【FL GON選手インタビュー】「ずっと勝つだろうなとは思っていた」——逆転されても気持ちは変わらない、日本一のチームのすごさを選手自ら語る

2024.4.1 まいる
VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2024 Split 1」のプレーオフ準決勝戦・決勝戦が、3月30日(土)〜31日(日)に開催された。FENNEL(FL)、Sengoku Gaming(SG)、REJECT(RC)の国内の強豪チームが白熱した試合を見せ、会場を大いに盛り上げた。

決勝となるDay2ではRC vs FLの対決が行われた。前日に続くすさまじい激戦、5マップ中3マップがオーバータイムに突入し、4マップ目の「ブリーズ」では計38ラウンドに達するという非常にタフな試合だった。最終マップの「アイスボックス」では、13:9のスコアで見事FLが勝利。アッパーファイナルのリベンジを果たす形で、見事日本一の座に輝いた。

▲計136ラウンド、約8時間にもおよぶ接戦の末、勝敗を決したのはDerialy選手の1キルだった(https://www.youtube.com/watch?v=U0TV_VxSHyc&t=31685s

今回は、試合終了直後に行われた合同インタビューの様子と、GON選手への個別インタビューの様子を余す所なくお届けしたい。

「やっぱり、俺たち強かったんだな」
GON選手個別インタビュー


続いて、GON選手への個別インタビューの様子をお届けしよう。

——まずは、お疲れさまでした!

GON:お疲れさまでした!

——試合が終わっての感想をお聞かせください。

GON:やっぱり、俺たち強かったんだなって思います。

——日本一になった今、FENNELというチームについてどう思われますか。

GON:何もかもすごいサポートをしてくれますね。例えば、僕たちがゲームに集中できるような環境を用意してくれたり。マネジャーも「絶対勝つぞ」という意志を持って僕たちをサポートしてくれています。僕たち以上かもしれないくらい熱があって、それが僕たちに伝染していってモチベーションに繋がっていたのかなと思います。

▲日本一の瞬間、解き放たれたように選手とコーチが抱き合って喜んだ

——初のVCJのオフライン舞台、緊張はいかがでしたか?

GON:みんなに聞かれて「全然してないよ、俺は」って言ってたんですけど、実際やってみると、腕プルプルでしたね。腕プルプル、足ガタガタみたいな。

——(笑)。実際はめちゃくちゃ緊張したと?

GON:ガクガクっすね。

——試合自体も非常に長かったかと思いますが、疲れの方はどうでしたか?

GON:まあ、全然……疲れますね!

——では、実際かなりキツかったんですね。

GON:いやぁ、キツかったっすね!

まあでも、勝つかなとは思ってました。4マップ目で追い上げられて負けてしまったときも、この後のマップで勝つだろうなとは思ってましたね。

——この長丁場を乗り切ることができたのは、やはりそういう気持ちがあったからなのでしょうか。

GON:誰かが調子悪くても、誰かがそこをサポートしてくれるんで。本当に信頼してるんで、勝つだろうなとはずっと感じていました。

——4マップ目のブリーズで、GON選手のACEが飛び出しましたが、決めてみて気分はどうでしたか?

GON:やっと出たかGON。やっと来てくれたかGON、って思いましたね(笑)。

▲RCのエントリーをほぼひとりでさばき切る(https://www.youtube.com/watch?v=U0TV_VxSHyc&t=22740s

▲会場からの「エース」コールが飛び交う中、𝑮𝑶𝑵 𝑴𝑨𝑪𝑯𝑰𝑵𝑬の意地を見せた

——調子は上がりましたか?

GON:正直、そこからノリましたね。なんなら、もう一回やってもいいよ、くらい。

——もう一回?

GON:あれからもう一回試合すれば、全部MVP取れましたね。なんかBO5だったんで試合終わっちゃいましたけど、続けてればだいぶ暴れてますね。

——まだまだいけるということですか?

GON:余裕っすね。

——ACE以外に個人的には、ロータスのAサイトで見せたとっさの連携プレーが印象的でした。FLはこういった連携がうまいチームのように感じますが、チームとしてなにか練習をしていたり、心がけていることはあるんでしょうか。

GON:ああいうシーンは完全にアドリブなんですよ。

▲3on5の人数不利のシチュエーション、GON選手がいちかばちかあえて前へ進み1キル

▲RCのカバーに対し、SyouTa選手の手厚い援護が襲いかかる。見事ラウンドを獲得したFLのプレーに、思わず舌を巻いた(https://www.youtube.com/watch?v=U0TV_VxSHyc&t=16635s

GON:自分がイケると思ったポジションがあったときに、味方に対して「俺のポジション見て」って言うんですよ。そしたら、味方が勝手にそこを生かすようにサポートをしてくれる、って感じですね。

——コール&レスポンスみたいな感じなんですね。

GON:そうですね。そのロールのスペシャリストしかいないので、めちゃくちゃ(サポートが)早いですね。

FENNELのコントローラーが語る、新エージェント「クローヴ」


——新エージェント「クローヴ」は使いましたか?

