【インタビュー】アジア競技大会銅メダリスト・『eFootball』日本代表——「2人で取った銅メダル」を支えた信頼
2026年9月19日(土)~10月4日(日)に開催された「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」。前回大会に続いて正式なメダル競技となったeスポーツで、日本代表に最初のメダルをもたらしたのが、『eFootball』のTess(貴田英貢也・きだえくや)とlemon-pop(茶谷優我・ちゃたにゆうが)、コーチのAx(橋木俊平・はしきしゅんぺい)だ。
今大会の『eFootball』は、PC版とモバイル版の代表選手が2人でチームを組む団体戦として、9月22日(火)~23日(水・祝)に開催。19の国と地域から38選手が出場し、日本はPC版をTess、モバイル版をlemon-popが担当した。
グループステージではパレスチナ、タイと同組になり、首位で突破。準々決勝ではヨルダンを下し、準決勝に進出した。
9月23日の準決勝で対戦したのは、強豪・イラン。モバイル版でlemon-popが2-1で先勝したものの、PC版でTessが2-3で敗れ、合計得点は4-4に。勝負はモバイル版の決定戦に持ち越され、lemon-popが0-2で敗れた。
3位決定戦は行われなかったため、日本はウズベキスタンとともに銅メダルを獲得。eスポーツの正式競技化後、日本にとって初めてのメダルとなった。
金メダルを目指して臨んだふたりにとって、表彰台に立った喜びと、準決勝で敗れた悔しさは、どちらも大きかったという。同じタイトルを異なるプラットフォームで戦うふたりは、団体戦としてコンビを組むことで何を感じたのか。大会後の単独インタビューで、準決勝の振り返りや、チームメイトへの思いを聞いた。
※インタビュー中の呼称はプレーヤーネームで統一。
──今大会eスポーツ分野で日本最初のメダル獲得となりました。銅メダル獲得、おめでとうございます。まずは大会を振り返って、今回の結果への率直な感想をお聞かせください。
Tess:金メダルを目標にしてきて、プレッシャーもある中で戦っていたので、正直悔しい気持ちが大きいです。ただ、今回はふたりでの団体戦なので、「ふたりで取った銅メダル」というところは、素直に喜びたいと思っています。
lemon-pop:自分も最初から金メダル、優勝を目標に掲げていたので、準決勝で敗退した試合後は悔しい気持ちでいっぱいでした。でも、表彰台に立って、なんとかメダルを持ち帰ることができたので、そこはうれしく思っています。
──最後の試合となった準決勝のイラン戦を振り返って、勝敗を分けたのはどのようなところだったと感じていますか?
Tess:やっぱり勝負強さだったり、その場での経験値だと思います。
対戦相手のハッサン選手は、長年トップでプレーしている方なんですけど、大会の配信台の環境にすぐに慣れるところなどがやっぱり違いました。
そこで僕がうまく乗り切れず、本調子が出せるまでに結構時間がかかったことが、大きな分かれ目になったのかなと思います。
──以前、HPSCで取材した際に、大会の雰囲気や環境に慣れるためにもHPSCを活用したいと話されていました。実際の会場は、想定と違う部分もありましたか?
Tess:そうですね。観客もいますし、配信台で感じる重圧は、会場やその時によって全然違うんです。
実際にPCを使ってやってきた練習も通用はしていたんですが、そういった少しの差や細かい戦術の部分で違いがあったのかなという印象はあります。

──lemon-pop選手は、イラン戦でどのような課題を感じましたか?
lemon-pop:準決勝では自分が2試合プレーして、1戦目は僕が先制点を取り、2戦目は相手が先制点を取りました。
最初の試合は、自分が先制点を取ったことで流れがこちらに来て、そのまま試合を運べたんです。でも、次の試合は相手の方に流れが行ってしまいました。自分のペースで試合を運べなかったことが反省点です。
──今回は、モバイル版とPC版という異なるプラットフォームの選手が、ひとつのチームとして戦うという方式でした。団体戦だからこそ感じたことや、よかったことを教えてください。
Tess:部門は違っても、お互いに尊敬し合っている仲なので、信頼もできます。団結力のような1対1のレギュレーションでは得られなかったものもあるので、本当にいい経験ができたと思っています。
lemon-pop:自分が先に試合をして、その後にTessさんの試合が続く形だったんですけど、後ろにTessさんが控えているのは頼もしかったです。実績もすごいですし。
そのおかげで自分は楽に試合ができましたし、その分勝率もよくなった感じがしましたね。
──今回の大会では、プレーヤーネームではなく、本名で紹介される場面も多くありました。自分の名前で戦い、それが広く知られていくことについて、どのように感じましたか?
