リアルレーサーとゲーマーがガチで競い合う「JeGT GRAND PRIXシリーズ」記者発表会レポート

2020.10.12 eSports World編集部
eモータースポーツの最高峰を目指すシリーズ戦「JeGT GRAND PRIXシリーズ」の2020年体制発表会が10月12日(月)にオンラインで実施された。賞金総額は500万円で、2020年12月から4度のオンライン予選を経て、2021年3月に大阪・REDEEでオフライン決勝を行う予定となっている。

本記事では、そのオンライン記者発表会の内容を踏まえて、日本のeモータースポーツの展望をご紹介したい。

発表を行ったNGM株式会社代表取締役兼JeGT GRAND PRIX大会運営代表の北浦諭氏(左)と、株式会社オートバックスセブン代表取締役社長執行役員の小林喜夫巳氏


世界のeモータースポーツの覇権を握る第一歩


JeGTの正式名称は「JAPAN ELECTRONIC SPORTS GRAND PRIX」。PS4の『グランツーリスモSPORT』を用いて速さを競うレースだ。2020年に株式会社オートバックスセブンとメインスポンサー契約を締結し、12月からいよいよシリーズ戦がスタートする。その目標は、世界に通じるeモータースポーツのトップカテゴリーとなること。


eモータースポーツでは、F1やインディをはじめ、さまざまなレースで新型コロナウイルスによる開催中止を受けてバーチャルレースが行われている。ただ、リアルモータースポーツのF1に代表されるような最高峰のカテゴリーは、eモータースポーツの世界にはまだ登場していない。『グランツーリスモSPORT』という日本発のタイトルと、地域や場所、年齢などを問わないバーチャルなレースであれば、トップカテゴリーを目指すことも無理ではない。

JeGT自体は過去に何度か、プレ大会を実施している。2019年9月には神戸で初の大会「ZERO ROUND」を、2020年1月には東京オートサロン2020の会場にて第2回大会「ROUND EXTRA」を開催。さらに、オンラインにて2回のエキシビションマッチも成功させている。


12月から始まるシリーズは、4度のオンライン予選を経て、3月にラウンドファイナルを実施。部門としては、TEAM BATTLEとINDIVIDUAL MATCHの2つで、参加に当たってはJeGTからの公認が必要となる。


大会の特別協賛にはオートバックスセブンのほか、協賛としてゲーミングデバイスを数多く手掛けるロジクールG、モータースポーツ向け自動車用シートメーカーのブリッドが名を連ねる。後援は日産自動車だ。NDMとしてはまだまだ協賛企業は受け付けているという。


ちなみに、オンライン予選での機材については、コントローラーやゲームパッド、ゲーミングチェアなどは特に問わないが、オフライン決勝については協賛企業にも名を連ねているロジクールGのステアリングコントローラーと、ブリッドのシートを使用予定だrという。

賞金総額は国内最高の500万円!


今大会の賞金総額は、国内のeモータースポーツ大会としては最高額となる500万円。優勝賞金は、TEAM BATTLE(団体戦)が150万円、INVIDIVIDUAL MATCH(個人戦)が100万円。2位以下の賞金の配分は、10月13日(火)に公式サイトにて発表される。


各予選は2週間のインターバルを空けて土曜日に個人戦、日曜日に団体戦が行われ、ファイナルは3月にオフライン&生配信が予定されている。


ここでもうひとつ注目したいのが、予選ラウンドに設けられた下位クラス「JeGT GHALLENGERS」の存在だ。例えば40歳以上、17歳以下、女性限定といった限定レースや条件付きレースといった様々な切り口で、さらに上を目指してチャレンジしたい選手を応援する意味も込められている。



JeGT認定ドライバーとは?


大会に参加するための条件なども提示された。前提となるのは、「JeGT認定ドライバー」という仕組みだ。

基本的には「JeGTドライバーズセレクション」に合格すると認定ドライバーになれる。メリットとしては、JeGT GRAND PRIXの個人戦に参加できるということもあるが、一番は賞金を受け取れるということだろう。非認定ドライバーは、優勝できたとしても賞金をもらうことができない。過去のJeSUのライセンスと賞金の関係と似ている。


10月時点のエントリーは、個人15名、団体10チーム。SUPER GTなどでも活躍している大手チームも並んでおり、チームには必ずひとりリアルレーサーを含まなければならず、トータルで7名までしか登録できない。11月上旬までエントリーは受付中だ。


さらに、「JeGTドラフト会議」も行う。各エントラントが希望ドライバーを指名し、交渉ののちチームに所属できるというものだ。eモータースポーツではマシンやタイヤといったモータースポーツで最もチーム間の差が出やすい要素がほとんどないため、純粋な腕=ドライバー力の勝負。それぞれのチームにいい人材が分散することで、シーズンがより面白くなるだろう。


そして最終戦のラウンドファイナルの舞台は、大阪にあるREDEE。個人戦、チーム戦とも予選上位8位までが、オフラインの直接対決で雌雄を決する。そのほか、エキシビションレースや各種イベントなども実施予定だ。



eモータースポーツで日本から世界へ! 


NGM株式会社代表取締役兼JeGT GRAND PRIX大会運営代表の北浦諭氏はJeGTの目的について、「若者のクルマへの興味が薄れてきていますが、eスポーツファンは10代後半から30代前半でメインは20代と、まさにクルマへの興味を失っているのも同じ層なんです。サーキットにはクルマがなければ行くことができませんから、その楽しさ、華やかさも知らない。eスポーツの要素を加えれば、一気に身近な場所で楽しめるものになります」と語った。

一方、国内外630拠点でその地域のクルマの安心と安全を守り、クルマ好きになってほしいという思いで活動しているオートバックスセブン代表取締役社長執行役員の小林喜夫巳氏も、「オンラインモータースポーツは、時間を問わない、場所を問わない、年齢を問わないということで、ハードルが超えやすくなりました。オートバックスはリアルスポーツとして(国内最高峰レースのSUPER GTなどをはじめ)長年支援させていただきましたが、ここから先、リアルとバーチャルの融合の結果、化学反応が起きるのではないか」と、eモータースポーツに期待を寄せている。

eモータースポーツの世界は、まだまだ誰がメインプレイヤーとなるのかわからない状況だ。F1のような放映権ビジネスはもはや通用しないし、リアルレースにおけるF1とWRCとインディ500の違いは、ゲームの中ではほとんど意味がない。収益構造、イベントの規模、選手たちの報酬や立場、自動車メーカーやパーツメーカーとの関係性など、これまで自動車レースを牽引してきた人々が手を出すことができない、自動車レースの常識がまったく通用しない時代が否応なしに訪れる。

そんな中で、世界に先駆けて日本でリアルレーサーとシムレーサーが垣根を超えて戦えるシリーズが設けられたことは、大きな意味を持っている。多数の自動車メーカー、サーキット、大規模なレースが存在する日本だからこそできることがこれから出てくるはずだ。

まずは12月から始まるJeGT GPの動きに、編集部としても注目していきたい。


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