【FENNEL CLZ選手 × mltdwnコーチインタビュー】ファンのみんなが僕たちにがんばる気持ちを与えてくれる——Crazy RaccoonキラーのFENNELがまたも勝利!Playoff Finals 最後の切符をもぎ取る!

VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan Split 2」のプレイオフが5月10日(水)から開催中。4月13日(木)から開催されていたメインステージで勝ち上がった6チームが、アセンショントーナメント進出をかけて戦っている。

特にプレイオフは6月3日(土)〜4日(日)にオフライン(エディオンアリーナ⼤阪)で開催されるだけでなく、負けてしまったチームは、今年の競技シーンから姿を消すことになるので非常に重要な試合となっている。

▲プレイオフのトーナメント表

なお、直近のメインステージで成績上位を収めていたSCARZ、Jadeiteはオフライン進出は確定。残りの4チームで残り1枠を奪い合うという試合が行われていた。

DAY2のMATCH4ではFENNELCrazy Raccoonの試合が行われた。勝敗が今後の活動に大きな影響を与える本試合。そんな熾烈な戦いを勝ち抜いたのはFENNELだった。

今回は、試合直後に行われたCLZ(くるず)選手とmltdwn(めるとだうん)コーチのインタビューをお届けしよう。

FENNELはBo5に強いチームだ


——まずは試合おつかれさまでした。試合を終えた率直な感想をお聞かせください。

CLZ選手(以下、CLZ):試合に勝てたことはうれしいのですが、僕たちはメンタル面に問題あるのかなと思っています。3:0で勝てるような精神面、強い心を身につけたいなと思うんですけど——。どうしてもフルセットになってしまって、そこをどうにかしたいですね。

mltdwnコーチ(以下、mltdwn): 今日勝てたのは、選手のおかげだとつくづく感じました。4マップ目のフラクチャーや5マップ目のスプリットではCRが構成を変えてきました。対策もないまま、その場の即興の対応で選手ががんばってくれました。

1マップ目のヘイヴン、3マップ目のアセントでも大差をつけて勝てた部分も、選手が今までやってきたことを忠実に実行し、かつ彼らの個人としての努力が結果に繋がったのかなと思っています。

——勝利の要因は何だったのでしょうか。

CLZ:他のチームだと、相手に2マップ取られるとすごく焦ってしまうと思うのですが、僕らは5マップ目にいっても「絶対勝てるぞ!」っていうマインドもありますし、そういった余裕が勝利につながったのではないでしょうか。

——3マップ目のアセントでは13:1と圧勝し、そのまま流れで勝ちに行くのかと思いきや、4マップ目のフラクチャーでは逆に大差をつけられてリードされてしまい、13:8という結果で負けてしまいました。しかし、そこから5マップ目のスプリットでは前半9:3と再び大きくリードすることができたのは、どういったメンタル管理をしていたのでしょうか。

CLZ:アセントを取った時は「これ相手もメンタルで相当来てるぞ!」っていう感じで、この流れでフラクチャー取れるんじゃないかと思っていたのですが、まあそううまくはいかず、CRに取られてしまいました。

その時点で結構焦ってはいたのですが、やはり僕たちの根本として「Bo5に強い」っていうのがあったので、スプリットは切り替えてやろうという気持ちで勝てたのではないかと思っています。

——確かに、スプリットの前半はその勢いが実っていたとは思いますが、後半は逆にCRに押し返されてしまいピンチな場面もあったかと思います。その辺はどうやって乗り越えていきましたか?

CLZ:いやーもう正直、メンタル管理はできてたかっていわれると結構怪しいですね。特に僕は今までにないぐらい、感極まるじゃないですけど、感情が出てしまったのですが、メンバーみんなが強いので自信は揺るがなかったです。

▲Bサイトからベント抜けをしてAサイトへ向かう際、ロープの上り下りで引っかかってしまうCLZ選手。「緊張と焦りから出てしまった」とCLZ選手。プロ選手といえども、この時の精神状態は計り知れないものがあったに違いない(https://www.youtube.com/watch?v=qlfBNyQyU5M&t=36000s