Tess:『eFootball』の大会は本名が使われることが結構多くて、「eJリーグ」や「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」でも本名を使っているので、選手側としては結構なじみがあります。
ただ、見ている方にはやっぱり「Tess」として知られているところがあるので、そこはどうだったのかな、という心配はありました。
lemon-pop:自分も3月くらいの時点では、「茶谷選手」と呼ばれることにちょっと抵抗がありました。でも、本戦では皆さんが名前を知ってくれていたので、そんなに戸惑わずにできましたね。
残念ながら時間の都合上、聞けたのはここまで。今回の取材で印象に残ったのは、ふたりが金メダルを逃した悔しさを率直に語りながらも、一緒に獲得した銅メダルの喜びを確かめていたことだ。
Tessが準決勝の敗因として挙げたのは、大舞台の環境に適応する速さと、そこで力を発揮する経験値。一方、lemon-popは、先制点を奪われた後に自分のペースを取り戻せなかったことを課題に挙げた。ともに、練習で磨いた実力を本番でどう出し切るかが課題となった。日本での大会とはいえ、会場ならではの雰囲気に緊張する部分もあっただろう。
そんな厳しい戦いを支えたのが、チームメイトへの信頼だった。「お互いに尊敬し合っている」と語るTessと、「後ろにTessさんが控えている」ことで楽にプレーできたというlemon-pop。同じ『eFootball』でも、普段は異なる部門で競い合うふたりが、互いの存在を力に変えていたことが伝わってくる。
日本のeスポーツにとって節目となった銅メダルは、ふたりにとって、目指す山がまだそびえ立っているという証しでもある。今回見えた課題と団体戦で得た信頼を、それぞれが次の舞台でどう生かしていくのか。
表彰台の喜びだけでは終わらないふたりの挑戦、そして、4年後のアジア競技大会で表彰台の最上段に立つふたりの姿が、今から楽しみだ。
関連リンク
Tess選手 X
https://x.com/DRX_Tess
第20回アジア競技大会 eスポーツ競技|eSports World大会情報
https://esports-world.jp/tournament/61552
アジア競技大会 eスポーツ日本代表メダル獲得レポート|eSports World
https://esports-world.jp/report/66626
今大会の『eFootball』は、PC版とモバイル版の代表選手が2人でチームを組む団体戦として、9月22日(火)~23日(水・祝)に開催。19の国と地域から38選手が出場し、日本はPC版をTess、モバイル版をlemon-popが担当した。
グループステージではパレスチナ、タイと同組になり、首位で突破。準々決勝ではヨルダンを下し、準決勝に進出した。
9月23日の準決勝で対戦したのは、強豪・イラン。モバイル版でlemon-popが2-1で先勝したものの、PC版でTessが2-3で敗れ、合計得点は4-4に。勝負はモバイル版の決定戦に持ち越され、lemon-popが0-2で敗れた。
3位決定戦は行われなかったため、日本はウズベキスタンとともに銅メダルを獲得。eスポーツの正式競技化後、日本にとって初めてのメダルとなった。
金メダルを目指して臨んだふたりにとって、表彰台に立った喜びと、準決勝で敗れた悔しさは、どちらも大きかったという。同じタイトルを異なるプラットフォームで戦うふたりは、団体戦としてコンビを組むことで何を感じたのか。大会後の単独インタビューで、準決勝の振り返りや、チームメイトへの思いを聞いた。
※インタビュー中の呼称はプレーヤーネームで統一。
Tess選手「配信台の環境にすぐに馴染めなかった」
──今大会eスポーツ分野で日本最初のメダル獲得となりました。銅メダル獲得、おめでとうございます。まずは大会を振り返って、今回の結果への率直な感想をお聞かせください。
Tess:金メダルを目標にしてきて、プレッシャーもある中で戦っていたので、正直悔しい気持ちが大きいです。ただ、今回はふたりでの団体戦なので、「ふたりで取った銅メダル」というところは、素直に喜びたいと思っています。
lemon-pop:自分も最初から金メダル、優勝を目標に掲げていたので、準決勝で敗退した試合後は悔しい気持ちでいっぱいでした。でも、表彰台に立って、なんとかメダルを持ち帰ることができたので、そこはうれしく思っています。
──最後の試合となった準決勝のイラン戦を振り返って、勝敗を分けたのはどのようなところだったと感じていますか?
