「世界4位よりも優勝できなかったことが悔しい……」【「ALGS Championship」Fnatic Apex部門・MatsuTasu選手・Meltstela選手インタビュー】

2022.8.2 宮下英之
Apex Legends』の国際大会「Apex Legends Global Series:2022 Championship」、通称「ALGS 2022」が、2022年7月7日〜10日にかけて、北米ノースカロライナ州ラーレーで開催され、日本代表のFnaticが世界4位となった。

このところ、『VALORANT』でのZETA DIVISIONの世界3位など、FPSタイトルでの日本チームの活躍が目覚ましいが、Fnaticもあと少しで世界最強の称号に手が届くところまで来ていた。試合から約2週間が経過し、選手は今大会をどのように振り返ったのか、MatsuTasu(まつたす)選手とMeltstera(メルトステラ)選手にインタビューさせていただいた。



MatsuTasu選手(左)とMeltstera選手(右)

Fnaticが世界4位になった「ALGS Championship」とは


賞金総額200万ドル、優勝賞金50万ドルというYear2の「ALGS Championship」には、世界各地域を勝ち抜いてきた40チームが集結。20チームずつで3ラウンドを戦う「グループステージ」、さらに20チームをふるいにかける「ブラケットステージ」を経て、最終的に「ファイナルズ」で世界最強チームが決する。


その中で世界4位となったFnaticは、もともと「BAKAGAKI」というチームでスタート。GameWithに加入してプロ活動をしていたが、「ALGS 2022」への参戦権を獲得した後にチームとしてGameWithから脱退し、5月末にフリーエージェントを宣言していた。そして、6月末に欧州の名門eスポーツチームとして知られるFnaticに新たに所属した。

『Apex』では、日本チームが海外選手を獲得したり、海外チームが日本人選手を所属させる流れが増えている。ここ最近の例を挙げても、Team UNITE→PULVEREX、V3 VEGA→DetonatioN Gamingへと選手自体が移籍しているほか、Crazy RaccoonREJECTは韓国で、SCARZは欧州でそれぞれ現地チームを立ち上げている。

そんな中でAPAC NORTH2位で勝ち上がったFnaticは、「グループステージ」で40チーム中15位となり、続く「ブラケットステージ」ではウイナーズブラケット側へ。そこで20チーム中14位となりルーザーズブラケットに落ちてしまったものの、同ポイントながら10位とギリギリで「ファイナルズ」へのチャンスを手にした。

そして「ファイナルズ」では、ラウンド1で4位、ラウンド4でチャンピオンを獲得。全9ラウンドに及んだ戦いは最後の最後まで逆転優勝のチャンスが残される試合となった。そして、世界4位というチームとしても個人としても過去最高の記録を達成。3位の100Thievesとはわずか1ポイント差だった。

4ゲーム目、Fnaticは他チームが小競り合いを続ける中で立ち位置を確保。効果的なグレネードなど、実力を出し切っての勝利だった

優勝を目前にした4位は、正直悔しい


──「ALGS Championship」、お疲れさまでした。まずは、世界4位に入った率直な実感をお聞かせください。

MatsuTasu選手:今回Fnaticに所属して、世界4位という成績はすごくうれしい気持ちもあるんですけど、やっぱり決勝の試合を振り返ると、優勝が本当に目の前にあったので、正直優勝したかったですね……。満足はできていなくて、悔しいという気持ちが大きいです。

Meltstera選手:世界4位というのは本当にすごいことだとは思うんですけど、マッチポイントが点灯して、最後のマッチの時も優勝が狙えた動きだったりポジション取りもしていたので、帰ってから振り返ってみるとすごく悔しかったなというのが一番大きくて。今は、次のYear3では、絶対に世界一を取る! という気持ちでいます。

──チームとしてはこの約1年半、BAKAGAKIからGameWithへ、そしてFnaticと、チームの立場や周囲の目も目まぐるしく変わっていったと思います。チームが変わることでの変化とかプレッシャーなどはありましたか?