——FENNELはBo5の6試合中、5回もフルマップで試合しています。これは世界的に見てもトップクラスで多い回数だと思うのですが、やはり5マップの試合は体力的に疲れるものでしょうか。

CLZ:そうですね。疲れはありますが「多分、ほかのチームの方が疲れてるのかな?」という気持ちはあります。僕たちは事前にBo5の練習やスクリムを実践していたので、(Bo5は)いつもやってるって感じもしてて、そういった部分でほかのチームと違いがでているのではないかと思っています。

JoxJo選手は頼れるCRキラー


——FENNELはコーチ陣が4名と、ほかのチームに比べて多い印象ですが、 Johnta(じょんた)コーチのような海外のコーチもいる中で、どのような役割分担をしているのでしょうか。

mltdwn:チームの根幹となる部分はJohntaが行っていて、僕が通訳で選手に伝えたり、逆に選手からの質問を投げたりしています。具体的な構成の案や、1プレイの部分に関しては基本的にはEuler(おいらー)が担当していて、僕はそのサポートに入ることもあります。

kir1n(きりん)に関しては日頃からスクリムのデータを管理しています。例えば週間でアセントの勝率はこれくらいとか、前週と比べてこれくらい上がっていますとか——。そういう情報を共有してもらいチームの活動に生かしています。

——kir1nさんは学生ということもあって、「VALORANT Challengers Japan」はハードなスケジュールだと感じるのですがいかがでしょうか。

mltdwn:そうですね。Split1〜Split2にかけて、チーム内でさまざまな問題がありました。その中にコーチ陣の問題も存在しています。 ハードなスケジュールに関しては、僕がアナリストをしていたという経験もあるので、少しずつ分担作業をするようにしています。

——なるほど。コーチ陣と同じようにJoxJo選手の存在も気になっています。JoxJo選手はCRキラーともいえる頭脳の持ち主で、CR対策を熟知されていると思うのですが、実際に同じ選手としてどのようなイメージを持っていますか?

CLZ:NORTHEPTION時代からJoxJoはCRに絶対勝っているイメージなので、JoxJoはCRのコーチのAstell(あすてる)選手の考えを把握しきっているのかもしれませんね。

特にCR戦の時って、本当に自信のあるIGLをしているんで(笑)。

——どういった部分に自信のあるIGLだなと感じていますか?

CLZ:普段、自信がない時は結構ほかのメンバーに尋ねることもあるんですけど、JoxJoが自信持ってる時は「これみんな聞いてー」から入って、「これはこう やってこうだからって〜」って言うので、そういった部分で感じますね。

——やはり年齢的にも年上ということもあって頼れる存在ですか?

CLZ:そうですね。落ち着いてる選手でもありますしね。ふたりがはしゃいで、3人が落ち着いているって感じです(笑)。

——前回Split1でのインタビューでは、自分のオペレーター(武器)に自信がないという話をされていたと思いますが、今回は結構刺さっているイメージがありました。Split1からSplit2にかけてどのような取り組みをされていましたか?

参考:【VALORANT】Bo5は僕たちにとってプラスでしかない——FENNEL CLZ選手 mltdwnコーチインタビュー

CLZ:まあ今でもオペレーターに自信があるかっていわれたらちょっと怪しいんですけど……。まあでも、Johntaコーチからこういう置き方がいいよとか、 『Counter-Strike: Global Offensive』出身のhiroronくんにオペレーターの置き方や置き幅の話を聞いたり、JoxJoからワンピックの方法をよく教えてもらっていたので、そういった部分が自信につながっているのかなあと思っています。

▲3マップ目のアセントでのワンシーン。前に詰めるCLZ選手。そこにはCRの選手が潜んでいた。壁越しにマントがちらっと映るや否や素早い射撃でワンピックを取るCLZ選手。反応が早すぎてカメラが追いつかないレベル!(https://www.youtube.com/watch?v=qlfBNyQyU5M&t=28046s

——リプレイシーンではチーム内のVCが配信されていたのですが、「カバーしてあげて!」というような、ほかの選手の射線を気にするシーンが印象的でした。味方へのサポートはどういった感じで気にしているのでしょうか。