GON:使いました!

——どうでしたか?

GON:めちゃくちゃ強いっす。もうこれは、僕です。僕が出てきたのかなって思いました。

▲デスした後にも使えるスモーク、自分の体力を回復するなどのアビリティーを持つ「クローヴ」。今までにない非常にアグレッシブなプレースタイルのコントローラーだ

——前線を張れるコントローラーではありますが、今後競技シーンで使われるとは思いますか。

GON:うーん。Paper Rexなら使いそうかな。

はっきり言うと、敵を止めるアビリティーがないんですよ。自分では楽しいけど、周りのヤツは楽しくないかな。

——ニッチな役回りになってしまうということでしょうか。

GON:そうですね。ただ、キャリーできるパワーはあるので。

——では競技シーンではあまり見れなさそうですかね?

GON:あまり使われなさそうですね。使われたとしても、もう一人コントローラーがいるだろうなとは思います。

——ちなみに、いいスモーク使いになる極意はありますか?

GON:とにかくミニマップを見て味方に合わせるということが大事ですね。

学生時代、周りの目をうかがって人間観察をしていた人たち。僕もそのひとりなんですけど、こういうキョロ充にはおすすめかな。

——なるほど(笑)。

GON:キョロ充の極意を学べば、いいスモーク使いになれますね。

人の顔をうかがって、「あっ、ここに欲しいのかな?」「あっ、怒られちゃった!」の繰り返しです。

——失敗も積み重ねつつ……と。

GON:間違えたところに置くと怒られるんで。「何やってんだよ!」って(笑)。

「次は早く帰らせる」——Split2に向けての意気込み


▲インターナショナルリーグ昇格を懸けたVCT Ascension Pacific。本大会のラスト、開催地が東京であることが発表された。Masters Tokyoに次ぐ、VCT二度目の国際大会である

——大会の最後に、VCT Ascension Tokyoの発表がありました。これについてどう思われますか?

GON:本当に、距離が近くてうれしいです。

——飛行機に乗らなくていいですからね。

GON:飛行機に乗る必要がなくてうれしいし、時差もなくてうれしいです。

——その言葉があるということは、「行きたい」ではなく、もう「行く」ということですかね?

GON:もういます。多分GONいますね。なので皆さん見に来てください。

——次は、VCJ Split2がひとつの通過点となります。そこへ向けての意気込みをお聞かせください。

GON:今回フルセット見れた人たちは、とても楽しかったと思います。

でもごめんなさい。Split2はめちゃくちゃ早く帰らせます。
で、20時くらいにはこのインタビューを受けてると思います。

——助かります(笑)

GON:はは、そうですね(笑)。その意気で楽しくやっていきたいと思います。応援よろしくお願いします!

——ありがとうございました!

———

準決勝に続いて、またもや激戦となった決勝戦。見事日本一を獲得したFENNELにとっては、大きな自信に繋がったことは間違いないだろう。長きに渡る試合を戦い抜いた選手たちを今はただ称えたいと思う。

余談だが、今回のインタビューは試合時間の関係上、夜11時ごろまで及んだ。そんな中、試合直後でへとへとになりながらも、しっかりとインタビューに答えてくださったGON選手、ならびにFENNELの選手たちには、感謝の気持ちでいっぱいである。

▲インタビュー後の写真撮影。ポーズをおまかせしたところ、ノリノリでいろんな表情を用意してくれた

FENNEL合同インタビュー


続けて試合直後に行われた合同インタビューの様子もお届けしよう。

▲左から、SyouTa(しょうた)、Derialy(でりありー)、CLZ(くるず)、Xdll(えっくすでぃる)、GON(ごん)、Euler(おいらー)コーチ

——まずは、優勝おめでとうございます。

CLZ:ありがとうございます!

——率直な感想と、今日の試合の振り返りをお願いします。

CLZ:めちゃめちゃ長いラウンドをプレーして、本当に疲れた試合だったんですが、みんな頑張ってくれて勝てたと思うので、良かったと思います。

——本日は大変な試合だったと思います。実際に戦ってみてどうだったのかや、チーム内でどういった声掛けをしていたのかをお聞かせください。

SyouTa:昨日に引き続き、今日もとてもタフな試合でした。特に4試合目の「ブリーズ」で、自分も含めみんなの体力が持っていかれてて、しんどいんじゃないかなとは思っていました。でも、自分ひとりでも寿命を削って燃え尽きようと思い頑張りました。

それに、GONさんに「お前は後悔しないプレーを出せばいい」とか、Xdllに「行けると思ったときに行け」とか、いろんな信じてくれてる言葉を掛けてくれて、やる気というか、なんでもできるような自信が湧きました。体力はないはずなのに、最後のマップでは別に疲れている感じはしなかったですね。

——準決勝では少しメンバーの調子が悪そうだったという話がありました。ただ今日はACEが出たりするなど、すごく調子が良かったように感じます。選手視点では、こちらの方はいかがでしょうか。

CLZ:バレちゃったか、言ったの。

(一同笑い)

CLZ:でも今日はみんな本当に強くて、ひとりひとりが欠けてたら負けていたと思います。みんな強かったなと思います。

——なにか昨日から変わったことはありますか?

