む“ぷよ道”とは

2026年9月19日(土)〜10月4日(日)に開催された「第20回アジア競技大会」。アジア地域45の国と地域が参加する総合スポーツ大会で、eスポーツは前回の杭州大会に続き、正式なメダル競技として実施された。

その舞台で、『ぷよぷよeスポーツ』の初代金メダリストに輝いたのが、日本代表のゆうき選手(栗原悠輝/東京ヴェルディeスポーツ)だ。11歳での金メダルはアジア大会史上最年少の記録であり、日本選手団の中でも最年少での快挙となった。この歴史的快挙はeスポーツ業界にとどまらず、テレビや新聞など幅広いメディアで取り上げられ、大きな注目を集める結果に。

金メダルを獲得したあとも、引っ張りだことなったゆうき選手。しかし試合中に起きた出来事が語られる場面は少ない。

そこで本稿では、試合中終始落ち着いていたゆうき選手が唯一見せたガッツポーズの理由——そして突如見せた「階段積み」での勝利。また、彼が目指す“ぷよ道”をうかがった。

大会のおさらい


本題に入る前に、「第20回アジア競技大会」で行われた『ぷよぷよeスポーツ』部門での試合結果をサクッとまとめておこう。

試合は5人2組の総当たり戦を行うグループステージ(3本先取)、準々決勝戦(5本先取)、準決勝戦(10本先取)、決勝戦(10本先取)という流れで行われた。7試合・全41ラウンド戦った中で、ゆうき選手が取られたのはわずか4本。

うち3本は、グループステージおよび決勝戦で戦った韓国代表のカン・ドンシン選手(プレーヤーネーム:Red)から、1本は準決勝戦で戦ったタイ代表のウォンキティクン・タナラック選手(プレーヤーネーム:TAMATAMAz)から奪われただけなので、残る4試合は、1本も落とさずに勝ち進んだことになる。まあ、とんでもない強さを見せつけていたのだ。

▲まさに圧勝という言葉がふさわしい試合展開。そのすごさは相手選手も感じ取っていて、おもわず苦笑してしまうシーンもチラホラ。迷いのない積み方に、高難易度CPU戦のような的確な反撃、そして超火力の大連鎖と、まさに非の打ち所がないプレーが炸裂していた

試合中もほとんど表情を変えることなく、淡々と相手をいなしていく様子は、「神童」と多くのメディアが称賛していた。そんな中、一度だけ力強くガッツポーズをした試合があったのを覚えているだろうか——。それはグループステージ、のちに決勝で再び相まみえる、韓国のカン・ドンシン選手との一戦だった。

カン選手の絶妙な2連鎖と、ゆうき選手が唯一見せたガッツポーズのワケ


——金メダルおめでとうございます。何度も聞かれているとは思いますが……改めて感想を聞かせてください。

ゆうき:ありがとうございます。金メダルが取れてうれしかったのと、ご飯がおいしかったです。いろいろ楽しいこともあったし、大きな舞台で(ぷよぷよの大会を)やることは、とてもいい経験になったと思います。

——さっそくですが試合を振り返らせてください。グループステージでは、唯一カン選手に1本取られていましたよね。動画を持ってきたので、一緒に見ながら、当時のことを教えてもらえますか?

ゆうき:どんな取られ方したっけ……。

▲「自分の土台は、めっちゃいい。しかも結構有利なんだよね」と試合を振り返りつつ。「わっ。変な使い方したー。いやでもツモ(落ちてくるぷよの組み合わせ)がいいな」と自身のプレーを分析するゆうき選手

——何か気づけたポイントがあった?

ゆうき:なんか、普通の負け方してる(笑)。ただ、これはカン選手がうまかった試合ですね。あのタイミングで2連鎖を打ってきたのが本当にうまかった。自分はあのタイミングで5連鎖で返すことしかできなかったんです。

▲『ぷよぷよ』は大きな連鎖をすればするほど、相手に大量の「おじゃまぷよ(灰色のぷよ)」を送ることができ、戦況が有利になる。しかし、あえて小さな連鎖を仕掛けて、相手の大連鎖を妨害したり、誘発させたりするのも駆け引きのひとつとなっている。画面左側のカン選手は、大連鎖を打つ前に赤く囲った部分で、赤→紫の小さな2連鎖を仕掛けていた

▲対する画面右側のゆうき選手は、カン選手の2連鎖に赤く囲った部分を使って、紫からの5連鎖で反撃。これにより大連鎖の要となる多くの土台を失う結果に。その間、カン選手は次の連鎖を組み、連鎖の応酬で勝利を収めた(https://www.youtube.com/watch?v=fU4iydTqdEs&t=502s)