Tess:やっぱり勝負強さだったり、その場での経験値だと思います。
対戦相手のハッサン選手は、長年トップでプレーしている方なんですけど、大会の配信台の環境にすぐに慣れるところなどがやっぱり違いました。
そこで僕がうまく乗り切れず、本調子が出せるまでに結構時間がかかったことが、大きな分かれ目になったのかなと思います。
──以前、HPSCで取材した際に、大会の雰囲気や環境に慣れるためにもHPSCを活用したいと話されていました。実際の会場は、想定と違う部分もありましたか?
Tess:そうですね。観客もいますし、配信台で感じる重圧は、会場やその時によって全然違うんです。
実際にPCを使ってやってきた練習も通用はしていたんですが、そういった少しの差や細かい戦術の部分で違いがあったのかなという印象はあります。

──lemon-pop選手は、イラン戦でどのような課題を感じましたか?
lemon-pop:準決勝では自分が2試合プレーして、1戦目は僕が先制点を取り、2戦目は相手が先制点を取りました。
最初の試合は、自分が先制点を取ったことで流れがこちらに来て、そのまま試合を運べたんです。でも、次の試合は相手の方に流れが行ってしまいました。自分のペースで試合を運べなかったことが反省点です。
lemon-pop選手「後ろにTessさんが控えている頼もしさ」
──今回は、モバイル版とPC版という異なるプラットフォームの選手が、ひとつのチームとして戦うという方式でした。団体戦だからこそ感じたことや、よかったことを教えてください。
Tess:部門は違っても、お互いに尊敬し合っている仲なので、信頼もできます。団結力のような1対1のレギュレーションでは得られなかったものもあるので、本当にいい経験ができたと思っています。
lemon-pop:自分が先に試合をして、その後にTessさんの試合が続く形だったんですけど、後ろにTessさんが控えているのは頼もしかったです。実績もすごいですし。
そのおかげで自分は楽に試合ができましたし、その分勝率もよくなった感じがしましたね。
プレーヤーネームから本名へ——日本代表として戦う実感
──今回の大会では、プレーヤーネームではなく、本名で紹介される場面も多くありました。自分の名前で戦い、それが広く知られていくことについて、どのように感じましたか?
Tess:『eFootball』の大会は本名が使われることが結構多くて、「eJリーグ」や「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」でも本名を使っているので、選手側としては結構なじみがあります。
ただ、見ている方にはやっぱり「Tess」として知られているところがあるので、そこはどうだったのかな、という心配はありました。
lemon-pop:自分も3月くらいの時点では、「茶谷選手」と呼ばれることにちょっと抵抗がありました。でも、本戦では皆さんが名前を知ってくれていたので、そんなに戸惑わずにできましたね。
※ ※ ※
残念ながら時間の都合上、聞けたのはここまで。今回の取材で印象に残ったのは、ふたりが金メダルを逃した悔しさを率直に語りながらも、一緒に獲得した銅メダルの喜びを確かめていたことだ。
Tessが準決勝の敗因として挙げたのは、大舞台の環境に適応する速さと、そこで力を発揮する経験値。一方、lemon-popは、先制点を奪われた後に自分のペースを取り戻せなかったことを課題に挙げた。ともに、練習で磨いた実力を本番でどう出し切るかが課題となった。日本での大会とはいえ、会場ならではの雰囲気に緊張する部分もあっただろう。
そんな厳しい戦いを支えたのが、チームメイトへの信頼だった。「お互いに尊敬し合っている」と語るTessと、「後ろにTessさんが控えている」ことで楽にプレーできたというlemon-pop。同じ『eFootball』でも、普段は異なる部門で競い合うふたりが、互いの存在を力に変えていたことが伝わってくる。
日本のeスポーツにとって節目となった銅メダルは、ふたりにとって、目指す山がまだそびえ立っているという証しでもある。今回見えた課題と団体戦で得た信頼を、それぞれが次の舞台でどう生かしていくのか。
表彰台の喜びだけでは終わらないふたりの挑戦、そして、4年後のアジア競技大会で表彰台の最上段に立つふたりの姿が、今から楽しみだ。
関連リンク
Tess選手 X
https://x.com/DRX_Tess
第20回アジア競技大会 eスポーツ競技|eSports World大会情報
https://esports-world.jp/tournament/61552
アジア競技大会 eスポーツ日本代表メダル獲得レポート|eSports World
https://esports-world.jp/report/66626
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