「LJL」が「PCS」に加入するってどういうこと? 「LJL」にとってのメリット・デメリットを考える
ライアットゲームズは、2024年からの『リーグ・オブ・レジェンド』のeスポーツにおいて、Pacific Championship Series(PCS)をさらに拡大することを発表した。そのひとつとして、日本のプロリーグである「LJL」が、Summer Splitのプレイオフから「PCS」に加入することとなった。
このニュースを受けて「LJLはなくなるの?」「Worldsに行けなくなる?」といった心配をされているファンも多いかもしれない。今回の変更でなにがどうなるのか、簡潔に解説しよう。
今回の変更により起こることを端的に表すと、以下のとおりだ。
「Worlds」の出場枠に関しては、これまでは「LJL」に参戦している日本の8チームの中から1チームが必ず選ばれていたわけだから、当然「LJL」にとってはマイナスだ。2024年からは「Worlds」に日本チームが出場できない年が生まれる可能性もあるということ。秋の「Worlds」での盛り上がりがまったくなくなってしまうかもしれない。
では、プラス面で期待されるのはどんなことかと言えば、停滞した「LJL」のレベルアップが図れるということだろう。
2014年からスタートした「LJL」は、毎年選手・チームともに練度を上げ、実力を積み重ねてきた。その歴史の中では、今よりも多くのeスポーツチームがLoL部門を作っていた時期もある。また、2部リーグ「LJLCS」との入れ替え戦や、アカデミーリーグといった育成枠の取り組みも行われている。
しかし、現実的にはここ数年、上位チームにはあまり動きがなく、リーグ全体の実力が世界に届くほどになっているかと言われれば、残念ながらノーだ。ここ数年の「Worlds」での戦績を見てもそれは明らかだろう。つまり、日本のチーム同士での対決だけでは、世界に届くほどのレベルアップが図れなかったのだ。
「LJL」代表チームの「Worlds」での戦績
この点は、地続きでトレードなども盛んに行われている欧州や北米・南米の地域と比べても、島国である日本がかなり閉鎖的で狭い地域である点は仕方ない。中国、韓国という最強リーグを近くにおきながら、助っ人外国人として招聘することはあっても、レベルアップのための交流などもなかなか行われていないのが実情だ。
その意味で、今回の「PCS」への「LJL」の加入は、いきなり「MSI」や「Worlds」で世界トップティアーのチームと対決するのではなく、近場の海外チームとメタや戦術の異なる選手たちと交流し、競い合うことができるチャンスが生まれたと考えることもできる。
ただし、代表チームがDFMばかりだからといって、DFMが弱いと考えるのは誤りだ。DFMが「LJL」でほぼ無双状態ということは、ライバルチームがいないということ。つまり、DFMが勝てない=「LJL」というリーグ自体が弱いということを示している。
「LJL」としてもその点を克服すべく、さまざまな施策を打ってきた。今回の「PCS」への加入もそのひとつだ。
「LJL」から日本代表が「Worlds」に参戦するために、今後は「PCS」や「LCO」のチームにも気を配らなければならない。では、「PCS」「LCO」とはどんなリーグなのだろうか。
「PCS」は台湾・香港・マカオのチームが競い合うリーグだ。台湾は2012年に2度目の世界大会で優勝したTaipei Assassinsを輩出した地域でもあり、黎明期から強豪リーグとしても有名だった。「PCS」が今のかたちにまとまったのは2020年シーズンからで、それまでは「LJL」と同様に地域ごとにリーグが行われていたこともある。
また、2023年は10チームが鎬を削り、PSG Talon(香港)とCTBC Flying Oyster(台湾)の2チームが「Worlds」に参戦を果たした。そして実は「PCS」のさらに下には「PCL」というリーグもあり、8チームから2チームが入れ替え戦の「Promotion」に挑み、「PCS」に昇格できる。地域や国の多様性に加え、上位に進出するために気の抜けない戦いが続くこともあり、その実力はしっかり向上してきていると言える。
もうひとつの「LCO」はオーストラリアのリーグ。前身である「OPL」から2020年に引き継がれ、8チームで争われている。2023年シーズンからは「LCO」の2チームが「PCS」で戦うようになった。つまり、今回の「LJL」と同様のシステムだ。
今回の「LJL」の加入で、中国・韓国・ベトナムを除くアジア・オセアニア地域のリーグがひとつにまとまり、より狭き門に挑むという構図になり、これまで以上に熾烈な争いになることは間違いない。甘えが許されない環境の中で、「LJL」はもちろん、地域ごとのレベルアップもよりいっそう進むだろう。
もうひとつの心配は「LJL」自体の存続だ。
今回の発表では、「LJL」のプレイオフが「PCS」で行われるというだけで、レギュラーシーズン(Spring、Summer)はそのままだ。つまり、国内のリーグ自体はこれまで通り存続することになるので安心してほしい。
