【現地レポート】GON「プロチームはこの試合参考にした方がいい」——学生eスポーツ大会「Red Bull Campas Cluch 2023」は選手推しの女性ファンも集まり大成功!

2023.10.20 岡安学
学生向け『VALORANT』グローバルeスポーツトーナメント「Red Bull Campas Cluch 2023」が10月7日(土)にRED° TOKYO TOWER SKY STUDIUMにて開催されました。

Red Bull Campas Cluchは18歳以上の学生であれば誰でも参加できる大会で、高校生大会のSTAGE:0や全国高校eスポーツ選手権のように同一校でチームを組まなければならない縛りもありません。それだけに参加しやすい大会といえます。

日本大会決勝で優勝するとトルコ・イスタンブールで開催される世界大会への出場権が与えられます。世界大会は約50カ国で予選を勝ち抜いたチームが参加し、優勝チームには2万ユーロ(約300万円)の賞金が贈られます。また、日本大会は9月にオンライン予選を行っており、そこで勝ち抜いた4チームが今回の決勝大会に進出しています。また、この4チームには11月に開催される「Red Bull Home Ground」に招待。さらに優勝チームはチーム全員分の交通費をRed Bullが負担するという大盤振る舞いな大会なのです。

▲会場はRED° TOKYO TOWER

▲入口のカーテンからRed Bull Campas Cluchをアピールしていました

優勝はGYUDON EATING


大会はNo Idea、おさかなAimers、Fortnite、GYUDON EATINGの4チームが出場しましたが、昨年も優勝したGYUDON EATINGが、準決勝でおさかなAimersを倒し、決勝ではNo Ideaを撃破して連覇を成し遂げました。

▲優勝したGYUDON EATINGと実況の河野海樹キャスターとFENNELのGON(ごん)選手とCLZ(くるず)選手

来場した観戦者は参加者の同級生らしい人が多くかなり若い印象。また、CLZ選手やGON選手の人気で集まった感もあり、もともと高かった女性比率が、よりいっそう高くなっていました。学生大会ながらプロシーンと同様の展開もしており、PumaとRed Bull Campas CluchのコラボTシャツを販売する物販コーナーやオリジナルノンアルコールカクテルが楽しめるRed Bull Bar、Aimingチャレンジブースなども用意しておりました。

▲GYUDON EATINGのたくろー選手のファンも来場。たくろー選手はゲーム配信もしており、人気の高い選手です

▲物販コーナー。オフィシャルコラボTシャツ以外にもFENNELのマフラータオルや100円ライターなども販売しておりました

▲Red Bullが主催なのでRed Bullを配布するRed Bullガールもいました

▲Red Bull Barで頼めるノンアルコールカクテル。ドリンク名が『VALORANT』にちなんでおり、これは「レッドブルフローレス」

▲試合開始前やインターバルでもDJが会場を盛り上げていました

▲Aimingチャレンジ。会場だけでなくオンラインでも参加でき、成績上位者はなんとイスタンブールへご招待

CLZ選手、GON選手インタビュー


Red Bull Campas CluchはRed Bullが主催ですが、ディレクションパートナーとしてプロeスポーツチームのFENNELが運営を担当しています。FENNELは学生eスポーツコミュニティ「Univers」を運営しており、そこでもRed Bullとパートナーシップを組んでおり、Universが主催した「VALORANT Univers Competitive 2023 Summer Season」の優勝チームが今大会の決勝大会への出場権が得られるようになっていました。

というように、今大会とFENNELの関わりは強く、解説としてFENNEL所属のプロゲーマーであるCLZ選手とGON選手が解説陣として参加しています。両選手とも解説が初めてとのことで、学生以上に初々しい感じが漂っています。

▲左から河野 海樹キャスター、CLZ選手、GON選手

せっかくなので、CLZ選手とGON選手に今回の大会の印象と同じRed Bullが主催するRed Bull Home Groundについて、そして来季の活動について話を聞いてきました。

——今『VALORANT』はオフシーズンに入っていると思うのですが、そこで「Red Bull Home Ground」の開催となりました。意気込みと現状について教えてください。

GON選手:全力を出し切りたいというのはもちろんなんですけど、予選にはなかったふたつのマップがHome Groundで新たに追加されるのは難しいところですね。練習期間がほぼ1カ月しかないので——。ただ、こういった機会は本当に貴重な体験となるので、甘えたこといってないで全力で取り組んで、少しでもいい姿を見せられるようにがんばりたいです。

CLZ選手:今回はオフシーズンで海外のチームと戦えるチャンスなので、自分たちの実力が通用するんだぞというところを日本の応援してくれる人たちに見せられたらいいなと思っています。

単純にオフシーズンに大きな大会を開いてくれるっていうのは気持ちとしてめちゃくちゃありがたいですね。中にはオフシーズンは休みたいと思う選手もいるかも知れませんけど、培ってきたものが失われてしまう恐怖もあるので、ある程度継続したいと思っている方なんです。

なので、こういう大会が開かれるのはすごくうれしいですね。

——オフシーズンと言えば、ロースターの変更などこれからもいろいろあると思うのですが、そういったことを踏まえて、チームの現在の状況はいかがでしょうか。

GON選手:全員、最強!(笑)。

個々の考えていることがすごく具体的なところがいいと思います。練習中は理想を求めていくことは大事だと思いますけど、実際試合になると現実味がない、実行に移せないような夢物語のようなことを提案されても、結局無理なので、現実的かつ具体的なものがいいですね。コールひとつひとつにそれを感じます。

CLZ選手:GON選手が加入して、すごくコールができる選手なので、すごく貴重な存在だと思います。いいメンバーがそろっていると思います。

——来季の抱負はどうでしょうか。

GON選手:1マップも落としません!

