【Riot Games ONE 2023】SCARZ TORANECO氏インタビュー——勝っても負けても選手は続けていなかった。コンテンツクリエイターの道を選んだ真意とは
ライアットゲームズによる2023年最後の集大成ともいえる一大イベント「Riot Games ONE 2023」のオフラインイベントが12月2日(土)〜3日(日)に、Kアリーナ横浜で開催された。
今回はTHE UNLOCKERS挑戦者たちがフルパーティを組み、プロmixチームとBO1で対戦し、ミッションに挑戦するイベント「THE UNLOCKERS」のDAY1から、TORANECO(とらねこ)氏へインタビュー。
今年10月に選手を引退し、コンテンツクリエイターへと転身したTORANECO氏だが、現役時代ではまず見られなかった「レイナ」をピック。まだまだプロ選手に引けを取らないフィジカルを披露した。そんなTORANECO氏へ、このイベントの感想と今後の活動の展望についてお聞きした。
——今回の感想をお聞かせください。
TORANECO:まずKアリーナという会場についてですが、新しい建物ということもあって、ステージだけでなく廊下や控室のつくりがしっかりとできているなと思いました。あとは景色も好きですね。ステージに立ってパッと見た時、言葉ではうまく表せないんですが、奥行き感があってすごくいい感じだと思いました。
映像なんかも、いろんなイベントを見てきましたが、その中でも力が入っているなという印象ですね。凄さを実感できるイベントだと思いました。
——来場されたお客さんについてはどう思いますか?
TORANECO:試合中は見る余裕もないし、歓声なんかもヘッドセットで聞こえにくかったんですが、やっぱりeスポーツ——『VALORANT』や『リーグ・オブ・レジェンド』を好きで見に来てくれているんだなというのが凄く伝わってきました。インタビューの時に、選手の一挙手一投足を楽しんでくださっているな、と感じます。
——「THE UNLOCKERS」では、普段使うことの少ないレイナを使われていましたが、実際にプレイしてみていかがでしたでしょうか。
TORANECO:実際やってみるとなんとか形になるものですね。やられちゃった場面もあったんですが、何回もプッシュしたりしていると、マルチキルが生まれたりして。今回は「レイナをピックする」ということでしたけど、こういうプレイも大事なんだなと思いました。
——せっかくなので昨シーズン、SCARZの選手として活動した振り返りをお願いします。
TORANECO:シーズンを通して、プロとしていろんな活動をして、最終的に引退という決断に至ったわけですけれど、そこで悔いのないくらいに色んなことができたと思います。
アセンションで優勝してリーグに立つということはできなかったんですが、それぞれのメンバーの強みを見せることができたと思います。それはもちろんコーチも含めてですね。優勝だけではなく、それぞれのプレイヤーやチームにとって、いいものが残せたシーズンだったと思います。
——「VALORANT Challengers Japan Split2」に優勝し、日本一の座を得ましたが、そこにはどのような要因があったのでしょうか。
TORANECO:そうですね。特にプレイヤーやコーチの「勝つことに対する熱意」の積み重ねというか、それが勝ちに繋がったんだと思います。
——その後のアセンションではBleed Esportsに破れ、惜しくも2位という結果になってしまいましたが、この敗因はどのようなところにあったと分析されていますか。
TORANECO:「勝ちたい」という思いから、メンバーに強く当たってしまったり。あとは「勝ちたい」という思いの強さから、「勝ちがすべて」というチームづくりをしていたんです。まさにパッションというか。
最初は勝ってたから良かったんですけど、いったん負けの雰囲気になったときに、戻すのが難しいというか。パッションで勝とうとした分、チームとして成熟した何かというのは作れてないという部分があったのだと思います。
ただ、あの時はBleed Esportsが勝つ流れだったような気もするし。会場の雰囲気もBleedに寄ってたし、「Bleedが勝ったら面白いんじゃないか」という空気感もあったし。それを覆せなかったなとは思いますけど、クリティカルにこれが足りなかったというのは、あまり思いつかないですね。
——少し言い方は悪いかもしれないですが、技術面よりもメンバーの気持ちや雰囲気といった精神面の方が、要因として大きいということでしょうか。
TORANECO:今まではなんとかやってこられたんですけど、Crazy RaccoonやBleed Esportsのような、個々のプレイヤーのセンスが光るチームが来た時に、どうしてもそういう所に綻びが生まれてきてしまって。ある程度自分たちがうまいからこそ、どんどんパッションで勝ち進んでいけたけど、そういううまいプレイヤーに対面したときに崩れていく、みたいなのはあったかと思います。
——このあと「PRO INVITATIONAL」でBleed Esportsが出場しますが、率直にどのように思いますか?
TORANECO:今回yay選手が欠場してしまったのですが、もしフルメンバーでほかのプロチームと対面したときに、どうなるかというのは率直に楽しみにしていましたし。まあ俺としてはアセンションの結果に関わらず選手を続けるつもりはなかったんですが、若干悔しさはありますね。あそこに立てるのがBleedなんだな、と。
——今年10月に選手を引退し、コンテンツクリエイターへ転身することを発表しましたが、その理由と経緯をお聞かせください。
TORANECO:先程の話にもあったように、プロ選手としてやりたいことは十分やれたなと思っていました。ほかにやりたいと思っていることがいろいろとあって、そこに移行するタイミングが今なのかなと。
「キャスターをやりたい」というのは明言していて、実際やってみても楽しかったし、こういう仕事好きだなと思ったから、今はそこをやっていこうと思っています。
——具体的にキャスターのどこに惹かれましたか?
TORANECO:試合の中ですごいプレーが起こったときに、視聴者へどこがすごかったのかを、劇場的に伝えられるというところです。演出を作るというか、ストーリーを作るということをしているのが、楽しいなと思いました。
——先日「ふもっふのおみせ CASTER CUP」でMCを務めていらっしゃいましたが、キャスターとしての出演はこれが初めてなのでしょうか。
TORANECO:「実況」というのはこれが初めてでした。解説をしたり、MC席でトークをしたりというのは今までもありました。
——実際に「実況」をしてみた感想をお聞かせください。
TORANECO:経験不足から来る「もう少しこうしたら良かった」ということはありましたけど、やっぱり「実況」がやりたいことだな、と。求められているのは「解説」の方だとは思いますが、放送自体を一番作れる立場にあるということが楽しいと感じます。
——今までになにか実況解説の練習はされていたのでしょうか。
TORANECO:家で海外の大会を見ながら、実況や解説の練習はしていました。また中学校ぐらいの時、OooDaさんが別のゲームで実況しているのを見ながら「自分だったらこう言うな」というのを昔から考えるのが好きだったので、その当時想像していたものが今に生かせているのではないかと思います。
——最後に皆さんへメッセージをお願いします。
TORANECO:来年からやっていきたいことはたくさんありますが、何を選択するかというのはしっかり考えつつコミュニティに求められていることをやりたい、なにかしら貢献していければと思います。
——ありがとうございました!