また、これまでは最強の1チームだけが国際大会に挑戦していたが、2024年からは2チームがプレイオフに進出することになる。これも海外チームとの経験を積めるという意味ではプラスだろう。
ただ、Spring Splitの優勝チームが集う「MSI」については特になんの言及もないが、2023年は「LCO」から2チームがSpring Splitのプレイオフに参戦していたことから、おそらく「LJL」も同様のシステムになるのではないかと予想される。つまり「MSI」についても「LJL」から直通のルートはなくなったのではないだろうか。
「LJL」から「Worlds」への直通ルートがなくなったことは素直に残念だ。ただ、「Worlds」で活躍すること、「LJL」から世界を制するチームが出てくることこそが、本来目指すべき高みだ。そういう意味では、「Worlds」への道が険しくなったからこそ、「LJL」が飛躍できるきっかけが生まれたと考えることもできるだろう。
『LoL』というゲームはひとりではプレイできない。チームワークやバンピックなどの戦況を読む力、戦術がものを言うチームゲームだ。いまこそ「LJL」というリーグが一丸となって、新たなステップとなった「PCS」を制することで、強さのランクを底上げできるチャンスだ。
ファンとしてもよりいっそう、「LJL」のチームと選手を応援し、高みを目指せるよう、2024年も引き続き応援していきたい。
このニュースを受けて「LJLはなくなるの?」「Worldsに行けなくなる?」といった心配をされているファンも多いかもしれない。今回の変更でなにがどうなるのか、簡潔に解説しよう。
「LJL」にとってのメリット・デメリットとは?
今回の変更により起こることを端的に表すと、以下のとおりだ。
- 「LJL」に用意されていた「Worlds」の出場枠(1枠)がなくなった
- 「LJL」から「PCS」に進出できるのは2チームのみ
- 「MSI」「Worlds」以外で海外チームと戦える機会が増えた
- 「LJL」のレギュラーシーズン(Spring、Summer)はそのまま
- 「LJL」優勝の賞金がどうなるかは不明
「Worlds」の出場枠に関しては、これまでは「LJL」に参戦している日本の8チームの中から1チームが必ず選ばれていたわけだから、当然「LJL」にとってはマイナスだ。2024年からは「Worlds」に日本チームが出場できない年が生まれる可能性もあるということ。秋の「Worlds」での盛り上がりがまったくなくなってしまうかもしれない。
では、プラス面で期待されるのはどんなことかと言えば、停滞した「LJL」のレベルアップが図れるということだろう。
2014年からスタートした「LJL」は、毎年選手・チームともに練度を上げ、実力を積み重ねてきた。その歴史の中では、今よりも多くのeスポーツチームがLoL部門を作っていた時期もある。また、2部リーグ「LJLCS」との入れ替え戦や、アカデミーリーグといった育成枠の取り組みも行われている。
しかし、現実的にはここ数年、上位チームにはあまり動きがなく、リーグ全体の実力が世界に届くほどになっているかと言われれば、残念ながらノーだ。ここ数年の「Worlds」での戦績を見てもそれは明らかだろう。つまり、日本のチーム同士での対決だけでは、世界に届くほどのレベルアップが図れなかったのだ。
「LJL」代表チームの「Worlds」での戦績
- Worlds 2018 DetonatioN FocusMe 24チーム中18位(プレイイン)
- Wordls 2019 DetonatioN FocusMe 24チーム中22位(プレイイン)
- Worlds 2020 V3 Esports 22チーム中22位(プレイイン)
- Worlds 2021 DetonatioN FocusMe 22チーム中14位(グループステージ)
- Worlds 2022 DetonatioN FocusMe 24チーム中18位(プレイイン)
- Worlds 2023 DetonatioN FocusMe 24チーム中24位(プレイイン)
この点は、地続きでトレードなども盛んに行われている欧州や北米・南米の地域と比べても、島国である日本がかなり閉鎖的で狭い地域である点は仕方ない。中国、韓国という最強リーグを近くにおきながら、助っ人外国人として招聘することはあっても、レベルアップのための交流などもなかなか行われていないのが実情だ。
その意味で、今回の「PCS」への「LJL」の加入は、いきなり「MSI」や「Worlds」で世界トップティアーのチームと対決するのではなく、近場の海外チームとメタや戦術の異なる選手たちと交流し、競い合うことができるチャンスが生まれたと考えることもできる。
ただし、代表チームがDFMばかりだからといって、DFMが弱いと考えるのは誤りだ。DFMが「LJL」でほぼ無双状態ということは、ライバルチームがいないということ。つまり、DFMが勝てない=「LJL」というリーグ自体が弱いということを示している。
「LJL」としてもその点を克服すべく、さまざまな施策を打ってきた。今回の「PCS」への加入もそのひとつだ。
「PCS」「LCO」ってどんなリーグ?
「LJL」から日本代表が「Worlds」に参戦するために、今後は「PCS」や「LCO」のチームにも気を配らなければならない。では、「PCS」「LCO」とはどんなリーグなのだろうか。
「PCS」は台湾・香港・マカオのチームが競い合うリーグだ。台湾は2012年に2度目の世界大会で優勝したTaipei Assassinsを輩出した地域でもあり、黎明期から強豪リーグとしても有名だった。「PCS」が今のかたちにまとまったのは2020年シーズンからで、それまでは「LJL」と同様に地域ごとにリーグが行われていたこともある。
また、2023年は10チームが鎬を削り、PSG Talon(香港)とCTBC Flying Oyster(台湾)の2チームが「Worlds」に参戦を果たした。そして実は「PCS」のさらに下には「PCL」というリーグもあり、8チームから2チームが入れ替え戦の「Promotion」に挑み、「PCS」に昇格できる。地域や国の多様性に加え、上位に進出するために気の抜けない戦いが続くこともあり、その実力はしっかり向上してきていると言える。
もうひとつの「LCO」はオーストラリアのリーグ。前身である「OPL」から2020年に引き継がれ、8チームで争われている。2023年シーズンからは「LCO」の2チームが「PCS」で戦うようになった。つまり、今回の「LJL」と同様のシステムだ。
今回の「LJL」の加入で、中国・韓国・ベトナムを除くアジア・オセアニア地域のリーグがひとつにまとまり、より狭き門に挑むという構図になり、これまで以上に熾烈な争いになることは間違いない。甘えが許されない環境の中で、「LJL」はもちろん、地域ごとのレベルアップもよりいっそう進むだろう。
「LJL」のレギュラーシーズンはなくならない!
もうひとつの心配は「LJL」自体の存続だ。
今回の発表では、「LJL」のプレイオフが「PCS」で行われるというだけで、レギュラーシーズン(Spring、Summer)はそのままだ。つまり、国内のリーグ自体はこれまで通り存続することになるので安心してほしい。
また、これまでは最強の1チームだけが国際大会に挑戦していたが、2024年からは2チームがプレイオフに進出することになる。これも海外チームとの経験を積めるという意味ではプラスだろう。
ただ、Spring Splitの優勝チームが集う「MSI」については特になんの言及もないが、2023年は「LCO」から2チームがSpring Splitのプレイオフに参戦していたことから、おそらく「LJL」も同様のシステムになるのではないかと予想される。つまり「MSI」についても「LJL」から直通のルートはなくなったのではないだろうか。
「LJL」にとっては「正念場」ではなく「新たな飛躍のきっかけ」
「LJL」から「Worlds」への直通ルートがなくなったことは素直に残念だ。ただ、「Worlds」で活躍すること、「LJL」から世界を制するチームが出てくることこそが、本来目指すべき高みだ。そういう意味では、「Worlds」への道が険しくなったからこそ、「LJL」が飛躍できるきっかけが生まれたと考えることもできるだろう。
『LoL』というゲームはひとりではプレイできない。チームワークやバンピックなどの戦況を読む力、戦術がものを言うチームゲームだ。いまこそ「LJL」というリーグが一丸となって、新たなステップとなった「PCS」を制することで、強さのランクを底上げできるチャンスだ。
ファンとしてもよりいっそう、「LJL」のチームと選手を応援し、高みを目指せるよう、2024年も引き続き応援していきたい。
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