【大会レポート】 「Worlds 2024 プレイインステージ」が終了 SHGはスイスステージ進出ならず
- SHGに降りかかった「Worlds」初挑戦の洗礼
- 第1試合 SHG vs GAM
- 第2試合 SHG vs 100 Thieves
- Evi選手インタビュー「『Worlds』の舞台に立てたからこそ、悔しがる権利がある」
- いよいよ世界の猛者が集結! スイスステージは10月3日から
『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の世界大会「Worlds 2024」のプレイインステージが9月28日(日)に終了し、6チームがスイスステージ進出を決めた。日本のFukuoka SoftBank HAWKS gaming、ラテンアメリカのMovistar R7は惜しくもここで敗退となった。
2024年から「LJL」が「PCS」に組み込まれ、「Worlds」進出のためのハードルが上がってしまった日本だが、SHGは「LJL」で盤石の強さを見せ、「PCS プレーオフ」でもPSG Talonに次ぐ2位となり、「PCS」のライバルたちを退けて実力で「Worlds」の切符を勝ち取った。
しかし、「PCS」代表としての「Worlds」参戦といっても最初から世界の強豪と戦えるわけではない。予選にあたる「プレイインステージ」には中国「LPL」や韓国「LCK」などの強豪地域は出場せず、プレイインに出場する8チームのうち6チームに残らなければならない。そして、そのためには2勝を挙げる必要があり、1敗だけが許される(2敗すると脱落)という状況だ。
過去に「Worlds」に出場した日本チームは、DetonatioN FocusMe、V3 Esports、そしてSHGの3チームのみ。これまでも初挑戦の際に、異国の地で異なる慣習に戸惑うことも多かった。SHGもある意味では、そういった「初挑戦の洗礼」を受けることにもなった。
そんなSHGの初戦の相手は「VCS」のGAM Esports。Spring Splitでは全チームに八百長に関わったメンバーが出てしまい物議を醸したが、純粋な選手の実力だけで見れば、アジア・オセアニア地域屈指のアグレッシブなスタイルの地域として知られている。
事前の評価では、今年のプレイインに参戦するチームの中では、SHGにとっては比較的勝てる可能性の高い組み合わせと目されていた。しかし、日本チームにとっては「MSI」などでたびたびぶつかり、苦杯をなめさせられてきた地域でもあり、油断はできない。
ゲーム1、SHGはボットにジグス、エンゲージに長けたレルとジャーバンIVをピック。ミッドにはパッチ14.18で弱体化されたマークスマンを選択し、トップのEvi選手はオーロラに対してランブルをピック。対するGAMは、トップのオーロラを優先し、ジャングルのLevi選手が得意とするシヴァーナ、ボットにはジンとポッピーを選択。ミッドはSHGが狙ったであろうトリスターナを取り上げた。
序盤はSHGのMarble選手、Vsta選手が早々にキルを狙ったり、ボットとトップをスワップするなど積極的に試合を動かしていく。一方、GAMは丁寧に視界を取り、Levi選手を中心にオブジェクトを押さえていく。
初の国際戦の緊張からかSHGはミスも見られたが、お互いに一進一退の攻防が続く。しかし、オブジェクトの有利を重ねていったGAMはわずかなスキを見逃さず、常に人数有利を作って少しずつSHGを追い詰める。SHGの持ち味であるアグレッシブな戦いはさせてもらえず、ゲーム1を取られてしまう。
続くゲーム2、SHGはブルーサイドを選択し、パッチ14.18で注目のリー・シン&ルブランのジャングル-ミッドラインをピック。ボットにはアルティメットが強力なアッシュとポッピーの組み合わせ。Evi選手はランブルを継続した。対するGAMは、トップにオーロラを続投し、ミッドはメタ上位のヨネ、さらにリー・シン対策としてラストピックでウーコンをピックした。
ゲーム1の反省を活かして、SHGはオブジェクトを意識した動きをしていくものの、エンゲージのミスなどが目立ち、キルを奪ったところを突かれてというシーソーゲームに。レーンをプッシュして人数差を作り、有利に攻め立てるGAMに対して、SHGは終始押され気味の苦しい展開を強いられてしまい、0-2のストレートで初戦敗退となった。
ルーザーズブラケットに降り、後がなくなったSHG。しかし相手も同じく負ければ敗退が決まる「LCS」の100 Thievesだ。ジャングルのRiver選手は、過去に「LJL」のV3 Esports、PSG Talonでも戦った経験があり、日本のファンにとっても馴染み深い。
ゲーム1は、Evi選手が今大会で評価も高いオーロラを取り上げ、Forest選手がウーコン、DasheR選手がアカリをピックし、ミッド-ジャングルを重視。対する100TはジャングルはAPチャンピオンのブランド、ミッドはヨネで、カイ=サとレオナのエンゲージから一気に溶かしたい狙いが見える。
序盤はSHGがゲームを動かし、レーン戦もオブジェクトもリードしていく。しかし、Evi選手やDasheR選手が単独のところに、100Tは人数をかけてタワーダイブ。拮抗していたゴールドも100Tが逆転していく。中盤以降のオブジェクトをめぐる集団戦でも、あと一撃……というところまで追い詰めながらもその一撃が届かず、ゲーム1を落としてしまった。
ゲーム2でSHGは構成をガラッと変更し、Forest選手がタンク&エンゲージ要素のあるセジュアニ、DasheR選手がシンドラをピック。ボットは対面のアッシュに対してジンとアリスターを置く。100T側はミッドにオリアナ、サポートにブラウムをピックした。レネクトンに対してEvi選手は機動力のあるレク=サイをチョイスする。
最序盤、Forest選手のガンクとVsta選手のフラッシュからMarble選手がファーストブラッドを獲得。レーンをプッシュした上でトップとスワップし、ヴォイドグラブを狙う。DasheR選手のシンドラはオリアナに引けを取らず、レーンをプッシュして有利を維持する。ただ、この日のSHGには焦りも見えたか、味方がいないところでのエンゲージなどで有利を明け渡してしまう場面も。さらに、100TのRiver選手によるアルティメットが要所でチームを救い、悔しさの残る敗戦となった。
これでSHGは「プレイインステージ」からの敗退が決定。もう1チームはLLAのMovistar R7が敗退した。
試合後の公式インタビューに対応してくれたEvi選手は、「大事な舞台で(チームを)仕上げなければいけない場面で、いいパフォーマンスを見せられなかった。見てくれている皆さんに申し訳ない」と、普段は負けてもそれほど思わないファンへの申し訳ないという思いを吐露。「チームの状況や雰囲気も、「Worlds」という舞台のストレスや重圧などが重なり、成長できる環境になかった」と語った。
ただ、「PCS」から2枠しかない「Worlds」出場権を「LJL」のチームが獲得できたという意義は、来る2025年以降の「LJL」シーンに向けた非常に大きな功績だ。Evi選手も「この舞台に立てたからこそ、悔しがれる権利がある。『Worlds」という負荷の高い環境を日本のチームが経験できたことは、『LJL』にとっても大きかった。この経験をバネにして、経験を活かせるように頑張りたいし、みんなにも頑張ってほしい」と締めくくった。
「Worlds」出場の壁が大きくなった2024年のプロリーグ改編の中で、SHGの今年の戦いは「LJL」の歴史において大きなターニングポイントになるはずだ。今はただ、最大の労いの言葉と感謝で、すべてのSHGのメンバーの挑戦を讃えたい。
ここからはいよいよ世界の強豪地域がひしめく「Worlds」の本戦が始まる。まずは16チームから8チームに絞られる「スイスステージ」、そして勝ち残った8チームから世界最強を決める「ノックアウトステージ」だ。
日本が属する「PCS」と、2025年からさらに合流することになる「VCS」からは3チームが参戦しており、世界との実力差には注目したい。また、「LPL」「LCK」「LEC」「LCS」といった強豪地域のトップチームの戦いもスタートし、例年はここからメタチャンピオンや戦術もガラッと変わることもある。
注目の初戦の対戦カードは、プレイイン終了直後のドローショーで確定。同一地域のチーム同士は1回戦では当たれないことから、以下のような組み合わせとなった。
【大会情報】Worlds 2024 スイスステージ【2024年10月3日〜14日】
「スイスステージ」は10月3日(木)より、日本時間の21時頃〜翌5時頃まで配信予定。2024年の『LoL』最強チームを決める戦いは、まだ始まったばかりだ。