——なるほど。大連鎖の土台を崩さざるを得なかったと。

ゆうき:はい。あの段階でぷよの量が少なくなって不利になってしまいました。カン選手が、(自分が)5連鎖しかできないという盤面を見て、しっかり2連鎖を打ってきたのはさすがでしたね。

▲5連鎖の反撃の際、次に来る紫赤のぷよを右側に、次の次に来る紫青のぷよを矢印の場所に置いていれば、4連鎖ダブル(4連鎖の同時消し)ができていた。「この選択をしていたら、多分勝てたんじゃないかと思うんですけど。ただあの時はこの手は見えていなかった」とゆうき選手。そう言われると、こっちの世界線も見たかった(連鎖イメージ:https://www.puyop.com/s/S01p0Jb0dloPtFlqFGqlF9q9bpihHqidH9Gr)

——その次のラウンドでは、ゆうき選手としてはかなり珍しい「階段積み」で勝っていました。何か狙いはあったのでしょうか?

ゆうき:いやぁ、操作ミスですね(笑)。でもなんだったかなぁ。今見返すと初手、2手目とも操作ミスしてますね……。

▲組み方のトレンドとしては「先折りGTR」といった名称で有名な組み方がある。画面左側の四角で囲っている部分、特に左側9マスの部分は、非常に連鎖に組み込みやすいという理由から、多くのプロが採用している。一方、画面右のゆうき選手がこのラウンドで取った「階段積み」は、30年くらい前に流行った組み方だ。柔軟性がないなどといった理由で、あまり使われなくなったが、この「階段積み」を使って見事勝利している

▲『ぷよぷよeスポーツ』は、最初の2手は大きく分けて5パターンしかない。「先折りGTR」を組む流れもパターン化できるのだが、ゆうき選手は1手目から操作ミスをしてしまっていたようだ(https://www.youtube.com/watch?v=fU4iydTqdEs&t=572s)

——即興で「階段積み」に作戦を切り替えたとはいえ、しっかり勝ちを取ったのはさすがだと感じました。

ゆうき:でも、このラウンドも実は危ないところがあって……。実は1/3の確率で負けてました。

——えっ!?

ゆうき:えっと、「おじゃまぷよ」が2段のところが6列のうち2列あるじゃないですか。それが、もしここに当たってた場合に、本線(メインの大連鎖)が打てない状況だったんで……。まあ、1/3負け、2/3で勝ちみたいな勝率だったので、結構危なかったですね。

▲ものすごいスピードで動画を見返して解説をしてくれたゆうき選手。あまりに展開が速すぎて、筆者は頭の中で整理するだけで精一杯だった

▲相手に送れる「おじゃまぷよ」の数は、仕掛けた連鎖によって増減する。画面右側、ゆうき選手の盤面には灰色の「おじゃまぷよ」が8つ落とされている。1個の列もあれば、2個の列もある。どの列に2個落ちてくるのかは完全にランダムなので、万が一左から2列目に2個落ちてきた場合は、赤く囲った部分がふさがれてしまい、大連鎖ができなくなってしまう。要するに1/3の確率で負けていたかも知れないということだ

——マッチポイントを迎えたラウンドでは、お互い連鎖の応酬の中しっかり勝ちを収めました。すべての試合の中で、唯一ゆうき選手がガッツポーズをしていたのが印象的でした。なにか特別な思いがあったのでしょうか。

▲お互いが小さな連鎖を打ち合う中、最終的に大連鎖を決めたのはゆうき選手。勝利を確信した瞬間、力強いガッツポーズを見せた(https://www.youtube.com/watch?v=fU4iydTqdEs&t=620s)

ゆうき:自分にとって一番強い選手だと思っていたのがカン選手でした。手強い相手になるだろうなぁと思っていた相手に、しっかり勝てたのがうれしかったからですね。

——カン選手のどういったところが強かったですか?

ゆうき:全体的に強いです。特に連鎖力ですかね。「10万点は小さい※」って言っているくらい、火力が高い選手なので。実際にグループ予選では、ほかの選手相手に16連鎖を決めている場面もあったので、さすがの連鎖力だなって思いました。

※『ぷよぷよeスポーツ』における10万点というスコアは、大連鎖の目安となるスコア。同時に消すぷよの数にも左右されるが、実戦では2桁以上の連鎖が必要になる

めざすは“あの”伝説のプレーヤー!?——ゆうき選手が考える“ぷよ道”とは


——今回の「第20回 アジア競技大会」の出場を決める大会「ASIA esports EXPO 2026」ではdelta選手を破って日本代表の座を勝ち取りました。あの大会で、何か得られたことはありましたか?