メンバーだけ見たら本当に日本トップクラスなんですよ。あとは自分たちのがんばりで。がんばるだけで優勝を狙えるというのはすごいことで、自信を持てるいいメンバーだと思っています。個人的にはメンバーの中を取り持つようにしていきたいですね。

CLZ選手:チームのロールが変わったので、結構ガラッと戦績とかも変わる可能性はあるんですけど、前のチームや戦績のことは気にせず、今の自分たちがやれることを最大限にやって、そこでいい結果が残せたらいいなって思います。今日みたいなイベントに呼んでいただいたのは本当に感謝しています。(解説などを)今後も挑戦していきたいですね。

——さて、大会が終わっての振り返りですが、学生たちの試合はいかがでしたか

GON選手:めちゃくちゃ面白かったです。こういう解説って立場で『VALORANT』の試合を観るのは初めてだったんですよ。新たな発見がいろいろとありました。観たものを言語化するっていうのは、理解する力が必要なんですよね。そこはキャスターさんへのリスペクトが高まった上に、『VALORANT』の理解が深まった感じがしました。

CLZ選手:我々はプロシーンで活動しているので、だからこそレベルの高い動きとか理解できるんですけど、その高いレベルの動きをやっていて感動しました。

——気になるチームや選手はいましたか?

GON選手:決勝で負けてしまいましたが、No Ideaは、めちゃくちゃうまかった。アセントでAヘブン下に隠れるっていうプレイを選んだシーンがあったんですけど、狙ってやったのかたまたまなのか凄く気になりました。配信でも話したんですけど狙ってやったならとんでもないぐらいうまいって思いましたね。

で、終わったあと楽屋で聞いて見たらちゃんと狙ってやったと。本当にNo Ideaは今後に期待しかないです。めちゃくちゃ強い。Tier2のプロチームに匹敵するくらいうまい。

▲決勝戦1マップ目のワンシーン。アタッカーサイドのGYUDON EATINGは、Bの守りが手厚く感じたのか、Aサイトへと攻めるポイントを変える。そこでリテイク判断をせずAヘブン下で隠れ続けるといった作戦をとったのがNo IdeaのcL0wNsya選手。相手が安心しきっているのを見計らってAサイト内になだれ込んできたGYUDON EATINGを一網打尽にしていく。落としてしまったラウンドではあるものの、奇抜な作戦にCLZ選手、GON選手も感心していたラウンドだ(https://www.twitch.tv/videos/1944680453?t=5h53m29s

『VALORANT』ではミクロマクロって表現を良くするんですけど、マクロが広い範囲での作戦、ミクロが狭い範囲でのフィジカルの撃ち合いって感じですかね。ミクロ面がうまくなったら本当にTier2レベルの強さですよ。

CLZ選手:まあ、全員うまかったんですけど。No Ideaのrio選手とcL0wNsya選手のふたりがIGLっぽいことをしていて、それ自体のレベルが凄く高くて感動したよね。

GON選手:感動した。

CLZ選手:あれをどこで身につけたのか。誰に教えて貰ったのかな。

GON選手:コーチいるのかな?

CLZ選手:聞いていないからわからないけど、気になるよね。

GON選手:それくらいの戦術の高さだった。驚きました。

——なるほど。そんなNo Ideaに勝ったGYUDON EATINGの方はいかがでしょうか

GON選手:個人のスキルが高いので、ひとりひとり自信を持つだけで十分です。GYUDON EATINGは構成が独特なので、自信を持って作って行ければ大丈夫かなと思います。

CLZ選手:奇抜な武器を使用しており、対策しづらさがあるので、それを継続していけば、世界でも十分通用すると思います。ここから変にうまくなろうとしようとするよりは、トラップの配置だったりジャッジだったり、自分たちの良さを出していった方が良さそうですね。

——強い武器は対策も進んでいますが、レア武器はなかなかそのためだけに練習に時間を当てるのは難しいですよね。

CLZ選手:対策は……。

CLZ選手・GON選手:ないよね。

——最後にオフシーズンに入って、チーム構成やメンバー構成などいろいろ大変なことになっていますが、当事者としてどんな感じにみていますか

CLZ選手:そうですね。僕自身はチームのメンバーが頻繁に入れ替わること自体にかなり否定的で、そもそもオフシーズンが長すぎるためにそう言った動きが出てしまうのかなと思います。オフシーズンがそれほど長くなければ、次の大会への用意の時間が短く、入れ替えする余裕もなくなりますので。

GON選手:いやもうちょっとふざけんなよって感じですよね。ウソです(笑)。

ゲームでご飯が食べられるだけで本当に感謝しかない。

CLZ選手:まあ、何がウソかはみんなわかっているので(笑)。

——ありがとうございます。
———

今回ゲスト解説で参加したGON選手も実はRed Bull Campas Cluch出身。まだプロチームと直結したエコシステムが構築できているわけではないが、プロへの登竜門としてその存在が確立しつつあると言える。観戦する側も将来のスター選手の発掘ができる場となるだろう。ともかく、世界大会でGYUDON EATINGが活躍することを期待します。

Red Bull Campus Clutch 日本決勝 アーカイブ:
https://www.twitch.tv/videos/1944680453

撮影:岡安学
編集:いのかわゆう


【岡安学 プロフィール】
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)

Twitter:@digiyas
eSports World の
Discord をフォローしよう
SALE 大会 チーム 他にも...? 他にも

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます