DFM vs USGの死力を尽くした名勝負! 「LJL 2019 Spring Split」レポート

2019.4.18 宮下英之
リーグ・オブ・レジェンド』の2019年春季リーグである「LJL 2019 Spring Split」が、11週間に及ぶリーグ戦を経て終了した。セミファイナルでは、総合順位2位のCrest Gaming Actと3位のUnsold Stuff Gamingによる勝負の末、USGが3連勝で勝ち上がり、総合1位のDetonatioN FocusMeとの一騎打ちとなった。



本記事では、4月13日(土)に行われた「LJL 2019 Spring Split」ファイナル(決勝)の模様をお伝えする。なお、試合の模様はTwitchのほか、YouTubeでもアーカイブとして見ることができる。

ゲーム1:DFMが集団戦でUSGを圧倒!

いよいよ始まったファイナル。2019年から通常のリーグが1戦勝負のBO1方式へと変わったことで、一発勝負の奇をてらったバン&ピックなどもあったが、このファイナルは3戦先取のBO5方式。前戦を受けてのバン&ピックの変更、戦略や動きの修正が可能となるため、DFM負けなしというリーグ戦のリザルトだけでは、勝負の行方は計れない。

リーグ中の戦績は以下の通り。
DetonatioN FocusMe 20勝 1敗
Unsold Stuff Gaming 12勝 9敗

さらに直接対決でもすべてDFMが勝利を収めており、下馬評ではやはりDFM優勢と見られていた。

そんなゲーム1のバン&ピックの注目は、プレスアタック+ミス・フォーチュンでW上げの流行ビルドを選んだADCのYutapon選手。Gaeng選手がサポートにタム・ケンチを選び、ブリンクのないMFをカバーする。対するUSGは、トップのサイラスに対してヨリック、タム・ケンチに対してサイレンスを持つソラカといったカウンターピックで挑む。ピックの順番からみても、トップ、ボットでの勝負を重視していることが見てとれる。


序盤は互いにCSと視界を取りながら、感触を確かめるような静かな立ち上がり。試合が動いたのは15分過ぎからだった。

USGのTussle選手とapaMen選手がリフトヘラルドに触れたところに、DFMのEvi選手、Steal選手、Ceros選手が寄り、Dasher選手も加わって3 vs 3の集団戦を開始。ここでDFMはapaMen選手、Tussle選手の順に狙いを定めて着実にキル。テレポートしてきたkeymaker選手もSteal選手が落とし、タム・ケンチの「船旅」で合流したYutapon選手のミス・フォーチュンのアルティメットにより、結果的に4キルを獲得する。


一方のUSGも、ボットのアウタータワーを狙いつつ、守りに来たCeros選手のリサンドラを食い止めることに成功するが、タワーを折ることはできない。そのカウンターで、DFMはまたもやミス・フォーチュンとタム・ケンチによる「船旅」で、USGのインナータワーを折り、さらにトップのapaMen選手まで“船旅ガンク”でねじ伏せて有利を手にする。

その後も集団戦で見事な連携を見せてUSGを退けたDFMは、ドレイク、バロンを獲得。全体的に集団戦を得意とするDFMがこの試合でもしっかり実力を発揮し、じっくり全員のビルドを整えてから3つのレーンで同時攻撃を仕掛け、隙のない動きでゲーム1を制した。

ゲーム2:序盤から攻めるUSG、どっしり構えるDFM

ゲーム1を受けて、ゲーム2のバン&ピックでは、USGがEvi選手のサイラスとCeros選手のリサンドラをバン。それを受けてDFMのEvi選手は、リワークされ後半の強さで人気のケイルをピックし、Yutapon選手がボットのアッシュ、そしてGaeng選手が再びタム・ケンチを優先的にピック。Ceros選手はカルマ、Steal選手は引き続きキンドレッドという構成だ。USGはトップがケネン、ジャングルがリー・シンで、ボットはカイ=サとブラウムという布陣。DFMのピックに対応するかたちで構成してきた。

ゲームが始まると、USGは低レベル時から果敢に前に出ていく作戦。apaMen選手がDasher選手とともに、アルティメットを覚える前のEvi選手にガンクを仕掛けるが、わずかにダメージが足りずにapaMen選手が返り討ちにあってしまう。

これでレベル差が生まれたトップレーンで、apaMen選手のケネンにEvi選手とSteal選手によるガンクが成功。しかしそこにTussle選手のリー・シンが追い打ちをかけ、Evi選手のケイルとSteal選手のキンドレッドが無敵時間を生むアルティメットを同時発動。ミッドから寄ってきたDasher選手がふたりを落とす。


続いてUSGは、ボットサイドでDasher選手のダイブから4 vs 2の集団戦を開始。しかしYutapon選手、Gaeng選手を落としきれず、そこにSteal選手とCeros選手、テレポートでEvi選手が合流し、逆に追い詰められてしまう。からくも逃げ延びたDasher選手とapaMen選手だったが、またもや「船旅」で先回りしたGaeng選手とSteal選手の手にかかって5人とも落とされてしまった。

DFM有利で試合が進む中、USGがボットのアウタータワー、DFMがトップのアウタータワーを互いに交換したものの、DFMがヘラルド獲得&召喚でミッドのアウタータワーも獲得し、試合はDFMリードのまま変わらず。

じりじりしたにらみ合いのなかで、DFMはミッドからボットにかけて、USGはバロン周辺の視界を抑えていくが、ミッドのブッシュ周辺で再び起きた集団戦で、USGは2キルを取られてしまう。これをきっかけに、DFMはミッドのインナータワーへのシージと集団戦を仕掛け、そのままインヒビターも獲得。ミッドから切り崩していったDFMがゲーム2も勝利を収めた。

ゲーム3:Entyのパイク、apaMenのナーがDFMを追い詰める!

あとがなくなったUSGは、ここまでの2戦で苦しめられたサイラス、ケイルをバンし、さらにフェーズ2ではタム・ケンチ、キンドレッドを封じる。そして、ミッドのDasher選手がイレリア、ADCのkeymaker選手がスウェイン、サポートのEnty選手がパイクを選択。DFM側は再びCeros選手がリサンドラ、Yutapon選手がミス・フォーチュンを選び、Gaeng選手はラカンと、互いに“攻め”の構成を選んだ。


このUSGのピック変更が序盤から生きた。ここまで序盤の攻めがなかなか通じなかったUSGが、ボットサイドの青バフを取りに来たSteal選手のスキを逃さずファーストブラッド! Enty選手のパイクを優先的に育てることで移動スピードを上げ、インビジブル状態でロームするパイクがボットはもちろんミッドにも刺さり、USGはこれまでの2戦以上にワードを深くまで設置し、視界の有利を取る。Dasher選手もキルを重ねて育ってきた。

少数戦ではUSG、集団戦ではDFMがマップ内の色々なところで戦っていくが、インファーナルドレイク、バロンを立て続けにDFMが獲得。ボットレーンからDFMが一気に攻め込み、インヒビターを折ったものの、迎え撃つUSGのDasher選手がクワドラキル! USGはトップ、ボットのインナータワーを折り、まだまだわからない。

そして30分過ぎのバロン前の集団戦、Dasher選手こそ落とされたものの、Enty選手とapaMen選手の見事な連携で集団戦に勝利したUSGがバロンを奪取! バロンバフのあるミニオンとともに4人でトップのインヒビターを狙いつつ、apaMen選手がひとりでボットのインヒビタータワーを攻め落とす。

さらに、エルダードラゴン登場で再び集団戦を行う中、またもやapaMen選手がトップレーンにテレポート! そのスキにUSGがエルダードラゴンを獲得し、ゴールドでも有利を獲得する。

42分過ぎ、ミッドから攻め込つつ、ボットレーンのバックドアを狙うapaMen選手だったが、Evi選手のブラッドミアの前にあと一歩攻め落とせず。2回目のエルダードラゴン前の総力戦にもDFMが勝利する。この時点で、USGのミニオンも1本しか残されていないネクサスタワーを叩いていたのだが、守る者がいないUSGのネクサスがついに陥落。DFMがSpring Splitを3連勝で制した。


目標はMSIでの勝利!

「春がなかなか勝てない」と言われてきたDFMだが、終わってみれば負けなしの完勝。Gaeng選手、Ramune選手の補強により盤石な強さを見せつけた。しかし、破れたUSGも最後の最後まで死力を尽くした戦いを披露。会場からは両チームを讃える声援と拍手が鳴り止まなかった。

優勝後のコメントでは、すでに「MSI」への意欲を見せたDFM。「LJL 2019 Spring Split」はこれでノーサイド、次は日本代表としてのDFMの「MSI」での活躍に大いに期待したい!



■関連リンク
LJL  2019
https://jp.lolesports.com/
DetonatioN FocusMe
http://team-detonation.net/news/tag/dfm
Unsold Stuff Gaming
https://unsoldstuffgaming.com/
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