CLZ:うちのチームは使用しているエージェントに関係なく、味方ととどう動くかというのを常に教え込まれています。それができていなかったら負けるし、できていれば勝てるともいわれているので、常に味方の動きを全員が全員見ています。

そういう部分から指示だったりフォローだったりという言葉が選手みんなから出ているんじゃないかなと感じています。

——ちなみに、FENNELはほかの国内チームに比べるとゲッコーを採用していると思うのですが、ゲッコーを採用している理由があれば教えてください。

mltdwn:ゲッコーがリリースされた当初からJohntaが「ゲッコーを使うのはどうだろう」っていう話を持ちかけていて、タイミングを見て使えるようにしたいなって思っていました。そんな中、パールというマップで伸び悩んでいる時期でもあったので、実際にちょっと使ってみるかという流れで使ってみたら「案外いいじゃん」って。そんな流れで採用するようになりましたね。

——フラクチャーでは先日の構成ではなく、前回のエージェント構成に戻されていましたね。やはり昨日のCrest Gaming Zst(CGZ)戦での敗北が理由だったのでしょうか。

▲前日のCGZ戦のフラクチャーではCLZ選手がネオンを採用した2デュエリスト構成になっていたが、CR戦では以前から採用していた2コントローラー構成に戻っていた

mltdwn:個人的には2デュエリストでも2コントローラーでも十分に戦えるとは思っています。ただ、2デュエリスト構成だったCGZ戦ではディフェンダーサイドで1本も取れず9本連続落として負けるという経験があったので、今回CR戦ではディフェンダーサイドからスタートということもあり、よりディフェンダーサイドで強い2コントローラー構成で挑むことにしました。

——私も前日FENNELのチアパーティにおうかがいしたのですが、本当にファン全員が一丸となって熱狂しているような空間でした。選手にとってチアパーティは大きな影響を与えるものだと感じますか?

CLZ:めちゃめちゃあると思っています。やっぱり、応援されてると「がんばらないと!」っていう気持ちになると思うのですが、チアパーティだと動画だったり、Twitterだったりで、目に見えて応援を感じることができます。

「こんなにもいろんな人が応援してくれてるんだ」ってがんばれる理由になるのですごく影響してます!

▲FENNELのチアパーティの様子。そこに行けば誰でも仲良くなれる——みんな一丸となって応援できる。初めてチアパーティに参加した筆者も温かく迎えてくれて、FENNELというチームの魅力を改めて知ることができた最高の空間だった

——6月3日(土)プレイオフ決勝戦進出は決まったわけですが、FENNELとってはSplit1に引き続き連続優勝がかかった試合になるかと思います。オフラインに向けての意気込みも教えてください。

CLZ:再びオフライン大会に進出できて本当にうれしくて楽しみです。僕らはSplit1でオフラインでも勝てるって証明できているので、Split2でも落ち着いて、そのメリットだけを生かして絶対勝ちたいと思います。

mltdwn:前回優勝したというプレッシャーもかかる中、選手と共に成長した姿をお見せできるよう、今日よりもいい試合がお見せできるように全力を尽くしたいと思います。

——最後に大阪のファンの皆さんへ、また応援してくれているファンの皆さんにひとことお願いします。

CLZ:プレーオフまで本当に応援ありがとうございました。皆さんの応援が力になって僕たちもがんばれているので、引き続き 応援よろしくお願いします!

——ありがとうございました!

———

『VALORANT』の国内リーグは、本試合に敗北するとその時点で公式大会からは姿を消すことになってしまう。まだ半年以上も残っている状態で、公式の場で活動できなくなるというのは選手にとって大きな打撃といえる。

実際に今回の試合で敗北してしまったCRやNORTHEPTIONといったチームのメンバーの落胆を見ると、勝者と敗者が天と地ほどの差があるというのは火を見るより明らかだ。

そんなプレッシャーを背負った中、FENNELがここまで戦い抜けているのは選手だけではなく、チアパーティに足繁く通うファンの応援があってこそ。中にはチアパーティ皆勤賞のファンや、他県から訪れるファンもチラホラ。そういったファンの後押しは選手にとって大きな力になったに違いない。

なお、先述した通りFENNELは6月3日(土)の準決勝戦でSCARZと戦う。


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【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。

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