MatsuTasu選手:前回大会はGameWithとして出場した「ALGS 2022 Split 2 Playoffs」だったんですけど、「ALGS 2022」の出場が決まった中での脱退というかたちだったので、発表した時はファンの方々もかなりびっくりされたと思います。


Fnaticという名前は世界でも名門のeスポーツチームなので、Fnaticを背負って大会に出るということで、少なからずプレッシャーはありました。加入したからには、悪い結果では終われないという気持ちでしたね。

Meltstera選手:急なチーム変化だったこともあって、最初は不安も大きかったんですけど、それでも自分たちがやるべきことは変わりがなかったので。有名なチームなので新しいファンも増えて、プレッシャーというか緊張が大きかったりはしましたね。でも、実際試合をしてみたら、BAKAGAKI時代から変わらずいつも通りやれているという感じです。

──決勝の会場で、Fnaticとして紹介された時には、お客さんたちはどんな反応でしたか?

MatsuTasu選手:どうだったかなぁ……。

Meltstera選手:そんなに意識して会場の様子は見ていなかったです(笑)。

YukaFの強さを世界に知ってもらえてうれしい


──そんなお二人はまだ23歳と18歳の高校生とてもお若いですが、私生活との両立はうまくできていますか?

MatsuTasu選手:僕は今はゲーム1本という感じで、1日中ゲームに集中できる環境で練習などができています。

Meltstera選手:僕は高校1年生までは全日制の高校だったんですけど、高2になるときに通信制に転校していま高3です。学校に通いながらはさすがに無理だなと思ったので切り替えたんですけど、通信制でも課題とかを提出したりしながら、高2の時は残り1カ月で課題をすべてこなす、って感じだったので、やっぱり学業とゲームの両立は大変でした。

──そんな中で世界トップのチームに肩を並べられたことはすごいですね。実際、今大会でもラウンド4でのチャンピオンをはじめ、随所で強さが見られました。逆に、お二人から見て対戦したチームのここがすごかった、という印象はありましたか?

MatsuTasu選手:今回2位だったFURIA Esports(北米)ですかね。本当に予選ラウンドの時から何回もやられてしまって……。あのチームはフィジカル、対面が本当に強くて、他のチームとはレベルが違いました。すごく印象に残っています。

Meltstera選手:FURIAもそうですが、前回大会でも優勝したDarkZero Esports(オーストラリア)が2連覇ということで、今回はGenburten選手もいて優勝したということで、本当にすごいなと感じました。

あと、自分のチームで恐縮ですが、YukaFはチームを結成した時から世界で一番強いと思っているので、今回その強さがみんなに知ってもらえたことが個人的にはうれしかったですね。

世界一になるための課題は「安定感」


──世界4位ということは、Fnaticの上にいるのは3チームだけです。ここから世界一になるためには何が必要だと思われますか?

MatsuTasu選手:正直、予選から僕たちには安定感がなかったです。「ファイナルズ」に行けたのも、11位のFA Kitties(ロシア)と同ポイントでギリギリでの通過でしたし。もっと安定してポイントが取れるように、どんな状況でも安定した順位で決勝に進めるチームになりたいですね。

──でも、バトルロイヤルで「安定感」を出すというのは、具体的にはどういうことですか?

MatsuTasu選手:やっぱり安全地帯の予測の精度とか、敵が来ている位置の報告といった細かいミスですかね。0ポイントで終わる試合があると安定感がなくなってしまうので、そういうのをなくせるように、チームとしての練度を上げていきたいと思います。

──なるほど、Meltstera選手はいかがでしょうか?

Meltstera選手:結構危なっかしい場面が多かったりもしたので、そういうところを修正していきます。正直『Apex』はバトロワなので運要素も絡む部分もあると思うんですけど、そういうところをなるべく減らして、ポイントを取るべきところは取る動きをしていけば、安定した成績が出せるようになると思います。

──ありがとうございました。Year3でのさらなる活躍も楽しみにしています!

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紆余曲折を経て勝ち取った今回の世界4位は、ファンからすれば快挙だが、彼らにとってはまだ途中経過でしかない。

世界の名だたるチームと渡り合うことができ、しかもまだまだ自分たちの中に伸び代があることもわかっている。そしてFnaticは、日本のFPSプレイヤーが世界に十分に通用するだけの力を持っていることをあらためて証明してくれた。

次のYear3シリーズでのFnaticの活躍に期待せずにはいられない。


ALGS 2022 Championship
https://www.ea.com/ja-jp/games/apex-legends/compete
Fnatic Japan
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Fnatic YukaF
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Fnatic MatsuTasu
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Fnatic Meltstera
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Fnatic Kameneko(コーチ)
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