▲ぷよ界のオールスターが集結したといっても過言ではない「ASIA esports EXPO 2026」。2月8日(日)に開催された「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」の成績を加味したステップラダー方式が採用された(https://www.youtube.com/live/xwK8PvBm5TA?t=14740s)

ゆうき:試合中はサーッて「ホワイトノイズ」が聞こえるヘッドホンを付ける必要がありました。「ASIA esports EXPO 2026」では、なんとなくその音が気になっちゃってたんです。あの音が苦手で集中できなくて……。

「第20回アジア競技大会」でも同様にヘッドホンを付ける必要があったんですけど、あの時に「ホワイトノイズ」を経験していたことで、少し慣れていたので良かったです。

——「ASIA esports EXPO 2026」では、「先折りGTR」だけではなく、「新くま積み」といった組み方を実践していましたね。「第20回 アジア競技大会」で使わなかった理由はあったのでしょうか。

ゆうき:「新くま積み」は、いったんやめました。例えば30先(30本先取)の試合があったとして、29対29になった時に「新くま積み」を使えるのかって考えた時、さすがに使えないんですよ。つまり、そこまで信頼していないってことだから「使わなくてもいっか」ってなって——。

▲ぷよぷよ界のレジェンドでもある、くまちょむ選手が使っていたことからその名が付いた「くま積み」。それをさらに改良したのが「新くま積み」と呼ばれる組み方だ。左下の土台が、L字を逆さまにしたような形をしている(https://www.youtube.com/live/xwK8PvBm5TA?t=22978s)

——それは、組み方が難しいから?

ゆうき:「新くま積み」は習得するのに3週間くらいかかったんですけど、手順が大事で難しかったです。

以前、くまちょむさんに「新くま積み」のコツを聞いたことがあるんですけど、その時「連結を多くする」ってアドバイスをもらったんです。ただ、どうしても連結を多くするのが難しくて——。大連鎖を打ちたくなっちゃうんですよ。

あの時に使ってたのも、20先で少し本数に余裕があったし、考える時間はあったので試したって感じです。

——そう考えると「第20回 アジア競技大会」の3先、5先、10先というルールは難しかった?

ゆうき:はい。特に3先って2本取られたらリーチじゃないですか。その時点で「やばい!」ってなるし——。カン選手との試合で1本取られた時も、「もう1本取られたら(気持ち的に)終わりじゃない?」って気分になって(笑)。なので、特に本数の少ない試合は難しいですね。普段と戦い方も変えなきゃいけないし。

例えば30先とかだったら、前半に相手の様子を見ることもできるんですけど——。10先くらいだと様子を見る時間もないので。

▲年間王者を決める「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」の決勝戦は20先だったこともあり、試合の前半を様子見に使っていたゆうき選手。相手のやり方を確認してから対策するといった戦い方が功を奏した(参考:【インタビュー】ゆうき「前半は様子見でした」——ともくんを追い詰めた『ぷよぷよeスポーツ』年間王者の“見えすぎる盤面”)

——ほかに戦略で変えたことはありますか?

ゆうき:最近、凝視(試合中相手のフィールドを見ること)することが増えました。というのも、プレースタイルを変えたいという思いがあって——。

今までは上部まで連鎖を組んで、相手が仕掛けてきたら返すし、仕掛けてこなかったらすぐ本線を打つといったプレースタイルだったんですけど、最近は戦術寄りのプレーというか——。中盤もしつつ、「絶対勝てる択をどんどん見つける」っていう戦い方を意識するようになりました。

実際はちょっと違うかもしれないんですけど、まはーらさんのようなプレーがしたいと思っています。

まはーら氏

『ぷよぷよクロニクル』時代の2018年頃に彗星の如く現れ、同年末には一度消息を絶った、伝説的な最強プレイヤー。2024年9月に約6年ぶりに活動再開を見せた。相手の行動を先読みした対応や正確無比の並外れて高い判断の精度を誇った。(引用:ぷよぷよプレイヤーwikiより)

金メダリストという偉業の先に描く未来とは


——ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)に新設された「HPSC ESPORTS LAB」について、家の練習と切り分けて活用した部分はありますか?

▲これまでHPSCが蓄積してきたスポーツ医・科学、情報、先端技術などの知見をeスポーツにも応用し、国際競技力の向上を支援することを目的として新設された「HPSC ESPORTS LAB」。アイトラッキング(視線計測)や、心拍計、脳波計、サーモグラフィーなどを使って、選手の状態やプレー内容をデータとして蓄積できる

ゆうき:あまりなかったかな。(家の練習環境で)足りないことがほとんどなかったので。

ただ、練習相手と事前に連絡を取って交流ができたり、楽しくできたのは良かったです。4日くらいは行ったかなぁ。あとはアスリート飯はちょっといつもと違うメニューで楽しかった!

——金メダルを取ってアジアNo.1となりました。次に目指すものは?

ゆうき:『ぷよぷよ』ってゲームの理論値が出せるようになりたいです。絶対勝てる択を意識して、「うまいプレーではなく、勝つプレー」がしたいです。

——例えば、新たな積み方を編み出すことはできそうですか?

ゆうき:何日かかけて考えれば、自分なりの積み方は作れそうだとは思います。ただ、今ある土台ってすごいなと思っていて——。

今「GTR」が強いのは、みんなが「GTR」を極めてきたからだと思うんです。ほかにも「フキゲンGTR」や「新GTR」といった土台もあって、そういった土台を開拓していけば「GTRと同じくらいの強さは出せるんじゃないか」と言っている人は結構いて、自分もそう思っています。

新しい土台の開拓もしていきたいんですけど、今は名前のある土台でそれをしていきたいですね。すでにある土台を極めていくのもいいかなと思っています。


——ありがとうございました!

いつも通りが難しかった——ゆうき母が語る、日本代表の“その後”


ゆうき選手の下支えになっているのが、ほかでもないお母さん(ゆうき母)だ。大会やイベントで同席はしているものの、基本的に干渉しないスタイルを貫いている。そんなゆうき母に、我が子がプロ選手になり、日本代表の看板を背負って戦い抜いた心境——そして大会後の日常についてうかがった。

——もう散々聞かれてると思うので恐縮なのですが、ゆうき選手が金メダルを獲得した瞬間の心境をお聞かせください。

ゆうき母:いつもそうなんですけど、結果云々ではなくて、「本人が満足した顔をしてくれるかな?」という気持ちで見守っていました。笑顔で終わってくれるのが一番なので、その表情が出てくるのを待っていました。

——試合は圧勝が多かったこともあって、終始落ち着いていましたよね?

ゆうき母:ムスッとしていたので、「どうしたのかなぁ?」と思って見ていました(笑)。

ただ、もしかすると本人の中で勝ち方にこだわりがあったのかもしれません。例えば「人をビックリさせるようなプレーがしたい」といった思いもあって、勝つこと以外で納得できたかどうかは、私には分からないんですよね。

なので、笑顔が出るまで待っていました。

——決勝戦で勝利したあとは、さすがに笑顔を見せていましたもんね。

ゆうき母:あれで、やっとホッとしたというか、良かったぁって感じました。

——試合が終わった後はどんな言葉を交わしましたか?

ゆうき母:多分、「おつかれさま〜」かな。ゆうきもいつも通り「おつかれさま〜」って——。いつも「おつかれさま」から入るようにしています。

——2月8日(日)に開催された「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」で優勝した際もおうかがいしたかと思いますが、基本的に見守るスタイルを貫いているというお話があったかと思います。今回の「第20回 アジア競技大会」でもそのスタイルは変わらずでしたか?

ゆうき母:とにかく「いつも通り」を心がけていました。ただ、普段は自然にできていたその「いつも通り」を作ること自体が、今回は本当に難しかったです。

たくさんの方からお力添えやお声がけをいただきましたし、大会前は数日間宿泊するなど、いつもと違う環境が多かったので、「いつも通り」を模索していました。日に日に反響も大きくなって——。

これまでは、何人が出場するのかとか、どんな規模の大会なのかに関係なく、「いってらっしゃい」で送り出して「おつかれさま」で迎える形でやってきたんです。でも今回は、そうもいかなくて。

一方で、いただいた力をちゃんとお借りしてがんばろうと思えた面もあるので、キツかったことと助かったことは半々ですね。ふたりだけで単独行動できなかったのは、大きかったかもしれません。


——取材が続く日々に関してもご苦労されたのではないでしょうか。

ゆうき母:チームのマネージャーさんが、子どもの環境の変化まで気にかけてくださったんです。おかげで、取材も一度にまとめていただいたり、対応を手伝っていただきました。今は少しずつ日常に戻って、いつも通りの生活を取り戻せています。

——取材を受けている中で、意外な一面はありましたか?

ゆうき母:急に語彙が増える瞬間があって(笑)。家族で会話していて聞いたことがない単語が出てきたりすると、めちゃくちゃ面白いですね。成長を感じるというか——。

年齢的にも取材を直接見られるのは嫌だろうなと思うので、こっそりあとで見た時に「あっ、こんなこと言うんだ〜」って(笑)。(取材に関しても)密かに見守っています。

——今年の4月に、小学生初となるプロライセンスの発行が決まり、のちに「東京ヴェルディeスポーツ」にも所属されました。プロ選手としての活動と普段の生活の両立は難しいですか?

ゆうき母:その辺は特にないですね。ただ、活動の幅が広がったのはうれしいですね。例えば、プロの方と対戦してもらうといったイベントは、ゆうきが小さい頃から楽しく参加しているんですけど、挑戦する側から挑戦される側になった——違いと言えばそれくらいかなぁ。

——今日のイベントもプロ選手の活動の一環ですもんね。今までと逆の立場になった姿を見て感じるものはありましたか?

ゆうき母:今でもプロの方に挑戦するイベントは楽しく参加してるんですけど、今回それをゆうきがやる側になったんだなぁと感慨深いものがありました。自分がチャレンジされる側になるというのは、多分本人もやりたかった部分だと思うので「良かったね!」って思いながら見ています。

▲京王電鉄が開催する体験型イベント「京王eスポーツ祭り 2026」でイベントに参加するゆうき選手。憧れの選手として、子どもたちの挑戦を受ける側になったのは大きな成長を感じる

▲「第20回 アジア競技大会」の活躍をみて、『ぷよぷよeスポーツ』をはじめ、北海道からはるばるゆうき選手に会いに来た猛者も。まさに老若男女が楽しめるイベントとして行列を作っていた

——最後に、今ゆうき選手に一番伝えたい言葉はありますか?

ゆうき母:そうですね——「自分のことを信じていけ!」

——おおっ。かっこいい!

ゆうき母:これ、ゆうきが好きな曲の歌詞なんですけど、基本的にゆうきが自分でやりたいと思ったことを信じて、道を歩くお手伝いをしたいなって思っています。自分で選んで、自分でその道を信じて、歩みを進めてほしいですね。

▲ロックバンドthe shes gone(シーズゴーン)の「エイド」にその言葉が刻まれている

——ありがとうございました!

取材を終えて


1月に開催された「日本eスポーツアワード 2025」では、マインドゲームプレイヤー賞とU18eスポーツプレイヤー賞をダブル受賞。2月には「GigaCrysta ぷよぷよグランプリ ファイナル」で年間王者に輝き、4月にはプロライセンスの発行が決定した。6月には東京ヴェルディeスポーツに所属してプロとしての活動をスタートさせ、9月には「第20回 アジア競技大会」の『ぷよぷよeスポーツ』で金メダルを獲得。ゆうき選手にとってまさに“時の人”となった一年だったに違いない。

11歳という多感な時期に、これほど環境が大きく変わった。お母さんが語った「いつも通りを作る難しさ」は、その渦中の大きさを物語っている。それでもゆうき選手がぷよぷよを楽しみ続けられたのは、温かいぷよぷよ界隈のコミュニティーの支えがあってこそだろう。

▲ぴぽにあ選手が主催するコミュニティー大会「おいうリーグ」のワンシーン。ぷよぷよのレジェンドたちが集結するコミュニティー大会でも優勝を果たしているゆうき選手。老若男女が集うコミュニティーの存在は大きい

取材を終えて印象的だったのは、ゆうき選手が「インタビューでぷよぷよの話ができてうれしい」と語っていたことだ。どうしても「小学生の金メダリスト」という言葉が先行し、パーソナルな話題になりがちだが、彼が本当に伝えたいのは、勝敗や記録の向こう側にある『ぷよぷよ』の奥深さだったのかもしれない。

その姿勢は、日々の行動にも表れている。金メダル獲得後も、Xでは対戦相手を募集したり、別のプレーヤーに対戦を申し込んだりと、向上に余念がない。自分の実力におごることなく、常に好奇心を持って『ぷよぷよ』に取り組む姿こそが、彼の強さを生み出す活力そのものといえる。

「小学生金メダリスト」という言葉は、これからも彼について回るだろう。しかし、本筋は『ぷよぷよ』が心底好きな、ひとりのプレーヤーであることに変わりはない。「ぷよぷよの話ができてうれしい」と笑ったゆうき選手の成長を今後も見守っていきたい。


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■関連リンク
ゆうき選手 X:
https://x.com/kryu_puyo

第20回 アジア競技大会特設サイト​:
https://jesu.or.jp/ag2026/

ぷよぷよeスポーツ 特設サイト:
https://esports.sega.jp/

 
撮影:いのかわゆう
編集:いのかわゆう


【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『幻影異聞録♯FE Encore』。

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