———
日本一となったSCARZを支え、国際リーグまであと一歩というところまで迫った昨シーズン。惜しくもBleed Esportsに破れてしまったが、日本の競技シーンを一大と盛り上げたことはいうまでもないだろう。選手を引退した後も、実況解説という自分のやりたいことに向かって進み続けている。
Retloff氏のような、アナリストからMCへ転身した例もあるように、選手経験というのは大きな武器となることだろう。まだまだコンテンツクリエイターとしての活動はこれからだが、MC席にTORANECO氏が座っている未来もそう遠くないだろう。実際、先日見せた実況は、初めてとは思えないほどに違和感なく、配信を楽しく熱く盛り上げていた。
筆者からはエールを送ることしかできないが、さらにいろんな舞台で活躍が見られることを楽しみにしたい。
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■関連SNS
SZ TORANECO:
https://twitter.com/toraneco617
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撮影:まいる
編集:いのかわゆう
今回はTHE UNLOCKERS挑戦者たちがフルパーティを組み、プロmixチームとBO1で対戦し、ミッションに挑戦するイベント「THE UNLOCKERS」のDAY1から、TORANECO(とらねこ)氏へインタビュー。
今年10月に選手を引退し、コンテンツクリエイターへと転身したTORANECO氏だが、現役時代ではまず見られなかった「レイナ」をピック。まだまだプロ選手に引けを取らないフィジカルを披露した。そんなTORANECO氏へ、このイベントの感想と今後の活動の展望についてお聞きした。
やってみるとなんとか形になる
——今回の感想をお聞かせください。
TORANECO:まずKアリーナという会場についてですが、新しい建物ということもあって、ステージだけでなく廊下や控室のつくりがしっかりとできているなと思いました。あとは景色も好きですね。ステージに立ってパッと見た時、言葉ではうまく表せないんですが、奥行き感があってすごくいい感じだと思いました。
映像なんかも、いろんなイベントを見てきましたが、その中でも力が入っているなという印象ですね。凄さを実感できるイベントだと思いました。
——来場されたお客さんについてはどう思いますか?
TORANECO:試合中は見る余裕もないし、歓声なんかもヘッドセットで聞こえにくかったんですが、やっぱりeスポーツ——『VALORANT』や『リーグ・オブ・レジェンド』を好きで見に来てくれているんだなというのが凄く伝わってきました。インタビューの時に、選手の一挙手一投足を楽しんでくださっているな、と感じます。
——「THE UNLOCKERS」では、普段使うことの少ないレイナを使われていましたが、実際にプレイしてみていかがでしたでしょうか。
TORANECO:実際やってみるとなんとか形になるものですね。やられちゃった場面もあったんですが、何回もプッシュしたりしていると、マルチキルが生まれたりして。今回は「レイナをピックする」ということでしたけど、こういうプレイも大事なんだなと思いました。
勝つことに対する熱意、それがSCARZの強みでもあり弱み
——せっかくなので昨シーズン、SCARZの選手として活動した振り返りをお願いします。
TORANECO:シーズンを通して、プロとしていろんな活動をして、最終的に引退という決断に至ったわけですけれど、そこで悔いのないくらいに色んなことができたと思います。
アセンションで優勝してリーグに立つということはできなかったんですが、それぞれのメンバーの強みを見せることができたと思います。それはもちろんコーチも含めてですね。優勝だけではなく、それぞれのプレイヤーやチームにとって、いいものが残せたシーズンだったと思います。
——「VALORANT Challengers Japan Split2」に優勝し、日本一の座を得ましたが、そこにはどのような要因があったのでしょうか。
VALORANT Challengers Japan優勝しました!!👊
— SZ TORANECO (@toraneco617) June 4, 2023
沢山の応援ありがとうございました!!😎😎 pic.twitter.com/dnytkRPnvl
TORANECO:そうですね。特にプレイヤーやコーチの「勝つことに対する熱意」の積み重ねというか、それが勝ちに繋がったんだと思います。
——その後のアセンションではBleed Esportsに破れ、惜しくも2位という結果になってしまいましたが、この敗因はどのようなところにあったと分析されていますか。
TORANECO:「勝ちたい」という思いから、メンバーに強く当たってしまったり。あとは「勝ちたい」という思いの強さから、「勝ちがすべて」というチームづくりをしていたんです。まさにパッションというか。
最初は勝ってたから良かったんですけど、いったん負けの雰囲気になったときに、戻すのが難しいというか。パッションで勝とうとした分、チームとして成熟した何かというのは作れてないという部分があったのだと思います。
ただ、あの時はBleed Esportsが勝つ流れだったような気もするし。会場の雰囲気もBleedに寄ってたし、「Bleedが勝ったら面白いんじゃないか」という空気感もあったし。それを覆せなかったなとは思いますけど、クリティカルにこれが足りなかったというのは、あまり思いつかないですね。
——少し言い方は悪いかもしれないですが、技術面よりもメンバーの気持ちや雰囲気といった精神面の方が、要因として大きいということでしょうか。
TORANECO:今まではなんとかやってこられたんですけど、Crazy RaccoonやBleed Esportsのような、個々のプレイヤーのセンスが光るチームが来た時に、どうしてもそういう所に綻びが生まれてきてしまって。ある程度自分たちがうまいからこそ、どんどんパッションで勝ち進んでいけたけど、そういううまいプレイヤーに対面したときに崩れていく、みたいなのはあったかと思います。
——このあと「PRO INVITATIONAL」でBleed Esportsが出場しますが、率直にどのように思いますか?