LoL Esports:https://lolesports.com/ja-JP/
YouTube:https://www.youtube.com/c/lolesportsjp
Twitch:https://www.twitch.tv/riotgamesjp
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SHGに降りかかった「Worlds」初挑戦の洗礼
2024年から「LJL」が「PCS」に組み込まれ、「Worlds」進出のためのハードルが上がってしまった日本だが、SHGは「LJL」で盤石の強さを見せ、「PCS プレーオフ」でもPSG Talonに次ぐ2位となり、「PCS」のライバルたちを退けて実力で「Worlds」の切符を勝ち取った。
しかし、「PCS」代表としての「Worlds」参戦といっても最初から世界の強豪と戦えるわけではない。予選にあたる「プレイインステージ」には中国「LPL」や韓国「LCK」などの強豪地域は出場せず、プレイインに出場する8チームのうち6チームに残らなければならない。そして、そのためには2勝を挙げる必要があり、1敗だけが許される(2敗すると脱落)という状況だ。
過去に「Worlds」に出場した日本チームは、DetonatioN FocusMe、V3 Esports、そしてSHGの3チームのみ。これまでも初挑戦の際に、異国の地で異なる慣習に戸惑うことも多かった。SHGもある意味では、そういった「初挑戦の洗礼」を受けることにもなった。
第1試合 SHG vs GAM
そんなSHGの初戦の相手は「VCS」のGAM Esports。Spring Splitでは全チームに八百長に関わったメンバーが出てしまい物議を醸したが、純粋な選手の実力だけで見れば、アジア・オセアニア地域屈指のアグレッシブなスタイルの地域として知られている。
事前の評価では、今年のプレイインに参戦するチームの中では、SHGにとっては比較的勝てる可能性の高い組み合わせと目されていた。しかし、日本チームにとっては「MSI」などでたびたびぶつかり、苦杯をなめさせられてきた地域でもあり、油断はできない。
ゲーム1、SHGはボットにジグス、エンゲージに長けたレルとジャーバンIVをピック。ミッドにはパッチ14.18で弱体化されたマークスマンを選択し、トップのEvi選手はオーロラに対してランブルをピック。対するGAMは、トップのオーロラを優先し、ジャングルのLevi選手が得意とするシヴァーナ、ボットにはジンとポッピーを選択。ミッドはSHGが狙ったであろうトリスターナを取り上げた。
序盤はSHGのMarble選手、Vsta選手が早々にキルを狙ったり、ボットとトップをスワップするなど積極的に試合を動かしていく。一方、GAMは丁寧に視界を取り、Levi選手を中心にオブジェクトを押さえていく。
初の国際戦の緊張からかSHGはミスも見られたが、お互いに一進一退の攻防が続く。しかし、オブジェクトの有利を重ねていったGAMはわずかなスキを見逃さず、常に人数有利を作って少しずつSHGを追い詰める。SHGの持ち味であるアグレッシブな戦いはさせてもらえず、ゲーム1を取られてしまう。
続くゲーム2、SHGはブルーサイドを選択し、パッチ14.18で注目のリー・シン&ルブランのジャングル-ミッドラインをピック。ボットにはアルティメットが強力なアッシュとポッピーの組み合わせ。Evi選手はランブルを継続した。対するGAMは、トップにオーロラを続投し、ミッドはメタ上位のヨネ、さらにリー・シン対策としてラストピックでウーコンをピックした。
ゲーム1の反省を活かして、SHGはオブジェクトを意識した動きをしていくものの、エンゲージのミスなどが目立ち、キルを奪ったところを突かれてというシーソーゲームに。レーンをプッシュして人数差を作り、有利に攻め立てるGAMに対して、SHGは終始押され気味の苦しい展開を強いられてしまい、0-2のストレートで初戦敗退となった。
第2試合 SHG vs 100 Thieves
ルーザーズブラケットに降り、後がなくなったSHG。しかし相手も同じく負ければ敗退が決まる「LCS」の100 Thievesだ。ジャングルのRiver選手は、過去に「LJL」のV3 Esports、PSG Talonでも戦った経験があり、日本のファンにとっても馴染み深い。
ゲーム1は、Evi選手が今大会で評価も高いオーロラを取り上げ、Forest選手がウーコン、DasheR選手がアカリをピックし、ミッド-ジャングルを重視。対する100TはジャングルはAPチャンピオンのブランド、ミッドはヨネで、カイ=サとレオナのエンゲージから一気に溶かしたい狙いが見える。
序盤はSHGがゲームを動かし、レーン戦もオブジェクトもリードしていく。しかし、Evi選手やDasheR選手が単独のところに、100Tは人数をかけてタワーダイブ。拮抗していたゴールドも100Tが逆転していく。中盤以降のオブジェクトをめぐる集団戦でも、あと一撃……というところまで追い詰めながらもその一撃が届かず、ゲーム1を落としてしまった。
ゲーム2でSHGは構成をガラッと変更し、Forest選手がタンク&エンゲージ要素のあるセジュアニ、DasheR選手がシンドラをピック。ボットは対面のアッシュに対してジンとアリスターを置く。100T側はミッドにオリアナ、サポートにブラウムをピックした。レネクトンに対してEvi選手は機動力のあるレク=サイをチョイスする。
最序盤、Forest選手のガンクとVsta選手のフラッシュからMarble選手がファーストブラッドを獲得。レーンをプッシュした上でトップとスワップし、ヴォイドグラブを狙う。DasheR選手のシンドラはオリアナに引けを取らず、レーンをプッシュして有利を維持する。ただ、この日のSHGには焦りも見えたか、味方がいないところでのエンゲージなどで有利を明け渡してしまう場面も。さらに、100TのRiver選手によるアルティメットが要所でチームを救い、悔しさの残る敗戦となった。
これでSHGは「プレイインステージ」からの敗退が決定。もう1チームはLLAのMovistar R7が敗退した。
Evi選手インタビュー「『Worlds』の舞台に立てたからこそ、悔しがる権利がある」
試合後の公式インタビューに対応してくれたEvi選手は、「大事な舞台で(チームを)仕上げなければいけない場面で、いいパフォーマンスを見せられなかった。見てくれている皆さんに申し訳ない」と、普段は負けてもそれほど思わないファンへの申し訳ないという思いを吐露。「チームの状況や雰囲気も、「Worlds」という舞台のストレスや重圧などが重なり、成長できる環境になかった」と語った。
ただ、「PCS」から2枠しかない「Worlds」出場権を「LJL」のチームが獲得できたという意義は、来る2025年以降の「LJL」シーンに向けた非常に大きな功績だ。Evi選手も「この舞台に立てたからこそ、悔しがれる権利がある。『Worlds」という負荷の高い環境を日本のチームが経験できたことは、『LJL』にとっても大きかった。この経験をバネにして、経験を活かせるように頑張りたいし、みんなにも頑張ってほしい」と締めくくった。
「Worlds」出場の壁が大きくなった2024年のプロリーグ改編の中で、SHGの今年の戦いは「LJL」の歴史において大きなターニングポイントになるはずだ。今はただ、最大の労いの言葉と感謝で、すべてのSHGのメンバーの挑戦を讃えたい。
いよいよ世界の猛者が集結! スイスステージは10月3日から
ここからはいよいよ世界の強豪地域がひしめく「Worlds」の本戦が始まる。まずは16チームから8チームに絞られる「スイスステージ」、そして勝ち残った8チームから世界最強を決める「ノックアウトステージ」だ。
日本が属する「PCS」と、2025年からさらに合流することになる「VCS」からは3チームが参戦しており、世界との実力差には注目したい。また、「LPL」「LCK」「LEC」「LCS」といった強豪地域のトップチームの戦いもスタートし、例年はここからメタチャンピオンや戦術もガラッと変わることもある。
注目の初戦の対戦カードは、プレイイン終了直後のドローショーで確定。同一地域のチーム同士は1回戦では当たれないことから、以下のような組み合わせとなった。
【大会情報】Worlds 2024 スイスステージ【2024年10月3日〜14日】
「スイスステージ」は10月3日(木)より、日本時間の21時頃〜翌5時頃まで配信予定。2024年の『LoL』最強チームを決める戦いは、まだ始まったばかりだ。
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