Xdll:睡眠とか?

CLZ:確かに。前日にいい睡眠を取ろう、という努力をみんなでしました。

——Xdll選手にお聞きします。VCJ開幕前に「反省期間」という個人練習に専念する期間があったかと思います。その時の1日のスケジュールや練習内容をお聞かせください。

Xdll:朝起きて、寝るときやご飯たべるとき以外は、ずっとランクやデスマッチに引きこもってましたね。

——昨シーズンに比べて、自分自身で進化したという実感はありますか?

Xdll:そうですね、めちゃくちゃ思います。

SyouTa:やっぱすごいよ。

▲「反省」を経て、すさまじいフィジカルで窮地を何度も救ったXdll選手

——準決勝・決勝ともに接戦だったかと思いますが、そこで相手を上回ることができたのはどういった要因があるのでしょうか。

Eulerコーチ:どちらの試合も一貫して、練習でやったことがそのまま反映されていると思っています。勝ったラウンド・負けたラウンド、勝ったマップ・負けたマップ、各々のパフォーマンス、前日それぞれがどう過ごしたか。それら全部が繋がっているように、今はしみじみ思います。

僕らが一歩上回れたのは、周りのサポート含めて、これらの今までやってきたことがちょっと上回っていたからだと感じます。

——GON選手へお聞きします。Dep選手のマウスパッドを使っておられましたが、その理由をぜひお聞かせください。

GON:これはあまり大きな声では言えないんですけど、実は結構Depさんと親友の関係で……。それの交友の一環で。

(一同笑い)

GON:というのはウソで、僕がめちゃくちゃおねだりして、渋々譲ってもらえたんですけど。それで今日はその力を借りてプレーしました。

——実際良かったですか?

GON:一瞬「怒られるか?」っていうパフォーマンスを出しかけたんですけど、最終的に強かったんで、多分(Depさんは)ニコニコだと思います。

——では大丈夫ですね。

GON:オッケーっす。

——昨シーズンからhiroronn選手に代わり、新たにDerialy選手が加わりました。Derialy選手のチーム内での役割や強みをお聞かせください。

CLZ:Derialyさんは、すごく練習に真面目というのが一番いいところだと思っています。プロ選手にとって、真面目に取り組むことが一番難しいことだと思うんですが、彼はそこが欠けていないと思います。

しかも、チームの雰囲気が悪いときにも率先して自分から声を出してくれますし、チームの雰囲気をガラッと変えてくれる選手なのかなと思います。あと、フィジカルが強いです。

SyouTa:練習の中で、一番落ち着いてコールを出している選手ですし、敵の状況と味方の状況を冷静に伝えることができます。そこは、hiroronn選手にも負けないのかなと思います。

——昨日今日と、どちらもタフな試合だったかと思います。このタフな試合を、どう乗り越えていったのかをお聞かせください。

GON:どう乗り越えたか……。まあ、乗り越えられてない試合もあるんですけど(笑)。

(一同笑い)

GON:乗り越えられた試合の中でどう乗り越えたかというと、ラウンド後の「大丈夫、大丈夫」という声かけですかね。

どのプロ選手に聞いても「やっぱり声掛けですかね」みたいに言うと思うんですけど、実際に大会でプレーしてみると、味方の声掛けってこんなにありがたいものなんだなって改めて実感できました。僕もこれから、実践させていただこうと思います(笑)。

Derialy:僕は最後の方になるにつれて、今の自分のプレースタイルや行動が正しいのかどうか悩むようになってきたんですけど、「後悔するくらいならやりきって終わろう」と思って乗り切ることができました。

▲4マップ目の敗北直後、GON選手(左)の肩を叩くXdll選手(右)。落ち込んではいたが、次に向けて気持ちを切り替えているようにも見えた

CLZ:今回Split1で優勝できて本当にうれしいんですけど、僕たちの目標はアセンションで優勝することです。気持ちを切らさずに、全力で走り抜けたいと思います。本当にいつも応援ありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。

———

今回、終電や新幹線なんかの関係で、血の涙を流しながらオフライン会場を後にしたファンも多いだろう。実際、あおなみ線の車内がVCJの二次会場と化していたという話も聞く。「次は早く帰らせる」と豪語するGON選手。特に今回最後まで会場で見れなかったFLファンは、次回のSplit2に向けて、この言葉に期待したいところだ。


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撮影:まいる
編集:いのかわゆう


【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。

X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
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