TORANECO:今回yay選手が欠場してしまったのですが、もしフルメンバーでほかのプロチームと対面したときに、どうなるかというのは率直に楽しみにしていましたし。まあ俺としてはアセンションの結果に関わらず選手を続けるつもりはなかったんですが、若干悔しさはありますね。あそこに立てるのがBleedなんだな、と。
コンテンツクリエイター転身の経緯
——今年10月に選手を引退し、コンテンツクリエイターへ転身することを発表しましたが、その理由と経緯をお聞かせください。
TORANECO:先程の話にもあったように、プロ選手としてやりたいことは十分やれたなと思っていました。ほかにやりたいと思っていることがいろいろとあって、そこに移行するタイミングが今なのかなと。
「キャスターをやりたい」というのは明言していて、実際やってみても楽しかったし、こういう仕事好きだなと思ったから、今はそこをやっていこうと思っています。
——具体的にキャスターのどこに惹かれましたか?
TORANECO:試合の中ですごいプレーが起こったときに、視聴者へどこがすごかったのかを、劇場的に伝えられるというところです。演出を作るというか、ストーリーを作るということをしているのが、楽しいなと思いました。
——先日「ふもっふのおみせ CASTER CUP」でMCを務めていらっしゃいましたが、キャスターとしての出演はこれが初めてなのでしょうか。
TORANECO:「実況」というのはこれが初めてでした。解説をしたり、MC席でトークをしたりというのは今までもありました。
——実際に「実況」をしてみた感想をお聞かせください。
TORANECO:経験不足から来る「もう少しこうしたら良かった」ということはありましたけど、やっぱり「実況」がやりたいことだな、と。求められているのは「解説」の方だとは思いますが、放送自体を一番作れる立場にあるということが楽しいと感じます。
——今までになにか実況解説の練習はされていたのでしょうか。
TORANECO:家で海外の大会を見ながら、実況や解説の練習はしていました。また中学校ぐらいの時、OooDaさんが別のゲームで実況しているのを見ながら「自分だったらこう言うな」というのを昔から考えるのが好きだったので、その当時想像していたものが今に生かせているのではないかと思います。
——最後に皆さんへメッセージをお願いします。
TORANECO:来年からやっていきたいことはたくさんありますが、何を選択するかというのはしっかり考えつつコミュニティに求められていることをやりたい、なにかしら貢献していければと思います。
——ありがとうございました!
———
日本一となったSCARZを支え、国際リーグまであと一歩というところまで迫った昨シーズン。惜しくもBleed Esportsに破れてしまったが、日本の競技シーンを一大と盛り上げたことはいうまでもないだろう。選手を引退した後も、実況解説という自分のやりたいことに向かって進み続けている。
Retloff氏のような、アナリストからMCへ転身した例もあるように、選手経験というのは大きな武器となることだろう。まだまだコンテンツクリエイターとしての活動はこれからだが、MC席にTORANECO氏が座っている未来もそう遠くないだろう。実際、先日見せた実況は、初めてとは思えないほどに違和感なく、配信を楽しく熱く盛り上げていた。
筆者からはエールを送ることしかできないが、さらにいろんな舞台で活躍が見られることを楽しみにしたい。
© 2023 Riot Games, Inc. Used With Permission
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https://bj.afreecatv.com/valorantjp
撮影:まいる
編集:いのかわゆう
【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレイヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。Twitter:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
関西を拠点にする男性コスプレイヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。Twitter:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
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